IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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お久し振りと言ってしまってもいいと言うくらい間が開いてしまいました。
今回は特別編-コラボ企画となっております。
お相手は-
【インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 】

『たちゅや』氏

-と、成っております。

普通なら出会わないオリジナル主人公たちの邂逅をお楽しみください。

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FAxxss:存分に楽しんでいってくれたまえ

 限りなく近く遠い世界。

 決して交わらない世界。

 しかし、それがもしも擦れ合う事があったとしたら?

 

 

 何も無い、何も無いと確信できる真っ白な空間。そこに十千屋は立っていた。

 そして、この感覚を知っている。

 

「あれ?死んで…いないな。あの時の虚無感と言うか、『死んだ』って何故か分かる感覚がない」

 

 彼は真っ白な空間に棒立ちになっており、どこか変な懐かしさを感じている。

 この空間は彼がまだ彼でなかった頃に来た事があった。

 だが、いま居るのはおかしい。

 ココは諸曰く、空間の裂け目、世界の狭間、転生の間…そうだ、最近のライトノベルにある死後の空間だ。

 彼もここに一度来て、今を生きている最中である。

 

「…手紙?」

 

 どうしたものかと辺りを見渡していると、急に足元に茶封筒が現れた。

 先程までは無かったはず、そう思いながら拾ってみると宛名書きは自分になっている。

 

「…なるほど」

 

 彼は念の為、用心しながら封筒を開け手紙を読むと全てを察した。

 すると、意識が遠のくと同時に夢から醒める感覚を受ける。

 

「おもてなし、かぁ…」

 

 そう呟くと彼の姿は薄れてゆき、持っていた手紙だけ残った…

 

 

――IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す特別編――

 

――IS×FA × ブンドド コラボ企画――

 

――限りなく近く遠い二人――

――【前編】――

 

 冷たいリノリウムの床の感触に一人の男が目を覚ます。

 体格は良い方で、イケメンと言うよりは爽やかな好青年と言った方が似合うだろう。

 そんな彼だが起き抜けのボーっとした状態から一変して覚醒状態に入り、飛び起きて警戒しながら壁に背を付けた。

 

(状況確認…、体調確認、所持品…!?)

 

 ()()()身に着けていたはずの物が無く、その事実に冷や汗が出始め顔をしかめる。

 そして、顔を上げると…安っぽい大型のポスターに使う用紙がいつの間にか張ってありそこには、

 

『お探し物、こちら →』

 

 と、微妙に下手な文字でデカデカと書かれており、また廊下にも業者ご用達-

 ニ〇バン 養生テープ(ペンキ塗ってる時によく使われている半透明緑色のガムテ)で作られた

矢印が等間隔で並んでいた。

 このいかにもなのに安っぽすぎる誘いに青年は苦笑を浮かべながら、その跡を追う。

 

(コレが罠でも乗るしかない。掛かっても食い破る!

 …けど、この安っぽさはなんだかなぁ、っと言った所かな?」

 

 その様子をISアリーナのピットからロボット頭(アーキテクトヘッド)の男-十千屋 雄喜が見ていた。

 彼はモニターに映る青年の表情と動きから内心を読み取り、被り物(ロボット頭)から苦笑を漏らす。

 今回の件はある意味で()()()()()だ。何も罠に嵌めようとなんて気はサラサラない。

 だが、モニターに映る彼はそんな事など知る由もなく…曲がり角でチラ見をするなど、

警戒心バリバリで進むのであった。

 

 青年が導かれている頃、

 

「う、うぅ~ん…」

 

「あら、お目覚め?」

 

 外跳ね気味のショートボブの少女-更識楯無は自分と同じ様な髪色の少女に見守られながら目覚めるのであった。

 …何か後頭部が柔らかいもので支えられている感じもしているが。

 

 さて、青年が陳腐な目印に導かれるままに歩いていると遂に終点へとたどり着く。

 此処までの分かれ道や小部屋の出入り口は閉まっていたり、シャッターが降りているなどして

実質的な一本道であった。

 ここまで彼は自分の置かれている状況を推理しているが全くといって何も掴めていない。

 相手の狙いは分からない、場所はIS学園に酷似している場所か、それとも()()()()

