城下町の低身長   作:かるな

25 / 49
遅くなりました......野球見てたんです...勝って良かったです...

ヨシ―ダさん、活動報告コメントありがとうございます!


秘密兵器

 

「くっそ~......」

 

 

 

後輩に店を追い出された俺は、とりあえず家へと向かう。

仲直りするといっても、特に悪いことをしたとは思っていないため、気が進まない。

 

そう思っているうちに、家へと着いてしまった。

 

 

 

「た、ただいま~」

 

 

 

誰も返事をしない。

父さんも母さんもまだ帰ってはいない。

テストが近い問うこともあり、皆部屋にこもっているのだろうか。

 

部屋に戻ろうとするが、茜と顔を合わせるのも気まずいためリビングへと向かう。

 

 

 

「あ、やっと戻ってきた」

 

 

 

そこにはテーブルに座りながらアイスを食べているかなねえがいた。

休憩中だったか。

 

 

 

「ただいま、それ俺のアイスだよね?」

 

 

 

「一個ぐらいいいじゃない。そんなにケチケチしてると社会に出てからお姉ちゃん不安よ」

 

 

 

「かなねえに言われたくない」

 

 

 

「そんなことは今どうだっていいわ。優、私の部屋に来なさい」

 

 

 

「え?」

 

 

 

姉から唐突に部屋に来いと告げられる。

かなねえの部屋に呼べれるのは珍しい。

 

 

 

「どうせ自分の部屋に戻るのは気まずいからって、ここで勉強しようって思ってるんでしょ?」

 

 

 

「うっ......」

 

 

 

「だったら私が教えてあげるから部屋に来なさい。休憩したくてここに来た人の迷惑でしょ?」

 

 

 

 

「まぁ、確かにそうなんだけど。いきなりどうしたの? なんか気持ち悪い」

 

 

 

「アイス投げるわよ」

 

 

 

「ごめんって」

 

 

 

かなねえに連れられて部屋に行く。

高校に入ってから部屋に行くのはあんまり無かったな。

 

 

 

「なんかかなねえっぽい部屋」

 

 

 

「それは褒め言葉でいいのかしら?」

 

 

 

「一応ね。ところで、何で俺を部屋に呼んだの?」

 

 

 

「さっきの言ったでしょ。あんたの勉強を見てあげるって言ってんの」

 

 

 

 

「嘘だね。栞以外に厳しいかなねえがそんなことを言うはずがない」

 

 

 

 

「はぁ。なんかムカつくけど、確かにその通りよ」

 

 

 

「それで、ほんとの目的は?」

 

 

 

「あんた茜と喧嘩してるでしょ」

 

 

 

「......うん」

 

 

 

「あんたたちの雰囲気が悪いと、あたしらまで雰囲気悪くなっちゃうの。どうにかしなさい」

 

 

 

「仲直りしろとは言わないんだね」

 

 

 

「そりゃあ、あんたらの喧嘩に口を出すつもりは無いわ。でもそのせいで悲しむ人がいることは覚えておきなさい」

 

 

 

「悲しむ?」

 

 

 

かなねえの言ったことに首をかしげていると、突然袖を軽く引っ張られる。

引っ張られた方に視線を向けると......

 

 

 

「優お兄様と茜お姉様、喧嘩しちゃ嫌なの」

 

 

 

栞がか細い声で、だがしっかりと意思がこもった声で言う。

 

 

 

「栞? これはお兄ちゃんとお姉ちゃんの問題でな?」

 

 

 

「喧嘩しちゃいや!」

 

 

 

「えと......その......」

 

 

 

「嫌!!」

 

 

 

「......。」

 

 

 

栞の目に涙がたまっていく。

 

 

 

(おいかなねえ! もしかしてこれを狙ってたのか!?)

 

 

 

(さあどうでしょうね。早くどうにかしてあげないと、栞泣いちゃうわよ?)

 

 

 

かなねえがしてやったりという顔でこっちを見てくる。

 

 

 

(くそっ! 後で覚えとけよ!!)

 

 

 

(あら? あんたがそんなこと言える立場かしら?)

 

 

 

(ぐぬぬ......)

 

 

 

気を取り直して栞の方を向く。

 

 

 

「栞、お兄ちゃんが悪かった。ちゃんと茜と仲直りしてくるから、ね?」

 

 

 

「お兄様ほんと?」

 

 

 

「あぁ、もちろんだ。俺が嘘をつくと思うか?」

 

 

 

「栞お兄様を信じる!」

 

 

 

なんて純粋無垢な笑顔なんだ。

昔のかなねえを見てるようだ。

 

 

 

「優お兄様、もう茜お姉様と喧嘩しない?」

 

 

 

「......。」

 

 

 

無言で顔を逸らす。

いくら栞の頼みでも、こればっかりは約束できない。

 

 

 

「うぐっ...えぐっ...うぅ......」

 

 

 

「優が栞を泣かしたー」

 

 

 

「違う! いや、違わないけども!! こればっかりは双子だししょうがないというか......ああもう、分かりました! もう茜とは喧嘩しません!!」

 

 

 

「......ほんと?」

 

 

 

「ほんとだ! だから栞、お願いだから泣き止んで」

 

 

 

「うん!!」

 

 

 

なんていい笑顔だ。

まさかかなねえに仕込まれたのか?

だめだっ!

栞があのかなねえと同じ考え方を持ってしまう!

捻くれてしまう!!

 

 

 

「あんた失礼なこと考えてるでしょ? いや、考えてるわね。別にどっちだっていいわ。あたし今結構イライラしてるの。少しぐらい姉のストレス発散に付き合ってくれてもいいわよね?」

 

 

 

 

「なっ! 理不尽すぎるぞこの悪魔!!」

 

 

 

「ええ悪魔で結構よ。とりあえず栞は自分の部屋に戻ってね」

 

 

 

「はい、奏お姉様!」

 

 

 

「え、ちょっと待って栞。今いなくなられると俺の身の安全がっ!」

 

 

 

「さ~て、覚悟はいいわね? 部屋に来たときさんざん人の悪口言ってくれたんだから、それ相応の事をされるってことは理解してるわよね?」

 

 

 

「待って、それかなねえの図星だっただけじゃん! しかも言葉なんだから、俺の体にダメージがあるのはおかしいと思うんだけど!!」

 

 

 

「そう、ならあんたのバイトの後輩、桜ちゃんだっけ? あの子にあんたが女の子とデートしてたって伝えておくわ」

 

 

 

「嘘を言うつもり!? しかもそれ間接的に俺の体にダメージあるんだけど! 下手したら死んじゃうんだけど!?」

 

 

 

「つべこべ言わずに男なら覚悟を決めなさい」

 

 

 

「ちょ、待っぎゃああああぁぁぁぁ!!!」

 

 




頑張れニッポン!

評価・感想・お気に入りお待ちしております!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。