ステラを放つその日まで   作:蓮太郎

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ホンッットにお待たせしました!リアル忙しすぎて書けない状況に…………

今回は一誠の視点が途中から入りますのでご注意を。(こっちの主人公全く活躍させてないどうしよう…………)


真・聖杯戦争初戦

 これは本当にいただけない状況だとアーチャー枠の俺は思う。

 

 ここはあえてクラス名で呼ばせてもらうがランサーだけならまだなんとかなったかもしれないがセイバーとキャスターまで出てきやがった。

 

 そしてこの状況だとアサシンが隠れている可能性もある、近くに近接戦をメインとする二人がいるだけでも厄介なのに!

 

「しかし、アーチャーやるではないか!馬に乗った相手に対し弓と矢だけで凌ぐとは!余もやろうと思えばやれるかもしれんが難しいぞ!」

 

「普通はできないんですけどね」

 

 セイバーの言うことにキャスターが速攻でツッコミを入れた。まるで読んでたかのようなツッコミ…………侮れん。

 

 いや待て、変な空気になってるけど俺とランサーは対峙したままなんだぞ、そっちに視線向けないでどうする。

 

「なぜ今、我々が戦っている最中に現れたんですか、セイバー。催促されたとはいえ堂々と現れる貴女は隠れても良かったはずだ」

 

「何を言うか、こんな剣戯(モノ)を見せつけられて出てこないなど言語道断ではないか!それこそ堂々と見るべきであろう」

 

「…………なんつーか、我儘だな」

 

 言葉に出てしまったが、我儘なのは間違いない。何たってあのセイバーは見覚えがある。前世の記憶を辿ると…………ネロ帝だった筈だ。

 

 真名が分かったところで獅子王と同じくこれと言った弱点も無い。頭痛持ちとか言われてるが芸術面くらいでしかデメリットが無いと聞いたことがある。

 

 そしてキャスターだが…………全くもって謎だ。誰だあれ、隣の幼女も見たことも無いぞ?あの二人と比べて間違いなく不確定要素なのは確かだ。

 

 そして『アーチャー』としての勘だが最もやばいのはあの幼女だ。キャスターなんかより何倍もヤバイ感じがする。

 

「で、どうするんだ?あんたらが現れたということは、このまま弓兵が苦手とする乱戦に持ち込むのか?」

 

「私は一向に構いませんが」

 

「むしろ二人だけで楽しむことは余が許さん!」

 

「あ、私は見ておくだけにしておきますね」

 

 キャスター以外参戦、と。知ってたけどキャスターは参戦しないって空気読めと思ったのは俺だけか?

 

 まあ参戦しないならそれでいい。一番の問題は二人をどう相手にするかだ。

 

「私じゃなくてオーフィスが行きますが。私より彼女の方が圧倒的に強いので」

 

「ん、キャスターの代わり、我がやる」

 

「「なにっ!」」

 

「やっぱりか!」

 

 オーフィスが何だか知らないが1番ヤバイのを投入してきたか!安全地帯にいながら漁夫の利を得ようってことか!

 

「くそっ、オーフィスを出してきやがるか!新志、そいつだけは相手にするな!そいつは無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)だ!」

 

 アザゼルがかなり焦りながら忠告してくる。ウロボロス、と言ったら(無限大)文字の元になった昔の龍って聞いたことが…………待て、そんな奴がキャスター陣営にいるってのは俺たち危ないんじゃないか?

 

 未知数の戦力でも無限大には敵わない、何てことが起きうるのが今の状況、勝ち目が見当たらない。

 

 …………本気で宝具放つ事も視野に入れておかないといけないな。

 

「オーフィスと言いましたね。貴女は何のために戦うのですか」

 

「我、静寂を得たい。キャスター、我に静寂くれると約束」

 

「キャスター?まさか幼女をそのように誑かしておるのか?」

 

「マジかよキャスターだっけ?最低だな、せめてそこはおっぱいでかい人を仲間にするだろ!」

 

「いや私は好きでオーフィスの姿を変えてるわけじゃないですから。あとサラッと会話に入ってきた赤龍帝は黙っててください」

 

 いや、兵藤先輩なんで会話に入ってきたんだ。アレか、女の好みの話だからか?あ、何か獅子王が引いてるように見える。確か獅子王も巨乳だった…………鎧が割と厚いから兵藤先輩は巨乳だって見抜いてたりするのか?