間取りや景観は同一であったからそのどちらかであろう。

 すると、この先は…と、彼は思いながら扉を開ける。

 

「…やはり、アリーナのピットか。っ!?俺のバーゼラルド!!」

 

 ピットのハンガーには彼の専用機であるFA(フレームアームズ)型IS:バーゼラルドが鎮座されていた。

 彼はすぐさま駆け寄るが、何かの違和感を感じ…近づいてマジマジとISを観察する。

 

「おい…なんで先行試験カラーになってんだよ!?しかも、その仕様の増加装甲(ブラストシールド)付き…って、

 この状態だと先行試験仕様ゼルフィカールじゃねぇか!!」

 

 全身にあるスラスターが特徴なヒロイックな機体バーゼラルド、そして彼の言う通り増加装甲が付けられたバージョン-ゼルフィカールがあった。

 だが、その全身はホワイトとネイビーブルーを基調としたカラーでは無く、高彩度かつ

ミスマッチな配色のカラーに塗り替えられている。

 これも彼の言う通り先行試験仕様カラーと呼ばれるもので何故このカラーリングに改まられているのか意味不明だ。

 つい、叫んで脱力し四肢を床に付けた彼を嘲るかの様にモニターが映る。

 

 

やあ (´・ω・`)

 

ようこそ、宴の席へ。

 

このカラー変更はサービスだから、まず落ち着いて欲しい。

 

 

うん、急に呼び出してなんだ。済まない。

 

仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

 

 

でも、このカラーを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。

 

殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい

 

そう思って、このカラーリングにしてみたんだ。

 

 

じゃあ、本題といこうか。

 

 どこぞの釣りスレの先頭に書く定型文として使われるような始まりから始まったモニターに映る文章の続きはこうであった。

 自分を言い表すなら『観察者』である事、彼が興味深い存在なので、ぜひ会わせてみたい人物がいる事。

 その為の余興としてISバトルを予定している事、…彼の専用機のカラーリングを変えたのは

余興の余興である事などである。

 

 

では、存分に楽しんでいってくれたまえ。秋野 龍也(あきの たつや)

 

 その文章が述べ終わると、彼-秋野 龍也は無言で立ち上がり自身のISの確認をする。

 それが終わるとISを装着しカタパルトへ移動した。

 

 そして、発進のシグナルが点灯すると…

 

「確かになぁ…こっちもカッコいいとも思ったさ。けどな…」

 

 

ぷちっ♪

 

 「ふざけんじゃねぇぞ!ゴラァ!!」

 

 少し、切れ気味でアリーナへ飛び込むのであった…。

 

 ピットからアリーナへ飛び出した龍也が目にしたのは紫色の騎士-ドゥルガー(アイン)

 相手もFA型ISとあって、彼は苦笑を隠せない。

 なるほど、本当に自分の為に用意された茶番であると。

 マガツキとは戦った事は在る。かなりイレギュラーだったが…それはともかく、その対となるドゥルガーの事もよく知っている。

 それが…()()()()()()()()()()()()()

 そして、自分のISに目の前の対戦相手の情報が映し出された。

 

 

『専用機:フレームアドベンド』

 

「(ドゥルガーじゃない?まぁいい…)アンタが俺の対戦相手か?」

 

「・・・・」

 

「だんまり…か」

 

 

 

「まぁ、いいか」

 

 

 

「やる事は変わらない」

 

 

 

「アンタを倒すだけだ!!」

 

 

 

「…!」「セイハァッ!」

 

 試合開始の合図で火蓋を切る。両者、ほぼ同時の抜き打ちであった。

 ドゥルガーⅠ-十千屋は背面のTCSオシレーターⅡ型が内蔵されているメインブースター:

イオンブラスターを最大出力で噴かす。

 ゼルフィカール-龍也はセグメントライフル(の形をしたただのレールガン)を抜き放った。

 十千屋はほんの少し身を捻って弾丸を回避しながら突撃、龍也は彼が捻りを入れた僅かな隙と

幅を利用して紙一重で躱す。

 龍也に避けられた彼はそのまま急上昇し高度優勢-突撃に有利な相手より高い場所を取ろうとし、そんな彼を追うかの様に体中に付けられたフォトンブースターユニットを噴かし龍也は飛び出した。

