IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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はい、待っていた方々はお待たせいたしました。
今回、少しばかり私生活のリズムが狂っていて遅くなってしまいました。

さて、今回はシャルルの身の回りの説明会です。

では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA27ss:お前はどうしたんだ?

 名はその存在を表すもの。ならばその名が偽りだとしたら、その存在そのものも偽り…

 だが、その偽りの中で感じた心は果たして真実なのか虚偽なのか。

 唯一言えることは、《今を生きている》ただそれだけ…

 

 

 

 只今、一夏はこれまでの人生の中で一番のピンチを迎えている。まぁ、コノ後の人生に何度そう言う経験をするか分からないが、今はそうだ。

 さて、いま彼の目の前にいる人物を見てみよう。上から順に見ていゆくと、金髪が見える、アメジストの様な瞳が見える、顔全体的には中性的な美人…もう、分かるだろうがシャルルだ。

 だが、その下から問題だ。そのまま首を見てその下を見たら…膨らんでる、胸がある、品のない言い方だとおっぱいだ。Cカップ相当の美乳がそこに在る。

 今は服の下にあるが、確かにある。なぜ知っているかと言うと、生で見てしまったからだ。

そう、シャルルが()()だと気づいたのはつい先ほどの事である。

 彼が部屋に戻ってきた時、シャルルがシャワールームを使用中であった。しかし、添え付けの石鹸が無くなっている事を思い出した彼はそれを持ってシャワールームに行く、

 その時ちょうどルーム内に石鹸が無いと気づいたシャルルが出てきてしまい鉢合わせになった。そう、裸の女の子(シャルル?)を一夏はモロに見たのである。このラキすけ野郎…

 

 その後、小一時間ドギマギして進展が無かったがようやく男装の訳を聞くことが出来た。

 その訳とは自身の実家の問題であった。彼…いや、彼女の実家-デュノア社は現在窮地に立たされている。IS量産機の世界シェアが第3位と謳われるデュノア社であったが、その後が続かなかった。

 元々、この会社が大きく成長できたのは後発ゆえの事だ。後から参入したため様々な公開データが有りそれを元に高水準で安定性の高いIS量産機《ラファール・リヴァイヴ》を売り出した。

 その売上は上々だったが、世界は()()()()のIS開発を急務としている。ヨーロッパ-欧州連合も『イグニッション・プラン』と言う各国の協力プロジェクトを開始し乗り出した。

 だが、デュノア社はソレに乗る事が出来なかった。後発ゆえに第三世代を開発するノウハウや時間が無く、このプランに加わることが出来なかったのだ。このままでは自国からの支援も打ち切られ経営不振で潰れてしまう。

 そこで目を付けたのが、第一男性装着者である一夏の専用機-白式だ。どこにも所属してなく一番近寄りやすいと予測され、そのデータを掠め盗る事をデュノア社はシャルルに命じたのである。

 近づくために、また広告塔にするべく男装-偽りの男性装着者となりIS学園に来たのだ。

 

 何故、その役割が自分(シャルル)だったのか・・・その答えはこう答えている。

 

「僕はね、一夏。愛人の子なんだよ」

 

 彼女は自分の出生を愛人の子と言った。この事実に一夏は絶句する。

 彼女がデュノア社に、その社長に引き取られたのは約2年前の事である。それまで唯一の肉親であった母親が病に伏せた事が切っ掛けであった。

 母親の病気は市販の薬や施設では治療できない厄介なもので、このままでは死を迎えるだけであったが日頃から彼女-母親に何かあった時の為の最終連絡先としてある番号がシャルルに教えられていたのである。

 その連絡先はデュノア社:社長-アルベール・デュノアのホットライン(直通回線)であり、母親は医療施設に収容されシャルル自身はアルベールに引き取られた。

 

「まぁ、それで色々あってその中でIS適性が高いって事が分かって

 非公式のテストパイロットをする事になったんだ。でも、あれには驚いたなぁ。

 本妻の人からは何時も睨まれて、その娘には何時も突っかかられたし怒鳴られた。

 その娘って正式なテストパイロットでね、僕に対抗意識と持ってたらしいんだけど・・・」

 

 その後も自分に関する話をポツリポツリと晒してゆく。本当は言いたくない話を健気に喋る彼女に一夏は憐憫とやり場のない怒りが沸いてくる。

 だが、それは何処かへと吐き出せないモノだ。それ故に彼は彼女が話し終わるまで黙って確りと聞いていることしか出来なかった。

 