 

 あれ、噂通り最低な人間じゃない?と今更ながら思ったのは置いておこう。少なくとも緊張した空気に口を出せる度胸はあると思っておく。

 

「まあ良かろう。キャスターを倒した暁には余が存分に可愛がってやろう、うむ!」

 

「…………セイバーもなかなかアウトだと思うんだが、そこのとこはどうだランサー?」

 

「私に投げないでくださいアーチャー。いくら何でも私はあの中に入りたくない」

 

 と仰ってるのでそろそろ始めるとするか。いつまでもグダグダな空気でいる事はないからな。

 

 下手すりゃ誰かが言いださなければこの漫才が延々と続くかもしれない、だから俺が言おう。

 

「そろそろいいか?俺もランサーもある程度疲れてるが支障があるほどじゃない。なぁ、これはまだ前哨戦だろ?」

 

「…………アーチャーから言い出すとは、出来れば貴方との戦いは一騎打ちで終わらせたかった」

 

「おっと、そうであったな。しばしオーフィスの事で頭から離れておったわ」

 

 若干緩んだ空気から先ほどより緊迫した空気が流れ始める。

 

 俺は弓を構えランサーも槍を構える、そしてセイバーは己の剣を掲げキャスターの前にオーフィスが立つ。

 

「では、やっちゃってください」

 

 キャスターの抜けたような一言で俺、セイバー、ランサー、オーフィスが動いた。

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 何だかよく分からない状況になってるけど説明を受けてある程度は理解できた。

 

 俺は兵藤一誠、ある事件に巻き込まれて今は部長の元で悪魔として転生した赤龍帝だ。今回もなんか事件に巻き込まれたと思うんだけど…………

 

「お兄様、これは…………」

 

「絶対に手を出してはいけない、あの中に入る隙なんて全くない」

 

 部長がお兄様と呼んだのは現魔王のサーゼスク・ルシファー様だ。悪魔の中でもトップクラスに位置するすごく強くて偉い人なんだけど、俺も何が起こってるのかわかんねえ!

 

 コカビエルを倒した後輩は剣と槍と幼女相手に引けを取らず目で追えないほどの速さで矢を放ってるし、ランサーとか言われてる人も明らかに馬に乗ってる動きをしてないし、セイバーと呼ばれた女の子も全員の動きに対応しつつ戦ってる。

 

 なにより1番やばいのがオーフィスだっけ?何回も攻撃を受けてるのにビクともしてない!俺があんなのくらったらゾッとするくらいの音出してるのに無傷ってアリかよ!

 

『……………………まさか、いや、そんな事は』

 

 ドライグ?さっきから黙ってたんだけど、どうした?

 

『…………あの槍を持った者が使う力は知っている。だがありえん、ここにある事はありえんのだ!』

 

「天龍がここまで焦る人物なのか…………?いや、まさか」

 

 籠手から声を荒げて言うほどなのか?確かに素人でもあれは凄いって思うけど、もしかして知り合い?

 

『知り合いという言葉などでは足りん、血を分けた娘といっても過言ではない、はずなのだが…………』

 

「…………赤き龍がそこまで言わせるほどの人物?っ、まさか!」

 

 アザゼルの方は何か思い当たったらしい。俺にはさっぱりで分からないけど、かなり重要な件なのか?

