テイルズオブベルセリア 自由の代償   作:カウボーイ

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8話

ー夢を見た―

 

ー赤い月の光の下で剣をもち、二人の男が戦っている夢を―

 

二人は激しい戦いを繰り広げていた。

大地は盛り上がり、山はさけ、あらゆるものがその戦いによって破壊されていた。

 

二人の手にははそれぞれ違う剣が握られていた。

一人は光纏った剣を、もう一人には闇を纏った剣が握られていた。

 

 

「何故だ!この戦いに意味なんかない!俺達が殺しあう必要なんて・・・・」

 

聖剣を持っている男は戦いをやめるよう、よびかけたが、魔剣使いの方は戦いを、止めるつもりはないようだった。

 

「意味ならあるさ、アンタを殺せば、俺は全てを手にいれることができる」

 

「手にいれる?なんのことだ?」

 

「・・・・アンタには、わからないことさ」

 

魔剣使いの目は聖剣使いの方を忌々しげに睨んだ。

その目には様々な感情がこめられていた。

 

憎しみ、恨み、嫉妬、そして憧れ

 

魔剣使いはその全てを今ぶつけようとしていた。

 

「俺は、お前を殺したくない」

 

「まるで俺をいつでも殺せるような言い方だな」

 

「違う!聞け!ーール!俺は・・・・」

 

「俺はもう、昔とは違う!」

 

男は剣を構え、その刀身を赤黒いオーラが纏っていった。

 

「戦え!ーーン!」

 

聖剣使いは、目をゆっくり閉じ、再び剣を構えた。

 

「・・・・わかった」

 

再び目を開くと、その目は強い意志を宿していた。

そして、男の持っていた剣にも、光のオーラが纏い始めた。

 

「いくぞ!――イン!」

 

「来い!」

 

光と闇がこの赤い世界で激突し、眩い閃光が世界を包んだ。

 

 

 

 

 

 

―起きて―

 

 

 

声がする

 

 

 

―起きなさい―

 

 

なつかしい声が聞こえる

 

 

 

―カイ―

 

 

誰だ?

 

 

―カイ―

 

 

君は―

 

 

 

 

 

「起きなさい!カイ!」

 

「うぉ!?」

 

耳もとに張り裂けそうな声が響き、カインはベットから飛び起きた。

 

「あれ?ここは・・・・」

 

なんだか変な夢を見ていた気がする。思い出そうとしても頭に霧がかかったようになり思い出せなかった。

目の前にはひどく慌てた様子のベルベットがいた。

 

「寝ぼけてる場合じゃないわよ!早く来て!」

 

「どうしたんだよ、そんなに慌てて」

 

「ラフィがいないのよ!」

 

「なに!?」

 

ライフィセットが居なくなったと聞いたカインは急いでベットから降り、ベルベットと一緒にライフィセットを探しにいった。

 

「まさか、一人で村に・・・・?」

 

「手分けして探そう、そっちの方が見つかるかもしれない」

 

「わかったわ!」

 

二人は手分けしてライフィセットを探して回った。

カインも村の人達に話を聞きながら、探したがライフィセットを見たという人は居なかった。

ここまで目撃情報がないということは村にいない可能性が高い。つまりー

 

「森に入ったいったのか、一人で・・・・!」

 

「カイン!」

 

ニコが急いだ様子でカインの元に走ってきた。

 

「ニコ!ライフィセット見なかったか?」

 

「ライフィセットなら森にいったと思う、さっきベルベットにもそう伝えたから急いで追いかけた方がいいよ」

 

「やっぱりか、ムチャするなもう!」

 

「私は念のために村の中を探してみるね」

 

「ああ、頼む」

 

カインは急いで森の中に向かおうとしたが、ニコが連れていた二匹の犬―オルとトロがカインの服に噛みついていた。まるで森に向かうのを止めようとしているように。

 

「こら!お前たち、何してるの!」

 

「どうしたんだよ、お前ら」

 

「この子達さっきから様子が変なの、まるで何かに怯えているみたいに」

 

確かにいつもと様子がおかしい。カインに森に向かわせないように必死に止めようとしているようだった。

 

(森に何かいるのか?だとしたら二人が危ない)

 

カインはオルとトロの前に座り、優しく頭を撫でた。

 

「大丈夫、必ず二人を連れて戻ってくる」

 

「カイン・・・・」

 

「俺が強いのは知ってるだろ?」

 

すると、ゆっくりと二匹は服から離れ、大人しくなった。カインも立ち上がり、ニコと向き合い言った。

 

「じゃあ、ここは任せた」

 

「気をつけてね、カイン」

 

カインは軽く手を振ると、森に向かって走って行った。

 

 

 

 

 

「なんだ、このピリピリする感じは」

 

森に入ってしばらくすると、辺りから嫌な気配を感じ始めた。前にはこんな感じはしなかったはずなのに。

 

(二人は無事なのか?とにかく急がないと)

 

だが森に入ったはいいが、二人が森のどこにいるのかが分からなかった。二人とも合流していればいいが。

二人が行くとしたら何処なのか、必死に考えていた。

 

「そうだ、あそこなら」

 

岬の祠に行っているかもしれない、ライフィセットはよく海の話をしていた。あそこなら海も見ることができる。

カインは急いで、岬に向かっていった。

 

 

 

 

「この感じは・・・・!」

 

岬に近づくとさっきの感覚が大きくなっていった。

この感覚はどこかで覚えがあるような感じがした。

 

岬にたどり着くと、ライフィセットとベルベットが業魔に襲われていた。

 

「ベル!ライフィセット!」

 

二人とも業魔に傷を負わされており地面に倒れていて、身動きがとれない状態だった。そして今まさに業魔の爪が二人を切り裂こうとしている瞬間だった。

 

「やめろぉぉ!!」

 

カインはその身に宿した聖剣を出現させ、一瞬で業魔との距離をつめ、切り裂いた。

業魔はそのまま地面に崩れていき、二度と動かなかった。

 

「はぁはぁ・・・・!二人は!?」

 

二人とも傷をおっていたが、気を失っているだけで、命に関わるほどではなかった。

カインはとりあえず無事なことに安堵したが、倒れていれる業魔に目をやった。

 

(俺が・・・・殺したのか)

 

業魔も元は人間だという話は聞いていた。人間だったものがある日突然異形の姿に変貌すると。だがやはりこれは人間なのだろうとカインはそう感じていた。そしてその人間を殺したというのに、自分は驚くほど冷静だった。二人を守るためとはいえ、何の躊躇もなく人を殺した。相手が怪物の姿をしていたからか?人間とわかっていても人の形をしていなかったから殺しやすかったとでもいうのだろうか。いくら考えても今のカインには答えは出なかった。

 

「とにかく二人を安全な場所まで運ばないと」

 

カインは気持ちを切り替えて、二人を安全な場所まで運ぼうとした。

 

 

 

 

 

「油断するなと彼から教わらなかったのか?カイン君?」

 

 

 

「!?」

 

カインは背後から感じた気配に反応して、とっさに剣で切ろうとしたが、首筋に衝撃が走り、そのまま地面に崩れ落ちてしまった。

 

(な・・・・んだ?一体・・・・)

 

カインは状況をまったく把握出来ないまま、そのまま意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カインの浄化の力はまだ目覚めていません!

後々覚醒していきますので
よろしくお願いします(ゝω・´★)

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