IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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今回は教員サイドです。
これでほぼ、説明的エピローグが終了です。

では、どうぞ御ゆるりと。



IS×FA41ss:オゥケィ!ちっふー!!

 虎の尾を踏む、龍の逆鱗に触れる。

 藪を突けばヘビが出る、犬も歩けば棒に当たる。

 いや、最後のはちょっと違うか・・・

 ともかく、触れてはいけないモノが在るというのは本当だ。

 もし、それに触れてしまったら・・・一体どうなるだろうか。

 

 

 ここは職員室、その中で千冬は難しい顔をして自分の机に頬杖を突いていた。それもその筈、

学園長の呼び出されて今回の事件の指揮を取らされる事に成ったのである。

 事件の後処理は主に、今回の事件の目撃者-主に来賓にする説明と口止め、事件の実行犯の

確保、事件に対する抗議等など、大きく見れば三つくらいある。

 どの処理も学園教員等が手分けして奔走している。前回と違って学園内だけに収める事が

出来ないのが一番厄介だ。そんな事を思っていると、ちょうど経過報告に山田先生が来た。

 

「織斑先生、大丈夫ですか?」

 

「山田先生、いや心配には及ばない。所で其方はどうだ?」

 

「はい、十千屋さんと戦った生徒は洗脳-詳しく言えば後催眠を掛けられていたようですね」

 

「そうなると、アイツら(十千屋&ラウラ)の見立て通りにナニカされていたという事か」

 

「はい、元々女尊男卑の傾向があってソコに付け込むような内容だっと思われます。

 今は人を殺し損ねた恐怖でPTSD(心的外傷後ストレス障害)、所謂トラウマになっており治療が必要な状態です」

 

「生徒の方はそんな感じか。仕方あるまい、命のやり取りなんぞした事のないただの学生だったんだ。問題はそれよりも・・・」

 

「はい・・・試合を見ていた多数の生徒がショックを受けて気を病んでいます」

 

「ちっ、さながら初めて戦場を生で感じた新兵状態だな」

 

 山田先生が持ってきた報告は実行犯?である生徒の様子であった。彼女らはとある状態になると発動する後催眠が掛けられていたとの検分である。

 元々が女尊男卑の風潮にかられており、そこに付け込んだ催眠が掛けられていたようだ。内容は『男性装着者は居てはならない、消さなければならない』とかそういうものであろう。

 今では催眠術は解かれ、過激な行動には出ていないみたいだが・・・

代わりに心に傷を負ってしまった様だ。平和な時代の女子生徒には無理のないことである。

 しかし、さらに問題なのは事件を目撃した生徒らの一部がショックを受けてしまった事である。ISの兵器としての一面、特に殺傷や殺人に対して恐怖や衝撃を受けた。

 それは、ISでの戦闘行動に対してのトラウマや嫌悪感を引き立てるのには十分であった。

学園はこの事態にも奔走しており、十千屋も自分のコネを使ってカウンセラーを呼んでおり、

リアハが筆頭となって請け負っている。

 

「あの、ところで犯行を示唆した犯人の足取りはどうなってますか?」

 

「あぁ、そっちの犯人の目星は付いている。

 が、トーナメントの(なか)ばくらいから足取りを晦ませた」

 

「そう・・・ですか」

 

 山田先生は事件の策謀者の事を千冬に聞いてみたが、ホシ(犯人)は既に行方を晦ましていた。

 その策謀者は学園の教職員の一人であり、何かと女尊男卑的な発言をしていた者であり、

そして調べが進んだ今は(くだん)の生徒に後催眠を掛けた事が分かっている。

 更に十千屋のISの突然の不調にも関わっていた可能性も出てきた。彼のISの不調の原因は、ISにトロイ(時限)型ウィルスが仕込まれていた事に因るが、ではそのウィルスは何処から来たのだろうか?

 追跡調査の結果、今回のハンディキャップをISに登録及び設定を一括してやるアプリケーションに仕込まれていたらしい。そのアプリの製作者が件の教員でしかも作ったのもその人ただ一人との事だ。

 巧妙に隠され、クイックスキャンなど日常点検に使われる点検ソフトには引っかからないように成っていた。ウィルスの内容は指定の生徒-つまり、教員が仕込んだ生徒に当たればISの機能を

落としてゆく設定である。

 

「くそ、完全に後手だな・・・

 早いところ何とかせねば、IS学園どころか日本も拙い事になるというのに」

 

「へ?・・・えぇえええ!?どういう事ですか一体!?!

