ステラを放つその日まで   作:蓮太郎

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今回はアザゼル視点になります。


惹かれる者

 今、俺ことアザゼルの目の前で芦屋新志と獅子王と呼ばれた鎧女がいきなり戦闘を始めた。

 

 そして今見てる光景は何なのか、と自分で問い詰めている。それほど今の光景が異常ということになる。

 

 最上級堕天使である俺ですら辛うじて目で追える範囲の猛攻が、馬に乗ってる鎧女、これから獅子王と呼ぶ者と芦屋新志が繰り広げている。しかも、槍と弓が互いの射程範囲に入っていながらだ。

 

 新志が獅子王に矢を放つも槍に落とされ、獅子王が槍で新志を貫こうとしても辛うじて回避して即座に矢を放つ、そんな猛攻が繰り広げられていた。

 

 ようやく非常事態に対応したのかミカエルとヴァーリ、サーゼクスにセラフォルーも出てきた。

 

「アザゼル!なんですかこれは!」

 

「俺が聞きてえよ、今下手に介入しようとしたら酷い目にあうぞ」

 

「あれが芦屋新志の実力、やはりコカビエルの時は全力を出していなかったか」

 

 ヴァーリはそう言うが、まだ何か隠してるように思える。そもそも弓は遠距離で戦う武器だ。今このように近距離でやりあえてる事自体が奇跡だと感じるんだが…………

 

「なかなかに素早い、それに何発か当たっている(・・・・・・・・・)筈なのに無傷とは」

 

「生憎だが俺の頑丈さは筋金入りでね、お前の一振りの余波(・・・・・・)じゃ倒れんさ!」

 

 あいつは一振りの余波、と言ったが槍と矢がぶつかっただけの衝撃がここまで届いてるんだぞ。獅子王はともかく、生身のお前が無傷っておかしいだろ!

 

 あいつらの神器、いや、本当に神器と言えるのか?少なくとも俺が研究してる中で既存の神器に関する資料に何一つ当てはまらない。

 

 弓も気になるんだが獅子王の槍も気になる。マジで研究し尽くしてやりてえ…………

 

「部長!っおわっ!?」

 

「ひぃぃぃぃぃぃっ!?なんなんですかこれぇぇっ!?」

 

 思ったりよりも早く赤龍帝が時止めヴァンパイアと猫又を連れて戻ってきた。禍の団が奴らを利用すると思っていたが、誰かが事前に排除していたか?鎧女がさっき禍の団をエクスカリバーで消しとばしたところは見たが…………

 

「なんすかあれ!?なんで芦屋があんなのと戦ってるんだ!?」

 

「私が聞きたいわよ。だけど…………」

 

「…………無理です。あんな中に私たちが入るなんてただの自殺行為です」

 

 思ったより冷静に事態を見ているな。俺ですら介入はかなり難しいと思えるやり合いだ。新志の分が悪いにも関わらず馬に乗ってる相手にあそこまでやれるとは感心せざるえない。

 

 あいつらの強さに圧巻されるのはいい、やはりあいつらの強さの元が気になる。

 

「てりゃあ!」

 

「ぐはっ!」

 

 マズイ、横薙ぎとはいえ新志のやつが吹き飛ばされた!さっきのやり合いからわかる通り尋常じゃない威力を誇っているはずだ、ろくに動けなくなるほどのダメージを受けているはずだ!

 

 このままあいつを失うわけにはいかない、この状況を説明してもらうためでもあるが色々と聞きたいことがある!

 

 だが、新志が吹き飛ばされた隙を獅子王が見逃すはずがない。そのまま馬で駆け抜け槍で突く…………かと思っていた。少なくともこの場にいる全員がそう思っていた。

 

「飛べ!」

 

「「「「「はぁっ!?」」」」」

 

 獅子王が言うように馬が飛んだ。いや、ジャンプ的な意味だろうが少なくとも馬が跳躍できる高度じゃないぞ!校舎よりも高く見上げるほどの位置まで飛ぶ馬ってなんだよ!?

 

「はああああ、貫け!」

 

 槍が光りを放ち始めてるぞおい、しかもありゃ聖なる光だ!聖なる光を放つ槍の神器なんざかなり数が限られてくるが、間違いなく既存のとは当てはまらない、俺らが助けに行こうとしても間に合わん!

 

 そのまま駆けるように空から突進していくのに対しあいつは…………

 

「真名解放なしでそれかよ!」

 

 突撃してくる獅子王に向けて一瞬で2桁の矢を放っていた。

 

 いつ体勢を立て直したのかはいい、なんだその連射速度!お前はマシンガンか何かか!?むしろそれ本当に弓なのか!?

