IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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ついに本命の登場です。
ある意味、ネタ的にもです。


では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA34ss:お楽しみはこれからだ!!

 Welcome to this crazy stage・・・

 このロクでもない舞台へようこそ

 君は tough girl に成れるのかな?

 そして、

 Welcome to this Hell・・・

 お嬢様方、ようこそ…地獄へ

 

 

 さて、トーナメントは恙無く進み第一回戦目の終盤に差し掛かっていた。

 そこいらでようやく注目のペアが出てくる。『十千屋 雄貴 & ラウラ・ボーデヴィッヒ』だ。

 だが、彼らが出てくる前に千冬から連絡事項があるようで観察室から放送がかかる。

 

「さて、皆様お待たせいたしておりますが、私…戦闘教導官主任:織斑千冬から連絡があります」

 

 その連絡とは、十千屋に関することであった。

 内容は実力差がひど過ぎるので、ハンディを付けているとの事である。

 ・SEは二割減、つまり総SEは八割となっている。

 ・その八割から計算した三割分SEが削られると退場となる。

 ・ISは軽装甲のカスタムとなっており、結果的に防御力が下がっている。

 ・武器は二丁拳銃、ショットガン、大型武装の三種となっている。

  以上。

 

 この内容から彼の恐ろしさを知る一年生、特に一組はこれなら…と思い、何も知らない観客たちは怪訝な顔をする。

 だが、次の瞬間…様々な期待は外れる事となった。

 

「ご来場頂いている観客の皆様方は知らないでしょうが、十千屋 雄貴は入学実技試験から

 今までで()()()()()()()()()()()()()()と言えばご理解いただけるでしょうか」

 

 千冬の言葉に会場は(どよ)めき立つ。だって、有り得ないだろというのが観客たちの反応だ。

 数拍後に彼女から正確な注訳が入った。正しく言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()である。

 十千屋は自分で防いだり、掠ったり、身を挺して庇いワザと喰らった以外は、相手からの攻撃をまともに喰らった事は無いのだ。しかも、今まで無敗である。

 この情報を受けた観客たちは、まぁそれなら…と納得し始めた。

 そして、最後に千冬から彼らの対戦相手と成る生徒たちに告げられる。

 

「本来はこれらのハンデで負い一人で出場させるべきだと思ったが、トーナメント参加人数の

 都合により出来なかった。そして、このハンデ付きなら何とか成ると思ったら大間違いだ。

 軽装甲と言うことはそれだけスピードも上がり、奴なら決まったダメージ量以外のSEを

 全て攻撃に回すに違いない。しかも、武器はとんでもない物を使用しており、

 ペアは実力が高いラウラ・ボーデヴィッヒと組んでいる。

 以上から諸君らに掛ける一言はコレだ。『(精神的に)死ぬな』…以上だ」

 

 最後の千冬の一言で会場は静まり返った。だが、何時までもこうしてはおられず試合のアナウンスが流れる。

 

「いっ一年生 Dブロック 一回戦 三十六組目、準備お願いしたします」

 

「ねぇ…呼ばれてるよ。双葉?何してるの」

 

「ふふっ…遺書をちょっとね。コレでハードディスク内のヤバイやつは見られずに逝けるわ」

 

「ちょっと!?なに覚悟完了してるわけ!!」

 

「川崎…良い人生だったよね?」

 

「双葉京子!確りしてっーー!?」

 

 相手ペアは不幸な事に一組の生徒(クラスメイト)であった。

 ツインテールメガネでオタクの入った少女-双葉 京子(ふたば けいこ)(座席No.18)は目が死んでおり、

 ポニーテールで活発な少女-川崎 綾(かわさき あや)(座席No.4)は彼女の肩を掴み揺らして正気に戻そうとしている。

 何とか試合できような状態に取り直した双葉を連れてアリーナへ出ると、もう相手は待っていた。

 

 第一印象は『赤』と『黒』である。ラウラのレーゲンは黒を基調としているが、十千屋のISも黒だ。しかし、その身をマントの様なサーコートの様な赤い布を纏っている。

 その正体は『八九式防弾布』つまり防弾性を持った布である。そして、それに更にABC(アンチ ビーム コーティング)を施し、赤くしたものだ。

 