 

 千冬の言葉に思いがけず大声が出る山田先生。そんな彼女に千冬は机の中からとあるリストを引っ張り出した。

 

「・・・先ずはコレを見てくれ」

 

「これは、納品リストですね」

 

「そうだ。納品物にラインを引っ張ってあるだろう。どうだ?」

 

「ライン・・・何かいっぱいありますねぇ?」

 

 千冬から受け取ったのは学園への納品リストであり、そのほとんど八割から九割に彼女が

言った通りにラインが引かれてある。

 その事を確認できたと感じた彼女は、ため息をしてから次のような事を言い放った。

 

「もし、この事件の対応に学園が遅れたり、疎かにしたりなどしたら・・・・・・配給が止まる」

 

「へぇぇ、ISに関する重要な部品がかなり有るのに止まりでもしたら大へn・・・

 と、止まるんですかぁあああ!!!」

 

「あぁ・・・しかも、どんどん悪手を打ったらその影響が日本にまで及ぶ・・・・・・」

 

「大問題じゃないですか!一体どうして!?」

 

 納品物の中にはISに関わる部品なども多く載っており、もしコレらが学園に入ってこなければ

ISが稼働できなくなるのは目に見えた。

 それは日本とて同じであり、しかも現在の国防はISに重点を置いてある為それらが

動かなくなったら大問題ではない。山田先生が叫ぶわけである。

 

「ナナジングループを知っているか?」

 

「はい、先進技術を多く持っている企業グループですね。それが一体?」

 

「そこが十千屋の親玉だからだ」

 

 ナナジングループ・・・それは数々の先進技術を世に売り出している企業グループであり、

本社はゲムマ群島首長国にある。そして、十千屋が所属しているコトブキカンパニーの親会社だ。

 表向きは色んな業種に手を出している新鋭の企業グループであるが、知る人ぞ知る一面は

現世界に欠かせない高性能な電子機器や超精密部品の利権や独占を多く持っている企業である。

 無論、ISに使われる部品もその多くがナナジングループ製の物であった。

 つまり、ISの部品の支給には欠かせない存在なのだ。

 

「しかも最近、デュノア社を吸収合併した事は知っているな?」

 

「はい、何かゴタゴタがあってそれの結果くらいは」

 

ISシェア世界第三位(デュノア)IS系部品第一位(ナナジングループ)が合併・・・いや、吸収した。

 そんな所が止めると言って来ているんだ」

 

「あわわ・・・一体どうしてこんな事に」

 

「それだけ、ナナジングループにとってヤツは重要な人物だったという事だ。

 ちぃっ、完全にトンデモないモノを踏みつけた気分だ」

 

 ナナジングループにとっての十千屋は、実はとても重要人物である。

 と、言うのもFAのUEシステムや他の様々な高性能部品を手がけたのは十千屋だ。

 コトブキカンパニーと言うのは、重役に縛られるのを嫌った彼がのびのびと制作できるように

ナナジングループが作った子会社である。

 つまり、彼の庇護はナナジングループとゲムマ群島首長国と言う事だ。

 今回の事件の被害で、一番の被害というのは彼の怪我であろう。それを知ったナナジングループは無理難題に近い抗議をしてきたのであった。

 抗議内容の一つとして

『今回の事件におけるIS学園の対応が遅れたり悪い場合には、我が社と契約している納品を取りやめる』とあり、

『こちらの調査よりも遅れて、さらに対応していない場合にはIS学園だけではなく、関係国である日本にも抗議(いた)す』である。

 簡単に言えば、

『とっとと犯人を晒し首にしないとテメーらが大事にしているISを台無しにしてやるぞ』

との脅迫であった。

 

「最低でもヤツに貸し出しているISを一時貸与ではなく、完全な貸与にしなくては」

 

「それも、抗議内容にあったんですか?」

 

「ああ、と言うのも前からヤツに相談されていてな。

 ヤツに貸し出しているISは使用終了後は学園預かりになっていたのだが・・・」

 

「・・・だが?なんですか」

 

「そのISに以前からイタズラ、システムの書き換えや不良部品への交換など相次いでいてな。

 ログや防犯カメラを使って分かっており、使用前にチェックするから問題にならなかったから

 半ば放置になっていた」

 

