IS×FA 遥かな空を俺はブキヤで目指す   作:DOM

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さて、区切りがよく10話目で原作で言うクラス代表決定戦が終われそうです。

では、どうぞ御ゆるりと。



IS×FA10ss:では1年1組の代表は

 クラス代表決定戦は終了した。

 戦歴は十千屋は全勝、セシリアは一勝一敗、一夏は全敗という結果である。

 この試合結果はまぁ順当であろう、そう何がいけなかったとかと言うと・・・

 十千屋が若干二名にトラウマを植え付けたのは些細なことであろう。

 

「「良くねぇ(です)わぁあーーーーー!!!!」」

 

 

 さて、試合が終わった夜それぞれの部屋に戻った。

 気になるクラス代表は明日には発表される。

 自室に戻った各々は何をやっているのだろうか。

 こちらは一夏と箒の共同部屋、どちらも寝る前の宿題に勤しんでいる。

 もちろん、この宿題は十千屋から振られた物だ。

 

「え~と、白式の長所と短所・・・つーか欠陥だよなこの短所って」

 

「別方角から同時に狙われた時の最善の機動は・・・一夏、そっちはどうだ?」

 

「え~と、とにかくエネルギーを喰う。っと、う~んまぁまぁかなぁ?それよりも白式の気づいた

 点まとめてレポート書けって宿題なんだけどさ・・・書けば書くほどコレ厳しくねって感じなん

 だけど」

 

「それは私は知らん。お前の鍛え方次第だ。こちらの方が難しいぞ」

 

「あ~、箒のは『自分対セシリア・オルコットの戦闘予測』だっけ」

 

「くぅっ、流石は代表候補生というだけの事はあるか。手詰まりになりそうだ」

 

「「はぁ・・・」」

 

 どうやら宿題の内容はどちらとも今日の試合内容でレポート提出らしい。

 他のメンバーは、

 

「戦闘ログと予測値の対象比較、今度の実習の内容は・・・」

 

「雄貴さん、余り根を詰めないでくださいね?」

 

「リアか、でもなぁ・・・やってやらないと悲惨そうだからなぁ」

 

「・・・分かりますけど、体調は崩さないでくださいね?週末はあの子との約束もあるんですよ」

 

 今日の試合の内容を確認し、次にやる実習の内容を練る十千屋にリアハが飲み物を差し入れに来た。

 彼はそれを受け取ると気を落ち着かせる様にゆっくりと飲み始めた。

 

「あぁ、あの娘の約束もあるけどセシリアともあるんだよなぁ」

 

「それは雄貴さんの自業自得です」

 

「ふぬぅ・・・何処を選べばいいんだか」

 

 チュゥッ「全く、本当に手の掛かるご主人様なんですから」

 

「ぬぅ・・・」

 

 悩む十千屋の頬にキスをし微笑むリアハであった。

 ちなみに、自拠点の個室である為ロボヘッドはさすがに外してある。

 

 最後はセシリアである。

 彼女は今、シャワー中だ。

 自身の自慢であるボディラインにそって流れるお湯、瑞々しい肌が弾く雫と誰もが見惚れる光景である。

 そんな光景を作り出している彼女は物思いに耽りながら湯を浴びていた。

 

(今日の試合・・・)

 

 彼女は今日の試合を思い出していた。

 自らの目標であり憧れの一人であった十千屋とぽっと出の一夏。

 トラウマはさて置き憧れのおじ様に今の自分を見せれた充実感、そして強い眼差しを見せた一夏。

 

「んぅ…はぁ・・っん、良いですわ・・・ねぇ」

 

 悩ましげな吐息を漏らしながら彼女は思い出す。

 最初、自分が見た印象の残る瞳は十千屋のものである。

 イギリスでの事件で自分を抱えて逃走中、彼は自分を庇いながら避けたため顔の左側面を負傷した。

 その時に頭蓋骨を模したロボヘッドが壊れ、その部位から覗いた優しく強い眼差しは忘れられないものだ。

 それは自分を慈しみ守護する力に満ちた瞳で、今日見た一夏とは反対のものである。

 一夏は譲れないもの守りたいものの為に敵を討つ、その様な強さを感じさせる瞳であった。

 

「んんっ・・・欲しいですわ。おじ様はわたくしだけに向けてくれませんけど、一夏さんのあの眼差しがわたくしだけを見てくれたら」

 