 今回の十千屋のISはFA轟雷のバリエーションの一つ、

 『高機動型 軽装甲仕様 近接カスタム 《迅雷》』である。

 そう、迅のFA:G迅雷の元となったFAだ。それ故に装甲が肩、腿、脛、足先しか付いておらず

 他は(マテリア)スーツが露出している。

 防弾布はそれの保護の為の装備であった。ちなみにIS本体は黒に塗装してあり、頭頂部だけは

 防弾布に合わせる為にか赤に塗られていた。

 

 

 試合開始のブザーが鳴り響く、十千屋ペアは互いに付かず離れずを意識して間合いを取り、何時でも抜き撃ち出来る体勢で相手の出方を待っているみたいだ。

 ブザーが鳴った後、直ぐに距離をとった川崎と双葉はその事に気づくと恐怖を押し殺してライフルで攻撃する。ちなみに川崎が打鉄で双葉がラファールだ。

 今まで習った通りの撃ち方で飛ばされた弾丸は、呆気なく防がれてしまう。ラウラは停止結界を使って、十千屋は半歩ズレる様な動きでだ。

 攻撃し始めて自棄(ヤケ)になっていたのか、始まる前はあんなに狼狽えていたのが嘘の様に撃ち続ける双葉であったが、標準のロックが掛かった警告によって我に返る。

 それと同時に川崎がフォローに入った。肩部ユニットにある強固な物理シールドを持つ打鉄で援護防御する為である。まるで援護防御が間に合うかの様に放たれた十千屋の兇弾は、予測通りに

物理シールドにめり込んだ瞬間…爆発した。

 

「きゃあっ!?」

「うわぁっ!?」

 

「あの人の事だからタダの弾丸じゃ無いと思っていたけど…」

 

「うん、炸裂弾だったみたぁ・・・え?」

 

 確りと防御できた双葉ペアは先ほどの攻撃を分析していたが、川崎は物理シールドのダメージを知らせるISの報告に言葉を失った。

 何せ、定評のある打鉄の物理シールドが大きく(えぐ)られていたのだから。

 呆気にとられる二人であったが、今度はラウラから砲撃が来る。こちらは無事な方の

物理シールドで防御できたが、これを皮切りに十千屋ペアに依る攻守交替が始まった。

 まるで差を見せ付けられるかの如くの正確無比な射撃、あっという間に武器ごとマニュピレーター(ISの片手)が、背面のスラクターユニットが、脚部の一部が破壊される。

 まだ戦闘行動が出来るが、大きく戦闘力が削がれてしまった。

 それと共に双葉ペアの戦意も削がれる。だが、十千屋はソレを嘲笑(あざけわら)うかの如くに叫んだ。

 

「さあどうした?まだ脚部がちぎれただけだぞ。かかってこい!武装を呼びを出せ!!

 戦法を変化させろ!!スラクターを再調整して飛び上がれ!!銃を出して反撃しろ!!

 さあ戦いはこれからだ!!お楽しみはこれからだ!!

 ハリー!(早く)ハリーハリー(早く 疾く)!!ハリーハリーハリー(早く速く疾く)!!!」

 

「赤黒でデビルハンターかと思ったらっ…主人公兼ラスボスのドラクル伯爵じゃないですか!?やだぁああーーー!! 。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。」

 

「双葉!っくぅ!?」

 

「どうした、お前の相手は一応、私だぞ?」

 

 双葉はすっかり怯え、新しい武器を呼び出すと弾幕を張りながら逃げる。それのあとを十千屋が追った。ペアの惨状に川崎が援護に入ろうとするが、こちらはラウラにターゲティングされてしまっている。

 彼女はブレードで対抗し、ラウラは合わせてくれたのかレーゲンのプラズマ手刀で応対した。

 一発一発づつ丁寧に追い詰められていくペア(双葉)をハイパーセンサーで尻目に川崎は苛立ちながらラウラに言い放った。

 

「あなたっ、軍人(プロフェッショナル)なんでしょ…こんな事せずさっさとすればいいじゃない!」

 

「確かにコレは一時の戯れかもしれないが、私達はこの場(戦場)に居る…鉄火を以って闘争を始める者に素人(アマチュア)玄人(プロフェッショナル)もあるものか!お前たちはただ来た、戦うために 打ち倒すために

