後一週間もすれば暇になる予定なので、そこまでの辛抱です...
大鉄人ワンセブンさん、誤字報告ありがとうございました!
午後の授業も終わり、クラスメイト達が少しずつ帰宅していく。
帰り支度を済ませた俺は、机に突っ伏してため息をつきまくる妹の所へと向かった。
「はぁ…幸せな時間って何でこんなに早く終わっちゃうんだろう……」
「茜ってほんと学校大好きだよね」
「だって学校だとみんな私のこと王族扱いしないでしょ?」
「そりゃあ、友達だし?///」
「そりゃあ、妹だし?///」
「「……………。」」
「悪かったって、だからそんな冷たい目で見ないでくれ」
まったく、ただの軽いジョークじゃないか。
ちょっと顔赤くしてみただけじゃないか。
目線を逸らしながらとかグッときそうな仕草してみただけじゃないか。
そのお返しがその目とか…………癖になりそう。
「茜、優君。葵様が迎えに来てるよ」
軽い雑談をしていると、クラスメイトの一人が葵姉さんが来たことを教えてくれる。
そいや今日は葵姉さんが迎えに来るんだっけ。
「キャ―!葵様―!」
「今日も綺麗です!」
「結婚してください!!」
今日も葵姉さんは人気だな。
え、最後のセリフの奴?
八つ裂きだよ。
「葵さんはほんとに人気が高いよね。あの調子じゃ次期国王は葵さんかな」
「やっぱりお姉ちゃんは人気あるなー…」
「茜にはファンクむぐっ!」
「優どうしたの?」
ファンクラブがあるぞと言いかけたところで花蓮に手で口をふさがれる。
「ほらほら、お姉さんを待たせちゃ悪いからさ! 早く行った方がいいんじゃない?」
「確かに…優、行こう。また明日花蓮!」
「また明日な」
「バイバイ二人とも」
花蓮と別れた俺たちは、クラスメイトに包囲されている葵姉さんを救出して学校を出る。
「おねえちゃん、どうやったらそんなに人気出るの?」
「うーん、特に何もしてないんだけど…」
「それでも人気あるって本当にすごいよね」
「あれ? 優君も結構人気ある方だよ?」
「え、そうなの?」
「うん。私のクラスでは結構小っちゃくてかわいいって有名だけど…..」
「優が泣いてる…」
「嬉し泣きだいっ!!」
「「あ、行っちゃった…」」
あまり知りたくなかった事実を知ってしまった俺は、脱兎のごとく駆け抜ける。
足には自信あるんです。
ある程度走った俺は反転し、走ってきた道を戻る。
結構無駄な体力を消費したが、身長関係のやり取りがあると大体こうなるので問題ない。
始めの頃は茜たちもびっくりして呼び止めたりしたが、今じゃどうせ戻ってくるからいいや、とか思ってたりするので最近は少し寂しい。
いっそのこと家出でもしてみるか?
だめだ、後が怖い。
肉片一つも残らなそう…
そんなことを考えながら走っていると、葵姉さんが見えた。
あれ、茜がいない。
「おかえり優君」
「ただいま葵姉さん。茜は?」
「茜ならひったくりを追いかけてったよ」
「えぇ…何やってんのあいつ」
「心配だけど、茜能力使って追いかけてるからもう追いつかないかも…」
「俺に任せて、葵姉さんはここで待ってて」
葵姉さんの返事を待たずに鞄を預け、茜が走っていった方へと走る。
さっき走ったおかげでウォーミングアップが済んでいるおかげで体が軽い。
茜は能力を使っているが、それでもこれ以上大幅に距離が離れることは無いだろう。
「さて、まずは茜を探さなきゃな」
俺の体が光る。
そう、王族の血を引くものならではの特殊能力だ。
「でも届くかな…まあやるしかないんだけど」
俺は頭の中で茜の姿を思い浮かべると、声には出さずに、頭の中で茜を呼ぶ。
(茜、聞こえてるか? 聞こえてたら返事しろー。 茜ー。)
俺の能力は精神感応、いわゆるテレパシーだ。
話をしたい相手を思い浮かべ、頭の中から喋りかけるような感じでやると相手の頭の中に自分の声が響くのだ。
俺が話しかけている最中は向こうも同じ感覚で喋れば俺の方にも伝わってくる。
ただ話したい人と距離が離れすぎていると使えない。
いけて1kmぐらいかな。
それにしても茜が全然返事を寄越さない…
流石に聞こえてるはずなんだけどな、追いかけるのに夢中で気づいてないのか?
仕方のない妹だ。
お兄ちゃんがすぐに気付かせてあげよう。
(おい貧乳)
(殺す!!)
よし! 茜との連絡は取れた。
怒り狂う茜を何とかなだめ、茜から聞き出した場所へ行くと、なぜか報道陣に囲まれている茜がいた。
妹が欲しかったです(n回目)
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