ステラを放つその日まで   作:蓮太郎

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オカルト部の悪魔たち

 放課後、この日は陸上部が手伝ってくれと言ってたが断って旧校舎へ来た。そう、やってまいりましたオカルト部。

 

 射手の英雄(ザ・アーチャー)はいつでも出せる準備をしている。ここまできたら何が起こるか分からない。やる気を出したら一瞬で旧校舎吹き飛ばせそうだが可能な限り自重はする。

 

 よし、オカルト部の部室である教室の前に佇んでいたが意を決して悪魔の巣窟に入っていった。

 

「あら、芦屋新志君、でよかったかしら?」

 

 出迎えてくれたのは3年生でリアス・グレモリーと美人ランキングトップ争いをしている姫島朱乃先輩だ。いや、もう(仮称)千里眼で誰が居るかは把握していた。

 

 まずリアス・グレモリー先輩、そして姫島朱乃先輩と3年生組はこの2人。2年生組はイケメン王子と呼ばれてるのを聞いたことがある木場祐斗先輩に…………兵藤一誠先輩じゃないか。そして同学年である1年生は塔城子猫さんだけか。

 

「部長が呼んだ客人って芦屋だったのかよ。地味に固い人気あるんだよなこいつ…………」

 

 変態3人衆の1人で有名なのがここにいるという事は彼も悪魔、いや分かりきってることだ。ここにいる全員が人とは違う感じを出してる。ついでに生徒会メンバーとすれ違った時も似たような感じがした。

 

 思った以上に悪魔がいるじゃんこの学園。一体どうなってる?

 

「早速だけど、芦屋新志君?貴方は最近弓の神器(セイクリッド・ギア)の力に目覚めたわね?」

 

「そのなんたらギアとか前に悪魔の説明が欲しいんだが。そのあとに俺の弓の事についてはあの死体に刺さった矢で判断したんだろ?」

 

「ご明察、それに弓矢を使うとしたら心当たりがあるのはあの日、夜遅くまで弓道の練習をしてた貴方だけよ」

 

「まあ、きっかけは偶然だったんだろうな。あんなもんあったのはビックリした…………じゃなくて悪魔の話だ」

 

「そうね、その話をしなきゃ貴方は怒りそうだし…………」

 

 それを切り口に悪魔の話がグレモリー先輩の口から語られることになった。文字通りこのオカルト部に在籍する彼女らは悪魔だということ、その証明にコウモリの羽を見せてもらった。

 

 当たり前のように見せつけられて呆気に取られそうになったがあの日の化け物、もといはぐれ悪魔&そのおかしな死体を見てたらそうもしてはいられない。

 

 ここでメインの活動としては夜中に悪魔の仕事として人間と契約し、願いを叶えて対価をもらうという何ともビジネスマンっぽいものだった(個人的感想です)

 

 ついでにほとんどの言語がデフォルトで喋ることができ寿命が超長いんだとか。だが、それは人間基準であり他にも天使や堕天使とかもいると言われた。それに続き天界や冥界も存在するんだとか。

 

 何故か冥界と聞いたら金髪ツインテールのツンデレ少女が頭に浮かんだ。早く鯖化して欲しいという謎思考も出てくる。本当に何故だ。

 

 でだ、この駒王学園だけでなく駒王町自体がグレモリー先輩の領土だと聞いたときは耳を疑った。つまり、あの時の視線、彼女が言うには使い魔はグレモリー先輩の眷属だったらしい。

 

 思いっきり射殺しちゃったんだが…………

 

 そして、現在はオカルト部で悪魔式のゲーム、レーティングゲームというチェスを基にしたゲームをする為に眷属集めをしているらしい。

 

 その眷属というのは転生悪魔というものらしい。なんだか単語がどんどん出てきて混乱しそうになる。

 

 転生悪魔は悪魔以外ならほぼ種族を問わずに悪魔になれると言う驚きの物だ。悪魔になる特典は身体能力の向上や、前に言った言語の理解、そして自分が王になるか駒になるかで権力を勝ち取れるレーティングゲームの参加権、が俺の見解だった。語られてもそうとしか思えなかったから簡潔にまとめたらこんな感じだ。

 

「ふーん、それで俺に話が来たか。あのはぐれ悪魔とやらを殺しただけでか」

 

「そう簡単に言ってくれるけど、簡単に殺されるものじゃないわ。それに私の眷属となるなら色んなことは保証するわ」

 

「断る」

 

 たった2文字を言葉として発しただけで反応が様々に分かれた。

 

 予想してたかのように肩を落とすグレモリー先輩と姫島先輩に木場先輩、無視してお菓子を食べてる塔城さん、なぜおっぱいがあるのに断ったのかと驚愕した表情を見せる兵藤、待て、逆になんでそんな理由でなろうとするのかが分からん!

