IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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オリジナル展開として鈴のストレス解消の為のプチ戦闘でしたが・・・
やっぱりプチに収まらなかったよ( ̄▽ ̄;)


では、どうぞ御ゆるりと。


IS×FA14ss:血が滾ったわ!

 さて、対話というものは様々である。

 互いに言葉を交わし理解し合うという事は最もベーシックな対話だ。

 だが、それ以外にも対話の術というのは存在する。

 絵や音楽で他者へ問いかけをしたり、変わった所では歌や踊りで神と対話を試みた古代人がいたりする。

 しかし、今から行うのは冗談じみた方法だ。そう、ベタな青春不良野郎の漫画みたいに・・・

 

 

「さて、さぁ!お前のヤツ(一夏)に対する(愚痴の)全てを吐き出すがいい!!」

 

「もうヤダ!テンションについていけてない!!」

 

 さて、前回は拉致るように鈴を肩に担いで一番人の居ないアリーナへ来た十千屋であったが…

 謎のテンションで彼女と対峙している為、連れてこられた本人はソレについて行けてない。

 その原因はこの場に居ないバカ(一夏)のせいだ。十千屋的にはある種の痴話喧嘩に巻き込まれたようなものだからである。

 しかし、余りにも酷かったため手を出さざる負えないのは彼の人の良さのせいであろう。が、そのストレスが彼の情緒を乱しているのだ。

 

「……スマン。だいぶコッチも溜め込んでいたみたいだ」

 

「えぇ、そうでしょうね。あのバカのせいよね…あぁ!もう!!一夏のバァカァーーーー!!!」

 

「そうだ!いっつもボケボケしやがって!!もうちょい回りを見ろってんだ!!

 特に女性関係!!!」

 

「分かってくれる!えぇ、そうよ!あたしが日本にいる時、どんだけフラグ立てる気だったの

 よ!?しかも、無意識で!!」

 

「やっぱりそうなのか!?えぇえい!!鈴っ!こっちに打ち込んでこい!!

 アイツの愚痴と共に!!!!」

 

「分かったわ、えぇ…分かったとも・・・・

 あたしがどんな思いで約束したと思ってんのよぉおおーーー!!!

 

 一旦両者ともに冷静になったと思いきや、共通の不満が共鳴してのか一夏への愚痴が次々と溢れ出し叫ぶ。

 そして、互いにストレスを解消し合うためにぶつかった。

 鈴は青竜刀の意匠を持つ大型ブレード『双天牙月(そうてんがげつ)』を両手に持ち、十千屋はショテルという大きく弧を描いた剣に似た武器をを両手にもって構える。

 それはH.W.U 13:『グラインドサークル』だ。詳細を言うと本来の形が存在し、それはフラフープと丸鋸を合わせたような武器であるが付属の部品を使うことでショテル風の剣『クレセントカッター』へと組み替えることができる。

 彼女が一瞬で距離を突き詰め双天牙月を振るうと、そのクレセントカッターで攻撃と感情の爆発を受け止めた。

 

「あたしだって!引っ越したくなかったわよ!!」「そりゃそうだ!」

 

「でも、思いだけは伝えたかった!!」「乙女心だな!」

 

「なのに!文面だけ受け取りやがってこんちくしょう!!」「マジでそうだ!」

 

「えー!えー!あの朴念仁に通じると思ったあたしも馬鹿でした!!!」

「あいつはただの朴念仁じゃねえ!その神だ!!」

 

「でもでも!しょうがないじゃないっ、流石に恥ずかしかったのよ!!」

「まぁ、乙女心ですね!分ります!」

 

「ようやく会えたと思ったのに…あのバァカァーーーー!」「ぬっ!うぅ!?」

 

「幼馴染初号機が居るし!新しい女が居るし!約束は間違ってるし、最悪よ!!!」

「いっその事、新しい恋でも探すか!?」

 

でもでもでも!!

 それでもあのバカ(一夏)が好きなのよぉおおおーーー!!!

