IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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・・・ハッ(;゚Д゚)!
前回が・・・一ヶ月近く前だと!?
不定期とは言え、大変長らくお待たせしました。
書いていたら長くなったので、丁度区切りが良い所まで今回は上げさせてもらいました。

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA48ss:悩み事か、そこの女子

 さて、皆様は夏はどうお過ごしか?

 どんな風に過ごすかは個人の自由だが、夏はレジャーの季節です。

 国内でも海外でも選択肢は同じ・・・『海』か『山』か。

 この物語の主役たちであるIS学園の生徒たちは、どうやら学園ぐるみで『海』のご様子ですよ?

 

 

 

 「「「見えたぁあ!海だぁああ!!」」」

 

 そう声を上げるのはバスの中に居る女子生徒達。トンネルを抜けバスの窓から見えたのは快晴で(きらめ)く海原だ。

 今日は臨海学校初日、天気にも恵まれ照りつける日差しと海から運ばれてくる潮風が暑くも

心地よさを感じる良い日である。

 一夏達が乗るバスの中も浮かれてはしゃぎ出す生徒で一杯だ。

 

「いや~、やっぱり海を見るとテンション上がるなぁ」

 

「そうだね。初日は遊びたい放題だから、普通の旅行に来ているのと変わらないしね」

 

「それに比べて…」

 

「あぁ、うん…そうだな」

 

 一夏がはしゃぐ女子生徒達をみて同意するとシャルロットがその理由を察する。

 今回の臨海学校は三日間であり、初日は移動と終日自由時間なのだ。

つまり今は海に遊びに来ているのと変わらないのである。

 そういう訳ではしゃぐ生徒を尻目にセシリアと箒はとある席に目をやった。そこには…

 

「( ゚Д゚)y (ボ~~」

 

「(´;ω;`) シクシクシク・・・」

 

「お~…ちぇろん、なでなで ヾ(∂∂。 )ナデナデ 」

 

 まるでその一角がこの世界と分断されたかの様に暗かった。

 どこを見ているか分からない目で外を呆然と眺める轟、涙目でクヨクヨしているチェーロ、

そのチェーロを膝枕しながら撫でて慰める本音と、テンションが上がっている回りと真逆で下がりきっている。

 

「なぁ、一体全体アイツらはどうしたんだ?」

 

「ソレは私が答えよう、嫁よ」

 

「ラウラ?」

 

 余りにも違いすぎる世界を展開している様子に一夏が疑問の声を上げると即座にラウラが応対した。

 自然と出てしまった疑問であったために彼は放けたような様子で彼女に向くと、

轟とチェーロが落ち込んでいる理由を知ってるのか彼女も何処か気落ちした様子である。

 

Vater(父/十千屋)Mutter(母/リアハ)も明日の為に目的地へ早く出かけてしまってな。

一緒に旅行気分で移動できると思っていたSchwester(姉妹)に心的ダメージがきた、と言う訳だ」

 

「ああ、成る。そういや師匠も奥さんも朝から見かけてなかったわ」

 

 そう、この一年一組のバスのには十千屋とついでにリアハは乗っていないのだ。

彼らは臨海学校二日目のIS各種装備試験運用とデータ取りがある。その下見とかで早めに目的地へ出発していたのだ。

 その為、彼らとの旅行気分を楽しみにしていた二人はショックを受けてしまっているのである。十千屋は家族サービスには余念がないが、今回は上手くいかなかった様だ。

 

 

 「ヒャァアアッッホォオオオ!!パパ!!ありがとう!!!」

 

「スゲェなぁ。プロみたいな動きをしてやがる」

 

「確かに凄いですわねぇ。

 しかし、おじ様はこちら(海水浴場)側に来れないからとあんな物まで持ち込んでいたなんて。

 あ、一回転しましたわ」

 

「それにこっちはコッチでいい笑顔して掘ってるし、ねぇ?」

 