 

「なぁろぅっ!」

 

 元々、高機動型を相手取る為のゼルフィカールであるがドゥルガーの背面を中々捕る事が出来ないでいた。

 その事実にメット内部の龍也は苦々しい思いをしている。

 そんな彼を嘲笑うかの様に十千屋はドゥルガーを巧みに操り、滑らかな円を描いて機体を反転し彼へと襲い掛かってきた。

 ドゥルガーはブースター配置の関係で小回りが利かないはずだが、十千屋はそれをものともせずに旋回してくる。

 この動きの肝はドゥルガーのイオンブラスターへの細やかな操作だ。

背面両隣りに添え付けられているメインブースターの出力を細かく調整しながら飛んでいるのである。

 もし、右に曲るのであれば右を強くし左を弱くする。左に曲がるのであればその逆だ。

しかし、言うは易く行うは難しである。

 イオンブラスターの左右の調節がダイヤルでの調整ができるとしよう。綺麗に小回りに回るのであれば、その回っている間は左右別々でコンマ何ミリ以下の調節をし続け、しかも戦闘機に匹敵する速度であるためにコンマ何秒以下で全てを操作しなければならない。

 そして、今は戦闘中だ。ただ飛んでいるだけではないのである。

それなのに流れるかの様に飛ぶ。

 その鮮やかな腕前に龍也は舌打ちをし、迎撃と回避を繰り返していた。

 

 幾度かの応戦の後、ようやく目が追い付いてきた龍也は吶喊(とっかん)してきた十千屋を紙一重で避ける事に成功する。

 馬上槍に似た戦術駆逐槍「ヘイルラング」が彼の目の前スレスレを通り過ぎ、半歩ズレて避ける体勢を通り過ぎる十千屋を追従するように振り向き入れ替えてゆく。

 ドゥルガーの機体特性上、急激な反転は出来ない。だから、これは千載一遇のチャンス。

 無防備なその背中にありったけの弾を撃ち込む…事が出来なかった。

 弾ける様な量子の奔流、それと同時の背筋が凍るかの様な悪寒。

ほとんど本能もしくは反射的であったが、セグメントライフルを盾にし前面に付けられたスラスターを一気に噴かす。

 龍也のライフルは何かに横一文字に両断されてしまうが、これが邪魔となりライフルを叩き切った攻撃は外す事が出来た。

 もし咄嗟にこの行動をせねば彼の体の方が叩き切られていたであろう。

 その事に冷や汗を掻きながら、改めて敵の姿を見据える。

そこには、赤みがかった紫色の鎧武者が大きな刀を振りぬいていた。

 

「なっ、マガツキ…だと!?」

 

 ドゥルガーと対なす月の"鬼神"【NSG-Z0/D マガツキ】がそこに居る。

 マガツキは大きな刀‐戦術迫撃刀『テンカイ』を振り被り一気に龍也へと接近した。

 いきなり姿が変わった敵-十千屋に驚いてしまった彼は接近を許してしまう。

 加速はドゥルガーに負けるが、敏捷性と瞬発力はマガツキに分がある。

 彼は自分の失態に舌打ちしながらも、ゼルフィカールの拡張領域(パススロット)に入っていたH.W.U 03:ユナイトソードを構成しているソードを呼び出し対応した。

 互いに剣を打ちつけ合い火花を散らし、躱し、振るうといった剣戟へ変化してゆく。

 その中で龍也は違和感を感じ、ワザと距離を取った。

 離れてゆく彼を十千屋は追いかけずに、マガツキの背面ラックにあった試作ベリルショットカノン「ナカトリ」で追撃する。

 撃たれる側の龍也は何度もギリギリで通り過ぎてゆく光弾に肝が冷やされた。

まるでゲームで言われる『置き撃ち』の様な見事な偏差射撃。

 だが、一方で…先程の剣戟はそちらの腕には僅かに及ばない事に気づいてしまう。

 間違いが無い様に言うが、十千屋の腕前は決して下手ではない。だが、接近戦においては超一流の龍也に比べると届かないのだ。

 それに龍也の見立てでは十千屋の動きがどちらかと言えばナイフ等を使う軍用格闘技系であり、長刀を扱い慣れているとは言いづらい。

 つまり、互いの得意な間合いは‐龍也:近~中、十千屋:中~遠といった感じだ。

 そこに龍也は勝機を見出す。ドゥルガーもマガツキもどちらとも至近距離向けの機体だ。

マガツキの方にはナカトリが装備されているが、逆に言えばそれしか射撃武器が無いと見れる。

 ならば、彼が取るべき行動はたった一つ…接近戦で有無を言わさず叩きのめす事だ。

 