「っ!?しっまぁっ!!?」

 

 鈴は一夏への愚痴を叫びながら武器を振るい、十千屋がそれを受けと共に相槌をする。

 彼女の激昂が武器に伝わってるかのように互いの武器がぶつかると火花と衝撃音が周りに飛び散った。

 それを何度も繰り返していたが彼女の感情が最大限に高まった時にパターンが変化する。

 打ち合って鍔迫り合いになる瞬間に彼女は正面に蹴りいれ十千屋を正面にはじき飛ばす。

 そして、彼女の専用機『甲龍(シェンロン)』の第三世代特殊兵装『龍咆(りゅうほう)』が吼えた。

 龍咆の正体は空間自体に圧力をかけ砲身を作り、左右の翼から衝撃を砲弾として打ち出す衝撃砲だ。その特徴は砲弾だけではなく、砲身すら目に見えないことである。

 そんなモノを彼女は勢いに任せて彼に撃ち込んでしまったのだ。斬撃から間合いを離す蹴りへと繋げ、トドメに衝撃砲を撃ち込むというコンボで。

 

「!? ヤバっ!!ついっ!!!」

 

 鈴は全てが終わってから気づく、うっかりの最大出力の衝撃砲を撃ち込んでしまったという事実に。

 着弾したと思われる場所は煙が立ち込めてしまって何も見えない。

 しかも、この衝撃砲は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()武装なのだ。

 無論、本当に殺せる威力は人命と倫理と競技規定に反するために無い。だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そのため彼は生きているだろうが彼女の顔から血の気が引く、自分を思って防御(サンドバッグ)に徹してくれた人を傷つけてしまったのだから。

 煙が晴れると、そこには二重の盾を構えた彼の姿があった。

 肩のジョイントに接続してある他のFAの武装、長方形の盾『六五式 防弾重装甲』とその内側に複数の部品でできた盾W.U 19:『フリースタイル・シールド』を構えている。

 その姿に鈴の内面のスイッチが入れ替わる。ヤツは強者だ、自分と同等いやそれ以上だ・・・と。

 

「危なかった、高速切替(ラピッド・スイッチ)の練習と領域に置き忘れていたコイツらがなかったら…

 ちっ、流石に榴雷の盾も壊れかけか」

 

「大丈夫?ごめんなさい。頭に血が上り過ぎていたわ」

 

「いや、不測の事態ってのはどんな事もあるもんだ。防ぎきれたし気にするな。それと、

 だいぶ気は晴れたか?」

 

「ええ、お陰様で。でも、それと同じくらい血が滾ったわ!」

 

 鈴はバックステップの様な動きで後ろに下がると双天牙月を十千屋に向かって突きつける。

 彼はその行動にどうしたもんかな?と思ったが、そうは問屋が卸さない。彼女は肉食獣が獲物を前にするような目つきと雰囲気で彼と対峙していた。

 

「ふぅ、どうしてもヤル(戦う)のか」

 

「ええ、あたしの冷静な部分が告げているわ。怒りに任せてたとはいえ、アンタには攻撃が全て

 通じなかった。それじゃあ、私のプライドが許さいないのよっ」

 

「まったく、しょうがない。そこの君、試合開始のカウントと合図をお願いできないか?」

 

「えっあ、はい!」

 

 完全に戦闘態勢に入った鈴を目の前に彼も構えた。

 そして、彼らの様子を見ていた生徒は頼まれたカウントを始める。

 

「カウント!3!!」

 

 鈴は双天牙月を上下に構え、

 

「2!」

 

 十千屋は盾を消し、クレセントカッターを呼び出して其々を順手と逆手に持つ、

 

「1!」

 

 互いのスラクターにエネルギーを貯め、

 

「試合!開始(スタート)!!」

 

 開始の合図と共にぶつかり合った。その衝撃は先程までのド付き合いの比ではない。

 アレは言わば戯れあいの様なものだ、今回のは本気でのぶつかり合いだ。

 衝撃と音で合図を出した生徒は短い悲鳴を上げ、周りの練習していた生徒は激しい戦闘になると予測し避難し始める。

 

「やっぱり防いだわね!」

 

「そうじゃなきゃ、面白くないだろ?」

 

「ええ、その通りよっ!」

 

 彼女の発言と共に彼のセンサーが空間の歪みを感知し警告する。

 その警告が出た瞬間、彼はPICを切り自由落下と双天牙月を力の踏み台として、鍔迫り合いしているカッターで自らの体を下へ押し下げた。刹那、彼の頭上に不可視の弾丸が通り抜ける。

 衝撃砲を避けられた鈴は次の行動に移ろうとしたが、彼のほうが早かった。避けた瞬間にPICを復活させオーバーヘッドキックの様に彼女の背面を蹴りつける。

 彼がさんざん一夏に見せてきたブースター補助付きの格闘攻撃だ。その威力でこの場から弾き飛ばされた鈴は身を翻すと同時に衝撃砲を撃ち返す。

 それを頭を下にした彼はそのまま避け、追撃の最中で宙返りをし鈴の同じ姿勢に正す。

 初手から今の追撃の最中の彼の機動に鈴は舌を巻く。

 

「(国から聞いた時は大した期待はしてなかったけど…強いじゃない、血が騒ぐじゃない)

 もっと戦いたくなるじゃない!

