テイルズオブベルセリア 自由の代償   作:カウボーイ

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3話

「ウリボアの狩場って"鎮めの森"だっけ?」

 

「ええ、村の外にある場所ね」

 

家を出た二人はお互いに狩場の場所を確認した。

 

「ラフィの薬のため・・・・気合い入れないと!」

 

ベルベットはライフィセットのためにかなりやる気満々のようでとても張り切っていた。

 

「やる気があるのはいいが、せめてグミは買っていこうぜ、そのまま気合い入れすぎてぶっ倒れないようにな」

 

「わ、わかってるわよ、そんなこと」

 

そんなやりとりをしながら二人はグミを買いに村にあるお店に向かった。

 

 

 

「じゃあ俺、グミ買ってくるから。ここで待っててくれ」

 

「うん、わかった」

 

カインは一旦ベルベットとわかれ、近くにあるお店に向かった。

 

「おじさ~ん、グミちょうだい」

 

「おっ!カイン!よく来たな。何個くらいだ?」

 

「2個ちょうだい」

 

お店のおじさんがグミを渡すと、カインも手持ちのお金おじさんに渡した。

 

「にしても相変わらずお熱いね~、二人でデートか?」

 

おじさんがニタリ顔でこちらをからかってきた。この人は毎回毎回俺とベルベットのことでからかってくるな。

 

「残念ながら、デートじゃなくてウリボア狩り。これから森に行くんだ」

 

「なんでぇ、そうなのか。でも二人っきりってのは変わらないんだろ?頑張れよ!少年!」

 

「はいはい、おじさんに言われるまでもねぇよ」

 

おじさんとの会話を終えるとすぐにベルベットのもとに向かっていった。

 

「・・・・セリカ姉さんが死んでよかったっていうの?そんなはずないでしょ!」

 

するとベルベットの怒鳴り声が聞こえてきた。急いでベルベットの側に行くと、近所の夫婦とはなしていたようだった。

 

「どうした?ベル?」

 

「・・・・カイン」

 

ベルベットの顔がこちらを向き、目に涙を浮かべていた。

 

「なにがあったんだ?」

 

近所の奥さんの人に事情を聞いた。

 

「この人が無神経なこといったせいだよ、まったくバカだねぇ。ごめんよ、ベルベット」

 

「すまん、例え話のつもりだったんだ」

 

二人がベルベットに謝るとベルベットも別に大丈夫といって、二人はその場で夫婦と別れた。

 

 

しばらく、ベルベットが暗い顔して落ち込んでいると、カインがベルベットの頭を撫でながら

 

「義姉さんが死んでよかったなんてこと絶対ありえないから、安心しろ」

 

するとベルベットが、下を向きながらカインに礼をいった。

 

「うん、ありがとう。カイ」

 

「おう」

 

 

 

鎮めの森に入るとこんなことをベルベットが聞いてきた。

 

「そういえば、アーサー義兄さん、最近夕飯に『あれを食べたい』ってリクエストしなくなったわよね?」

 

「あぁ、確かに。いつもセリカ義姉さん直伝の献立メニューを頼んでいたのにな。」

 

「いろいろ物騒になったせいで、村に駆り出されてるせいで疲れてるのかな?」

 

う~んと二人が考えてると、ベルベットが何か思い付いたように人差し指を立てて

 

「・・・・よし。今晩はセリカ義姉さん直伝の『ウリボアの肉たっぷり、なのにさっぱりシチュー』にしよう!」

ベルベットがそう言うと、カインが大喜びでガッツポーズをした。

 

「マジ!?やったー!きっとアーサー義兄さん喜ぶぞ!俺も大好物だからな」

 

「じゃあ帰ったら沢山作るわね、そこまで喜ばれると腕がなるわね」

 

二人はウリボアのいる森に入るなりそんなことを話ながら進んでいた。

 

するとさっそくウリボアが数匹いるのを見つけた。

 

「ウリボアみっけ!」

 

ベルベットがウリボアに飛びかかり、腕に仕込んでいた刺突刃でウリボアに切り込んだ。一撃でウリボアは倒され、他のウリボアがベルベットに真横から突撃してくるが、ベルベットはそれをなんなくかわし、その勢いで蹴りを食らわせた。ウリボアが怯んだ隙に、刺突刃で止めをさした。

