今回はトーナメントがようやく開催です。
・・・戦闘などはこの次からですが( ̄▽ ̄;)
では、どうぞ御ゆるりと。
予感というものがある。
先の見えない未来をなんとなく感じられるものだ。
しかし、圧倒的な事実がある場合…その先は予感ではなく、
即ち、それを
「いよいよ、だね」
「あぁ、トーナメントが始まるな」
「それは良いんだが、この更衣室を男子のために貸切りということは…
何処かでごった返しているんだろうなぁ」
「…すし詰めと成っているだろう女子達に敬礼っ」
「「(ビシィッ!)」」
そう、いよいよ学年別個人トーナメントが始まる。1週間全生徒対応のトーナメントは直前まで設営がかかり熱気冷めやらぬ状態で始まった。
更衣室のモニターには観客席の様子が映し出されているが、そちらも凄いの一言である。
そこには各国の政府関係者、研究所員、企業エージェントその他諸々の顔ぶれが一同に会いしていた。
彼らの目的は3年生にはスカウト、2年生には1年間の成果を見るため、そして1年生も目立った成績が残ればターゲティングをする為と様々だ。
「さて一夏。いよいよ本番だが、気負う必要はない。
毎回自身とパートナーの力を発揮できるように戦え」
「分かった、師匠」
「シャルルも今は何も気にするな。アチラは上手くやってる。
それよりも、一夏に施した
「はい!大丈夫です」
「よし、それじゃあ対戦表が出るまで待とう」
十千屋は一夏たちにアドバイスをして自らの出番を待つ。それを受けた彼らも自分たちのパートナーと行った訓練やミーティングを思い出しながら待った。
特に思い出すのは、一夏に備え付けられたH.W.U 05:メガスラッシュエッジだ。
アーキテクトと呼ばれる基本フレームに、
新型エネルギーシステム
更に様々なパーツを合体させることによって、無限の能力を引き出すことができるのだ!
「(すぅ~)デッカく生きろぉ!!」
「「いやいや、いきなり何歌いだそうとしてるんですか」」
「スマン。興が乗りすぎた」
ここはIS整備室、今日は主に一夏に貸し出しているメガスラッシュエッジの説明を十千屋が行っている。その理由は今度のトーナメントがタッグ戦な為、シャルルにその特性を理解して貰うためだ。
一夏の説明では不足になるだろうし、一夏自身にも詳しい説明を行っていなかった為である。失礼だと思うが彼に詳しい説明しても分からないだろうし、扱う事が急務だったため使い方以外は省かれていたのだ。
しかし、今回は武器の造詣が深いシャルルが居るので、
だが、先にFAの事を聞かれたので何処ぞのナレーションぽい始まり方となってしまった。
「さて、FAの概要はこうだったんだが…コレは本来の仕様で、
今はサイズダウンしたり強化外骨格の
「え、そうだったのか?」
「あぁ、インターネットゲームのを見た一夏は知っているだろうが元は約15mサイズの
ロボットなんだが…流石にそのサイズを地球で作るのはキツくてな。ほぼ保留にしている。
しかも今はISが台頭しているから基本思想を同じにして、強化外骨格として売り出したわけだ」
「そうなんですか。では
「FAに合わせるように作った多機能兵装だな。複数のユニットで分離と合体し、
さらに規格が合えばどこまでもがコンセプトの」
「それが一夏の白式に積まれているんですね」
「ああ、こちらの共通規格のハードポイントを白式に付けて積んでいる。
こうでもしないと白式は…ねぇ?」
「ですよね…」
「ははっ…いいさ、分かってるさ。呪いの剣装備状態って事は」
十千屋がFAからH.W.Uへと説明を移行させたが、思うところがあるのかシャルルと共に一夏を見る。すると彼は乾いた笑いをだし遠い目をして答えていた。
元はといえば、白式が何も後付け出来ないが為に付けたメガスラッシュエッジから始まっているためである。
さて、気を取り直して本来の話筋に戻ろう。
「さて、メガスラッシュエッジは五つの武器で構成されている複合武器だ」
「剣が二つ、斧が二つ、ライフル一つの合計五つだよな」
「そうだ。では、詳しい説明を始めるぞ」
名称:H.W.U 05:メガスラッシュエッジ
共通機構は
しかし、これは一夏に持たせる為にカスタマイズしたメガスラッシュエッジであり、既製品はビーム兵器複合兵装だ。
