IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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はい、原作開始から2話目です。
早々に感想も書いていただき感謝感激でございます。
そして、まずは大きい原作剥離を起こしています。
では、3話目を御ゆるりとどうぞ。


IS×FA3ss:今年で23になるな

 さて、ある意味怒涛の展開を見せた朝のSHRだったがようやく終わりを迎え初授業までの空白時間となった。

 やはり年頃の女の子なのかお喋りが始まる。

 その中心というか誘蛾灯は織斑一夏であり、彼を中心にして女生徒が集まる。

 その一方で十千屋は轟とチェーロに挟まれていた。

 轟はぴったりと寄り添い、チェーロは撫でろとせがむ。

 そのちょっと近寄りがたい雰囲気をものともせず一夏は十千屋に話しかけてきた。

 

「え、え~と見た目とさっきのが凄かったから話しづらいんだけどさ。俺は織斑一夏、同じ男性

 装着者としてよろしくな。」

 

「ん?あぁ、まぁほど程にな。」

 

「お前、同じ境遇の奴にソレはないんじゃないか」

 

「…貴方の方が失礼だわ」

 

「そーだよっ、あんたのせいでパパがどれだけ苦労したか知ってるの。…ほぼ独占できる時間がで

 きたのは嬉しいけど」

 

「どういう事だよ」

 

「すまないが、ちょっといいか」

 

 気軽な雰囲気で話しかけてくる一夏に対して、お座なりな十千屋と彼に敵愾心を剥き出しにする娘(仮)S’。

 その対応にムッっとするが誰かが話しかけて中断される。

 その人物とは長いポニーテールをしている女生徒、篠ノ之箒だ。

 

「一夏を借りたいのだが」

 

「それなら構いませんよ、私の方からは特にないですし」

 

「同上よ」「おなじく」

 

「うん?あぁ、なんだ箒?」

 

「少し話がしたい。着いてきてくれないか」

 

「わかった」

 

 どうやら箒は一夏と二人きりで話がしたいようである。

 二人がこの場から離れようとした時に十千屋が引き止めた。

 そして、自分の鞄のクリアファイルから一通の封筒を出す。

 

「あっ、ちょっと待った。篠ノ之さん、貴方宛に預かり物があったんだ」

 

「預かり物?」

 

「これだけど…ちゃんと読んで欲しい。心中色々あるかもしれないが」

 

 その封筒は、いや形からすると便箋か。

 薄いピンクでレース模様が飾りで付いている可愛らしいものであった。

 宛名は『篠ノ之箒 様へ』で差出人の名前はなく、裏は小さなウサギのシールで止めてあった。

 その品にどこか連想させられるものがあったのか、顔を顰めながら仕舞い込む。

 

「・・・用件はこれだけか」

 

「そうですよ、お邪魔しましたね」

 

「では、行くぞ一夏」

 

「えっあぁ、うん」

 

 そうして教室を出てゆく二人。

 それと入れ替わって次なる人物が彼らに近寄ってきた。

 その人は縦ロールのある長い金髪に透き通った碧眼を持つ女生徒

 

「お久しぶりです、ミスター十千屋。いえスカルマンさん。」

 

「お久しぶりですね、ミス・オルコット。ジェームズ・ボンドとボンド婦人はお元気ですか」

 

「ええ、家族だけの時はこちらも呆れるぐらいの元気で愛し合いっぷりですわ」

 

「パパ、誰この人」

 

「たしかイギリスの代表候補生」

 

 話しかけてきたのはイギリスのIS代表候補生『セシリア・オルコット』

 彼とどこか親しげに話す彼女に娘(仮)S’は警戒心を出し、それを見ていたクラスメイトは興味津々で続きを見守る。

 彼は警戒する彼女らの頭を少し乱暴に撫で、顔は見れないが苦笑して話す。

 

「お前ら何心配してるんだ。ミス・オルコットとは以前イギリスでちょいとドンパチなっちまった

 時の知り合いだよ」

 

「そうですわよ。貴女方の心配するような事は一切ありえませんわ。良くて、見た目は変ですけ

 ど素敵なオジ様という感じですわ」

 

「ふ~ん」「そう」

 

「疑いの目はやめてくれませんこと」

 

 十千屋とセシリアが互の言い分を言い、それを冷ややかな目で娘(仮)S’が見る。

 が次の瞬間、彼と彼女はため息をついた。

 

