テイルズオブベルセリア 自由の代償   作:カウボーイ

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6話

「おじさん、薬買いに来たんだけど」

 

ベルベットとカインとニコは薬屋の前まで来ていた。

 

「カイン、アーサーにも伝えたんだが例の薬、まだ入荷してないんだ」

 

「え、なんで・・・・・・」

 

ベルベットが驚きの声を発した。

 

 

「まさか、業魔が・・・・!」

 

薬が遅れている理由なんてカインにはそれしか思い浮かばなかった。

 

「町の方で業魔病がひどくなってるそうだ。この辺りも業魔の群れがうろついているようだし」

 

「いつ届くの?」

 

「わからん。とどいたとしても値がいくらになるか・・・・・・」

 

「そんな・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

ベルベットとカインは悔しい表情になった。もし薬が手に入らなかったら、ライフィセットがまた苦しい思いをさせてしまう。そう考えただけで、余計に嫌な気持ちになった。

 

「ミッドガンド王国は、なにやってるわけ!?軍隊とかいるでしょ?」

 

ニコは声を荒げながらそう言った。ニコも二人と同じ気持ちだった。

 

「そんなもの、とっくに業魔にけちらされちまったよ」

 

 

「・・・・ここは大丈夫だよね?ベルベットとカインのお義兄さんは対魔士なんだし」

 

ニコは不安そうな目で二人に言った。そう、業魔とは普通の人間には太刀打ちできない。聖隷から力を扱う対魔士でなければ。もしくは、自分のような力の持ち主にしか。

ベルベットとカインははっきりと頷いた

 

「どうだかなぁ?アーサーの右手は怪我で動かんのだろう?」

 

するとお店の店主が不安そうな声で言ってきた。

 

「そもそも、自分の妻子も助けられなかったんだし・・・・ ・・」

 

「っ!おい、それは―」

 

カインがその言葉に反応し、店主に反論しそうになると、ベルベットがカインの言葉を遮るように

 

「薬、届いたら知らせて」

 

「う・・・・もちろんだ。これはサービスだよ」

 

店主も自分の愚かさに気付き、お詫びのつもりなのか、アップルグミを3個もらった。それをもらうと、ベルベットは暗い表情をしてさっさといってしまい、店主み店の中にそそくさと入っていった。

 

「ベル・・・・」

 

「ねぇ、カイン」

 

振り替えると、ニコが真剣な表情でカインと向き合っていた。

 

「どうした?ニコ」

 

「カインはベルベットのこと・・・・好き?」

 

「え?」

 

なぜ急にそんなことを聞いてきたのかわからなかったが、ニコの本気の気持ちが伝わり、こちらもちゃんと答えるべきだと思い、カインもニコと向き合った。

 

「ああ、好きだよ」

 

その答えを聞くと、ニコは安心したように微笑むと

 

「なら、ベルベットの側にいてあげて」

 

「ニコ・・・・・・」

 

「あの子・・・・普段しっかりしてるけど、やっぱり誰かがいててやらないと、親友としては心配なのよ」

 

ニコは心のそこからベルベットを大切に想っている。そんな気持ちが言葉の中から伝わってきた。

 

「だから、あなたがいつでも、どこでも駆けつけて守ってあげて」

 

「・・・・ああ、わかった」

 

「じゃあ、約束ね」

 

ニコは両手を後ろに組んで、カインと向き合って微笑んだ。

カインも、はっきりと頷いた。

 

「じゃあ、さっさと追いかける!」

 

ニコはベルベットの歩いていった方向に指を指しながらそう言った。

 

 

「お、おう!」

 

カインも急いでベルベットのあとをおった。

 

 

 

 

「頼んだぞ、男の子」

 

ニコは去っていくカインの背中を見つめながらそう呟いた。

 

 

「ベル!」

 

カインの声に気がついたベルベットがカインのほうへ振り向いた。その顔は少し暗い表情をしていた。

やはりさっきの店主の言葉を気にしているようだ。

 

「・・・・そういえば、ベルの作った特製キッシュ、最近食べてないなぁ」

 

「え?」

 

「久しぶりに食べたくなった。作ってくれよ、またさ」

 

カインは微笑みながらそう言った。

ベルベットはカインが自分の気をつかっていることが伝わり、ベルベットもそんなカインの気遣いに少し心が和らいだ。

 

「うん、そうね。明日作ってあげるわよ、今日の献立はもう決まってるから」

 

「ちぇ、なーんだ。じゃあ明日、約束だからな」

 

「わかったわよ、また明日ね」

 

カインは頭の後ろに手を組ながらベルベットの先を歩いていった。

 

「・・・・・・ありがとね、カイ」

 

「ん、なんか言ったか?」

 

ベルベットはカインに聞こえないくらいの声でそう呟いた。

 

「何でもないわよ!ほら、さっさと帰るわよ!ラフィが待ってるんだから」

 

「お、おい!押すなってーの!」

 

ベルベットはどこか嬉しそうにしながらカインの背中を押し、二人でラフィのいる家へ走っていった。

 

 

 


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