打ち倒されるために (相手の希望を)砕くために!!」

 

 やはり普通では無い、彼女の頭の中はそれだけで一杯になった。だが、それが普通ではないだろうか。所詮は、競技の延長線上に居る者(スポーツ選手)なのだ。職業として戦う者(軍人 傭兵etc…)とは、心構えから何もかも違うのだ。普段は相対さない両者が、この(戦場)で交わってしまったのは不幸としか言いようがない。

 

 

「ぎゃにゃぁああ!?今度はワザと掠らせてきたーー!?」

 

「おいおい、もしかしたら普通に外したかもしれないだろ?」

 

「違う!絶対に違う!!て、いうか…ダンナのネタするんだったら、

 オルコットさんと組んでやってよ!?」

 

「セシリアは確かに美人で英国人だ。だが、威圧感が足りない!それ故、

 金髪碧眼褐色美女を連れてこい!英国在住なら尚良し!!」

 

「アンタどれだけ王立国教騎士団(HELLSI○G)が好きなのよ!?」

 

 双葉ペアは劣勢に次ぐ劣勢、これは誰からの目から見ても()()()()にしか見えなかった。

 そうと分かっていても何とか反撃しようとするが、悲しいかな…実力に差があり過ぎてどうする事もできない。

 そして、双葉と川崎が互いに擦れ違いそうになったとき終りが来た。

 

「ラウラ…()()でゆくぞ」

 

「了解、Arten von Waffen…Start!」

 

 双葉を追っていた十千屋は弧を描く様に彼女の前に突然飛び出し、ラウラは川崎の攻撃を受け流して立ち位置を入れ替える。

 ちょうど双葉ペアが十千屋ペアを挟み込む様な配置となった。コレで双葉ペアが有利な立ち位置となった様に見えるが、それが間違いなのは直ぐに分かる。

 

「さて、お楽しみはコレからだ!」

 

「フォローは任せろおやっさん!」

 

 十千屋は二丁拳銃を自在に振り回し撃ち放つ。前後撃ち、腕を交差して両面撃ち、

 揃えて一点集中など様々な撃ち方を行った。化物みたいな威力を持ち、その反動も計り知れない銃をまるで演舞の様に動かして双葉ペアを蹂躙する。

 ラウラは僅かに出来る隙を新しく読み込み(インストール)してあったのか、ソードオフのショットガンで援護(フォロー)していった。

 

「コレで終わりだ…」

 

「ふっ…しておいて何なんだが殆ど大道芸だな、コレは」

 

 蹂躙が終り後に残ったのは背中合わせで残心を極めている十千屋ペアと、恐怖と攻撃のショックで(IS)も心もボロボロにされた双葉ペアとなった。

 試合終了のアナウンスが鳴り響くと蹂躙の光景で言葉を失っていた観客たちは響めき立ち、一年生達はアレを相手にする可能性がある事実に身を震わせていた。

 

 

「えー、一日目無事終了といつものメンバーの勝ち残りに乾杯」

 

「「「乾杯!」」」

 

 今はもう夕食の時間だ。あの後も試合は続き、いつもの十千屋グループと一夏グループの

 メンバーたちは無事にトーナメントを勝ち進み1日目が終了した。

 普段は食堂を利用しない十千屋であるが、無事に全員が1日目を勝ち進んだお祝いにリアハを

 連れてココで全員と一緒に夕食を取る事にしたのである。

 

「はぁー、無事に勝ち進んで良かったぜ。フォロー、サンキューなシャルル」

 

「うん、一息ついた感じだね。でも、まだまだ明日以降があるのだから油断はしないでよね」

 

「分かってるって」

 

 確りと勝ち進んだ事を喜ぶ一夏とシャルル。

 

 

「にしても、アンタいつの間にそんな物を借りたのよ」

 

「本当につい最近だ。未だに振り回されいるさ」

 

「はぁ、ソコは鈴さんと同じですわね。しかし、防御力は破格な機体と成ったようですわね」

 

「うっさい!あたしは、あともうちょっとよ!!しかし、本当にソレよねぇ」

 