「しかし・・・」

 

「まぁ・・・」

 

「織斑一夏はありゃ本人も周りも苦労しそうだぞ?」

 

「やはり、あなたもそう思いですか。貴方と比べるとどうしても見劣りしてしまいますわ」

 

「成長に期待するしかないかねぇ」

 

「「はぁ」」

 

 その後、自由時間が終わり初めての授業が始まる。

 ちなみに教室を出ていった二人は、そこそこ遠くまで行ってたらしく遅刻して千冬から出席簿アタックを貰った。

 そして、授業が進むにつれて一夏がどんどん難しい顔をしてゆくので副担任の山田が声をかけるが

 

「織斑君、どこか分らないところがありますか?」

 

「え、えーと……全部分りません」

 

 これの答えには皆の息が詰まった。

 誰もが入学前には基礎中の基礎、候補生などに至ってはもうすでに知っている内容を理解していないというのだ。

 たしかに一夏は特殊な事情で緊急入学したが、それの措置はされていたはずである。

 その確認を千冬は目を鋭くしながら一夏に聞く。

 

「織斑、入学前に渡された参考書は読んだか。必読と書いてあっただろ」

 

「……古い電話帳と間違って捨てました」

 

 またもやあまりな回答にほぼ無意識であろう。

 かの愚か者に向かって無慈悲に出席簿が落とされる。

 痛みに沈んでいる一夏を尻目に千冬は措置内容を言い放つ。

 

「はぁ、再発行してやるから一週間で覚えろ」

 

「い、一週間!?無理だって千冬姉!」

 

 スパンッ!と再び出席簿アタックが一夏を襲う。

 無慈悲な2撃目が落ちた。

 そのままの打ち下ろした姿勢のまま厳しい目で彼を見下ろし口を酸っぱくしていう。

 

「織斑先生、だ。一週間で覚えろ」

 

 授業が始まって何度も出席簿を喰らい涙目になる一夏。

 やり場のない気持ちは他人事みたいに、いや実際に他人事なのだが余裕のありそうな十千屋に向かう。

 

「なんで十千屋の方はそんなに余裕なんだよぉ」

 

「そりゃ、事前学習は済んでるし。しかも、関連事項だけ言えばもう履修し終わっていますし」

 

「え、どういうことだそりゃ?」

 

「織斑、十千屋は一応同級生だがお前から見たらかなりの年上だ。言葉使いには気を付けろ」

 

「え、年上?十千屋が??えぇぇええ??!!!」

 

「そうだな。今年で23になるな」

 

 突然の事実にクラスが騒然となる。

 たしかに雰囲気は落ち着いているように見られたが、性格的なもので本当に老けているとは思っていなかったようだ。

 特に唯一二人の男性装者で親近感を寄せていた一夏にはショックが大きい。

 

「えっマジ、本当にそうなのか!?」

 

「さっきも言いましたが」

 

「何をそんなに狼狽えている織斑」

 

「だって、千冬姉!」

 

 スパンッ!

 

「いい加減間違えるな。織斑先生、だ。」

 

 お決まりに成りつつあるツッコミをしてもクラスの動揺は収まらない。

 その様子を見て千冬は一旦授業を切り上げ、十千屋近辺の諸事情を説明する。

 

「十千屋が言ったとおり彼はお前らよりもかなり年上で通信制といえども大学も卒業済みだ。彼が

 このクラスひいては学園に居るのは保護という名目に近い」

 

「ちなみに内定を貰い、所属している企業の内容でISと類似している部分はもう終わってます」

 

「本当にその部分だけは卒業レベルなんだがな」

 

 いったい彼にはどれだけ驚かせられればよいのだろうか。

 元から彼を知っている娘(仮)S’とセシリア以外は口が塞がらない。

 そんな中で山田先生は一夏に近づき両手を握り締め彼に詰め寄った

 

「お、織斑君。分らないところは放課後なら教えれますので……頑張りましょうね」

 

「はっいい、おっお願いします」

 

 両手を握られた彼は目の前に押しつぶされて迫り出した見事な双丘に目のやり場に困りながら言葉を返す。

 この様子を見かねた千冬は呆れた目をしながら十千屋に言う。

 

「十千屋、アレの面倒をできる限りしてくれ。私と山田君だけでは手が回らない事もあるだろうか

 らな」

 