 さて、IS学園一同は宿泊する旅館に到着。

休憩もそこそこに生徒たちは遊び倒すために海へと突入していった。

 水着に着替えるまでダウナーだったチェーロも轟も海辺に十千屋からの贈り物が有ると本人から告げられると、今までの雰囲気が嘘のように一転する。

 チェーロには帆の付いたサーフボード-つまり、ウィンドサーフィンを、

轟には人の大きさくらいある砂の塊-サンドアート用の正方形に固めた砂が用意されていたのだ。

 チェーロの方はライフジャケットを着込み仲の良い友達を乗せ替えたりして海を疾走し、

轟は造形に興味がある生徒と砂を彫刻していた。

削られていく砂を見てみると、どうやら轟雷が削り作られているよである。

 しかも、パーツのバランスを見ると十千屋のISである打鉄カスタム『(イカヅチ)』が片膝をついているポーズらしい。

 

 それぞれ楽しんでいるのを確認できると一夏も海と夏を楽しみだす。

 セシリアにサンオイルを塗ってドキドキしたり、溺れかけた鈴を助けて急接近したり、

いざとなって恥ずかしがっている水着姿のラウラを褒めたり、

シャルロットと一緒にビーチバレーした時に揺れる双丘に目が奪われたり、と色々だ…フラグ強化ですか?コノヤロウゥー

 

 ちなみに、轟とチェーロの水着はそれぞれのIS-FA:G轟雷・スティレットを連想させそうな

カラー&装甲柄のタンキニである。

 

「あれ、そういや…箒は?」

 

「あぁ、篠ノ之さんはゆっくり海を眺めたいからって一人で磯の方に行ったよ?」

 

「はぁ…しょうがねぇなぁ。チョッと呼びに」

 

「ん~、篠ノ之さんも年頃だし一人きりになりたい時だってあるんじゃないかな?」

 

 ビーチバレーから抜けて少し休憩に入った一夏は箒の姿が見えない事に気づく。

その疑問にクラスメイトが答え、箒を呼びに行こうとしたが彼女に押し止められる。

 確かに箒だって一人きりになりたい事だってあると一夏は考え直した。

 

「それも…そうか。じゃあ、そっとしておくか」

 

「それがイイんじゃないかな?あ、それだったら私とペア組んでビーチバレーの方に行かない?」

 

「…今のアノ状況に混ざれ・・・・と?」

 

「……ゴメン、今は無しにして」

 

 立ち上がりかけた一夏は考え直し腰をまた下ろす。箒の事は気になるが自分から離れたのだからそっとしておいた方がいいだろうと結論づける。

 シートに座り込んだ彼にクラスメイトは一緒に遊ぼうと提案するが、彼が目を向けた方角を見ると反古する。

 彼と彼女の目線の先には、休憩に入り生徒と一緒にビーチバレーで遊ぶ千冬の姿があったが…

スパイクの度にボールとは思えない破裂音、そのボールが砂地に着弾すると舞い上がる砂煙、

ブロックすると宙に浮く生徒たち、そう…そこには千冬のワンサイド・ゲーム(一方的な残虐)があった。

 どうやら、ISで世界の頂点を取った女性()はビーチバレーでも最強らしい。

 

 

「ふぅ…」

 

 昼時だというのに黄昏て歩く箒は磯に打ち付ける波の音を聞いて物思いに耽る。

どうせ自分で考えても答えの出ない事なのに、と思ってもどうしても考え込んでしまうものだ。

 

「悩み事か、そこの女子(おなご)

 

「…っ!誰だ!?」

 

 急に話しかけられて思考の泥沼から引きずり出された箒は声をかけられた方向に向き構える。

そこには女性、いや自分と同じか少しばかり歳上の少女が居た。

 彼女は竿を器用に振るって少し遠くのポイントへと釣り針を飛ばした所である。

その風貌は浴衣を着込み、(すげ)笠を被り小さな折りたたみ椅子に腰を掛けている、という

立派な(江戸時代的)釣り人スタイルであった。

 傍には既に数匹釣り上げたのか携帯バーベキューコンロで魚を焼いており、香ばしい匂いがする。

 そんな箒のとっては予想も出来ないし思いもしない姿に、彼女はつい警戒してしまう。

 