 セシリアはその事をそう想像すると背が震えた。

 次に胸が熱くなるのを感じる。そして、不意に頬に触れた手を滑らせ自分の唇に触れると不思議な高揚感が湧き上がった。

 

「ふふっ、いただきますわよ?一夏さん貴方の(眼差し)を」

 

 シャワーの温度と不思議と火照る体は彼女に心地よさを与えていた。

 実は十千屋と深く関わった女性はどこか歪むとどこからか噂されている。

 セシリア、彼女の場合は『眼差しフェチ』と呼ばれそうな性癖を所持してしまったらしい・・・・

 

 

 翌朝のSHRでクラス代表が発表された。

 その結果に一人真顔で受ける者有り。

 

「では1年1組の代表は織斑一夏君に決定です。あ、全部一つながりで験担ぎとしていいです

 ね!」

 

「先生質問です」

 

 そう、一人真顔で受けていたのは一夏であった。

 彼は挙手し棒読みで質問をする。

 

「はい、織斑君」

 

「俺は昨日の試合で全敗したのに、なんでクラス代表になっているんでしょうか?」

 

「それは―――」

 

 張り付いたような表情で平坦に言う彼に対して山田先生は言いかけると、とある方向を見る。

 そこには千冬がいて、続きを言うようにと意を込めて頷いた。

 

「それは、十千屋さんとオルコットさんが辞退した為です。」

 

「何故ですか」

 

「ええと、それは―――」

 

「山田君、それは本人の口から語らせよう。まずはオルコット」

 

 質問の答えは候補者が一夏を除いて全員辞退したからであった。

 さらにその理由を尋ねると千冬が本人達に語らせるとして、まずはオルコットを指名する。

 

「はい、勝負はわたくしの勝ちでしたが別にクラス代表に拘る必要はありませんの。わたくしはお

 じ様と戦うというのが最大の目的でしたから。それに今後の事を考えて一夏さんには戦う事を欠

 かせないクラス代表になって貰った方がよろしいかと思いまして。」

 

「それって何なんだ?セシリア」

 

「それは同じ男性装着者のおじ様に語ってもらいますわ」

 

 セシリアはクラス代表に拘っておらず、寧ろ十千屋と一戦を交わせる事を目的としていたらしい。

 顎に手を当て一々様になるポーズをした彼女は続きを十千屋に渡す。

 

「一夏、お前に専用機が渡った理由を考えたことあるか?」

 

「え、男性装着者だからだろ?」

 

 十千屋は語る前に一夏に質問をしてみたが、相変わらず額面通りにしか受け取っていない彼に溜息が漏れる。

 吐いて下がった頭を一夏に向け直し、感情と連動しているカメラアイを黄色にし一文字に細めて話し始めた。

 

「まあ、その面もあるな。男性装着者のデータ取り、これによってどうせ戦わせるだろうからな。

 でも、その話は後だ。俺個人としてもお前には沢山戦ってISの経験を詰み、強くなってもらいた

 い」

 

「なんでだよ?」

 

「補習の最初に話ししただろ、お前の立場…重要人物に武器を渡す、コレだけ言えばわかるだ

 ろ?」

 

「・・・自衛の為か」

 

「そう、そいつはお前がお前自身を守る道具でもあるんだ。(遅過ぎる気もしなくもないがな。

 第2回大会の事件とか)」

 

 十千屋の問いに一夏は自分が専用機を与えられている理由を初めて考えさせられた。

 男性装着者の専用機は大きく2つの意味を持っている。

 1つは女性にしか反応しないISが何故か使える男性のデータを取るため、2つ目は今の世の中は男性装着者にとって危険であるためその自衛手段としてだ。

 これを聞いた彼は腕に付いているガンレット風のアクセサリー、待機状態の白式を触って神妙な顔をしていた。

 余談だが、この表情を見てクラスメイトに軽くフラグが立つとは流石は天然の女誑しである。

 話は戻し、十千屋は続きを語った。

 

「だから、IS操縦の一番の糧となる実戦を欠かせないクラス代表になって貰いたい訳だ」

 

「わかった」

 

「あと・・・」

 

「あと?」

 

「俺は織斑先生に出禁を食らったからな」

 

「え?」

 

 今までの神妙な空気が一変、彼の出禁発言に一夏を含めほぼ皆が間抜けな表情となる。

 カメラアイが一文字のままだが青に戻っている彼は千冬の方を見つめた。

 すると、彼女は溜息を吐きながら発言する。

 