「と、まぁ…こんな所かな? あぁ、何だか話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとう。

 それと、ウソをついていてごめんね」

 

「なぁ、シャルルはこれからどうするんだよ?」

 

「へ?どうするって…時間の問題かな。フランス政府もことの真相を知ったら黙ってないし、

 僕は表の世界から去って良くて牢屋かな…」

 

「それでいいのかよ」

 

「そんな事関係ないよ。僕には選ぶ権利がないから、仕方がないよ」

 

「…3年間だ」

 

「なに?」

 

「だったら此処に居ればいい。IS学園の特記事項二一だ」

 

 訳を全てを話し終わり、泣きそうな笑顔でその後も答えるシャルルを一夏は真っ直ぐと見つめその特記事項を言う。

 その内容を簡単に言えば、

 『IS学園は中立で外部から影響を受けない、だから在学中の生徒も原則同じである』

 というものであった。

 シャルルはきょとん、となるが彼は大丈夫だと笑って答え続ける。

 

「つまり、在学中の三年間は大丈夫だ。それだけあれば何とかなるはずだ。

 それに味方になってくれそうな人も心当たりがある」

 

「三年間は分かったけど、無理だよ…こんな事に味方になってくれる人なんて居ないよ」

 

「もし、そうだったとしても…俺は、俺だけはずっとシャルルの味方だ」

 

「一夏……」

 

 一夏の発言にシャルルは泣きそうになるのを堪えて、彼に熱い視線を送った。

 それに彼は「大丈夫だ」という意味を含めて頷き、とある人物に連絡をする。

 それは・・・

 

「……師匠、こんな時間にすみません。でも相談したい事があって、シャルルの事なんだけど」

 

「シャルルの正体が実は女性だったとかか?」

 

「そうなんだ。その事も含めて・・・えっ?なんでそれを知ってるんだ!?」

 

「何となくそっちの状態が分かった。今すぐにでもそっちに行きたいが…夕食の時間間際だ。

 長話になると思うから、その後の方がいいな。よし、そちらが良かったらまた連絡をくれ。

 直ぐに行く」

 

「え、あぁ…はい、分かりました。また後でかけ直します」

 

 十千屋にこの件で相談に乗ってもらおうとした一夏であったが、アッサリとこの切っ掛けであるシャルルが女性だったいう事実を把握され、しかもその後の予定も指示されてしまった。

 この事で呆気に取られる彼であったが、十千屋の言っている事も一理あるので一旦連絡を切ったのである。

 

「一夏?心当たりって十千屋さんの事なのかな」

 

「あ、うん…そうなんだけどさ。

 何故か向こうはシャルルが女の子だって事気づいていたみたいだ」

 

「…え!?」

 

 シャルルは自身の男装は上手くいっていると思っていた。コレの為にかなりの訓練をして、実際にIS学園の女子生徒達は美少年として追い掛け回していたので不本意ながら自信があった。

 なのにソレがバレていたという事実に彼女は困惑する。同じように色々あって困惑していた両者であったが、セシリアが夕食に誘いに来たのでこの現状を誤魔化す為に奔走したらそのことは何処かへといってしまった。

 

「さて、師匠に連絡してもうそろそろ来るはずなんだけど」

 

「でも、こんな時間に寮に入れて貰えるかな。寮長って織斑先生なんだよね?」

 

「…あ、ヤベェ。不安になってきた(Prrr…)オワッ!?」

 

 夕食も何とか済み、再び十千屋に連絡を入れて待っていた二人であったが、

 今の時間帯の寮に一応生徒とは言え部外者の十千屋が入れるかどうか分からない。

 寮長はあの千冬であり、その恐怖が染み付いている一夏には不安が募ってくる。その時に着信音が鳴り響き、不意を突かれた彼は慌てて電話に出た。

 

「え、あ…はい。分かりました」(Pi…)

 

「十千屋さんどうしたって?」

 

「いや、何か窓開けて待ってろってさ」

 

「窓…ねぇ、もしかして?」

 

「ああ、うん。俺も思った」

 

「「登って来るのか(じゃない)?」」

 

「その通りだが?」

 

「うわ!」「うお!」

 

 窓の外、その下らへんからロボ頭がぬっと出て驚く二人であったが、その正体である十千屋は気にせず登りきる。

 余りに早い到着に呆気に取られるが、彼はそのような事は気にせずに事の顛末の説明を促した。

 一夏とシャルルにより説明が始まると十千屋は静かに聞き、聞き終わると顎?に手を当てて考え出す。

 その様子に不安になる二人だったが、考え込んでいた彼が口を開いた。

 