「そうだったんですか。

 確かにそのような事をされていてはコチラに預けるのは不信に思いますね」

 

「もしかしたら、このような事態になる前に何かしら起きたかもしれないな。

 それもあって、ISを自分の船の中に置いておきたいと言って来たんだ。

 完全な貸与になればそれも可能だからな」

 

 ナナジングループの抗議には頭を抱えたくなるが、千冬は起こるべきして起こった事件だとも感じている。

 以前から十千屋が使っているISへの悪質なイタズラが起きているのは知っていた。それはIS男性装着者へのやっかみを含んでいると知っており、多少注意しても止まない事も分かっていた事である。

彼は事前の整備やチェックを怠らない為、今まで大事に至ったことはなく今まで放置されていた。が、もしもっと早く対処しておけば、例えば彼が所有するあの船の中に収容する事にしておけば、こんな事には成らなかったかもしれない。

 

「今回の事件は私たちの、女尊男卑の思想に関しての見通しが甘くて起こった事件なんですね」

 

「そう・・・だな。先程のリストもそんな考えをしている奴らを脅す為に作った。

 被害者が男だからって手を抜いてるバカ共(女尊男卑論者)が居るみたいだからな」

 

「織斑先生、私この事件解決に尽力を尽くします」

 

「よろしく頼む山田先生。私もそのつもりだ。」

 

「はい!」

 

「さて、次の脅しは・・・まだあのウィルスにISは侵されたままだったな。

 よし、バカ共をそれに乗らせて私とISバトルをさせるか」

 

「お、織斑先生・・・それはちょっと (^_^;)」

 

 この事件を切っ掛けに千冬はIS学園の風紀改善に乗り出すハメとなり、結果さらなる人員不足に陥る事になる。

 が、又しても十千屋によりナナジングループとコトブキカンパニー、ゲムマ群島首長国からの

補充要員が来る事となり、貸しを増やすことになるのは全くの余談であった。

 

 山田先生がこの場から離れて行き、誰も居なく成ったところで千冬はとある所へ電話をかけた。

 その宛先は、

 

 ♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦I have a big gun I took it P!

 

 とある着メロが流れる此処は・・・何と言うか、汚い。物が散らかりすぎて足の踏み場も無い様な部屋だ。

 床には何の部品だか分からないような物が転がり、この部屋の外からは爆発音や、

悪の三段笑いが聞こえてきたりと内外カオスである。

 そして、この部屋の主は着メロが鳴っている携帯電話のあるゴミの山に突っ込みながらコレを取った。

 

「ハイハ~イ!天が呼ぶ、誰が呼ぶ、ちーちゃんが呼ぶ!

 我こそは狂気のマッドサイエンティスト!篠ノ之たb ブッ

 

 そう、部屋の主は束だ。此処は十千屋が魔窟(パンデモニウム)と呼ぶマッドサイエンティストの巣窟で、

束に与えられた個室である。

 彼女はすかさず電話に出たつもりだが、応対した途端・・・一方的に切られた。それ故に携帯を持ったまま、着信履歴にあるちーちゃん(千冬)の文字を見てちょっと呆然とした。

 が、また彼女から掛かってきた為に巫山戯たいのを我慢して普通に出る。

 

「・・・篠ノ之束だよ、ちーちゃん」

 

「その名で呼ぶな」

 

「オゥケィ!ちっふー!!あ、丁度チーフ(主任)と兼ねてるからいい呼び名かも!!」

 

「・・・はぁ、まぁいい。今日は聞きたい事があって掛けた」

 

「何かしら~、ち~ふ~?」

 

「お前は今回の件に一枚噛んでいるのか?」

 

「はて?さて?え?一体なに?」

 

 電話を掛けてきたのは千冬で、とある事を聞きたくて束に繋げたのだが当の彼女にはサッパリの様だ。

 全く分からなそうなので千冬はとあるキーワードを言う。

 

「VTシステムの事だ」

 

「ああ!それ!あんな不細工な代物、私が作るわけ無いじゃん!だって、今回のはちーちゃんのデータでしょ?50%(半分)も引き出せてないじゃん!とーちゃんのアシストがあったとは言え、

 いっくんに負けるような代物なんて無意味だよ~」

 

 束の返答はNOであった。寧ろ、VTシステム其の物を否定してくる。千冬は心情的に楽になったような気がした。腐れ縁(知り合い)が犯罪行為に手を染めてない事に安堵したのである。

 まぁ、束の事だからどうせ他にしょうもない事をしていると思った矢先に、彼女らしい発言をしてきた。

 

「それに私は()()完璧で()()()()全な篠ノ之束だよ?