 今はゼルフィカールとドゥルガーとの追い駆けっこに成っていた状態から、龍也はスラスターの向きを急激に変え小回りで十千屋に襲い掛かる。

 ほぼ反転ともとれる急旋回に因って引き起こされるGで、自身の体が軋む様な感覚を覚えるが見事に敵の側面に付いた。

 側面を捕られた十千屋は直ぐに機体をマガツキへと変化させ対応するが、それが彼の狙いだと十分に承知である。

 幾重にもと思える剣戟を何とか凌いでいる十千屋であったが、やはり僅かな地力の差が現れ細かな傷を負ってゆく。

 逆に龍也は決して逃さないと、何とか凌ぎ切り距離を立て直そうとする彼に追いすがる。

 徐々に当たり始める攻撃に彼はイケると思ってしまった。その、ほんの些細な慢心が…アダとなる。

 

 十千屋の防御を上回る幾多の剣戟、その中で確実に胸に叩き込んだと思われた一撃が当たったと思った瞬間…爆発が起きる。

 龍也は驚きながらも反射的な防御姿勢をとり、爆発とそれによって拡散される()()()()()()()()を防いだ。

 自らの攻撃に爆発する要素は無かったと困惑しながら、爆炎の隙間からそれは現れる。

 カスタマイズされた轟雷‐いや榴雷に似ているか?そいつが三連式バイザースコープを光らせ、ダブルバレルマシンガンを撃ち込んできた!

 

 その機体はマシンガンを乱れ撃ちにし、龍也の退路を塞ぎながら当てて行く。

 距離が近づいたら、旋回と同時に左肩に配置された煙幕装置(スモークチャージャー)を使って己の身を隠すと同時に又もや牽制の為に左腰に配置された小型ガトリングを撃ち放つ。

 視界が()たれた龍也は動くのが躊躇われた次の瞬間、彼からは見えないが上方からマシンガンと右肩に装備されたミサイルポットによって攻撃された。

 

 何故かは分からないが、敵は煙幕に(まぎ)れた自分の位置が分かるらしいとの事と、

自分の考えが間違っていた事に対して苛立ちが隠せない。

 敵-十千屋のIS【フレームアドベンド】はドゥルガーとマガツキに瞬時変換するのが能力ではない。

 あぁ、自分の思い込みだったのだと気づく。確かにドゥルガーとマガツキは()()()()で構成されているのは間違いない。

 だが、もっと根本があったじゃないか…FA(フレームアームズ)は例外を除き全てフレームアーキテクトが()()()()じゃないか!

 だからシリーズ名がFrame(素体) Arms(武装)なのだ。

 そして、十千屋の専用機の名前は【フレームアドベンド】‐訳すれば【素体 降臨】となり、

字面(じづら)Frame Advent。

 まったく、笑わせてくれる。十千屋のワンオフアビリティはきっと、自らを素体に見立て、

そこに武装を瞬時着装&変換させる能力なのだ。

 それは即ち、FAを体現させている能力(ワンオフアビリティ)なのである。

 

 龍也が考察を頭の隅で纏めている間にも、十千屋からの猛攻は続いている。

 薄くなってきた煙幕とミサイルの爆風が入れ替わる様な瞬間、十千屋は瞬時に彼の居場所を

確認すると正面から吶喊してきた。

 三連式バイザースコープの機能を切り替え、右腰に添えられたマルチミサイルを撃ち放ち、

次いでマシンガンと左肩後ろに折り畳まれていたH.W.U 01:ストロングライフルを展開させ一斉射撃となる。

 十千屋の目にはミサイルの爆炎と弾丸が撃ち込まれる有様が映り込み、至近距離へと近づいてゆく龍也の姿を捉えた。

 此処で逃せられる訳ないと、左腰に添えられた小型ガトリング以外を繋がっているオリジナルバックパックから解除(パージ)し、腿に付けられたエクステンド・ブースターを噴射させる。