「いや、欠点も多いのだぞ?TCSを貼ったら攻撃は出来ないし、何よりも…」

 

「備え付けたバッテリーが持たないんだよね~…時間にもよるけど、

 五回も張れたら良いほうかなぁ?」

 

 互いの試合内容を話し合う鈴とセシリア、箒とチェーロ。

 

 

「勝ち抜きおめでとう。実質一人で戦っているが大丈夫か?」

 

「大丈夫。性能差も相まって一般生徒には引けを取らないから。

 あと、十千屋さんにお願いして貰った()()がまだある」

 

「ああ、アレね…ロマンの塊だが、大丈夫か?」

 

「大丈夫だ問題ない。寧ろ、ソレがいい

 

 こちらも試合内容とこれからの展開を話し合う十千屋と簪

 

 

「あらあら。袖はちゃんと捲らないとダメよ、本音ちゃん」

 

「は~い♪ (≧∇≦)/」

 

「あの…オッかさん。また貴方の料理が食べたいのだが…」

 

「ふふ、良いわよ。ラウラちゃんに合わせてドイツ料理のフルコースを作っちゃう。

 でも、揃えなくちゃ駄目だし今はみんな忙しいから…トーナメントが

 終わってからにしよっか?」

 

「Danke…」

 

 そして、まるで親子のような会話をしているリアハ、本音、ラウラであった。

 と、それぞれが会話を楽しんでいたのだがココで轟に話が振られる。

 

「そう言えば、轟はトーナメントが免除になったんだろ。何やったんだ?」

 

「確かに、このトーナメントは一年生の実力を測るのも目的だったな。

 確か、免除のための実技試験とか言っていたな」

 

 一夏と箒がトーナメント免除となっている轟にその為に何をやったかを聞いてきた。

 彼女は食事の手を止めて素っ気なく答える。

 

「ISライダーとして中堅どころの教師相手に戦っただけよ。ただ…」

 

「ただ…なによ?」

 

「父さんの事をボロクソに言ったから、その代わりにズタボロにしてやったわ」

 

 一同はその一言に引いた。どうやら、実技試験での戦闘はある意味で快勝だったらしいが悲惨でもあったらしい。

 身内であるチェーロも苦笑いしながら聞いていたのだが、とある可能性に気づくと血の気が引いた。

 

「ね、ねぇ…轟ちゃん。もしかして、()()しちゃった?」

 

()()?ああ、《ダルマ堕とし》ね。したわ」

 

「あ、あはは… (;・∀・)」

 

「だるま落とし?」

 

「ううん、字が違う。堕天使とかに使う方の『おちる』だよ。パパ達が考案した拷問的戦闘術…」

 

「「「・・・・・・・ ( ̄◇ ̄;)?」」」

 

 チェーロは否定して欲しかった案件が行われていた事に対して乾いた笑いしか出てこない。

 内容を知らない面子は首を傾げるが、これから話される実話にドン引きとなるのであった。

 

 

 

――轟の回想――

 

 

 トーナメントが行われる前の何時か。その日の放課後に轟のトーナメント免除試験が行われる事となった。

 内容はとある教員とISバトルをするモノ。この試験は現在の実力を測るためにするので、勝敗は関係ない。ただ、確りと戦えれば内申などの多少のプラスには成るだろう。

 轟はFA:G轟雷を身に纏い、相手の教師はラファールを使用していた。

 試験が開始されると、轟は可もなく不可もなく攻防する。彼女にとっては別段に頑張る事では無かったので、ソコソコの実力を持っていると判断されれば良いと思っていた。

 ただし、相手の教師がとある暴言を吐くまでは・・・

 

「はっ!やはりこの程度のようですね!所詮はISの二番煎じ…あの、怪しくて情けない姿の男が作った機体だわ!そして、アンタもねぇっ!!!」

 

「(イぃラぁぁ…)」

 

 教師の暴言に轟は急激に頭が冷え、闘志とは別の何かが体の奥底から沸き上がってくる。

 物凄く冷たく、物凄く鋭く、物凄く恐ろしいもの、それは()()であった。

 十千屋ファミリーは大小あるが、全員が十千屋の事を愛し慕っている。彼を(けな)すなら怒りが沸くし、彼が嫌いなモノは皆も嫌っている。

 この教師は十千屋を侮辱しただけではなく、どうやら彼が嫌う女尊男卑の思想の持ち主らしい。もう、状況証拠だけで十分だ。この教師はどうやら彼女の()()()()

 

 カッ!!