 即ち、作るものも()()完璧において十全に()()なければ意味がない」

 

「・・・・・・・・・ん?束、お前以前は完璧で十全だとか自画自賛してなかったか」

 

 千冬は黙って束節(たばねぶし)というか、彼女の自画自賛を聞いていたが、とあるフレーズに違和感を感じて聞き返してみた。

 すると、彼女はうっと言葉を詰まらせてボソボソと恥ずかしそうに言い訳を言い始める。

 

「・・・とーちゃんに以前ツッコまれてね。

『完璧で十全ならISはもう発展しないんじゃないか?何もかも完璧ならこれ以上は改良の余地は

 ないだろうし。そもそも、お前・・・自分で付けたISの自己進化機能でどうなるか分からないとか

 言っていたじゃないか。それのどこが()()()()()なんだ』って」

 

「・・・・・・なるほど、そうか」

 

「うん、とっても衝撃を受けたよ。束さんは回りを超越はしてるけど、振り返ったら完璧で十全のモノなんて作れてなかったんだよ。今もバンバン改良できるんだよ!ツッコまれた通りじゃん!!よくそんなんで自分で()()()()()って言ってたよ!!」

 

「だから、『()()』と付けるようになったのか」

 

「うん、だって回りは着いてこれないのは分かってるからね。

 でも、完璧じゃないからそうしたのだよ」

 

「・・・・・・・・・そうか」

 

 今ではほぼ身内にツッコまれた事が大層ショックだったようで、テンションの上げ下げがおかしくなっていた束であった。

 そんな彼女を千冬は、新しいなぁー・・・等とどうでもいい心境で返答している。

 電話の向こうでグズグズしている束が容易に想像できる中で、彼女がふと思い出したように言い出した。

 

「あぁ、そう言えばVTシステム関連で情報あるけど・・・要る?」

 

「なに?」

 

「あ、その疑問符は要るって事だよね?そのシステムを作った研究所ね。もう、壊滅してると思うよ?」

 

「なんだと!」

 

 ポロリと溢れた内容は千冬にとって看破できないモノである。何せ、今回の事件の主幹に関わってくるVTシステム側の害者が既にこの世に居ない事を示しているのだから。

 つい声を荒らげてしまう彼女であったが、束は平気な感じで続きを語る。

 

「今回の件、特にとーちゃんが大怪我した件については、とーちゃんに関わる人たちがみんな憤慨してたからねぇ。みーちゃんさんなんて、ドイツに脅迫してバカ達の殲滅とついでに新しいFAと

 その教官を送ったらしいよ?」

 

「何やら、相当不穏な言葉が聞こえたのは置いとくとしよう。

 だが、ドイツが・・・国が動いていると言うのであれば、システムの開発元がどうなろうと

 私の知る由もない。しかし、『みーちゃんさん』とは誰だ?」

 

「みーちゃんさん?みーちゃんさんの本名はねぇ・・・あ、忘れちゃった (´>ω∂`)てへぺろ☆」

 

「おい・・・」

 

「ヾ(@°▽°@)ノあはは、でもダイジョウ(ブイ)!直ぐに調べればちーちゃんでも分かるから。

 みーちゃんさんはナナジングループのド偉いさんだし、ゲムマの中でも一・ニを争う

 ドド偉いさんだから!」

 

「・・・・・・一体、アイツの人脈はどうなっているんだ」

 

 VTシステムの続きはもう既に国元で片付けているとしり、関与すべきではないと判断しこの件は終了させる。が、束から語られる衝撃の事実が続くせいで気力がどんどん萎えていく千冬であった。

 

「あーあぁー、でも・・・みーちゃんさんのせいで、束さん不発の不完全燃焼の不満足だよ!