 避け切れない勢いとなった十千屋に彼は押し込まれ、ついでとばかりに小型ガトリングに撃たれながら壁へと打ち付けられた。

 ISの衝撃吸収機能(ショックアブソーバー)が殺し切れない衝撃が彼を襲い、肺から空気が押し出され意識がとびかかる。

 そして、止めとばかりに十千屋は愛銃となったシャガール(ドゥオ)を至近距離で撃った。

 

 一瞬の静寂、もし誰かが見ていたらコレで決まったと思ったであろう瞬間…ゼルフィカール-龍也は動いた。

 

「よくもやってくれたな!借りは返させて貰う!!」

 

 彼は先程の猛攻で壊れた追加装甲をパージし、十千屋を突き飛ばした。

 傷だらけのゼルフィカール、いやバーゼラルドはソードの二刀流で十千屋を凌駕してゆく。

 

「まだ、こんなもんじゃないぞっ!!」

 

 二刀の連撃の締めで十千屋を大きく吹き飛ばし、今度は二丁拳銃で追い詰める。

 十千屋の誤算は、追加装甲の防御力を完全に抜けきれなかった事であろう。

 実際に龍也は倒される寸前であるが、逆に言えばこの最後の猛攻をしかけられる力を残してしまったのだ。

 

 十千屋もリベンジと言わんばかりの猛攻をただ受けているだけではないが、先の自身の猛攻による疲労、ドゥルガーへと変身させられない程の猛攻、何よりもこの状態に適したマガツキは爆散させてしまった。

 如何する事も出来なくなってしまった彼は龍也の攻撃に貼り付けにされてしまう。

 龍也は身を回転させランダムに弾丸を浴びせ続け、彼を追い越すと瞬時に反転、手には合体状態のユナイトソードが握られていた。

 

 「コイツで終わりだぁああ!!」

 

 バーゼラルドとユナイトソードのスラスターを全開にし、彼は一撃を今度こそ確実に叩き込む。

 この一撃は十千屋の正中線を捉え、スラスターの加速度、龍也の膂力、重量、全てが完全に乗った完璧な一撃だ。

 その結果、刃は十千屋の装甲に食い込みひび割れさせ、凄まじい勢いで地面へと叩きつけられる。

 

 彼が叩きつけられた場所はへこんでおり、かなりの勢いだった事を物語っていた。

 龍也はもう起き上がってくるんじゃないと思いながら其処を見つめている。

 だが、装甲が崩れ落ちながら敵はゆっくりと起き上がろうとしていたが…。

 

 

『フレームアドベンド 残量SE:0 ゼルフィカールWIN』

 

 十千屋が何とか立ち上がった時に龍也の勝利を告げる電子音声がアリーナに響き渡る。

 それでようやく、龍也は構えを解きホッとした。

 下を見てみると、装甲が剥がれフレームアーキテクトに似た姿となっている十千屋が敬礼をしている。

 龍也はその返礼をすると彼は頷いて、自身のピットへ戻って行った。

 

 その様子を見て龍也は思う。コレが()()で良かったと。

 今回の戦いはIS学園に入学してから今までで一二を争う激しいものであった。

 だが、彼の勘では十千屋は真剣であったが全力ではないと告げている。

 これがもしも生死を賭けた()()()であったのならば、負けるつもりは無いがただでは済まなかっただろう。

 願わくば試合以外では絶対に戦いたくはないものだと、そう思いながら自分もピットへと戻るのであった。




はい-と、言う訳でコラボ企画:前編【バトル編】で御座いました。
今回のゲストである『秋野龍也』君の産みの親であるたちゅや氏には彼らの行動の指導や添削などを担当していただき、どうもありがとうございました。

まだ後編である【お茶会編】は執筆中です。
どれくらいかかるか分かりませんが、確りと出したいと思っております。
内容は、十千屋夫婦と龍也カップルとの掛け合いを予定しております。

これからの執筆にたちゅや氏にはご足労おかけいたしますが、どうかよろしくお願いいたします。


そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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