 

閃光手榴弾(スタングレネード)!?でも、ISにはこの程度『ガウゥン・・・ッ!』え?」

 

 アリーナに眩いばかりの光が一瞬だけ満ちる。その閃光はISの防御機能によって防がれるが、

 この一瞬の後…教師が持っていたライフルは撃ち抜かれて使い物に成らなくなる。

 突然の出来事に教師は呆気にとられるが、ターゲティングの警告で我に返りその正体を知った。

 それは、閃光手榴弾で作った一瞬の隙を突いて距離をとり、ストロングライフル(アンチマテリアルライフル)を構えた轟であった。

 

「武器破壊は褒めてあげますよ。でも、コレで調s『ガウゥン・・・ッ!』ぎゃっ!?」

 

「喋る余裕があるなら来なさい」

 

「この餓鬼ゃああ!『ガウゥン・・・ッ!』がっ!?!」

 

 失った武器を再展開(オープン)して補充しようとした教師であったがソレの出現と同時に今度は手ごと破壊され、怒りの叫びを出したら次は体のラインに隠れて見えづらい、背面ユニットのスラクターを破壊された。

 立て続けに攻撃された教師は冷静になったのか、回避行動を取りつつ轟に近づこうとする。

 今まで彼女が使っていた武器は全て遠距離用の銃器、つまりスナイパーの戦闘スタイルと判断したためだ。

 それ故に距離を詰めれば勝ち目はあると思ったのだろう。だが、浅はかだな…

 いったい何時、轟は狙撃手(スナイパー)だと言ったのか。

 

 ガウゥン・・・ッ!

 

「(良し!避けれた。このまま!?)『ドウゥンッ!』があぁ!?」

 

「甘いわね」

 

「(誘導精密砲撃!?避けると分かっていて、その先にグレネードを撃っていたというの!?)」

 

「さて、此方からも行くか…」

 

 そう、彼女はただ狙い撃つだけが能じゃない。銃という性質上は近距離は多少やりづらいが、

 全ての距離を撃ち抜く銃使い(ガンスリンガー)なのだ彼女は。

 避けるならその先を読めばいい。撃ち抜けないなら、通る所を狙えばいい。

 轟はそうやって9割以上の命中力を誇ってきたのだ。

 

 ガウゥン・・・ッ! ガゥン・・ッ! ガン・ッ!

 

「ぎゃあああああ!?」

 

「さて、フィナーレ(拷問)の時間ね」

 

 武器を呼び出せば武器を、手を、足を、スラクターを…ISは操縦者や機能に重大なダメージを

負うと判断しないとSEを使わない。

 だから、轟は破損してもいい箇所を重点的に撃ち壊し、相手の手を足を機動力を戦闘力をまるで少しづつ削ぎ落すかの様に追い詰めていった。

 そして、最後は…

 

「がぁあ!?たすけ‥助けて!」

 

「何で?」

 

 西洋風ソードのセットであるW.U33:ナイトソードによって手足を装甲ごとブチ抜かれ、教師はアリーナの壁に貼り付けにされていた。

 武器は全て壊され、背面も脚部のスラクターも機能不全に陥り、マニュピレーター(ISの手)もボロボロだ。それに突き刺されたソードはかなり深く突き刺さっており、力づくで抜こうとすればソコから崩れ落ちるだろう。

 事実上の戦闘不能。だが、轟は冷たい目のまま武器を下ろさない。例え、相手役の教師が錯乱し助けを請うてもだ。

 

「だって、貴方が怒っているのは先程の侮辱なんでしょ!?それは謝るから…助けてよぉ!」

 

「ふーん、そう。でも、SEをゼロにしなければ試験は終わらないでしょ?」

 

「え…」

 

「じゃあ…ヲヤスミ、ケダモノ」

 

「ああああああ!?!?」

 

