城下町の低身長   作:かるな

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お久しぶりです!

皆様、私が前回言っていた事を覚えていますでしょうか?

そう、「更新ペースが早くなる」的な事を言っていたんですよ!

まあそんな事は無かったと!
誠に申し訳ございませんでした(T_T)

今回は葵姉さんの誕生日回です!
ではどうぞ!



長女誕生日

 

 

「ひーふーみー......よし、大丈夫だ」

 

 

「優ちゃん何が大丈夫なのー?」

 

 

「ん? 明日は葵姉さんの誕生日だろ? 何を買おうかなって思ってたんだよ」

 

 

 

机の上で諭吉さんを数えていると、後ろからひょっこりと光が顔を出してくる。

 

 

 

「あー...」

 

 

「さては光...忘れてたろ」

 

 

「そ、そんな事ないって! アタシはもう買う物決めてるもんね!」

 

 

「でも昨日お小遣い使い切ってなかったか?」

 

 

 

昨日の出来事を思い出してみる。冬休みに入った初日(土曜日)、朝っぱらから光に叩き起され、買い物に付き合ってと言われたのだ。

 

当然布団から出たくないので一人で行けと言ったのだが、どうやら光の友達であるチカちゃんたちも一緒に、割と遠くの方へと行くらしく、安全上俺も付いていくことにした。

 

そこで何があったかの詳細は置いておくとして、新しい物に興味を引かれた光は次々に金をつぎつぎ込んだ末、食事代を俺に立て替えてもらったのだ。

 

よって、光の所持金は0に等しい。

 

 

 

「優ちゃ~ん!助けて~...!」

 

 

 

光が後ろから座っている俺に腕を回して抱きついてくる。さらにそのままの状態でスリスリしてくるものだから、少しこそばゆい。

 

おまけに少しいい匂いがするものだから、ほんの少しだけだが、ドギマギしてしまう。

 

光のやつ、おねだりが上手くなったな。

 

 

 

「母さんに頼んでこい」

 

 

「月初めに貰ったばっかだから怒られちゃうって!」

 

 

「だったらかなねぇに...」

 

 

「かなちゃんはなんか嫌っ!」

 

 

 

母さんが駄目ならかなねぇの能力で...と思ったが、あの人の性格と、折角のプレゼントを能力で用意するというのは流石に嫌だったらしく、強く反対されてしまう。

 

近くにかなねぇが居なくて良かった...。

 

 

 

「ねぇ優ちゃ~ん...」

 

 

 

俺が中々折れないため、光は俺の横に来ると、膝の上に跨って更に擦り寄ってくる。

 

 

 

「光、流石にこれを茜に見られたら俺がただじゃ済まないんだが」

 

 

 

妹が自分を頼ってくれるのは嬉しいが、命の危険に晒されてると思うと気が気でない。

 

 

 

「はぁ、分かったよ。今回は助けてやる」

 

 

「ほんとに!?」

 

 

「ただし、冬休みの課題は年内に終わらせることが条件だ。年明けに慌てるなんて御免だからな」

 

 

 

 

 

俺はかつて、これ程までに絶望した光の顔を見たことがなかっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、先輩と光ちゃんはなぜ私の家に来たんですか? あ、迷惑とかじゃなくて逆に嬉しいんですけど、あまりにも急だったもので」

 

 

 

俺達は、今回の作戦に置いて重要人物と成りうるであろう桜ちゃんの元へと来ていた。

 

ここに来る前に俺が光に提案したのは、プレゼントを買うのではなく、作ることだった。

 

何かを1から作るのであれば、二人分ぐらいの材料費はそこまで痛くなく、むしろ誤差である。

 

そこで何を作るのかと言うと...