 

「やれやれ、意地っ張り娘と思いきやとんだ跳ねっ返り娘だったか」

 

 戦いの高揚感に飲まれる鈴を目にして十千屋は気が滅入った。

 先程までの不機嫌は何だったのかと思うくらい今の戦いにのめり込んでいる。

 彼は次々と己が身を掠ってゆく衝撃砲を尻目に攻略法を考える。そして、選んだ武装はP.U(プラスユニット) P141R:『ミサイルセット』に含まれている後付け式3連ミサイルだ。

 一瞬だけ加速し鈴の方を向きミサイルを全弾射出する。彼女は向かってくるミサイルを2つ衝撃砲で相殺し、残った1つは双天牙月で払い除けた。

 しかし、撃墜されたミサイル全てが壊れた瞬間に白い煙を撒き散らしていった。煙幕と思いきや視界がほどほど通る位の煙しかない。

 

「なに?不良品?残念だったわね!!」

 

「いや、これでいい」

 

 血気盛んに叫ぶと衝撃砲を撃つ鈴であったが、先程までは掠る程度には当たっていたモノが全く当たらなくなった。

 おかしいと思い連射して十千屋に当てようとするが、自分を中心として回る彼に全く当たらない。これでハッキリとする、何かしらのトリックで不可視の射線を認識しているのだ。

 

「ちぃ、いったいどんなトリックよ!?」

 

「まぁ、誰にも真似できることさ。ヒントは空気砲って分かるか?」

 

「国民的アニメのヤツかしら!?」

 

 このままほぼ動かずに当てるのは不可能と考えた鈴は十千屋を追い掛けまわる事にした。

 肩ユニットの龍咆だけでは足らないと判断し腕部小型衝撃砲『崩拳(ほうけん)』も使い弾幕を厚くする。

 しかし、数にして倍になった衝撃砲の砲弾を彼は避け続けた。

 

「違う、ドラ●もんじゃない。小学校の理科の実験のヤツだ」

 

「ああっ、あのダンボールに穴を開けたアレね!それがどうしたのよ!?」

 

「あれ子供心に面白いよな、特に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のは」

 

「 !? 甲龍っ、スキャン開始!」

 

 彼の言葉に彼女はある可能を見出した。それが正しいか確かめるためハイパーセンサーで解析(スキャン)を開始する。

 対象は周りに広がり薄くなっているミサイルの煙だ。その結果は、

 

「っ、してやられたか!」

 

「そういう事だ。カタログスペックを公表してるなら対策くらいするさ」

 

 煙の正体は探査ナノマシンの塊であった。元々、探査ナノマシンは閉所や暗所を解析するために使う。洞窟や遺跡の内部構造を解析するためだ。

 これを彼は設定を変え、空気と空間の歪みを検知する様にし不可視の砲身と砲弾を可視化したのである。

 衝撃は空気を伝わってゆくもの、ただハイパーセンサーを使うだけでは空間の歪みしか検知できないが、そこにナノマシンを加えることで空気と空間を押し退けてゆく様子を鮮明に捉えることだできるのだ。

 

「では、幕引きと行こうか!」

 

「上等よ!!」

 

 彼はまた加速し距離を離した所で、ループしその頂点で背面姿勢からロールして水平飛行に移行するインメルマンターンで彼女と向き合った。

 四つの衝撃砲の弾幕をバレルロールで回避しながら肉薄する。そして、また鍔迫り合いに移行したがある種の勝敗は彼に軍配が上がった。

 

「!? ヤってくれるわね!!」

 

「この形の本来の使い方だ!」

 

 打ち付け合う瞬間に彼はカッターを凹の方向で振るった。その結果、弧の内側で双天牙月を受け止め、その先端は肩ユニットである大型衝撃砲『龍咆』に深く突き刺さっていた。

 そう、弧を描いている為に先端は彼女を通り越し腕の後ろへ伸びていたのである。このカッターのモデルとなっていると思われるショテルは相手の盾を超えて攻撃できるようにも作られていた。

 そして、鈴の甲龍の出力が一瞬だけ落ちる。衝撃砲が傷ついた影響か不調になった隙を十千屋は逃さない。

 

「てぁやぁあ!!」

 

 ガァン!!