 轟はナイフで教師の顔を正面に固定した後、両手にマシンガンを持ち全弾を顔面に向けて撃ちはなった。

 無論、ISの防御機能で怪我は負わないが眼前に広がるマズルフラッシュを、襲いかかる弾丸を

余すことなく至近距離から見た教師はSEがゼロになる頃には気絶していた。

 

「ふぅ…あ、言い忘れてた。FAの方が先よ。白騎士事件以前にはバリエーションで複数出来上がっていたし、訓練すれば誰でも使えるわ。欠陥兵器に縋って威張り散らしている貴方たち(女尊男卑思想)には分からないでしょうけどね」

 

 コレで轟の免除試験は終了した。後日結果は合格だが、それと同時に要注意生徒して

リストアップされてしまった。この事は教師達だけが知っている。

 

 

 

――轟の回想 終了――

 

 

「そう、まるで手足を切り落としてダルマに()()()()()()()の戦闘術。

 それが《ダルマ堕とし》なの (ill゚д゚)」

 

「「「(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル」」」

 

 恐怖…唯唯の恐怖、話と解説を聞いていた一夏達の背筋は凍りつき寒気が止まらなかった。

ここまでとは、ここまで()るとは思ってもみなかった。

 ソレを平気で聞いている十千屋達+ラウラには戦慄を覚える。

そして、一同が思うことはたった一つ…『十千屋達を絶対に怒らせてはイケナイ』この事だった。

 

「まぁ、基本だな。敵が二度と歯向かわない様にする方法は」

 

「そうね。でも、時間と手間が掛かるからオススメ出来ないわね」

 

「やはり、一番楽なのは絶対的な実力差で蹂躙する事か?」

 

 ちなみに一夏達が震えている時、轟とラウラはこのような意見交換をしていたのであった。

 何はともあれ、トーナメント初日は終了していく。

 

 

 

 

――おまけ:今日のたっちゃん(エロシーン)――

 

 

「さぁって、と。何だか危ないメイドを引き連れてきたと言うけど…どうかしらね?」

 

 さて、こんな事を言っているのは楯無であるが…現在はまた性懲りもなく、テーサウルスアルマ(十千屋の船)に忍び込んだようである。

 今回の目的はシルヴィアが危険人物がどうかの確認を自らすることだ。まぁ、とある意味では超危険人物なのだろうが…。

 しかし、楯無よ…今の時間は何時か知っているのか?

 

「…この部屋ね。 はぅうわぁ!?Σ(゚Д゚;)」

 

 夕食が終わって寝るまでの個人の自由時間。最初の時に何が起こったのか覚えてなかったのか?それとも…ワザとか。

 

「あぁぁ‥はわぁぁぁ… Σ(//Д//;)」

 

 ドアを少し開け、隙間から見た部屋の中では、傷痕だらけの少女を傷痕だらけの男が貪り、小柄な少女がその子を啜っていた。

 食い散らかされるかの如く蹂躙される傷の少女は、獣みたいな声を上げてそこには理性は全く感じられない。だが、とても幸せそうに嬌声をあげ体を揺さぶる。

 この部屋では嬌声が歓喜が悦楽が性愛が獣欲が、全てが混ざり合い淫靡な空間を作り出していた。

 (ケダモノ)の宴に当てられたのか、楯無は目を背ける事も出来ずに無意識のうちに自らの手を体に沿わす。

 やがて、傷の少女は大きな声を上げたと思ったら、力尽きたのか動かなくなってしまった。

 男は突き刺していたモノを引き抜き、少女を傍らに優しく横たわす。そして、啜っていた少女は目撃者へと近づいていった。

 

「あらあら、イケナイ子ね。たっちゃん…あら?」

 

「あ、あぁ…あぁぁ……(//o//;)」

 

 少女‐リアハは腰を抜かしへたり込む楯無にとある事に気がつく。それは、湿り気を帯びたのか部屋の漏れ出る光を反射している彼女の指であった。

 それを見つけた彼女は憂いた表情を見せ、楯無の両頬をそっと撫でる。

 

「ゴメンなさい。私達の空気に当てられちゃったのね。可哀想に…一人で慰めていたのね。

 おいで、私達の所へ」

 

 リアハは手を差し伸べると、楯無は何故か縋るようにその手を取ってしまった。そして、彼女に導かれるまま…男‐十千屋の元へ歩むのである。

 

 

