大鉄人ワンセブンさん、誤字報告ありがとうございます!
「ただいまー」
「お帰り優」
「茜か……納豆臭っ! なんで今納豆混ぜてんだよ!」
家に帰って出迎えてくれたのが納豆を混ぜてる妹って中々シュールだよね。
「え? 真島さん好きだから食べるかなって思って……」
「インタビュー中にそんなもん食わせるなよ。俺は部屋に行ってるからな」
「はーい」
「反抗期来たー!!!」
部屋で漫画を読んでいると、遥と岬の部屋から茜の叫び声が聞こえてくる。
そろそろ真島さん来るんじゃなかったかな?
あいつらの所に行くの面倒だな……
こういう時にこそ、俺の能力が役に立つ。
(遥、なんか茜の叫び声が聞こえたけど何かあったのか?)
(優兄さん、いいところに! 今すぐ僕の部屋に来て!!)
(めんどいから嫌だ)
(そこを何とか! このままだと岬の機嫌が直らないんだよ……)
(俺が行って直ると思うか?)
(優兄さんなら何とか出来るから!お願い!!)
(分かったよ……しょうがねぇな)
弟の必死の頼みを無下にするわけにはいかないので、渋々部屋に行ってやる。
「私ってさ、何やっても平均以下だから。運動も勉強も、顔もスタイルも全部普通。だからお姉ちゃんたちが羨ましかったんだ。普通の私が、特別なあんたたちに相談してもしょうがないよね」
ドア越しに岬のネガティブな声が聞こえる。
「普通の人間が分裂とかするかよ」
「優兄………ノックしてよ」
「今それ言う?」
結構いい感じのタイミングで助けに来たと思ったんだが、空気の読めない妹め……
「普通でいいじゃん。ていうか、僕の周りには変な奴ばっかだから、僕にとっては岬が特別なわけで、岬が岬じゃなくなったら、僕は困るんだけど」
いいこと言うな、遥は。
でも変な奴って俺含まれてないよね?
「いいか岬、人には向き不向きってもんがあるんだよ。社交性の無いやつとか、模範解答しか返さないやつとか、俺みたいに毒ばっか吐くやつとかいるんだよ。結局は適材適所。岬には岬にしか出来ないことをやればいいんだよ」
岬に諭すように言うと、いきなりドアが開く。
噂をすればといういやつだ。
「岬ー! この子エッチなことしか言わないし、岬なら客観的に皆のこと表現できるし、岬にしか任せられないの!!」
「遥~、茜ちゃんにめちゃくちゃ怒られちゃった。慰めて」
「そこぉ~! どさくさに紛れて何やってんの!!」
「優兄アイス頂戴~」
「あんたも何やってんの!!」
さっきまで落ち込んでいた岬にいつもの活気が戻る。
やっぱり、自分の大好きな人からの言葉って影響力すごいよな。
「も~、私がいなきゃみんなダメダメなんだから! 全員中に戻れ!」
せわしなく分身を戻した岬は、急いで真島さんの所へと向かう。
「ところで遥、俺いる意味あった?」
「何言ってるのさ、優兄さんのおかげだよ」
「そうか? ま、そう言うことにしといてやるよ。 ほら茜、部屋戻るぞ」
「あ、待って優」
自室に戻った俺は漫画を読み始め、茜は勉強を始める。
「優は余裕そうでいいよね。もうすぐテストだよ? 勉強しなくていいの?」
「俺は短期集中型だからいいんだよ」
「そんなこと言って、今度また化学が赤点だったらまた葵お姉ちゃんに怒られるよ?」
「今度こそ大丈夫なはず………」
俺の得意科目は数学と英語。
化学は全くダメなのだ。
だってあんな記号みたいなの覚えられるわけないじゃん……
将来そんな薬品使わないのに……
「今度だめだったら漫画とゲーム全部処分されちゃうかもね」
「茜、タンス貸してくれ」
「嫌、赤点取らなきゃいいだけでしょ」
「お前だって数学赤点なくせに……」
「優が教えてくれないからでしょ!?」
「俺のせいにすんなよ! それにかなねえとか修兄とか葵姉さんとか教えてくれそうな人いるだろ?」
「かなちゃんに聞くと馬鹿にされそうだし、修ちゃんには貸作りたくないし、葵お姉
ちゃんの所は戻ってこれなくなりそうだし………」
最初の2人はよく分からんが、葵姉さんに関しては下手したらほんとに戻ってこれない……
「話変わるんだけど、優は何で王様目指してるの?」
「ほんとに変わったな、内容変わり過ぎてびっくりだよ」
「で、どうなの?」
妹からの突然の質問に、少し間をあけて答える。
「中学の頃から、変えたいって思ってることがあるだけだよ」
「何を変えたいの?」
「そこまで言う気はねぇよ。茜も王様目指すんなら、目標ぐらい見つけとけよ」
「うん……」
「ちょっとコンビニ行ってくる」
家を出て少し歩く。
コンビニに行くって言ったのは嘘で、ただ一人で歩きたかっただけである。
「………。」
ふとスマホを取り出し、電話帳を見てある番号にかける。
「あ、もしもし? 俺だけど、いきなりごめんね。 少し聞きたいことがあるんだけど」
「桜ちゃんは、今のままの生活でほんとに幸せ?」
意味深な描写は苦手でござる...
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