城下町の低身長   作:かるな

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ちょっと短めです

そういえば結局SAO見に行けなかった......


町内清掃

 

『続いて生徒会長に代わり、櫻田副会長のお話です』

 

 

集会ってメンドクサイ……

 

 

 

「会長また休みか…」

 

 

 

「俺会長見たことないぞ?」

 

 

 

「実は一年生らしいぞ?」

 

 

 

あー、卯月会長か……

 

俺は生徒会の仕事をかなねえに手伝わされる事があるから、何度か顔を合わせたことがある。

体が弱いと聞いていたが、まさか今年の集会に未だ顔を出せないまでとは……

 

 

 

「かなねえの話を聞いてもなー…」

 

 

 

「こら優、そんなこと言わないの。大事なこと言ってるんだから、真面目に聞かない

と」

 

 

 

「はいはい、分かってますよ」

 

 

 

 

かなねえからの連絡によると、来週末に町内清掃活動があるらしい。

 

茜死んだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

集会が終わり、授業が始まるまでの間に先生から頼まれたノートを運ぶクラス委員の福品と同じく茜。

そしてなぜだか大量のプリントを持つ俺。

 

 

 

「くそっ……何で俺がこんなこと……」

 

 

 

「優がいつも宿題やってこないのが悪いんでしょ、自業自得」

 

 

 

「でも限度ってものがあるだろ。一週間もこき使われるだなんて……憂鬱だ」

 

 

 

「ごちゃごちゃ言わないの。そんなことより私の方が憂鬱だよ……町内清掃……」

 

 

 

「うちのクラスだけでも、校内清掃にしてくれるように頼んでみようか?」

 

 

 

「そんなわがままは言えないわ。町の人たちだって、町がきれいになったら嬉しいだろうし……でも、やっぱり人が来ちゃうんだろうな……」

 

 

 

「………。」

 

 

 

福品がなぜか幸せそうな顔をしている。

なんかムカつくから後で一発殴っとくか。

 

しかし、あの堅物副会長がそんなこと受け入れるとは到底思えないな。

 

 

 

「会長! 今朝の朝礼の件ですが……」

 

 

 

「朝礼が何ですか? 武田先輩?」

 

 

 

「……あっ、櫻田さん!?」

 

 

 

「櫻田さん、急を要するようだから、ノート頼めるかな?」

 

 

 

「うん、大丈夫だよ」

 

 

 

福品は茜にそう言うと、武田先輩を連れてどこかへ行ってしまった。

 

 

 

「ねえ、優。福品君って何者なんだろう…」

 

 

 

「さあな」

 

 

 

茜ファンクラブの会長だなんて口が裂けても言えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは皆さん、町内をピッカピカにしちゃいましょー!」

 

 

 

週末になり、町内清掃が開始された。

この日までに、福品がかなねえや葵姉さんと話しをしていたようだが、特に成果は無かったらしい。

 

 

 

「ふぅ~」

 

 

 

「お疲れ様です卯月会長。お体の調子はいかがですか?」

 

 

 

「今日は暑いので、あまり無理しないでくださいよ」

 

 

 

「はい、今日は大丈夫みたいです。いつも任せっきりですみません奏さん、優さん」

 

 

 

「いえ、お安い御用ですわ」

 

 

 

「まあ、もう慣れましたし。それでは俺もう行きますね」

 

 

 

「はい、ありがとうございました。優さん」

 

 

 

「ほんとに、いつも手伝わせちゃってごめんね」

 

 

 

「いいっていいって、また必要だったら呼んでよ」

 

 

 

俺はそう言い、自分のクラスの所へと向かう。

 

なぜか、俺らのクラスの志気が異常なほど高かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

「親切な弟さんを持ちましたね、奏さん」

 

 

 

「家でもあれぐらい働いてくれると嬉しいんですけどね……」

 

 

 

「でも、バイトをしていらしてるんですよね?」

 

 

 

「その件は卯月会長には頭が上がりませんわ。校則では特別な理由が無い限りバイトは

認められないのに、先生方に口添えしていただいて……」

 

 

 

「お安い御用ですよ。優さんには生徒会でもないのに仕事を手伝ってもらってるんですから、これぐらいは当然です」

 

 

 

「ありがとうございます、卯月会長。優のことはこき使ってやってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町内清掃が終わり、家へと帰った。

 

 

 

「あ~、疲れた~……」

 

 

 

「若いのにだらしない!」

 

 

 

着替えるなり、リビングのソファで寝っ転がる茜。

お前は中年のおっさんか。

 

 

 

「誰のせいよ、人目にさらされて精神的に疲れたの……うぐっ」

 

 

 

茜の腹の上にボルシチが上り、丸くなる。

 

 

 

「ボルシチが茜以外の上で寝るところって見ないな」

 

 

 

「ご飯あげてるの私だもんねー。優が寝てるときにも上に乗ったりしてるよ」

 

 

 

「………え?」

 

 

 

数秒間思考がフリーズする。

 

俺が寝ている間に?

ボルシチが俺の腹の上で?

 

 

 

「優が完全に壊れたわ。戻ってきなさい」

 

 

 

かなねえに頭を叩かれて正気に戻る。

 

今度ボルシチが上ってこれないように対策しとかなきゃな……

 

 

 

「……………言えない」

 

 

 

栞がボルシチを見ながら何とも言えない表情をしている。

ボルシチと会話してたのか。

 

 

 

「大方、そのなだらかさがいいんだろう」

 

 

 

「えぇっ!」

 

 

 

「なだらかさなら、私も中々だよ。ボルシチ、おいでー」

 

 

 

一度顔を上げたボルシチだが、それ以上動く気配を見せず、また寝始める。

 

 

 

「来ない……」

 

 

 

「光の方がならだからだと判断したか」

 

 

 

「光はいま成長期だからな。茜などその気にならずとも一捻りって感じだな」

 

 

 

「……ボルシチ、GO」

 

 

 

「うお! 待てボルシチ、それ以上はだめだ!! それ以上近づくとおやつ抜きにするぞ!!」

 

 

 

「あんたにそんな権限はない」

 

 

 

またしてもかなねえに頭を叩かれる。

かなねえって俺に対してあたりきついよね……

 




成長期って恐ろしいですね

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