「どうする?」

 

「「えっ?」」

 

「シャルル…お前はどうしたいんだ?」

 

「し、師匠?一体何を言ってるんだ?」

 

「黙れ、俺はコイツ(シャルル)に聞いてるんだ」

 

 十千屋の雰囲気の変貌について行けてない一夏は口を出してしまうが、一蹴される。

 彼は責めるかのようにシャルルに問い質す。『お前はどうしたいのか?』を

 

「ぼ、僕は…」

 

「お前はどうして()()に居るんだ…?」

 

「師匠!何だってんだよ!?分かったんなら何とかしてくれても!!」

 

「阿呆か、お前…姿勢が見えないんだよ。頼りたいのもわかる。

 だけど、頼ってばっかりで優しさを乞うばかりだと何も出来ないんだよ。」

 

「うっ…!?」

 

 メット越しでは分からないが、確かに責めるような目が一夏を貫いた。それは彼に蹈鞴を踏ませるが、そんな事は気にせずに十千屋は言葉を連ねる。

 

「運命ってのを信じて流されてばっかりで、流され続けてそれだけだと―――辛いぞ」

 

「運命…流される……」

 

「人生を語るなら色々あるが、時には犠牲を払ってでも抗う必要がある。

 自らソレに反逆して掴み取る必要がある。お前にはその―――()()()()()()?」

 

「人生…犠牲…覚悟…っ!僕は!!」

 

「なっ!?シャルル!?!」

 

 シャルルは動揺にながらも十千屋の語る言葉の一部分を反芻し、彼の言葉に耳を傾けた。彼が語るたびに思い出が蘇る。中でも、デュノア社に引き取られた後の悪い思い出が。

 母が助かったことは良かったが、その後は一度も会えていない。いや、一度も会わせて貰えてない。生活は楽になったが常に好奇の目や侮蔑、差別の目に晒された。

 楽ではなかったが母が常に居てくれたあの過去が色鮮やかであるならば、今は何色でもない。

 社長夫人が罪を犯して来いと言った。ならばソレに反逆し、自らの色を取り戻すためには…!

 

 シャルルの覚悟が自らを突き動かす。肌身離さず持っている専用機を腕部だけの部分展開をし、ライフルを十千屋に突きつけた。

 突然の彼女の行動に一夏は驚いて動けない。しかも、彼女も師匠も自分の仲間だ。

 そのような人物らが臨戦状態になっても即座にどちらかに付けられる訳もなく、ただ狼狽えるばかりだ。

 

「僕は!僕は自由になりたい!!罪を犯したくない!あの(社長夫人)の言いなりになりたくない!!

 もし、貴方を脅してそれが叶うならば…僕はっ僕は!!!」

 

「新たな罪を犯してでもか?」

 

「そうだ!それが犠牲ならば償う!でも、これ以上言いなりになるのは、死んでも嫌だ!!

 これが僕の反逆と覚悟だ!!!

 

「シャルル!もうやめろよ!!師匠もやめてくれ!!あぁっもう!どうすればいいんだよ!?!」

 

「ふっ、成る程。もう、煽る必要はなさそうだな。

 OK!お前の“反逆”と“覚悟”―――引き受けるぞ!!

 

「「へ…?」」

 

「もしかして、僕…試された?」

 

「み、みたいだな…」

 

 涙目に成りながら震える腕でライフルを向けるシャルルに十千屋はそう啖呵を切った。すると、その内容を聞いた二人は呆気に取られ彼の真意を何となく察する。どうやら彼に試されていたらしい。

 シャルルが心の底から現状の打破を望み、それに対する覚悟が有るかどうかをだ。

 

「驚かせないでくれよ、師匠。俺、どうするべきがどうか迷っちまったよ」

 

「あははは、今考えると途轍もないことしちゃってたよ僕…」

 

「スマンな。惰性で助けても、そいつに余り良くないからな。それに、

 ライフルを向けられた程度でどうにかなるモンじゃないしな」

 

「「はぁ?」」

 

「ふむ、分からないか。シャルル、ちょっと手荒いマネをするぞ?」

 

「えっ?ちょっと、ま…モガ!?」

 

「うぉおい!?師匠!?!?!」

 

「と、まぁ…手染め的な意味でヴァージン(未経験者)相手なら此れぐらい造作もない事なんだよ」

 

 気が抜けている二人に対して、多少の文句らしきモノを言われた十千屋であったが彼は飄々としている。しかも、十千屋は先ほどの状況でも自らの身に危険は無かったと証明するために動いてしまった。