「はぁ、当たり前だ。十千屋とまともに戦えるのは一年では居ない。居たとしても最上級生の国家

 代表、しかもその一部に限られているからな」

 

「即ち、レベルが違うって言われたんだよ」

 

「当たり前だ。お前と他の奴らでは話にならん。もし自重無しに戦ってみろ、トラウマ製造機の異

 名がお前に付くこととなる」

 

「まぁ、妥当な処置だと思いますよ?それにな一夏、出禁を食らってるけど事ある毎に特別枠で出

 されることも決定してるからな」

 

「そうだ、男性装着者の片方を遊ばせている訳にもいかん。データを寄越せと上がうるさいのも事

 実だ」

 

「てな訳で一夏、クラス代表に成っても成らなくても実践行事には強制参加なのは決定済みだか

 ら、大人しくクラス代表になっとけ…な?」

 

「よく分かりました・・・」

 

 どうしようもない事実に一夏は肩を落として受領する。

 こうして、クラス代表は一夏に決定した訳であった。

 

 

 少し時が経ち、四月下旬の今日はグラウンドで実践授業をしている。

 この授業は千冬が担当し、まずは飛行操縦の実践からであった。

 その見本として、専用機持ちと代表候補生がまずは飛ぶこととなる。

 ISの待機状態から起動させる一夏とセシリア、一応は量産機である為に待機状態に出来ない十千屋はもう身に纏っている。

 そして、

 

「轟ちゃん、ボクにやらせて♪」

 

「はぁ、そうね。飛ぶことに関しては貴女の方が上だものね」

 

 コトブキカンパニーの代表候補生であるチェーロと轟は、チェーロの方が空を飛ぶ事となったようだ。

 彼女たちの専用機はカンパニー特別製の先行量産機であり、互いに譲り合いながら使っている。

 今回は飛行するため、その能力が高いチェーロとそのバージョンのISに決めたようだ。

 彼女は相方から厳重に仕舞ってある鍵の付いた小箱を受け取る。

 それを開けると中からISコアが出てきた。

 そのコアを自分のISスーツの胸に在るまるでコクピットハッチの様な突起に差し込んだ。

 実はカンパニーの面々は普通のISスーツではない。

 普通のISスーツは水着のようなレオタードのような代物であるが、彼女らのスーツはウェットスーツに装甲を付けたようなデザインがされている。

 実際に胸や脇腹、太ももや二の腕に金属系パーツがついており普通のISスーツを見慣れている者達からすれば異質な感じを受ける。

 彼女らはこのスーツを(マテリア)スーツと呼んでおり、ISスーツとは別物だと公言している。

 

 それはさて置き、チェーロがコアを差し込んだ次の瞬間には機体を展開していた。

 青と鋭角、そして翼-FAのスティレットをIS(ロボ娘)化にしたFA:G(フレームアームズ:ギア)スティレットである。

 全ての準備がし終わったのを確認すると、指示が出される。

 

「よし、飛べ」

 

 千冬がそう言うとまずはセシリアから飛び立つ。

 見る間に急上昇し遥か上で静止した。

 その次に一夏が飛び立ったが、彼女よりかなり遅く千冬から叱咤を受ける事となる。

 後の二人だがチェーロは飛び立った中で一番の上昇速度を出し、十千屋はH.W.S 06、支援機から武器・防具まで変形するエクシードバインダーを背に設置し飛び立っていった。

 その間で一夏が飛ぶイメージと原理が分からないと通信で愚痴る。

 

「飛ぶイメージ、イメージなぁ…飛ぶ感覚自体が曖昧だってのに。それにどうやって浮いてんだ、

 これは?」

 

「まぁ、所詮イメージですわ。自らあったイメージを構築したほうが建設的ですわね。そして、原

 理の話は長いですわよ?反重力力翼や流動波干渉などの話もしなければなりませんし」

 

「・・・うん、わかった。説明はなしで」

 

「イメージの補足をしてやろうか?教科書の角錐が分り辛かったら立体的な矢印を思い浮かべろ。

 それの尻に引っ張られる感じで飛び、矢印の大きさでスピード調整、方向は方向だ」

 

「いっその事、漫画やアニメのイメージで飛んでもいいけど…いざって時に融通が余り効かないか

 ら止めといた方がいいよ?コレしたらパパから注意されたし」

 

「一夏さん、よろしければまた補習にお邪魔させてもらって指導して差し上げますわ。その時はマ

 ンツーマンでの指導など」

 

