すべては夢オチ   作:添牙いろは

3 / 4
これ、R18とも合わせて6話目になります。
わかりにくくてすいません。



夢オチじゃない四葉

「おはよー、瀧君っ!」

 おはよう……って、アレ、四葉? いや、だが、俺の身体は……待て、これは……どういう……!?

「うわぁ……まさかとは思ったけど……ホントにお姉ちゃんの彼氏なん?」

 いっ、いやいや、そんなはずないでしょ? まったく四葉ったら寝ぼけてるのかしら? おほほほほ……

「お姉ちゃんはそんな笑い方せんて……」

 だな……。どうして判った? というか、何で名前まで知ってるんだよ。

「何でって……お姉ちゃんが()()()でそう呼んでたから」

 夢? それってどういうことだ?

「ふぅん、この期に及んで白を切るんだ。そんなら、お姉ちゃんにバラしていい? こないだトイレで……」

 わっ、わっ、わかった! 知ってることは全部正直に話すから!

「……ホントにお姉ちゃんやなくて瀧君って人なんね。自分のこと自分にバラすとか、ありえんもん」

 

       ***

 

 ……ということで、原因はわからないが、俺と三葉は時々身体が入れ替わってるらしいんだ。

「ふぅん……ホントにそれだけ?」

 他に何を隠してるって言うんだよ。

「やから、夢のこと」

 本当にそれは何も知らないんだよ。むしろ、こっちが教えて欲しいくらいで。

「あ、そ。なら教えたげるけど、瀧君とお姉ちゃん、夢の中でセックスしてた」

 ……な……っ

「やから、セックスしとったで」

 にっ、二度言わなくていい! その……女のコが!

「ヒューヒュ~♪ セックスセックス~♪」

 ……さすがにそこまで言われたら……な?

「つまらんの。んで、とにかくセックスしとったん」

 な……何を根拠に……

「夢に根拠もナニも。でもさ、こちとら何度も同じ夢見るんやもん。勘弁してほしいわ」

 それってつまり、四葉の夢の中で、俺と三葉がその……してる、ってことじゃないのか?

「ちょっと待って」

 あ、いや……すまんかった。

「もしセックスのこと気にしてるんなら違うから」

 ソレ言われるのもさすがに慣れてきたけど……じゃあ何だよ。

「瀧君は瀧君であって、私のお姉ちゃんやないんよね。知らん男の人からいきなり呼び捨てってのも……」

 そう言われればそうなんだが、入れ替わっていた都合上、最初から四葉のことは呼び捨てなんだよ。

「瀧君の都合はわかる。でも、都合ってのは時間と共に変わっていくもんだから。瀧君とお姉ちゃんの関係みたく」

 妙な言い方すんなよ……。じゃあ、四葉ちゃん、って呼べばいいか?

「……ま、それでええわ。ともかく、私が、瀧君とお姉ちゃんがセックスしてる夢を見てる、って言いたいんやろうけど、多分、それ、違う」

 随分強気で言い切るな。何でだ?

「やって、私が瀧君の名前知っとるわけないやろ」

 ……三葉が三葉の時に、ポロっとやらかした、とか?

「聞いとらんで。とにかく、私は夢の中でしか瀧君の名前は知らん」

 ……で、だから、何なんだよ……

「何なんだよ、やないでしょ!」

 と言われても……俺たちだって好きで入れ替わってるわけじゃないし、他の人にこのこと話して、信じてもらえると思うか?

「まあ、それは、そうなんやけど……」

 むしろ四葉ちゃんの方が、理解者として俺たちに協力して欲しいくらいなんだが。

「ふっふ~♪ そりゃそうよねぇ……」

 何だよ、変に乗り気じゃねーか。

「だったらさぁ~……ちょ~っと私のお願い聞いてくれんかなぁ~?」

 断る。何かもう、嫌な予感しかしないから。

「あっ! そゆことゆってええと思ってん? 何ならトイレでやらかしたこと……」

 わっ、わっ! わかっ……たから……本当にそれだけは勘弁してくれ……

「やけど、何でトイレで突っ立ったままお漏らししとったかわかったわ。瀧君、男の時のクセで、立ちションしよとしたでしょ」

 ……あの時はたまたまズボンだったし、急いでたし。取り出そうとしてなかった時は心底焦ったぞ。

「やれやれ。お姉ちゃんに恥かかさんためにも、その身体にも慣れといた方がええよ」

 もちろん気をつけるが……で、俺に何をさせようってんだよ。あんまり変なことさせると、三葉にバレるぞ。

「うん、それは私も恥ずかしいから……」

 おい……まさか……

「ん。私、瀧君をね……」

 ま……待て……それは、さすがに……!

「――お兄ちゃんって呼びたいの!」

 ……はぁ?

「何よっ! トイレでお漏らししてたのお姉ちゃんにバラしてええん!?」

 いやいやいやいや! そーじゃなくて、ちょっと拍子抜けだったから驚いただけだ!

「拍子抜けって……あぁ……期待させちゃってすまんかったなぁ。まさか、お兄ちゃん女子小学生とセックスしたいと思うとは。守備範囲広すぎない?」

 ちっ、違うっての!

「何が違うって? じゃあ何と勘違いしてたん? ゆってごらん? んん~?」

 例えば、その……キス、とか?

「ぷっ、ぷははははっ! 何ゆってんのお兄ちゃん! そんなんするわけ――」

 悪かったな。アホなこと言って。

「……ふむ、そういえば……」

 何だよ唐突に。

「コレ、マジで訊くんやけど……夢のこと、ホンっトーに、覚えとらんのよね?」

 あ、あぁ……マジだぜ……。だからこそ、四葉ちゃんに教えてもらいたいくらいで……

「❤」

 何だよ。

「ま、ええわ。やったらお願いは夢の中でしーとこーっと♪」

 ちょっ……お願いって……それならもう……!

「起きてひとつに寝てひとつ、ってことで」

 ことわざっぽくゆってるけど、そんな格言ないからな。

「そもそも、夢やったら何でもやり放題っしょ? 但し……こっちは夢のこと覚えとるからね。あんま酷いことしたり、そもそも言うこと聞いてくれんかったら……」

 ぅ……わかったよ……でも、本当にあんまり変なことさせるなよ?

「変なことでなければ今頼んどるわ!」

 何させる気だよ!

「ま、それは寝てのお楽しみ、ってことで。少なくとも、ここではできないことをお願いするつもりよん♪」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。