 

 矢は鎧女にはほぼ当たらなかった。当たらなかった理由は恐らく槍が纏っているオーラに逸らされたからだろう。だがほぼ(・・)当たらなかったという結果だけでも十分すぎた。

 

「ぐっ!」

 

 一本、ただ一本の矢が掠っただけで獅子王が大きくよろめいた。当然ながら軌道も大きくそれて新志から少し遠く離れたところに着弾(?)した。

 

「貴公、なかなかやりますね」

 

「あれだけやって当たったのは一本、厄介なことこの上ないな」

 

 いや、お前らかなり荒らしてるからな?決闘みたいなとこしててこっちに被害を与えてないのもすごいが周りがクレーターだらけになってるからな?

 

 そりゃあ奴さん(禍の団)も敵わないわ。俺ですら勝てるかどうか怪しいところをやってるのに有象無象が幾ら襲いかかろうが無双されてしまいだ。

 

「しかし、貴公は相当疲労が溜まってますね?」

 

「そりゃお前、馬に乗ってるやつが言うことかよ!」

 

 そしてまた撃ち合いが始まった。禍の団の残党はもういないし見てるだけしかない。人工神器も試してみたかったが、こりゃ見送りだ。

 

 見てるだけでも長く、しかし時間は短かったが二人の争いは止まった。

 

「なあランサー、いま少し槍を収めないか?」

 

「ほう、その理由は?」

 

「お前も分かってるだろ、こんだけ派手にやってるのに見られてないわけがない」

 

 獅子王から目を背けずに全く別の方向に矢を放ったぞ?全く見当違いのところに飛んでいったが、今そんなことしていいのか?

 

「うむ、やはり気づいておったな!余の皇帝特権で得た気配遮断程度ではお主らにバレてたか」

 

 なっ、いつの間に居たんだ!?あんな赤い服を着ていたら目立つに決まってるのに俺が気づかなかったんて、いや、サーゼクスとセラフォルー、ミカエルも表に出してないが驚いてやがる。

 

 少なくとも、結界は張ってあったのに気づかれずに通ったということは相当な手練れというこのなのは間違いない。

 

 なんなんだあの少女は?見かけによらない剣を持ってるが、間違いなく人間なんだろうが神器使いと違う。だが、同類なら今目の前に二人いるな。

 

 改めて戦っていた二人を見るとやはりか、という顔をしていた。こりゃ確定だ、あいつの関係者だ。

 

「私の消耗は全くないですが、アーチャー?」

 

「俺も大して疲れてないさ。ただ三つ巴になると…………少しばかり不利になるな」

 

 剣と弓と槍、この三つ巴の中で誰を最初に狙うとなったら弓を選ぶだろうな。三つ巴戦になっている間に弓持ちが離れられたら厄介だ。

 

 そもそも弓を使ってて槍や剣の範囲内でやりあえてることが奇跡だが…………剣と槍が戦っている最中に矢を放たれて漁夫の利を取られたら意味がない。

 

 どう足掻いても新志が不利すぎる状況だ。あいつが双剣でも使えたらまだなんとかなったかもしれんが…………

 

「まだ隠れてるだろ?アサシンがセイバーより杜撰な隠れ方をする訳がない。つーことはキャスターかバーサーカー、いや、バーサーカーの線はないな」

 

「いえいえ、出来損ないの礼装で戦ってる最中なら魔王も気にかけてくれない程度の気配なら私は満足です」

 

 今度はサングラスをかけたスーツの男が拍手しながら現れやがった。虫程度の気配で瀕死の禍の団の奴かと思って気にしてなかったが、こいつも関係者かよ!

 

「まあ、三騎士が揃ってる中でクラス名を言わないのもアレでしょうし、アーチャーの予想通り私はキャスターですよ。すぐに帰りますが」

 

 三人から四人に増えやがった。しかも新志しかまともに見えないのは気のせいか?

 

 …………待て、あのキャスターとかいう野郎の隣に居るのは!

 

「キャスター、今戦う?」

 

「いえ、消滅の魔王サーゼクスに歴代最強と言われている白龍皇が今1番厄介だと思うので、組まれて戦うと貴女はともかく私が危ないんですよ」

 

「我、早く静寂を得たい」

 

 間違いない、あの男の隣に居るのはオーフィス!風の噂だと禍の団にいると聞いていたが…………

 

「むむっ、キャスターは幼児を連れているのか。確かに力はあるが…………もしやその趣味が?」

 

「ふざけているのか真面目なのか分かりませんねセイバー」

 

 この状況でよく言えたなセイバーとやらは。ちくしょうどうなってやがるんだ、生きて帰れたなら新志を問い詰めるしかねぇな…………




出てくるFate勢は既に決まってます。ぶっちゃけセイバーは正体を隠す気はありません()

出ていないのはライダーとバーサーカーのみ、誰が出てくるか予想してみてはいかが?

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