 遥か上空で少しマッタリとした時が流れるが、つんざく様な通信が耳に入り痛くなる。

 その通信、いや怒声は箒のものであり、内容は一夏を名指しでとっとと降りて来いというものであった。

 通信で上空にいるメンバーが地上を見下ろすと、ハイパーセンサーの補正で何かあったのかハッキリと見える。

 どうやら箒が山田先生のインカムを奪って叫んだようだ。

 奪われた山田先生はおろおろしていて・・・あ、今しがた箒は千冬の出席簿アタックをくらった。

 この光景を見ながらハイパーセンサーの優秀さに一夏が感心していると、セシリアから説明が入る。

 その説明はさすが優等生という感じのモノである。ちなみに補習に同席している箒は自分の感覚を擬音オンリーで説明するので全く役に立たない。

 それを一々十千屋が説明を付け加える事でようやく成立する。その為、彼は説明などで一夏に絡みたいなら発表の練習をして来いと言う始末であった。

 

 千冬がインカムを取り返し次の指示を出す。内容は急下降と急停止、目標は地表から10センチとの事だ。

 ちなみに箒は打たれた頭を抱え悶えていた。

 それを受けて一夏以外次々と降りてゆく。

 セシリアは見本となるように難なくこなし、チェーロはミリ単位だが行き過ぎて十千屋は腕を組んだまま落下し目標通りに急停止した。

 彼らの様子を見ていて一夏は集中して一気に地上へ向かったが、

 

「織斑先生、アレ落ちます?」

 

「ああ、落ちるな」

 

「落ちる前の罰ゲームは?」

 

「よし、逝け」

 

 一夏の下降速度と言うより落下速度が早すぎて墜落になる前に十千屋が止めようとする。

 その提案を千冬は許可し、ついでに罰則も許可した。

 請け負った彼はエクシードバインダーのブースターを噴かし、一夏の真下から近づく。

 

「うぇ!?十千屋さっ」

 

「墜落しそうだから罰ゲームな」

 

「へっ?」

 

 疑問を感じる前に頭から落ちてきている一夏を十千屋は両腿を手で掴み、相手の首を自分の肩口で支える状態にして彼とともに落下する。

 そして、本来一夏だけならグラウンドに激突し穴を開けていたが…十千屋の無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きで地面に穴を開けずに尻餅をつくように着地し、衝撃で同時に首折り、背骨折り、股裂きのダメージを与えた。

 

 

ガコォッ!!

 

「ぎゃにゃぁあああぁあああ!?!?」

 

「「「キ、キン●バスターだと!?」」」

 

 

シュゥウウゥウウウウ・・・・

 

 そう、一夏は十千屋にキ●肉マンの48の殺人技の一つキン肉●スターを決められ悲鳴を上げる。

 実際は白式のシールドエネルギー・・・いや、絶対防御のお蔭でダメージはないが悲鳴を上げざる負えなかった。

 リアルな話だと某プロレスラーのインタビューで「以前、試合でキン肉バスターを使ったら、(相手の)記憶が吹っ飛んでしまった」と語るくらいなので、ダメージは推して知るべし・・・

 

「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。本来ならグランドに穴を開けているところだぞ」

 

「せんせ~、織斑君は精神的ダメージで話を聞けていませ~ん」

 

 千冬が叱咤するが当の本人はバスターを喰らったショックでグロッキーになっていた。

 その様子に箒は情けないと言いそうになるが惨状を見て言葉をついばみ、セシリアは一夏を気遣ってちゃんとした体勢で寝転ばせ頬を摩ったり軽く叩いて看護をする。

 それに対して箒とセシリアの間に乙女のプチバトルが開催されるが、千冬に押しのけられ気が付いた一夏に新しい指示を出す。

 

「織斑、武装を展開しろ。それくらいならば自在に出来るだろう」

 

「う、うぅ・・・うぁ、うぁい」

 

「確りせんか、あと返事は『はい』だ」

 

「は、はい!」

 

「気が付いたな?では、始めろ」

 