 

「またぁあ!?」

 

 彼女を力任せに下へ押しやると同時に跳び箱の要領で頭を越え、また今度は両足で彼女の背を蹴り飛ばした。

 その反動で距離をとり、最後の猛攻とすべくその準備を整える。両肩のパーツごと箱状の物に量子変換し、片手にはW.U 29:『ハンドガトリングガン』を構えた。

 だが、それをただ黙ってみている彼女ではない。残った小型の衝撃砲で彼を撃ち貫こうとするがやはり小型では出力が足りない。

 衝撃砲は威力と距離が比例し、速射性は反比例する。彼を牽制しようと連射している衝撃砲では距離と威力が小さいのだ。小型では尚更である。

 本来は威力と距離が大きい大型をメインとして、小型は牽制と弾幕用に使うのが正しい運用法である。

 しかし、大型は先ほど潰され小型では威力の高い単発は避けられ、連射すると全身装甲である彼には効果が薄い。それでも、

 

「それでも、負けるわけにはいかないのよ!」

 

 鈴は両手に持っていた双天牙月の石突にあたる部分で連結させダブルブレードにして投擲したが、大きい双天牙月はアッサリと避けられる。

 しかし、回転している為ブーメランのように戻ってきた。

 そこを片手は連射、もう片手は威力を高めた衝撃砲で十千屋の動きを抑える為の弾幕を作るが、当たる軌道にあった双天牙月は爆発し落ちていった。

 この現象の正体は彼の背面にある。ハイパーセンサーで近づいてきている事は掌握していたので、背にあるジョイント付きユニットからフレキシブルアームを展開、W.U 12:『パンツァーファウスト・トンファー』に含まれるパンツァーファウストを持たせ撃ち落としたのだ。

 背面から襲いかかる双天牙月の撃墜という事実に彼女は動揺し弾幕が薄くなる。その瞬間、彼が攻勢に出た。

 

 「全弾持ってゆけ!」

 

「うっ!?しまった!?」

 

 ガトリングガンを撃ちっぱなしにし、肩の箱状の全面が開くそこには2×3のミサイルが入っていた。

 それが全弾射出し、途中で爆発しベアリングの雨が彼女に降り注ぐ。W.U 36:『ミサイル&レドーム』ハッチ展開式のミサイルとレーダーユニットがセットになっているモノであるが、更に…

 クレイモアミサイルを撃った彼は、急停止しバーニアとミサイルボックスに付いたスラクターを使い急上昇からの急降下で襲いかかる。

 降下の途中でクレセントカッターの本来の形であるグラインドサークルにして、体ごと彼女に突貫した。

 そして、止めの一撃にサークルを支えていない空いてる片手にとある武器を展開する。パンツァーファウストのセットに入っているパイルガン(杭打機)だ。

 

「トドメ!パイルGO!!」

 

 

ガァキィィイイン!!

 

「きゃぁああああああ!?!?!」

 

 抉り込むように打ち付けたパイルガンは見事、鈴のIS『甲龍』のSEをゼロにして彼は勝利をつかんだ。

 SEがゼロになり甲龍は強制解除され、片手で持ち上げられるような姿勢の鈴はまたアリーナに来た時のように彼の肩に担がれる。

 

「うぅうう…負けたぁ~」

 

「あぁ、俺の勝ちだな」

 

「あぁ!もう!悔しい!!次は勝ってやるんだから!てゆーかっ、降ぉろぉせぇえええ!!!」

 

「はいはい、ピットに戻るまでは大人しくしてような。あと、リベンジは都合のいい時にな。

 もう、アリーナの使用時間が来てるし」

 

「えっ、あれ…本当だ」

 

 ピットに着くと十千屋は鈴を肩から下ろす前に彼女が軽業の様に飛び降り後方宙返りで離れる。

 そして、彼女は深呼吸をすると照れくさそうに頭を掻きながら話し始めた。

 

ありがと、だいぶ気が晴れたわ」

 

「どういたしまして。そりゃ良かった」

 

「アンタ、一夏の為にあたしを慰めにきたんでしょ。お人好しね」

 

「まぁ、流石にこの状況は放って置けないでしょ」

 

「…アンタに免じでアイツが謝りに来たら受け付けてあげるわ」

 

「そいつは重畳、でも明日の放課後の時間は空いてるか?」

 

「何?まぁ、空いてるけど」

 

「今度は凰さんに言葉によるフォローだよ。俺だから気づいた一夏の傾向も話し合いたいし」

 

「分かったわ、あと…アイツと同じように名前で呼んでいいわよ。ヤりあった仲だしね」

 

「了解、鈴。じゃあ、また明日な」

 

「ええ、また明日」

 

 そう話し終えて十千屋は鈴の前から去っていった。

 彼が去ってゆく背中を見て、鈴は己の片手を見て握ったり開いたりする。

 

「ふっ、アイツ(一夏)を負かしたら次はアンタ(十千屋)の番なんだから」

 

 意識していないだろうが、彼女は自然と笑みが溢れる。ただの笑ではない獰猛な笑顔であった。

 