さらにカスタム内容として剛性を高め、全てのパーツを合わせた時にそれなりの面積となるので一応盾としても使用が可能。ただし、その時のダメージで使えなくなっても保証はしない。
各武装の説明として、
ロングソードとショートアックスはエネルギー刃を展開しなくとも鈍器としても一応は使える。内蔵バッテリーにより各武装最大出力で三分使用可能。
ライフルはエネルギー弾を跳ばすモノとなっており、単発のライフルモード、散弾のショットガンモードがある。ちなみに内蔵バッテリーにより約30発分となっているが、弾は各モード兼用だ。
次に合体後のそれぞれのモードについて説明しよう。
全ての武器を合体させ、一つの刃として使用するセイバーモード。
これは外周部にエネルギー刃を発生させ巨大な剣として使用するモードであり、これ自体が巨大な力場なため推進力もある。
そのため振るったりする時やこのまま突貫する時には加速力が付く様になっている。
次はライフルを二本のロングソードで挟み込んだブラスターモード。
これは挟み込んだロングソードを誘導装置代わりにしており、長時間照射やチャージショットが撃てるモードだ。
ただし、最大チャージはエネルギー弾十発分に相当するので三発が限度。照射は長くすればするほどエネルギーを消耗してゆく。
最後はアローモード。ライフルにロングソードらを取り付け、弓の様にした形態である。
発生装置が全て一方に向き、そこから発生するエネルギーを全てライフルに集中させ貫通力に優れたエネルギー矢を精製する。
エネルギー矢一本につき、五発分のエネルギーを消耗する。
最後に補足とその他の使い方だ。
ソードとアックスは力場発生装置でもあるので補助翼としても仕様可能である。
内蔵バッテリーは白式の
さらに構造上可能な取り付けであればどのような形にしても対応できる。
例えばセイバーモードを相手に突き刺したら、ロングソード部位を動かして傷口を広げたり、ライフルにソードを一本だけ付けて銃剣スタイルにするなどだ。
「以上がお前に貸し与えてるメガスラッシュエッジの全てだ」
「うわ…俺、全然使いこなせてねぇ。特にアックスなんてブーメラン代わりだし」
「本当に使い方は多種多様なんですね…欲しいかも」
説明を聞いた一夏は自分がどれだけ使いこなせていないか実感し頭を抱える。
シャルルは逆にその多機能性故に欲しくなってきてしまった。20もの武器を選別し使い分けて戦う彼女らしい理由であろう。
この後はどのように使うか、どうすればうまく扱えるかを話し合う。余談としてプラモデルと発売されているメガスラッシュエッジを使って各形態を説明していた。
このような中で十千屋に来客が訪れる。
飾り気の無いメイド服をきた少女?のようであるが、十千屋と同じように彼女の顔や手の一部の皮膚が変色しており痛々しい感じがある。
だが、彼の火傷とは違う別の何かによって変色したような色だ。
「旦那様、例の物が仕上がりましたのでお届けに参りました」
「ほぅ、シルヴィア態々ご苦労だったな。しかし、メイド長のお前が家を離れて大丈夫か」
「それには心配お呼びません。きっちりと他のメイド達を教育してありますので。
旦那様にお会いしたかったのです。…迷惑でしたか」
「いや、それはない。嬉しいよ」
「ありがとうございます。では、コチラを」
どうやらこのメイドは十千屋の関係者というか、彼の家のメイド長らしい。彼女は二つの大きめのアタッシュケースを荷台で運んできており、片方の中身を彼に見せるられる様に開ける。
その中にはかなりの大きさの拳銃が一丁収められていた。黒光りするソレはとてつもない威圧感がある。
「対IS戦闘用20mm拳銃『シャガール
専用弾使用銃です。無論、もう片方も色違いで同じ仕様となっております。
全長44cm 重量21kg 装弾数6+1発 もはやISと言えども軽々しくは扱えない代物です。
専用弾は基本20mm炸裂弾を使用し、旦那様が所望されたATCS弾、徹甲弾も
ご用意させてもらっています」
「弾殻は?」
「特殊合金製 Lチタニウム弾殻」
「装薬は?」
「ベッルス化学薬筒 MMG10」
「弾頭は? 炸薬式か? 徹甲か?」