 

 

 

「桜ちゃんにフェルト人形の作り方を教えてもらおうと思って」

 

 

「フェルト人形...ですか」

 

 

「俺と光は裁縫とか全然駄目だからさ、桜ちゃんなら出来るんじゃないかと思って」

 

 

 

そう言うと、少し考える素振りを見せる桜ちゃん。

 

彼女が裁縫が得意という根拠は無いが、これでも女子中学生。

現役で家庭科の授業を受けているのだ。たとえ体の発育的に母性を全く感じなくとも、まるで子供の洋服のボタンや、穴を塞ぐぐらいの手軽さでやってみせてくれると信じている」

 

 

「優ちゃん、声出てる...」

 

 

「えっ?」

 

 

 

光の声で我に帰ると、目の前には満面の笑みで拳を構える桜ちゃんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、君のその性格には恐れ入るよ」

 

 

「返す言葉が無いです...」

 

 

俺達が次に訪れたのは、アルバイト先である喫茶店。

 

オーナーならば出来るかもしれないという、淡い希望を持ってやって来たのだ。

 

因みに桜ちゃんには何を作るかを伝えたところ、流石に俺達素人に教えられる程の代物ではなかったようで、申し訳なさそうに断られてしまった。

 

 

 

「君達が作りたいものはなんとなく分かったが、具体的に何時までに作り終わればいいんだい?」

 

 

「今日が22日なので、明日の夜までには...て、店長!フライパンは待ってください!分かってます、店長の言いたい事は分かってます!!」

 

 

「全く、なら明日は光ちゃんを連れて店に来たまえ。空いてる時間に教えてあげよう。今日は流石に時間も材料も無いからね」

 

 

「ありがとうございます店長!ほら、光も!」

 

 

「ふぁふぃふぁほうほはいはふ!」(シフォンケーキを頬張りながら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、光を連れて開店時間前に店に行き、昨日買った材料を使って少しずつ作っていく。

 

基本は店長が教えてくれるが、どうしても店を出なければ行けない時は桜ちゃんが見てくれる。

 

桜ちゃんが見てくれる時は、代わりに俺が仕事をする。

 

こうしたサイクルを繰り返す事で、光が中心に作業を行い、必ず誰かが補助に回れる。

 

 

これを夕方まで行い、光はもちろんのこと、仕事をしながらの俺と桜ちゃんもぐったりとしていた。

 

店長はと言うと、俺達のクリスマスパーティ件葵姉さんの誕生日の為のテイクアウト料理の下準備をしている。

 

この料理は、パーティ当日に俺が受け取りに行くものだ。

 

 

 

 

 

 

2人に何度もお礼を言いながら、作り終わった人形を手に帰路につく。

 

 

 

「葵ちゃん、喜んでくれるかな?」

 

 

 

作った人形を両手に、胸の前でギュッと抱える。

 

光にしては珍しい少し俯きがちな顔には、不安な感情が読み取れる。

 

そんな光の頭に手を乗せ、少し乱暴に撫でる。

 

 

 

「光は、葵姉さんのことが好きか?」

 

 

「あ、当たり前だよっ!!」

 

 

「その気持ちがあれば充分だ。いいか、光。兄や姉っていう生き物はな、弟や妹の気持ちがこもってりゃあ、何でも嬉しいんだよ。ま、要は出来や実用性なんて関係無いって話だ」

 

 

 

最後に頭をポンポンと叩いてやると、光が何か吹っ切れたように顔を上げ、「よしっ!」と気合を入れる。

 

 

 

「そう言えば優ちゃんはさ、貰うなら何がいいの?」

 

 

「う~ん......金」

 

 

「うわっ、サイテー...」

 

 

 

今までに感じた事の無い、光の軽蔑オーラを受け取ったのであった。

 

 




~誕生日当日~

光「葵ちゃん、これ!誕生日プレゼント!!」

葵「光が作ったの!?」

光「優ちゃんと桜ちゃんと、店長さんが手伝ってくれたの!頑張って葵ちゃんに似せようとしたんだけど、中々上手くいかなくて...」

葵「ふふふ。ありがとう光」

~ここまで~





葵姉さんの誕生日回なのに!
本編に葵姉さんが登場してない!

すみませんでしたー!!!


それでは皆さん、よいクリスマスを!
次回はお正月回かな...

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