 あっちが手を出してきたんだから、それに乗じてケチョンケチョンにしてやれたのに!」

 

 今度は、電話の向こうでプリプリ年甲斐もなく子供の様に不満タラタラな束が見えるようであった。

 しかし、内容がイケナイ・・・魔窟の仲間は「報復だ!復讐だ!ついでに世界征服レッツゴー!!」「レッッッツ!ハルマゲドォオーーン!!」とか騒いでいるらしいし、彼女自身も自家製の

IS無人機に十千屋が少しづつ作っていたアント-アーキテクトフレームの無人機を仕掛けてやろうとか、世界の危機この上ない事だったらしい。

 流石にこれは千冬は声を掛けようとしたが、

 

「本当に・・・とーちゃんが止めなければ、ゴミ掃除出来たのになー」

 

 今までのハイテンションと打って変わって、声の抑圧のないとても冷え切った口調で言った。

 千冬はこの言葉を聞いて寒気がすると同時にやはりと思う。今日再び電話越しだが会って、

十千屋のお陰で少しづつ束は変わっていったと思った。

 だが、その心に根付いている狂気は何も変わっていないのだと、

大事にする範囲が広まっただけで、それ以外はどうでもいいのだと。

 

「・・・ん?どうしたの、ちーちゃん?黙っちゃって」

 

「いや、何でもない。とにかく、VTシステムの顛末は分かった。もう用は済んだ。切るぞ」

 

「≧(´▽`)≦アハハハ、(*^-^*)ノ~~マタネー、ちっぷu ブツンッ

 

 直ぐに束の雰囲気が元のハイテンションに戻ったが、千冬は背筋に冷や汗の感触が残ったままである。

 ともかく、聞きたかった事を聞けた彼女はもう電話を切ることにした。

これ以上、気になる嫌な話題を増やしたくない為である。

 気に障る束の冗談を一刀両断かのごとくに電話は切られたのであった。

 

 因みに千冬は今回の部品問題について、束にISはお前が作った物ではないのか?

と聞いてみたところ。

 

「ISコアは束さんオリジナルだけど、それ以外は既製品だよ~。

 そりゃ、束さんなら一から部品を作る事も出来るけど・・・楽できる所は楽するって」

 

 と、至極当然の事を言い、もうISが生まれる前からナナジングループに敵わないのは決まっていたことだったらしい。

 

 

 

 

――おまけ:魔窟(パンデモニウム)とか様子――

 

「はっーはっはっはっ!わしらに手を出そうとは愚かな!()けい!Wナンバーズ達よ!!

 世界征服とついでに十千屋の仇討ちじゃ!!」

 

「「「「すみませーん、追加の研究資金を稼ぐためのバイトが重ねっているので無理で~~~す!」」」」

 

「どわぁはあ!?なら・・・フォルテよ!お主が行け!」

 

「何言ってやがる、センター禿げ。今日は休日だ、気分じゃねえよ」

 

「ちくしょぉぉおお!?どいつもこいつもーー!?」

 

 

亜魅姫(あみき)?ちょーーっと、回りのAMIDAを鎮めてほしいのだが・・・(^_^;)」

 

「お父さん?この子たちを外に出しちゃダメだって十千屋さんに言われてたよねぇ?」

 

「だから、その十千屋君が殺られたその報復に・・・」

 

「・・・黙れ、行ってAMIDAたち」

 

 ワシャワシャワシャワシャ・・・

 

「ちょっ!待っ・・・!!ぎゃぁあぁあああ!!!!」

 

 

「さて、我がパトロンが卑劣な罠によって倒れた・・・故に我らは動かなければならい!

 が、居るのはΣシリーズだけとはどういうことじゃ!?」

 

「シャドーサン ハ マリア様 二 サソワレテ ルスチュウ デス」

 

「ルージュ様 ハ ホンショク ガ イソガシイ トノ コトデス」

 

「ワレワレハ コノアト マクツ ノ ケイラ ニ イク ヨテイ ガ アリマス」

 

「ぬぐぐぐ・・・」

 

 

「十七朗!一八子!私たちも出るぞ!」

 

「指図するな、ドクター嘔吐物」

 

「貴様ぁあ!生みの親になんという口を!!」

 

「死にかけてる所を助けてもらった事には感謝しているが、誰も改造しろ何て言ってねぇ。

 それにダセぇ名前付けやがって」

 

「行くぞ、オクト」

 

「ああ、セヴァン。私も旦那と娘が待ってるからな。じゃあな」

 

「この親不孝が! ポン おお!十六朗、お主は来てくれるのか!?」

 

「いえ、遊歩道の景観保全のボランティア活動があるので、それで断りに来ました」

 

「ぬがぁあーー!」

 

 

