城下町の低身長   作:かるな

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皆さん眠気を覚ますときには何をしますか?

自分は珈琲でカフェインハイテンションですね



お使い?

「え~!! また今週も!? この間もその前も買い物ばっか当たるなんて!!」

 

 

「くじ運悪すぎ~」

 

 

「葵姉さま! 僕にも当番くじを引かせてください!」

 

 

「輝がもうちょっと大きくなったらね」

 

 

今週も茜が買い物当番か。

ここまで来るとなんだか哀れに思えてくる…

 

 

「姉上! お買い物は僕が行きます!」

 

 

「さっきからどうした輝? 何か理由があるのか?」

 

 

「僕は、大切なものを守るために、もっともっと強くならなくちゃいけないんだ! そのために、試練が必要なんだ!」

 

 

成程、自分に当番が来ないのはあまりいい気分でもないしな…

 

 

「気に入った! 輝、お前に任せる!!」

 

 

「兄上!」

 

 

修兄、任せるのは良いが輝にはちょっと荷が重くないか?

栞がものすごい心配そうな顔してるんだが…

 

 

「私も行く」

 

 

「栞、これは試練なんだ。どんな危険が待ち構えてるか…」

 

 

「………行く」

 

 

「しょうがないな栞は。分かった、絶対に僕から離れるんじゃないぞ!」

 

 

「うん!!」

 

 

流石の輝でも栞の上目使いには敵わなかったらしい。

 

俺でも無理だ。

 

 

「気を付けてなー」

 

 

「何だか私押し付けたみたい……」

 

 

「なら、付いていけばいいんじゃないか?」

 

 

「でも、あんなにやる気になってるし……そうだ! 光、変身させて!」

 

 

「いいけど、何歳がいいの?」

 

 

「えーと、ちょっと大人っぽく、23……いや、7かな」

 

 

「任せて!」

 

 

光が茜に触れて能力を発動させる。

27歳の茜か、ちょっと気になるけど本人的にはあまり先の自分の姿は見ない方がいいんじゃないかな……

胸とかの問題で…

 

 

「光! 27って言ったでしょ!!」

 

 

「7って言いましたー!」

 

 

茜の言い方が悪かったのか、それとも光が勘違いをしたのか、茜は7歳の姿になっていた。

このちび茜はマスコットって感じでかわいいな……

 

 

「そうだ! 優も行こうよ!!」

 

 

「めんどくさい」

 

 

「ちょっとは悩んで! いいから行くよ!!」

 

 

「拒否権無いのかよ……まあいいや。光、俺にも能力使ってくれ」

 

 

「何歳がいい?」

 

 

「そうだな……20で」

 

 

「え、ほんとにいいの? まあ優ちゃんがいいって言うなら…」

 

 

光が渋い顔をしていたが、何か問題でもあるのだろうか…

未来の自分の姿を見るのって初めてだから、結構ドキドキするな。

 

 

「えいっ!」

 

 

光が俺に触れて能力を発動させる。

 

 

「優ちゃん、終わった……よ」

 

 

「何で目を逸らすんだ? 何かおかしなところでもあるのか?」

 

 

「な、何でもないよ……。ごめんなさい……」

 

 

「まあいいや」

 

 

「どこ行くの優ちゃん?」

 

 

「いや、鏡見てこようかと……」

 

 

言い終わるやいなや、茜と光がしがみついてきて身動きが取れなくなった。

 

 

「ダメだよ優! それよりも早く輝たちを追いかけないと!!」

 

 

「そうだよ優ちゃん! これは一刻を争うことなんだよ!!」

 

 

「いや、あいつらの速さなら十分追いつくだろ。てかそんなにくっつくな!」

 

 

「「痛いっ!」」

 

 

2人の頭に手刀を喰らわせると、洗面所へと向かう。

 

 

他の兄妹も何か言いたそうな顔をしていたが、何がそんなに気になるんだろうか…

まさか、イケメンすぎて鏡を見ると気絶するほどとか!?

 

まったく、皆素直じゃないな。

 

上機嫌になった俺は、鼻歌交じりに洗面所へ入る。

そして、20歳になった自分の姿を見てみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぐっ! うっうっ……」

 

 

「よしよし」

 

 

「茜、優、そろそろご飯よ!」

 

 

「ごめん葵お姉ちゃん、もうちょっとだけ待ってて!」

 

 

今何をしているかというと、電気が消えた部屋の隅で泣きながら体育座りをしながら、茜に背中をさすってもらっている。

俺が鏡を見た時に目にしたものは、背が伸びていないどころか若干縮んでいる未来の自分の姿だった。

 

当然頭の中は真っ白になり、気付いたら部屋の隅で泣いていた。

 

茜曰く、ゾンビのような足取りだったらしい。

 

 

「背が……伸びてないならまだしも…縮んでるなんて……」

 

 

「ぜ、絶対誤差だって! 3cmしか変わってないんでしょ?」

 

 

「3cm………」

 

 

「あーーもう! ショックなのは分かるけど、いつまでもくよくよしてないで。優らしくないよ」

 

 

茜が俺を後ろから軽く抱きしめてくれる。

 

 

「皆を待たせてるし、行こう?」

 

 

「うん…」

 

 

次の日、昨日のくじ引きからの記憶がなぜか抜けていた……

光の能力の効果が切れて元に戻ったわけだが、戻ったということは背が伸びたということであり、勝手に浮かれていたところにかなねえから現実を叩き付けられ、泣き崩れた。

 




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