 

「おいおいおい、それならさっきエクスカリバー使ってた理由と辻褄が合う。じゃあ、あの槍は…………」

 

『堕天使の総督よ、恐らくその考えは間違いではない。だからこそありえんのだ』

 

「ちくしょうなんてこった!仮に偽物だとしてもドライグの因子を持ってるという事はあの鎧女はペンドラゴン家の直系の子孫になるか。だがロンゴミニアドの確認はされてないぞ!」

 

「待ってください、あの槍はロンゴミニアドなのですか?」

 

『間違いない、あの丘で使ったはずの槍だ』

 

 話の内容が全く分からない。ロンゴミニアドとかあの丘とか俺には分からない単語で喋られても事態を把握できないって、聞こうとした時だった。

 

 こういう場合、俺の視界に入ってしまったというべきか?ヴァーリがキャスターと名乗る男を禁手の状態で殴り飛ばした光景を。

 

「ドフォーウッ!?」

 

 たった一撃、殴られただけで錐揉みしながら飛んでいくキャスターを見てしまった。もしここが映像化されるなら三カメ位使うかスローモーションになると思うほどの不意打ち&ぶっ飛ばされ具合だった。

 

 そして地面に落ちたと同時にピクリとも動かないキャスターは光の粒子になって消えた。え、マジで死んだ?

 

「…………割と弱いな。オーフィスを前衛に置いてあるだけで本人自体大したことなかったな」

 

「何してんだヴァーリィィィィッ!?」

 

「俺だって戦いたいが、ああ余裕を見せて隙を見せてるやつに殴りかかるのもいいだろう?」

 

「そういう問題じゃねえよ!むしろこの中で1番話をベラベラ喋りそうなやつ倒すなよ!胡散臭そうだがあの中でも1番弱そうだしとっ捕まえることさえ出来たらこの事を説明できるだろ!」

 

 た、確かにそうだ。専門用語とか多く使って曖昧にしそうだけど他の人たちなら理解できるはず。不意打ちを行ったヴァーリを怒鳴りつけるアザゼルだが、ヴァーリの野郎どこ吹く風してやがる…………

 

 そしてあの中でやっぱりというか、キャスターが消えてやる気をなくした人物(?)がいた。

 

「キャスター消えた?我、帰る」

 

 いや、帰るってどこに?しかもキャスターが消えたからって言ってさっさと徒歩でどこかに行っちゃったよ!それに、あの3人はオーフィスとやらを3人で相手してて疲労困憊だし。

 

「…………う、うむ、まさかこのような形でキャスターが脱落するとは。余も疲れたし初戦はこのくらいでよかろう」

 

「………………………………行くぞ」

 

 セイバーはキャスターが死んだことで少し動揺しつつも戦いをやめ、ランサーは馬を走らせてどこかに行った。あ、さらっと結界破っていったぞ!

 

「アーチャー、余はオーフィスという少女を手篭めにしてからそなたに挑むとしよう!さらばだ、とぅ!」

 

「いや、手篭めにするなセイバー!」

 

 後輩が叫んでるのをよそにセイバーはランサーが出たところから飛んで出て行った。

 

 …………あれ、俺たち何しにここに来たんだっけ?いろいろ衝撃が多すぎて何が何だか…………あ、そうだ、せめてランサーの正体くらいドライグに聞いておかないと。

 

「なあドライグ、結局あれは誰だったんだ?」

 

『セイバーの方は知らんが、ランサーと呼ばれた女なら一応知っている』

 

「一応?」

 

『…………否定したいが、奴は間違いなくアーサー、いや、ここではアルトリア・ペンドラゴンとでも言っておこう。俺が知っている人間の中であの槍をあのように扱えるのは彼女しかいない』

 

 アーサーってあのアーサー王物語の?俺でも聞いたことがある名前の人物じゃん!でも遠い昔に死んで物語は終わったはずじゃ?

 

『だからこそ分からん。まず、アルトリアは聖剣の力で最期まで少女の体だったはずだが、あそこまで成長していない。本人であるが全くの別人…………くっ、どうなっている』

 

 ドライグでも困惑するほど成長している?もう何が何だか分かんねぇ…………

 

 この戦いに何の意味があったのかは今は分からない。だけどこの戦いが後に世界に響く要素の一つになるなんて、この時は思いもしなかった。




術「え?この展開何処かで見たような気がする?細かいことはいいんですよ」

龍「我、帰宅、約束のプリン」

術「はいはい、今出しますから」

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