 

 一方、少し時が戻るがその頃の一夏。

 

「死ぬぅ!死んでしまう!やめてくぇえぇえれぇえええーーーー!!!」

 

「さぁ、踊りなさい。私が奏でる弾幕のBeatで」

 

「それは、わたくしのセリフですわ!!」

 

「・・・なら、踊り狂いなさい。私の魔弾の葬送曲で」

 

「もっと物騒になりやがったぁぁぁああ!?」

 

 ただ今、一夏は轟とセシリアの二重弾幕連奏を特等席で聞かされていた。そう、彼はいま弾幕の真っ只中にいる。

 特訓の内容は機動術の熟練と銃撃戦への慣れと戦術であるが、その方法は過激で単純だ。つまり、体で覚えろ(リンチ)である。

 しかも、すぐにエネルギー切れに成らない様に白式のスラスターには十千屋が用意していたプロペラントタンクが備えてあり、エネルギー管理の下手な一夏でもそうそう切らせない量が有る。

 そして、彼に襲いかかる弾丸すべてが低威力な物に差し替えら得ていた。これによりさらに時間が延びる。

 

「さて、被弾率は…こんなものか」

 

「一夏さ~ん!さらに40秒追加ですわ!」

 

「もうかれこれ一試合分は逃げ回ってるんだけどさ!?」

 

「仕方ない、バカスカ被弾する朴念神がいけない」

 

「そうですわね」

 

「色々パワーアップしているお前らにヤられる俺の身にもなれぇえーーー!!」

 

 そう、セシリアは日頃の修練が実り左右どちらかだけだが動きながらビットを使えるようになり、しかもグミ撃ちでなら撃てるようになっていた。

 轟の方はH.W.U 08:『セントリーガン』を装備している。このH.W.Uは自走兵器をイメージした砲台ユニットである。今回はそれをバラして機体に取り付けてあった。

 メインユニットであるビームガトリングランチャーは背後ユニットに副武装の小型ガトリングガンは両腕にそれぞれ付けていた。

 そんな二人が組んで撃ち込む弾幕はブ●イト艦長も(悟った)笑顔にしてくれる納得の量と厚みだろう。

 そして、今回のルールは被弾するたびに訓練時間が伸びるというものであった。最初は2分のはずだったが一夏はずっと避けきれずに永遠と伸び今に至る。

 終了条件は時間切れか、彼女らに一定量のダメージを与えることなのだが・・・

 

「ほらほら、た~んと喰らっちまえ」

 

「一夏さんっ、いきますわよ!」

 

「慈悲はっ、慈悲はないのですか!?」

 

「「ない(ですわ)ね」」

 

「くそうぉぉおおおぉおお!!!」

 

 彼にとって終わりがない終わり的な条件であろう。

 

 

 ついでにチェーロと箒はというと、

 

「一夏、力になれなくてスマン・・・」

 

「ぅおっとっと!?もっぷ~、集中力落ちてるよ~!ついでにボクも落ちちゃうよ!?」

 

「ぬっぅ!?すまん、だがモップ呼ばわりするな!?」

 

「じゃぁ、もっぴ~で」

 

「そちらも呼ぶな!」

 

 今回の箒の修練内容は集中力の鍛錬だ。

 身にまとったISのパワーアシストを弱体化させた状態で、よくしなる板の端に乗っかったチェーロを落とさないように持って走るというもの。

 そう、球が人間となったスプーン競争であった。これにより器用さと集中力、ついでに体力づくりも兼ねるというヘンテコなものであった。

 

 その後も特訓は続き、このアリーナでは一夏の悲鳴が途切れることはなかったという・・・




はい、ちょっとしたオリジナルの小話のつもりで書きましたが…案の定ちょいと多めになりましたよ、こんちくしょう(汗
取り敢えず、十千屋と鈴の心も体も暖まったであろう今回はどうでしたか?
私的にツンデレやんちゃ娘がクヨクヨ泣いているのが違和感があったので暴れさせて見ました。
ついでに歪みのタネも蒔いときました。

それにしても、ノベルのカラーページにある機体設定の項目を見て腕部にある小型衝撃砲を使わせてみましたけど・・・
こんなにバカスカ撃ったのはウチだけかも。
でも、原作的に「いらないから電撃鞭に変えて」だった武装なんですよねぇ…

次回は十千屋が気付いた一夏像と恋のアドバイスですが、実は今回の話の続きだったんです。orz
文字数が多めになったので区切りが良い所でぶつ切りました。
どちらとも六千~七千文字くらい…妄想と勢いで書く結果がコレだよ!!そりゃ切りますよね!?


では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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