 シャルルに一言いって動いたが、彼女の返答が終わり切る前に仕上げてしまった。十千屋は片手は彼女の首を掴み、もう片方は未だ消すのを忘れているライフルを彼女の手を捻り上げ、その動作で銃口を彼女の口内に突っ込んだ。

 しかも、そのまま撃てるように彼女の指と自分の指を重ね、ISの使用許諾(アンロック)を誤魔化せる様にだ。それを一瞬の早技で行った彼に対して二人は目を白黒させる。

 

「…本当に僕は、途轍もないことしちゃってたんだ orz」

 

「すげぇよ、師匠。怖ぇよ、師匠…((((;゚Д゚))))」

 

「何をうちしがれてるんだ。早く内容を戻して話し合うぞ」

 

 解放されたシャルルと目の当たりにした一夏は、改めて十千屋の()()()ぶりに気をヤっていると、そんな彼から相談事の続きを促される。

 そして、二人は何とか気を持ち直すと話の続きに戻ったのであった。

 

 

 …ちなみに、

 

「あっ、そう言えば…師匠はなんでシャルルが女の子だって分かっていたんだ?」

 

「いや、アレは見れば分かる人は分かるぞ」

 

「え、マジで(゚д゚lll)」

 

「例えばだな…」

 

 十千屋はシャルルの男装の違和感を次から次へと述べてゆく。

 まずは、歩き方からである。これはもはや生物的な違いでありどうしようもない。骨格上の特徴として男が歩く時は肩が主に動き、女は腰が動く。この為、動きのモーションを見比べれば分かるのである。

 そのモーションは彼のロボメットに搭載されているコンピュータで男女どちらに近いか比較した結果、シャルルは女性と判断されたのである。

 次に、またもや搭載されているサーモグラフィーにより、服の下から出る体温が妙な分布になっていたため何か変装する為に着込んでいると分かった。

 さらに、どう見てもシャルルが一夏に対する反応が男から見ておかしいのである。まるで男慣れしていない女性のようであった。

 

「あははは・・・・はぁ、僕の努力は何だったんだ?」

 

「え、えーと…大丈夫だって!師匠にはバレてるけど、他の奴らにはバレてないんだからさ!」

 

「まぁ…バレてない理由は、超絶に鈍く同世代の男友達に飢えていた一夏とか、

 一夏にしか興味がない連中とか、極めつけは男子に飢えている女子生徒とかが主な理由だがな」

 

「ねぇ一夏…僕もうお家(フランス)に帰りたい(´;ω;`)」

 

「いやっ、さっき帰らないって決めたばかりじゃないか!?」

 

「(まぁ、シャルルだけじゃ無くて周りの情勢もおかしかったんだけどな)」

 

 第一に三番目といえ男性装着者が出たのだ。それが騒がれる事がないと言うのはおかしい。

 どれだけ情報統制されていたとしてもIS学園に入学した後はその情報が解放されてもいいはずなのである。

 だと言うのにニュースどころか噂も経っておらず、IS委員会にハッキングしてもそこら辺の確定情報が掴めなかった。

 まぁ、それ以前にシャルルが転校してきた時の千冬達の様子がおかしかったのが一番なのだが・・・

 

「((あか)く仄暗くカメラアイを灯らせて睨みつけてやったけど…おもいッきり目ェ逸らせやがって。色々ヤっちまった感があるけどさ、俺は外部協力者じゃぁねぇんだぞ!?)」

 

 そう、威嚇のために睨みつけてみたのだが…千冬も山田先生も視線を逸らして、

 あまつさえ『お前に任せた』なんて雰囲気を醸し出していた。

 どうせ一夏に関わることだろうと彼女に対して諜報をやっていたのだが、一応の身分は生徒のはずなのに任せっぱなしというのはいけないだろう。

 そんな事を十千屋は考えていたのだが、これからも(一夏関係)から自分から事件の渦中に飛び込む予感がして頭が痛いのであった。




今回はいつもより遅くなってしまいました。
冒頭で話したように私生活のリズムが少し狂ってしまって、筆が遅くなってしまいました。
本当はシャルルの問題は一応解決まで話を進めようとしたのですが、説明が終わり十千屋の登場で文字数がちょうど良い感じになったのでここで切りました。

今回の話で分かるようにシャルルの身の回りは原作と少し違います。
妄想&設定が浮かんで取り入れてますので、原作組はやはり少しづつ違くなっていますね。

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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