「基本炸裂弾、先ほど申しましたようATCS弾、徹甲弾もご使用頂けます」
「
「感謝の極みでございます」
この銃のスペックの応答を繰り返し満足がいく出来栄えから、声高々に十千屋はシルヴィアを褒め称え、彼女は頬を染めながらスカートを摘み上げるお辞儀-カーテシーを行い受け取った。
何処ぞの漫画の様なワンシーンだが、銃の性能とソレを生身でしかも片手で持ち悦に入る十千屋に一夏らは戦々恐々とする。そして、とある可能性を見出した。
「し、師匠…そっちの女性についても聞きたいんだけどさ。でも、こっちが先だよな。
もしかして、トーナメントに出るのか?」
「ああ、俺は別に出なくてもいいと思ったんだがな。色んな制限を付けて出させるみたいだ」
「へ…へぇー、そうなんですか」
「おい、シャルル…ヤバくねぇか?」
「ヤバイってモンじゃないよ一夏。あの拳銃の性能、もはや拳銃じゃない。戦闘機の機関砲レベルだよ」
「何かヤバイを通り越してるな。でもさ、今受け取ってるという事は…」
「うん、アレを装備してトーナメントに出るつもりだよね」
「「(ず~~ん)OTZ」」
アレがトーナメントに出ると言う恐怖よりも絶望が二人を襲う。ヤバい人にヤバ過ぎる銃が与えられ「もうダメだ…おしまいだぁ…」の気持ちに飲まれそうになる。
が、このままではイカンと別の話題を振って立て直そうとした。人、それを逃避と言う。
「あ、ははは…でっでさ、そっちの女の子って誰?」
「はぁ…若く見られるのは嬉しいのですが、私はこれでも
小柄なのは自覚していますが」
「「えっ?」」
「彼女は『シルヴィア・十千屋』ウチのメイド長であり、第二夫人だ」
「「ええっ?」」
「旦那様、嬉しいのですが…私はそんな大層な立場を貰える人物ではありません!
旦那様と奥様方のただの
「「えええっっ!?」」
「シルヴィア。リアハが落ち込んだ時にお前の励ましの言葉で立ち直ったんだ。
お前が言おうと、誰がなんと言おうとリアハの次に妻として迎えた事に悔いはない」
「旦那様…♥」
「シルヴィア」
相変わらず次々と爆弾発言が飛び交う自己紹介に流石に慣れてきた一夏は、次の気になる事を聞こうとする。一方で慣れていないシャルルは驚愕の表情のまま固まっていた。
「師匠。シルヴィアさんって一体何だったんですか?なんか…奴隷とか聞こえてきたし、
リアハさんと何かあったみたいだし」
「ああ、それはな」
「旦那様、そこからは私自身がお答えします」
「分かったよ」
「では、一夏様…私の身の上話をお聞きください」
そこから、彼女が十千屋の元へと来た経緯が話された。
彼女は元々は別の人物のもとで奴隷として飼われていたらしい。しかし、その人物は彼女の事を被虐用として飼っており、彼女の傷痕は全てその時に付いたものである。
幸運だったのだろうか?すぐに飽きられたのか何かしらの理由で、とある闇商人に売られてたのだ。そこから十千屋の元に連れて行かれる事となった。
実はその闇商人は十千屋と過去に何かしらの交流があり恩義を感じていた。その為、タダで彼女を彼に売り渡したのが出会いの発端である。
何故タダで売り渡したのかは分からない。恩義か小さな良心か、それは闇商人の胸の内である。
さて、シルヴィアの話に戻ろう。十千屋に売られてたシルヴィアは当初は心を閉ざしていたが、彼とリアハの真心に触れてゆくたびに開いてゆき数ヶ月後には慕うようになっていた。
だが、事件が起きる。リアハが娘-麗白を産んで暫く経った頃、後天的な不妊体質らしいと診断されたのだ。原因はナノマシン手術によって体質が変わっていたことである。
子供を更に欲しがっていた彼女は、この事実を知って塞ぎ込んでしまった。塞ぎ込んだ彼女を周りの人達は献身的に支え、その中でシルヴィアはある提案をする事になる。
「私は、『奥様の許しさえ貰えれば、代理出産の母体と成ります。
私の
この台詞を言った時のシルヴィアに一夏とシャルルは寒気がした。彼女がコレを言った時、何もかもが満たされた様な恍惚した顔で言ったのだから。
普通の女性ならいくら慕っているとはいえ、自分をただ生む機械にしたがるだろうか?
何度も相手が望むままに別人の子を生産する機械に成りたがるだろうか?