 

 全く、悪魔になるなんて嫌だぞ。得るものは多々あっても人として今を生きる事が大切なんだ。

 

「そうね、もし貴方が眷属になってくれるなら…………弓道場の取り潰し、なんとかしてあげるわ」

 

 

 なん…………だと…………?

 

 

 一瞬、思考が止まってしまった。あの弓道場は日数は少ないものの思い入れも多々ある。それが無くなるのをやめる事ができる?

 

「あ、悪魔…………それを取ってくるとは…………悪魔め!」

 

「いやいやいや、何で弓道場で釣られそうになってんの!?」

 

 胸に釣られそうな人は黙ってて欲しいな、と思うも口には出さない。くっ、このままだと本当に釣られてしまう!いや、待て待て、何でこんなに屈しそうになってるんだ俺!耐えろ俺!

 

 いや、逆に考えろ。無くなることで誰かの役に立てるんだ。俺のわがまま一つで今だけの満足が何百何千の利益にっ!

 

「想像以上に悩んでるわね」

 

「えーと、何であそこまで思い入れあるんだ?そもそも数ヶ月もいないだろ?」

 

「…………スケベな先輩にはスポーツマンの心が分からないんです」

 

「いや、それとこれとは違うとおm「やっぱり断る」」

 

 そう言い放ち、姫島先輩が淹れた紅茶を飲む。あ、これマジで美味いな。

 

「その理由を聞かせてもらっても?」

 

「言う義理はないと思うんだが、イマイチ信用できない。人間をやめるってのが何らかのデメリットになりそうな気がしてならないんだ」

 

「そのデメリットというのは?」

 

「さぁてね、自分の直感がそう言ってるんだ」

 

 上手く回避できたと俺は思う。別に弓道場に未練があるわけじゃないが、ここは心を鬼にして断るもんだ。

 

 ここで一つ、考察を考えよう。もし、俺が駒となるならどの駒になっていたか?

 

 場合によってはオールラウンダーな兵士、魔力を扱う僧侶、高い防御力を誇る戦車、高機動能力をもつ騎士、そして最強の駒である女王。その中で既に女王枠は姫島先輩で埋まっていて他も一つは入ってる。

 

 おそらくだが兵士の駒を使ったのは兵藤だろうな。それも話を聞く限りじゃ大量に使わなきゃいけない力を持ってる。あの変態に何が眠ってるんだ?

 

 それで木場先輩が騎士で塔城さんは戦車だろう。だが、枠が余ってることもあって、個人な事としては騎士かね?弓矢を扱うからにはスナイパーの立ち位置にならないといけない。その時に撃った場所を把握されてはいけないためすぐに移動しなければならない。そうでなければ集中して狙われる、なんてことをどこかで聞いた。

 

 ほら、これだ!俺がなるとしたら騎士の駒だな!

 

「じゃあ、敵対は無し、悪魔にはならないけど仲良くは出来ますかね?どうせ生徒会も絡んでるんでしょ?」

 

「そこまで気づいてたのね。まあ、そっちの話はソーナから聞いてちょうだい」

 

「えっ、生徒会も!?」

 

 悪魔になったばかりの兵藤先輩は知らなかったようだ。しかし向こうは敵対してこないと言ったが、本当か?悪魔という限りは信用がならない。

 

 とは言っても、根本的なところは優しさが見える。悪魔なのに優しいとはこれいかに。

 

 信用度がゼロどころかほぼマイナススタートという、ただ自分の色目を使った結果だが向こうは俺をある程度信用してくれているというのはよく分かった。

 

 そこまでは悪くないと思う彼女らとの関係の始まりだった。

 

 その後、連絡が入ったのかどうかは知らないが生徒会にも捕まった(任意同行だったが律儀に行くことにした)上に同じ話を聞かされて眷属にならないかという話を持ちかけられた。丁寧にお断りして帰らせていただきました。

 

 何で弓道場を餌として俺を釣ろうとするんだろうね…………っ!本当に…………おのれ悪魔め!




弓道場「くっ、俺を餌にしても彼はやらせない!新志!俺のことはいいから悪魔の契約に乗るなぁ!」


 弓道場の犠牲により芦屋新志は悪魔の手から救われたのだった…………


 冗談のつもりが割と合ってる気がする…………

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