「…ここは旅館の私有地だ。勝手な狩猟は禁止されている筈だが」

 

「きちんと許可は貰っている。()って食うのは食べる分だけだ。

 後はまぁ…フィッシング・スポーツ?と言うものか」

 

「…単刀直入に言おう。お前は「そちらはIS学園の生徒さんだろ?」っ…なぜ?」

 

 警戒の解けない箒は探りを入れるかの様に話しかける。が、元々この手の探り合いは苦手な彼女だ。疑問に感じたことは聞き出せない。逆に直情的に聞き出そうとしたら自分の身の上を当てられ更に警戒するはめになってしまった。

 少女の方は未だに竿を器用に操って釣りを続けながら箒の方へと顔を向ける。

きっと腰下まで届くだろう一本に纏めた金髪が笠の下で振れた。

 

「この時期、ここを利用するのはIS学園しかない。ただ、それだけだ。

 まぁ、コチラは仕事で来ているのから事前に知っていただけの事だ」

 

「そうか」

 

「さて、名も言わずに失礼だったな。私は(じん)、先程も言ったが仕事でここに来た」

 

「…篠ノ之箒」

 

「この後の予定が無いならソコに座るといい。砂浜へと戻る気は無いのだろう?」

 

「はぁ…言葉に甘えさせて貰う」

 

 ネタばらしかの様に名と訳をアッサリと話す迅に箒は気を張っていたのが馬鹿らしく感じ、

肩の力が抜けると同時に警戒心も萎えた。

 箒は彼女の(すす)めで傍に置いてあった携帯用の小さなパイプ椅子に座ると、やる事もなく

彼女の釣りを眺める。

 確かに彼女の言う通り箒は生徒たちが居る砂浜に戻る気はなかった。いや、正確には彼が居る

あの場へと今は戻りたくだけである。

 

「さて、君の悩み事は…他人から見れば取るに足らない事だろう」

 

「…貴女に何が分かる」

 

「そうだな…分かりかねる、かな?(よわい)一八程度だが、人の死に顔は見飽きたからな」

 

「貴方は一体、何をやってきたんだ…」

 

 いきなり話しかけられたと思ったら、箒の悩みの確信へとアッサリと踏み込むものであった。

確かに彼女の今の悩みは叩きつけるように()()文句を言えばハッキリするものである。

 何となくだが彼女は迅が何処の何者なのかは察しがついてきており、その語り方も()()()

似ていた。だが、それは人の道を外れた様な経験からくるものに聞こえ箒は率直に聞き返してしまう。

 

「大なり小なり悩みや未練、それを持ったまま逝く死顔は醜いものだ。

 悩むのも結構だが、分かりきっている答えならば行動した方が吉だぞ?」

 

「そう簡単に行けばいいが。乙女の矜持(プライド)というものがな…」

 

「ははっ、若いな。まぁ、父上ならこう言うだろう『命短し恋せよ乙女』

 それは華にも例えると言う。咲き誇り、実を結ぶと良いな」

 

「若いって、貴方も十分若いだろうが」

 

 何だかんだで話し相手となってくれた迅に箒は最初に抱いていた警戒心など完全に失せてしまう。力んでいたものは全て弛み、それと同時に…

 

 クゥ・・・「ぬぅ…///」

 

「あっはっはっはっ!確かに昼時だな。箒も此処で食べてゆくといい」

 

「それは有難いが。コレは貴方が自分のモノ(昼食)として釣った物ではないのか」

 

「心配は無用だ。足りなければまた釣ればいい事。それに相方も採取が終わって」

 

 ザバァッ・・・

 

「噂をすればだな」

 

「ふぅ…大量でゴザった」

 

 箒の腹の虫が飯はまだかと催促を寄越す。迅はそれに笑いながら此処で昼食を摂っていけばいいと言い、焼き魚となった獲物を差し出した。

 これには遠慮する箒であったが彼女は構わないと言い、その理由がそばの磯から上がってくる。

 迅と同じように髪を束ねた少女が海から上がってきており、手に持った網には貝や海老などが入っており腰に括りつけた魚籠(びく)もきっとそうであろう。

 だが、箒にとってはそれどころではなかった。真っ先に海から上がった少女に言うべきことがある。

 

 「何か羽織れ!不埒者!!」

 

「確かに上は着けておらぬが、下はキッチリ(ふんどし)を締めて…おろ?