 

「よぉし!この調子で狩りまくるわよ!」

 

などと調子にのっていると、背後から別のウリボアが勢いよく突撃し、反応に遅れたベルベットは慌てて振り向くと、そこには剣を構えたカインがおり、突撃してきたウリボアを横一文字に切り裂いた。

 

「油断大敵だぞ、ベル」

 

「あはは、ごめん、ありがとう」

 

ベルベットは苦笑いでカインに礼をいうと二人は次のウリボアを探しにいった。

 

 

「いつ見ても不思議よね、アンタの剣って」

 

ベルベットがカインの剣を不思議そうにみながら言った。

 

「うん?あぁこれ?まぁ俺もよくわかってないしなぁ。ただなんとなく使ってるだけだし」

 

カイン自身自分の剣を大雑把にしか把握しておらず、ほとんど勘で使ってるようなものだった。

 

「なんとなくって・・・・じゃあなんとなくで何もないところから剣をだしたり、変な光りとかだしてるわけ?」

 

ベルベットが少々呆れ気味に答えた。そんな感覚でどうやって使ってるのか、不思議でならなかった。

 

「まぁ、そうだな」

 

「あっ、そう」

 

これ以上剣の話をしても仕方ないと思い、剣から話題を変えた。

 

「そういえば、カイってアーサー義兄さんと同じで霊応力?っていうのがあるのよね?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、カイは対魔士にならないの?」

 

カインはあの「開門の日」以来アーサーと同じように聖隷や業魔が見えていた。その時期からアーサーに教えをこい、カインの持つ剣も使いこなせるようになり、ほとんど対魔士に近い力を身に付けていた。

そこまでの才能がありながらなぜ対魔士にならないのか、ずっと疑問を抱いていた。

 

「対魔士になろうかと考えた時期も確かにあったんだ。でも、対魔士は俺のなりたいものとは違うと思って」

 

「じゃあ何になりたいの?」

 

するとカインが歩んでいた足を止めて、ベルベットと向かい合った。

 

「俺はただ・・・・ラフィやベル・・家族を守れるような男になりたいんだ」

 

「カイ・・・・」

 

ベルベットは少し驚いた表情をした。カインがそんなことを考えていたなんて、思っていなかったからだ。

 

「そして、俺が家族を守れるようになったらさ・・・・俺とベルベットとライフィセット、そしてアーサー義兄さんと世界中を旅してみたいんだ」

 

カインが何処までも続く空をみながら、答えた。

 

「ライフィセットの体もよくなって、俺がもっともっと強くなったらさ、世界中何処にいっても安心だろ?」

 

ベルベットは子どものように言うカインを見て、微笑むと

 

「・・・・ラフィも・・・・同じこと言ってた・・・・」

 

「俺みたいに強くなりたいって?」

 

「違うわよ、世界中を旅して回るって話」

 

カインはそのことを聞いて、あまり驚いた反応を見せず、そっかとだけつぶやいた。

 

「あんまり驚かないのね」

 

ベルベットは少し意外そうに言った。

 

「まぁ、あんな立派な地図を作ってたらそうだろうなって思ってさ」

 

ライフィセットの部屋には未完成ではあるが、自作の地図を作っており、他にも古代語や歴史の本など難しい本などが沢山あったので、大体予想はできた。

 

「・・・・俺もライフィセットも自由に憧れているのかもしれないなぁ・・・・」

 

とカインがポツンとそんなことを呟いていたがベルベットにはあまり聞こえていなかったようだ。

 

「自由?」

 

カインはすぐになんでもないといって再び歩きだした。

するとベルベットは去っていくカインの背中を見ながら、自分もこのまま置いていかれるのはイヤだとふと思った。

 

「カイ!」

 

気がつくとカインに向かって名前を呼んでいた。カインは自分の方に振り向き目をあわせながら言った。

 

「あたしだって!アーサー義兄さんの弟子なんだから!守られるだけじゃないわよ!」

 

カインは少し驚いた表情になると優しく微笑みベルベットに向かって答えた。

 

「じゃあ、俺より強くなってみせろよ!なれるもんならな!」

 

ベルベットは自信満々の笑顔で、自分の拳をカインに向け答えた。

 

「望むところ!」

 

そう言ったあと走ってカインの背中を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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