城下町の低身長   作:かるな

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実は書いてる最中に、もしかしたらこれ4000行くんじゃないか?と思って中編を作りました。

大鉄人ワンセブンさん、コウさん、感想ありがとうございます!


夏祭り中編

「な、なぁ2人とも。やっぱり俺がこれに出るのは......」

 

 

 

俺、桜田 優は、悪魔2人に追い詰められていた。

 

 

 

「何言ってるの優。もう決まったことなんだからしょうがないでしょ?」

 

 

 

紹介しよう。

こちらが悪魔1号 桜田 茜。

 

 

 

「は、遥なら周りを誤魔化せても、俺は流石に無理というか......」

 

 

 

 

「そんな事ないと思いますよ? 先輩だって似合いますって!」

 

 

 

こちら悪魔2号(元天使) 加藤 桜。

 

 

 

「それでもっ......!」

 

 

 

俺は手に持っている紙を強く握り、歯を食いしばる。

 

そして目の前の悪魔に持っていたそれを見せつけて叫んだ。

 

 

 

「浴衣コンテストなんて、絶対に参加しないからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【タイトル】

 

ドキッ! ○○夏祭り浴衣コンテスト

~今宵の浴衣美少女は誰だ?~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

遡ること2時間前......

 

 

 

 

 

「優ちゃんどう? あたしの浴衣!」

 

 

 

「中々可愛いぞ光」

 

 

 

「えへへー」

 

 

 

素直に褒めてやると、嬉しそうに目を細める光。

 

 

 

「虫除けちゃんと付けとけよ」

 

 

 

「はーい」

 

 

 

光は浴衣の袖を肩まで捲っているため、白い腕がさらけ出されている。

 

良い目の保養だ。

 

水着とはまた違う見せ方が良い。

 

 

 

「優、ど、どうかな?」

 

 

 

お次は茜である。

 

 

 

「おう、茜らしくていいと思うぞ」

 

 

 

双子の妹に対してそんな感想で良いのかと思われるが、もう既に褒め言葉のレパートリーが無い。

 

 

 

「ん? 茜、今日はツインテじゃないのか?」

 

 

 

「せっかくのお祭りだし......て言っても髪下ろしただけなんだよね」

 

 

 

「いつもよりおしとやかな感じがする」

 

 

 

「む、それっていつもはおしとやかじゃないって事?」

 

 

 

「そりゃあ、もちろおぉぉぉ!!」

 

 

 

言い終わる前に茜からアイアンクローを貰う。

俺の頭蓋から聞こえてはいけない音が聞こえ、今にも陥没しそうである。

 

 

 

「全く、優も早く支度初めてよね」

 

 

 

「はい.......」

 

 

 

まだ残っている痛みに耐えながらも、用意していた浴衣に着替える。

俺の浴衣は紺色のものであり、新しくかなねえに買ってもらったのだ。

 

勿論タダではなく、次の生徒会活動の手伝いを条件に......

 

 

 

「よし、着替えも終わって財布とスマホも持ったし完璧だな」

 

 

 

「優、加藤さんが来るんでしょ? 一応玄関で待ってたら? 他の皆ももう来るわよ」

 

 

 

既に支度が済んでいるらしいかなねえに言われて思い出す。

 

桜ちゃんとの約束(お祭り)と家族の予定(お祭り)が被ってしまったので、急遽一緒に行く事になったのだ。

 

 

 

不安しかねぇ。

 

 

 

 

「そうだな。じゃあ先に外でてるから、輝と栞の支度手伝ってあげて」

 

 

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ集合時間ではないので桜ちゃんは来ていないと思っていたが、いた。

 

浴衣は水色で落ち着いた感じを出しているが、そわそわとしてるのでだいぶ楽しみにしているのが見て取れた。

 

髪型はいつもと違い編み込んであるため、結構新鮮である。

 

数秒の間見とれていたが、ふと思いついたことがあったので実践する。

 

 

 

 

 

(早かったね、桜ちゃん)

 

 

 

「先輩!? ど、どこにいるんですか!?」

 

 

 

やはり急にテレパシーで話し掛けられるのはまだビックリするのだろう。

慌てふためく桜ちゃんだが、見てて楽しい。

 

 

 

(いつものテレパシーだよ。それより、今どこから桜ちゃんを見てるか分かる?)

 

 

 

(え? えっと......先輩のお部屋からでしょうか?)

 

 

 

(うんそうだよ。そこから窓が見えると思うから、しばらく見ててね)

 

 

 

(は、はい......)

 

 

 

勿論俺は部屋にはいない。

桜ちゃんが窓に集中している内に彼女の後ろに回る。

 

ゆっくりと近づいて立ち止まる。

至近距離である。

 

 

 

(先輩? 何も見えませひゃあぁぁぁ!!」

 

 

 

窓を見ていた桜ちゃんのめを手のひらで覆う。

傍から見たらこれから女の子を誘拐しようとする変質者に見えなくもないが、まあ何とかなるだろう。

 

あまり長く隠すのも可哀想なので、すぐに手を離してあげる。

全てを察したらしい桜ちゃんは、涙目になって顔を赤くしながら、恨めしそうに睨んでくる。

 

 

 

 

うん、かわいい。

 

 

 

 

「いきなり何するんですか先輩!」

 

 

 

「ごめんごめん、結構可愛かったもんだからついね。皆そろそろ支度終わるかもだけど、外で待つのもなんだし中入る?」

 

 

 

「いえ、さっき来たばっかりですので大丈夫ですよ......って! 今私にとって重要な事がサラッと言われた気がしたんですけど!? そういうのはもうちょっと雰囲気ってものを!」

 

 

 

「まあまあ落ち着いて、お祭り行く前に疲れちゃうよ」

 

 

 

「誰のせいだと思ってるんですかー!」

 

 

 

桜ちゃんの反応はやはり面白い。

 

 

 

「おーおーお2人さん、お暑いですなー」

 

 

 

「なんだ岬か、お前はもう済んだのか?」

 

 

 

「うん、だけど茜姉以外は皆もう来るよ。それよりも......さっきのやり取り茜姉が見てなくて良かったね」

 

 

 

「今度アイスやるから絶対に喋るなよ」

 

 

 

「了~解!」

 

 

 

たった今尊い命が救われた瞬間だった。

 

 

 

 

 

車の中では、他の兄妹たちに桜ちゃんとはどんな関係なのかを問い詰められ、茜からの殺気に何とか耐えながら受け答えしていた......

 

 

 

 

 

 

「着いたね、じゃあ各自自由行動で、20時までに此処に戻ってくるように」

 

 

 

『はーい』

 

 

 

葵姉さんからそう言い告げられてそれぞれ散らばる。

 

と言っても個人ではなく少人数でだ。

いくら家族+桜ちゃんできたとはいえ、総勢13名で移動するのは他の人の迷惑になる。

 

よって

 

葵姉さん、栞、輝、修兄、かなねえ

遥、岬、俺、桜ちゃん、茜、光

父さん、母さん

 

でグループを作り、それぞれ祭りを楽しむ事にした。

 

 




お待たせしてしまって申し訳ありません...

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