 一夏は周りを確認し、突き出した右腕を左手で握り集中する。

 左手が右腕を強く握り締め、集中力が極限に高まった時に手の平から量子の光が放たれ像を結び形を形成する。

 光が完全に収まった頃には彼の手には『雪片弐型』が握られていた。

 が、千冬にとってはそれは遅く、最低目標として0.5秒以下で出せるようにと指導を受ける。

 次にセシリアだが、彼女は手首を下方向に捻ると同時に抜き打ちをするかの様に腕を正面水平になるように動かす。

 その途中で一瞬爆発的に光り、その手には狙撃銃『スターライトmkⅢ』が握られていた。

 しかもマガジンが既に装填され、銃口を正面に向ける迄にセーフティーが外され今は敵はいないが向けたと同時に撃てるまで完了している。

 その動作に千冬は満足そうだが、ふと疑問に思う。

 

「流石だな、代表候補生。―――だが、その手首もスナップは何だ?この前の試合の時にもやって

 いたな。なぜ行うかは分からんがソレは直しておけ。一流のISライダーだと僅かな特徴のある

 動作でも見抜き、ソレはテレフォンパンチとなる」

 

「なる程、分かりましたわ織斑先生。あと、この動作はお母様やお父様が袖口から武器を出すイ

 メージから関連付けていますの」

 

「・・・わかった、他人の家の事情に口は出さん。動作は修正しておくように」

 

「はい、重ね重ね了解いたしましたわ」

 

 彼女から理由を聞いた千冬は一瞬気が遠くなるが、気を取り直して次に移る。

 セシリアの台詞はイギリス貴族の闇が見えたような気がした。

 

「では、次は・・・とち」

 

「「「わぁああぁあ♪」」」

 

「何だ?」

 

 十千屋は自分が呼ばれるのが分かるとすぐさまに武装を展開する。

 だが、彼は右手でナイフを展開し(出し)上に弧を描いて左手に落とすと同時にその手で収納(クローズ)していた。

 それを何種類ものナイフ-W.U 34-ナイフセットでまるでジャグリングするかの様に行なう。

 マチェット、ファンタジーナイフ、ハンドアスク、ククリナイフ、出刃包丁、クナイ、何故かカッターナイフなど様々なナイフ類が出ては消えてゆく。

 おまけにと背面のハードポイントにはサポートメカニックパーツのシリーズであるM.S(メカ・サポート)01・02-フレキシブルアームA・Bが展開され、それぞれのアームの先では銃器類が出たり消えたりしていた。

 そんな大道芸のような光景にクラスメイト達は驚き喜んでいた。しかも、指示前に行動していているので注意を促さなくてはならない山田先生もそれを楽しんでいる。

 それに頭が痛くなりながら千冬はそれを止める。

 

「十千屋、パフォーマンスはもういい。貴様の技量では言う事はないが、指示を待ちちゃんと聞

 け・・・いいな」

 

「了解いたしました織斑先生」

 

 彼女の指摘を受け、十千屋は全てを収納し返答する。

 彼もパフォーマンスは十分だと理解したので素直に引き下がった。

 だが、これの中止に残念だと思う生徒が多数いたが・・・千冬のひと睨みで一瞬で態度を正した。

 ちなみにチェーロの武装展開の技術は可もなく不可もなくである。

 それらを見ていた一夏は自分の技術のなさに不甲斐なさを覚え、いっそうの努力をしなければならないと肌で感じる。

 そして、IS操縦技術をモノにするにはまだまだ先が長いと実感するのであった。

 

 

 授業が終わり放課後が過ぎその日の夜。

 IS学園の正面ゲート前に小柄な体で、それには不釣り合いなボストンバックを持った少女が立っていた。

 夜風になびく髪は左右それぞれ高い位置で結び肩に掛かるか掛からない程度の長さで、金色の留め金がよく似合う艶やかな黒色をしていた。

 

「ふぅん、ここが・・・そうなんだ。待ってなさいよ――織斑一夏!」

 

 再度、四月のまだ暖かな夜風が吹く。が、少女の髪が横にたなびく程の強さであった。

 それは、またこれから強い風がIS学園・・・いや、十千屋や一夏達に吹き荒れるのを象徴するかのようである。




はい、最後はあの娘が登場するような感じで終わりです。
続けば次回から原作で言う『セカンド幼馴染編』に入ります。
相変わらずネタを挟まないと死んじゃう病ですが、大目に見てください(汗
そして、『セカンド~編』から十千屋の関係者がちらほら出てきます。
あの最上級生のトラウマ作成娘も登場予定です。
できれば楽しみにしておいてください。

では、今回は此処まででございます。

そして、感想や誤字脱字・ここが文的におかしい等のご報告も謹んで承ります。
では、もし宜しければ次回お会いしましょう。

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