そこは一夏では上手く聞き出せない為やんわりとシャルルが聞いてみると、何を言っているかと純粋に疑問の顔をして彼女は答えた。
「私は旦那様と奥様の
いえ、原子核一個までも私が敬愛する旦那様と奥様のモノです。それに…」
「「そ、それに…」」
「旦那様と奥様の愛の結晶が私の
それを思うだけで…はぁう!あぁっ…んぅっ!!!////」
「おっと(ポスン…)」
「(//∇//) フゥフゥ…お手数をおかけいたしました旦那様」
自分の体で
そのまま彼女は、彼の体に寄りかかりながら服の裾を握り締め乞う様に語りかける。
「旦那様…私の瞳は貴方を見つめるためにある。
私の耳は貴方と聞くためにある。
私の唇は貴方を感じるためにある。
私のこの手は貴方に触れるためにある。
私の足は貴方に近付くためにある。
私の心は貴方と永遠に共にあり続けるためにあるのです」
「ああ、分かっているよ」
「旦那様…」
「シルヴィア…」
「「ん…」」
いつの間にかメットを取っていた十千屋は彼女の告白をとても嬉しそうに聞き答えた。
その返答に感極まったのか、彼女は握った手を
そして、互いを確かめ合うようにキスをするのであった。
一見すれば美しいラブシーンの様かもしれない。だが、ソレを見た二人は
一夏とシャルルは教えられた事を思い出すついでに余計なことまでも思い出してしまった。
教えられた内容を忘れてしまうほど、あらゆる意味で濃い場面であった。
その事にゲンナリしているのを十千屋が気づく。
「どうしたんだ、二人共。何かゲンナリとして?」
「い、いやぁ~…師匠の余りにも濃いキャラしたメイドさんを思い出しちゃってさ」
「ああ、シルヴィアか。可愛いヤツだろ?」
「あ、あははは…( ̄▽ ̄;)」
アレを可愛いと言う十千屋にやはりと二人は思う。この人は良い人だけど、色々とヤベェ…と。
そうしている内にトーナメント表が発表される。実は、行き成りのルール変更に機械が対応できず前日に出来るはずのトーナメント表は今日発表される事と成ってしまっていた。
だから、初戦の相手は一体どのペアと戦うのかは今日初めて知る事となる。
「俺たちの初戦の相手は、知らない名前だな」
「うん、一組には無い名前だね。しかも、運が良いのか悪いのか、
何時もよく居たメンバーはかなりバラけているみたいだ」
「シャルルの言う通りだな。コレだと一年の専用機と組んでいるペアは
かなり勝ち進めないと当たらないようだ」
この場にいる三人はトーナメント表の端から見渡し、いつものメンバーのペアを見つけていった。
「セシリアと鈴はなんか今月ずっとペアだよな」
「まぁ、コレで良いとこ見せるって頑張っていたものね」
「箒はチェーロと組んだのか」
「雷さんは自身の機体の特性上、今回は辞退したって」
「簪は…のほほんさんと!?」
「う~ん、布仏さんは整備科志望って言っていたから実質更識さんがメインだろうね」
次々といつものメンバーを見つけてゆくが…次の瞬間、己の目を疑った。
『十千屋 雄貴 & ラウラ・ボーデヴィッヒ』
「「…」」
そのペアの表記を見て、もう一回見る。
『十千屋 雄貴 & ラウラ・ボーデヴィッヒ』
「「……((つд⊂)ゴシゴシ)」」
今度は目を擦ってよ~~く見る。
『十千屋 雄貴 & ラウラ・ボーデヴィッヒ』
「「えぇえええええ!?!!?」」
一夏とシャルルはこのペア表記を見つけて絶叫した、当然である。
二人共ラウラは現在の一年生の中で最強だと思っている。そんな人物が一年生…
いや、IS学園の中で
どうやら、このトーナメントは地獄の舞台と変わるらしい・・・
はい、取り敢えずトーナメントは始まりました。
ペアも正式に発表できました。次回からはネタ増しで各ペアを書いてゆくだけですが・・・
どれくらいかかるだろうか?話数的にも制作時間的にも…
いっその事、ネタだけ出してダイジェストっぽくするのが妥当だろうか?
まぁ、とにかく今回はネタ増しでお送りしました。
そして、久しぶりに義理姉妹以外のカンパニー側キャラが新しく出ました。
依存形ヤンデレメイドのシルヴィアです。いずれ、キャラ設定の方にも書きたいですね。
・・・とんでもなく、ヤベェメイドだというのは確定していますが(汗
では、今回は此処まででございます。
そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。