「拒否権はありますか」

 

「無い。その代わり学習も立場も叩き込んでくれて結構だ。あいつは本当に何も分かっていないよ

 うだからな」

 

「それは学習的なスパルタでも?」

 

「精神的にも両方とも可だ」

 

 両手を握り締められたまま聞いていた一夏は肩と頭を落とす。

 どう足掻いても猛学習という名の絶望からは逃れられないようだ。

 

 

 

 なんやかんやでもう三限目までたどり着く。

 初日だというのに濃い日であったが、最強の爆弾発言を千冬が放つ。

 

「そういえばクラス代表を決めていなかったな。この時間はその選出に当てる、自薦他薦構わん

 早々に決めるように」

 

「はーい!織斑一夏くんがいいと思いま~す!!」

 

「賛成!」

 

「唯一まともな男子だもんね!」

 

「そうそう、それにやっぱり話題性も肝心よね」

 

「ちょっと待て!俺はやらないぞ!?」

 

「却下だ。自薦他薦も問わないと言っただろ?選ばれたのならやれ」

 

 決めると言った瞬間、一夏に向かって票が急激に集まる。

 この短時間でノリがイイというのが分かるクラスメイト達は、もはやアイドルのように彼をはやし立てる。

 クラス担任の千冬も早々と決まるのは問題ないらしくこれにて決定としようとしたところで一声上がった。

 

「はい、自薦と他薦を致しますわ。他薦は十千屋さんを指名します」

 

「ミス・オルコット?」

 

 一声の主はセシリアである。

 彼女は十千屋を引っ張り出したいようであった。

 その内容に娘(仮)S’を除いたクラスメイトは不満な目で見る。

 だが、それを気にせず彼女は言葉を綴った。

 

「ふふ、ミスター十千屋。貴方は企業代表なのでしょ?複数名クラス代表候補者が出れば試合など

 で決めるはず、そこで今の私を見せて差し上げますわ」

 

「あ~、ミス・オルコット大変申し訳ないんだが・・・自分は代表候補生候補みたいな感じでISを

 持っていないんだが」

 

「…え?」

 

「うん、持ってないんだ」

 

「う、嘘ですわよね?貴方ほどの方が専用機を持たれてないなんて…」

 

「いや、本当に無いんだよ。うちの企業の所持数は大盤振る舞いの3つで、一つ目は既にうちの企

 業代表でIS学園最上級生の専用機に二つ目は轟とチェーロ共用の試作量産機に、最後は研究開発

 用に企業に置きっぱなしだ」

 

 彼から理由を聞き口からエクトプラズムが出るかのように呆けるセシリア。

 まさかこんな理由で出鼻をくじかれるとは思ってもみなかったようだ。

 そこに無知な一夏は疑問を投げかける。

 

「三つしか無いなんて、少ないんだな」

 

「織斑、キサマは…今から言うページを読んでみろ」

 

 千冬の指示によってISの基本の文を読む一夏。

 そこでISコアの絶対数が467機分である事を知った。

 さらに詳しい内訳として、322機が実戦配備され145機が開発企業や国家機関に所有されて研究用や専用機に使われている。

 即ち、全世界で自由に使えるコアは145機分ということだ。

 一企業で三つというのはどれだけ凄いのかを推し量ることができる。

 

「まぁいい。クラス代表はオルコットが言ったとおりに試合、総当たり戦で決めることにする。他

 の奴らは異論は無いな」

 

 こうして、一抹の不安があるが勝ち抜きクラス代表決定戦が行われることに決定した。

 開催日は来週の月曜日である。

 さて、ISを持たない一夏と十千屋はどうなるのだろうか。

 




さて、3話目は如何なものでしょうか。
まずの原作剥離はセシリア・オルコット嬢の身の回りですね。
両親が健全で実は結構ヤバげな人達となってしまってます(汗
いや、イギリスでブレイクと言ったらこの方が浮かんできてしまった結果ですけど・・・(遠い目
それ故にセシリアの身分が当主補佐となってしまってます。
ここら辺の話し、というか原作開始前とか学園外でオリ主・原作勢以外の話はいつかEX話として書きたいですね。
それらのネタバレワードとして十千屋は一応、営業マン(物理)だったと言うのが挙げられます。
故に過去の営業が現在に響いてブレイクしている、と言う訳です。
では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。


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