城下町の低身長   作:かるな

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まだあの人の視点です

ちょっと今までと書き方が違います(些細な変化ですが)。
今までの話も、これに合わせて少しずつ書き直していきます。

大鉄人ワンセブンさん、誤字報告ありがとうございます!


昔話3

 

まだまだ私、加藤 桜の話です。

 

今は冬、3年生の先輩は受験で忙しいので、最近は私とオーナーだけです。

オーナーも店の事は私と先輩に任せているので、誰もシフトに入れないとき以外は店にいません。

 

寂しいです.....

 

 

 

「はぁ......」

 

 

 

最近良くため息が出るようになっちゃいました。

しかもボーっとすることも増えてきました。

 

でも、お客さんの前ではちゃんとしてるんですよ?

あんまり呆けてると怒られてしまいます。

 

だ、暖房が付いてるのがいけないんです!

そうに決まってます!

 

外寒いので消しませんが。

 

 

 

 

よしっ、後は掃除だけですね。

まずはテーブルを拭きましょう!

雑巾を持って来て......

 

あれ? なんだか視界がぼやけて......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだかふわふわした気分です。

体は少し暑いくらいですが、おでこの辺りがひんやりしてて何だか気持ちいいです。

 

あれ? 私お店の掃除をしていたはずなんですけど......

 

 

 

「お店っ!!」

 

 

 

「うおぉっ!!」

 

 

 

あれ? 見知らぬ部屋です。

 

あれ? 今確か先輩の声が......

 

 

 

「だ、大丈夫? 加藤さん」

 

 

 

「え? 先輩、ここは」

 

 

 

「ここは俺の家。部屋は葵姉さんのを借りたんだけどね。茜も受験だから、流石に俺の部屋はまずいと思ってさ。ところで、オーナーから電話があったときはビックリしたよ。店閉めるときはオーナーに連絡するはずなのに、来てないって聞いてさ。急いで来てみたら加藤さんが倒れてて、俺加藤さんの家知らないから、ひとまず俺の家に連れてきたんだよ」

 

 

 

「そうでしたか......その、ご迷惑をおかけしてすみません、直ぐに帰ります」

 

 

 

「ダメだよ、加藤さん。結構熱が高いんだ。しかも結構暗くなってるし、今日は家に泊まってきなよ」

 

 

 

「と、ととと泊まり!? それこそご迷惑をおかけして......」

 

 

 

「最近加藤さんに結構仕事任せちゃってるから、そのお詫び。しっかり休んで、体治さないとだよ」

 

 

 

「で、でも、先輩とお泊り......」

 

 

 

「いや、さっきも言ったけどここ葵姉さんの部屋だから。それに加藤さんを俺の部屋に連れてくと、茜と光がうるさそうだし......」

 

 

 

そうだった、ここは葵様の部屋。

先輩が頼んで貸してもらってるんだ......

 

ん? もしかして先輩って、茜様と光様と同じ部屋?

 

 

 

「お、女の子二人と相部屋なんて良くありません!」

 

 

 

「お、落ち着いて加藤さん。いきなりどうしたの?」

 

 

 

「あ...すみません先輩。つい」

 

 

 

「まあ、あまり年頃の男女が同じ部屋ってのは良くはないと思うけど、茜も光も、俺の妹だよ? 手なんて出さないよ」

 

 

 

「で、ですよね......良かった......」

 

 

 

「ん? 何が良かったの?」

 

 

 

「い、いえ! 何でもありませんよ!? ただバイトの先輩が、妹フェチでなくて良かったってだけです」

 

 

 

「待って! 妹フェチなんかじゃないから!! 茜は発育が絶望的だし、光に至っては小学生だぞ!? 俺はもうちょっと大人な感じで、それなりにスタイルの良い人の方が」

 

 

 

「ふーん、そうなんですか」

 

 

 

「なんで加藤さん不機嫌なの?」

 

 

 

「何でもありません!!」

 

 

 

「う、うん」

 

 

 

何でしょう、すごくもやもやとした感じです。

 

 

 

「でも、加藤さんってしっかりしてるよね。あんまり浮ついてないというか……でもまだ失敗は多いからしっかりしてるわけではないのか」

 

 

 

「上げて落とさないでください」

 

 

 

「ははは、ごめんごめん。そうだ、もうお粥出来てるだろうから、ちょっと待ってて」

 

 

 

「すみません、晩御飯まで」

 

 

 

「気にしないでよ。さっきも言ったでしょ? 加藤さんの風邪は、俺のせいでもあるんだ

から。これぐらいはさせてよ」

 

 

 

「では、お言葉に甘えて......」

 

 

 

「うんうん、素直な反応が一番。ちゃんと寝ててよ?」

 

 

 

そう言って、先輩は部屋から出ていってしまいました。

 

何でしょう、とてもドキドキしてます。

恥ずかしいといわけではないんですが、先輩と話しをしていると鼓動が早くなるというか......