 そして、後日の生徒会室ではアンニュイな気分の楯無は、そっと自分の唇に指を沿わすのであった。

 気怠そうに何処か遠くを見ているような彼女に虚が声を掛ける。

 

「楯無生徒会長。もしもし?楯無生徒会長・・・、お・嬢・さ・ま」

 

「ひゃぅう!耳元で言わないで!?」

 

「 ? あれ、楯無生徒会長。そんなに耳が弱かったでしょうか?」

 

「いや…キスされるまで、十千屋さん達にヤられる(たび)に随分耳元で囁かれたり、

 嬲られたりしたものだからもうすっかり…ハッ Σ(゚Д゚;)」

 

 虚は反応がなかった楯無に耳元で呼びかけたのだが、彼女の予想以上の反応で驚いてしまい、つい聞いてしまう。

 すると、どうやら楯無は耳も開発(調教)済みだったようだ。しかも、言い訳の内容からすると…

 また一つ奪われたらしい。それに気づいた虚は生暖かい目で主人(楯無)を見る。

 

「お嬢様、一言いいですか」

 

「な、何よ虚ちゃん」

 

「『調教(レイプ)から始まる恋愛』って何処ぞの成年向け(R‐18)ゲームですか」

 

「誰がエロゲー攻略ヒロインよ!?…あれ?ヒロイン?恋?愛? えぇ!?」

 

「自覚がなかったのですか」

 

「nゃ…」

 

「?」

 

 「にゃぁぁああああ!?!▂▅▇█▓▒░(//д//)░▒▓█▇▅▂」

 

 自覚のなかった衝撃の事実に楯無は奇声を上げ走り出していってしまった。

 未だにドップラー効果で声が聞こえるため、どれだけの速度と叫び声を出していってしまったのだろうか?

 

「……先ほど物凄い勢いで生徒会長と擦れ違ったのだが」

 

「あら、カルタムス()さん。いえ、最後の(処女)だけになって完全攻略(調教)されかけているのに

 気がついてしまって、混乱してただけですよ」

 

「そうか…」

 

 

 その頃、十千屋組は…

 

「なぁ、ホイホイ増やしているけど…良いのか?」

 

「ふふっ、大丈夫ですよ。ユウさんの愛は一人だけじゃ受け止められない。でも、(こぼ)したくない。だから、もっと一杯の人に受け止めて欲しいんです。それに、たっちゃんはキライですか?」

 

「いや、嫌いじゃないし。寧ろ、色々と可愛いって思ってるし」

 

「なら、イイじゃないですか。ユウさんは確り構えて私達を愛してください。

 私達は受け止めます。それに子供っぽくて、不器用で、頑固で、

 でもとても優しい素顔を知ってるのは()の特権ですから」

 

「…そういうモノかな?」

 

 どうやら、いつもにまして自室でイチャついてたらしい。

 しかも…

 

「で、お話…いや、ほとんどピロートークだけどしてるのに、お前らは何してる」

 

「「旦那様(父様)の珍棒にご奉仕を」」

 

「よし、分かった…そこに直れ!ヤぁああってぇええヤるぞぉおお!!」

 

「「(//∀)人(∀//) きゃーーっ♥」」

 

 いきなり始まったイチャコラにリアハは、つい笑みが溢れてとある事を呟いた。

 

「だから…早くコチラに堕りて来てくださいね、刀奈ちゃん(たっちゃん)

 

 楯無陥落まであと少し…か?

 

 




はい、蹂躙する様というかネタはこのとおりでした。
あそこまで蹂躙するのが似合う御方は居ないと思い、つい殺ってしまいました。
まぁ、苦笑いして許して下さい。

あと、一夏達のクラスメイトの画像を探していたらちょうどいいのがあったので、それを参考として、一夏のクラスメイト(半オリジナル)を作りました。
名前が決まっているのは数名だけですしね。

そして、たっちゃん(調教日記)は長すぎたかな?
約二千文字位ありますからね…(汗
ついやりすぎてしまいました。何処か別の時に書けば良かったでしょうか?

さて、次回はついに『デュノア社襲撃』を書きたいと思います。
FAストーリーを飾った人物たちは伊達じゃない、というのをお見せできれば幸いです。

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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