 えー、ただいまの魔窟(パンデモニウム)の様子ですが、いつもに増して混沌としております。

 十千屋が襲撃されたことによる報復活動として暴れたがっていますが・・・

大抵の科学者達が自分の部下や創造物に拒否られている最中です。

 このまま、本人だけで全力前進DA!をやられては困るので、良識のある人たちが止めに掛かるのが日常である。

 

「おお、来てくれたか。みんな」

 

「ギルモア博士、要件はなんですか?」

 

「若旦那を傷モノにした連中の調べは、もう別の所が出てますぜ?」

 

「いや、いつものじゃよ・・・」

 

「またかよ・・・」

 

「愚痴る気持ちは分かるが、やらなければ被害が出るからな」

 

 その良識派筆頭であるギルモア博士と00No.チームは毎度暴走するマッドサイエンティスト共を鎮圧するのがパターンと成っている。

 彼らがため息をついていると、同じようにMD(メイルデバイス)を付けた女性たちも近くに来た。

 

「コチラの方がバカ騒ぎに成ってると思って応援に来ました」

 

「あれ、君たちは十千屋さん所のメイド部隊じゃないか」

 

「あはは・・・」

 

 00No.チームの一人が問いかけると、茶髪のショートカットの女性が苦笑する。

 彼女たちは十千屋の家を守るメイド達で有事の際は戦闘ができるメイド部隊なのだ。

 茶髪のショートカットが『和子(わこ)』、金髪で三つ編みを二つに分けているのが『イリス』、

色白で黒髪の長髪は『サーシャ』、褐色の肌の女性は『マシュウ』と言い、彼女ら四人合わせて『チーム:WISM』と呼ばれている。

 

「いやな、ウチらの所は旦那から連絡が来て暴走は収まったんだが・・・」

 

「メイド長が怖いのでこちらに避難してきた、と言うのが実情です」

 

「いっ・・・いったい、何シテルあるネ」

 

 マシュウが気まずげに頭を掻きながら、イリスが無表情でこちら側の現状を話すと、

一体何が起こったのかと聞き返してくる。

 それに答えるのは、頬に手を当て困った様子のサーシャであった。

 

「旦那様の元には今は行けない。原因を駆逐するのも止められている。

 そんな、フラストレーションを発散する為に仕事の合間を見つけては

 トレーニングルームに篭っているのです」

 

「その様子が怖いんですよ。自分の大得物を振り回しながら・・・」

 

 彼女に続けて語るのは和子であるが、その目が死んでいる・・・彼女が語るシルヴィアの様子とは、

 

 

In living's purpose, an alms.(生者の為に施しを、)

 

It's a bouquet for the dead.(死者の為に花束を。)

 

I have a sword for the justice.(正義の為に剣を持ち、)

 

It's mortal sanction for rascals. (悪漢共には死の制裁を。)

 

I make lay, and, we―――.(しかして我等―――)

 

It isn't added to saint's line. (聖者の列に加わらん。)

 

It's vowed to a name in Santiaguito.(サンタ・マリアの名に誓い、)

 

It's an iron hammer in all adulteries!(全ての不義に鉄槌を!)

 

 シルヴィアは、この言葉をまるで祝詞の様に呟きながら、自分がよく使う大きな武器を振り回し続けている。

 全身から汗が噴き出し息が乱れかけていても、この言葉を途切れさせない。

 それはまるで、祈りの様な怨嗟の様な・・・一途な想いの成れの果ての様に見えた。

 

 この場にいる全員が冷や汗を流した。思い立つものはただ一つ・・・

 十千屋よ、早く元気になって戻ってきてくれ。そして、この暴走を止めてくれ。で、あった。




はい、前書きにあった通りにこれで説明的エピローグが終わり、次の『臨海学校編』に進めるかと思いきや・・・
実は今回、かなり長くなった部分がありまして・・・書き途中でそれらを抜いて今回完成しました。
そんな訳で、次回はFAだらけの粛清戦を書きたいと思います。
さぁ・・・次はドイツだ!

少し書けているので、いつもよりは早く書き終えて上げられれば・・・いいなぁ(遠い目

あと、ナナジングループは色々とヤバいデウスエクスマキナ(ご都合主義)と化しているので、お察し下さい(^_^;)
ついでに英文は、エキサイト翻訳なので誤字、文法間違いがあるかも知れないです・・・
英語補修ギリギリ回避だった私には・・・ちゃんとしたのは、キツイです。orz

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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