 

こ、これは風邪のせいです! きっとそうです!!

 

そんなことを考えていると、ドアがノックされました。

先輩でしょうか?

 

 

 

「はい」

 

 

 

とりあえず返事はしておかないと

 

 

 

「ごめんね、起こしちゃったかな?」

 

 

 

部屋に入ってきたのはなんと葵様でした。

葵様の部屋なんだから、葵様が入ってくるのは当然なのですが、先輩がいた時には誰も入ってこなかったのでびっくりしました。

 

 

 

「いえ、先程まで先輩とお話をしていたので、大丈夫ですよ」

 

 

 

「優君が女の子を抱っこして帰ってきたときはビックリしちゃった」

 

 

 

「だ、抱っこですか!?」

 

 

 

「うん、お姫様抱っこ」

 

 

 

「はわ、はわわわわ......///」

 

 

 

倒れてからの記憶が無いので、よく分かりませんが......

私、先輩にお姫様抱っこされちゃったんですか!?

 

 

 

「冗談よ、本当はおんぶして帰ってきたの」

 

 

 

「うぅ......」

 

 

 

王家の人ってみんなSなのでしょうか。

それとも私がいじりやすいだけなのかも......

 

 

 

「熱はもう大丈夫? 優君が連れてきたときには、気は失ってるようだったけど、苦しそうだったから」

 

 

 

「まだ熱はありますけど、先輩のおかげで何とかなりそうです。ご心配をおかけしてすみません」

 

 

 

「あんまり気にしないで。優君から大体話は聞いたけど、女の子に仕事を任せっきりだ

なんて、後でお説教しとかなきゃ」

 

 

 

「いえ! これは私の不注意と言いますか、健康管理が出来ていないと言いますか、とにかく先輩のせいではないんです! 先輩に任せてくださいって言ったのは私ですから」

 

 

 

「加藤さんって優しいんだね。優君には少し勿体ないかも」

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

 

「ううん、何でもないの。それよりも、随分汗かいてるね。今拭くから、上脱いで」

 

 

 

「ええっ!? は、恥ずかしいです!!」

 

 

 

「だ~め。早く拭かないと、体冷えちゃうでしょ? いいから早く」

 

 

 

「うぅ......」

 

 

 

葵様にせかされるようにして上を脱いで下着姿になります。

女同士とはいえ、流石に恥ずかしいです......

 

葵様は優しく拭いてくださるので、何だか気持ちがいいです。

 

 

 

 

「前も拭いてあげようか?」

 

 

 

「そこは自分でやります!!」

 

 

 

やっぱり王家の人はSです!

私の反応を見て楽しんでるんです!!

 

それに、私の胸は小さいので余計に恥ずかしいです......

さっき先輩は大人な感じでスタイルの良い人が好みだと言ってました。

なんだか悔しいです……

 

はっ! なんでこんなこと考えてるんですか!? 早く拭かないと冷えてしまいます!

 

 

 

「ごめん遅くなっちゃった! 茜たちに質問攻めにされちゃっ......て」

 

 

 

「「......え?」」

 

 

 

お盆を持ちながら、先輩が入ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

今の私は上を脱いでて......

前を拭いていたので当然下着も脱いでて......

しかも丁度ドアの方に体を向けてて......

 

 

 

 

 

 

 

「きゃ、きゃあああああああ!!」

 

 

 

「あ、いや! これは事故! そう事故なんだ!! 別に覗こうだなんて......」

 

 

 

「優君?」

 

 

 

「あ、葵姉さん!? こ、これはほんとに事故なんです!!」

 

 

 

「とりあえず、下でお話ししましょう?」

 

 

 

「......はい」

 

 

 

お盆を置いた先輩と、葵様が部屋から出ていきました。

 

私はすぐに前を拭き上を着ると、布団の中にもぐりこんで悶えました。

 

 

 

「先輩に......は、は、裸を、見られた......」

 

 

 


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