(実は夏編が飽き始めてる)
大鉄人ワンセブンさん、感想ありがとうございます!
リビングで岬と一緒にアイスを頬張っていると、ある事を思い出した。
「金が.........無いっ!!」
「いきなりどうしたの優兄?」
俺、櫻田 優の財布の中は悲惨な有様であった。
「岬、よく考えてみろ。俺がこの夏休み中何処に行ったのかを」
「えーと、プールに夏祭りに、桜ちゃんと二人っきりで遊園地デート」
「かなりの出費だろ?」
「デートは否定しないんだ......」
実は夏祭りに行った数日後に、前々から桜ちゃんと約束していた遊園地に行ったのである。
勿論帰ってきた時の茜の不機嫌さと言ったら、過去最大ではないかという程だった。
「夏休み前に入ったバイト代が底を着きそうだからな。このままじゃアイスも買えなくなるかもしれん」
「それは困るよ! 櫻田家専用アイス貯蔵マシーンの優兄が機能しなくなったら誰がアイスを.........痛い痛い!!」
「お兄ちゃんは悲しいぞ。妹を失うという事が」
全く、この駄妹は何を言い出すんだか。
咄嗟にアイアンクローをキメてしまったではないか。
「というか朝から遥の姿が見えないんだがどこ行ったんだ?」
「あ...あたしも見てないよ......朝...起きたら...もう居なかっ...たし」
「最近の遥はなーんか怪しい気がするんだよな~。帰ってきた時とか余所余所しいし」
「あた......も...そう.....おも...う」
「これは付けてみる必要があるな」
「............。」
「ねえ優ちゃん、岬ちゃん動かなくなってるよ?」
「あっ......」
しまった、岬にアイアンクローを
キメたままだった。
動かなくなってしまった岬をソファに捨て置き、さてどうしようかと考える。
てかいつの間に居たんだ、光?
「なあ光、遥が最近出掛けてる場所とか知らないか?」
「ど、どどどうしたの優ちゃん? ひ、光がそんなことし、知ってるわけないじゃん......」
何かを悟ってしまった俺は、冷蔵庫の中からあるものを取り出して光の前に出す。
「ハ、ハーケンタッツ!? 滅多に買ってこないのにどうして!」
「もう一度聞くぞ光。遥は何処に行った?」
「うっ、それだけは......」
「そうか、それは残念だ」
光の前に出していたハーケンタッツの蓋を開け、更にビニールの蓋も開けると、そこには純白のミルクアイスが......
光が悲しげな瞳を向けてくるが、気にせずスプーンを取り出してアイスを掬う。
アイスが持つ滑らかさを見せつけるように出来るだけ、ゆっくりと。
スプーン一杯に掬ったアイスを口へと運ぶ。
もちろん、ゆっくりと。
口に入れた瞬間に広がるミルクの風味と、濃厚な味わいが夏の猛暑で疲れた体を癒してくれる。
このアイスを口にした俺の顔は恐らく、いや絶対に幸せそうな顔であろう。
ふと光に視線を向けると......
「うぅ......」
涙目になったいた。
少しやりすぎたか?
「光、全部話すならこのアイスを食べさせてやるぞ?」
そう言った瞬間光の顔がパァッと明るくなる。
「えっとね! 朝はるちゃんに会ってね、何か出かけに行くような格好してて、どこに行くのって聞いたら----」
成程.........怪しいな。
てかちょろくない?
「よし、だいたい分かったぞ。ありがとな光」
「ゆうちゃん! 約束通りアイスを!!」
「おう、勿論やるぞ......って光?」
アイスを渡そうとしたのだが、その前に何故か光が俺の膝の上に座る。
しかも向かい合うように。
「えへへ~、だって食べさせてくれるんでしょ?」
そういう事か......。
そういう意味で言ったんじゃなく普通にアイスをやるって意味だったんだけどな。
ま、少し意地悪しちゃったしこれくらいはな。
「ほれ、あ~ん」
「あ~ん!」
幸せそうにアイスを頬張る光。
何気に恥ずかしいが、役得だろう。
あまりにも愛らしく食べるので、自然に手が光の頭にいき撫で始める。
「ふへへ~//」
なんだろう、なでた感じが桜ちゃんに似ている気がする。
この後アイスを食べさせながら頭を撫で続けるという幸せな時間を満喫したのだった。
「おのれ優兄ぃ......頭蓋骨の恨みを思い知れぇ......」
何か短くてすみません...
次話は多分長くなると思います。
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