 ……ああっ!どうりでスースーする訳でゴザルなぁ!?

 

 そう、上がってきた少女は()()()()と言ってもよかった。自己申告した唯一身に着けていた褌は泳いでいる間に緩み、股布は後ろから前へ跨ぐ様にするタイプであったのか…上から下まで

前面フルオープンである。

 確かにコレははしたない。自分の事ではないが年頃の娘としてはヤってはいけいない事の最上位に食い込むだろう。なのに当事者は笑いながら褌を外して水気を絞り、海で冷えた体を夏の日光とコンロの火で暖めながら調理を始めた。

 その有様に今度は箒の気力が(しぼみ)みきってしまい、黙々と出来ていく野外料理を口に運ぶのであった。

 

(はぁ…コイツらは一体。いや、何となく十千屋さんの関係者だろうと察せるが…

 何をやっているのだろうな、私は。あ、つぼ焼きオイシー)

 

(さて、仕事としては二日目からが本番だが…

 彼女()は自分が被要人保護対象だと分かっているのか?一人でこんな所まで来てしまって)

 

 黙々と食べる箒を見て迅はそう思っていた。

IS学園に居ると忘れそうだが、彼女は要人保護プログラムを受けている身である。

つまり、本来ならボディーガードを付けていなければならないのだ。

 今回の迅の仕事は二日目に行われるISの試験運用時に怪しい者が入り込まないか見張る事だ。

だが、普段IS学園では影からの警護をしている。その対象に箒も入っているのだ。

 それなのに一人でノコノコと集団を離れていってしまうのは警護上問題がある。

いくらここら辺一帯がIS学園の貸切であるとは言え、どこで誰が何で狙っているのかは分からないのだ。それもあって彼女はこの場に留まる様に勧めたのである。

 しかし、それよりも箒と迅の胸中に同じ事が(よぎ)る。それは…

 

((しかし、コイツは(箒・迅)とキャラが被っているんじゃないのか?))

 

 どうやら、どちらもサムライガールというキャラクター性の被りが気になってしょうがない様だ。

 そして、全裸の少女-藍は…

 

「いや~、やはり魚介は日本の物が良いでゴザルなぁ。

 いや、家の近くで()れる南国の魚介も悪いわけではゴザらぬが…」

 

 日本で取れる食材に舌鼓を打ちながら、獲ってきた獲物を調理して腹に詰めるのに夢中になっていた。

 

 

「(・ω・`*)ネーネー、コッチでいいの~?」

 

「うん、こっちで良いはず。看板にもそう書いてあったし・・・」

 

 さてはて、またとある所で集団を抜け出し行動する二人が居た。

彼女たちはある道をたどり何処かへ行きたいようである。

 そして、緩やかな上り坂を登りきった先には彼女らの目的地だろう平屋がソコにあった。




はい、前書きの通り・・・約一ヶ月ぶりです。
仕事が忙しい感じになっていたので、製作意欲が底に落ちかけてました。
それでも、今回ようやく上がり・・・『臨海学校編』が本格スタートしました。
予定ではあと2~3話位で銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)戦に入れると思います。

あとは、今回は書いてる途中で長くなりそうだったので区切りが良い部分で上げさせてもらいました。
それ故に次回はソコソコ早く上げられると思います。多分、きっと、メイビー・・・

まぁ、とにかく・・・最後の方で分かる方が多いと思いますが、とある意外でもないか?
あの娘がファミリー入りを決意するお話になっていると思います。
感想の方で意外と反響があったので。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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