復活信者の転生ログ。   作:夢いろは

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問 前回の最後の声は誰と誰でしょう?

ヒント 紅髪の彼と蒼髪の彼。


もうわかりましたよね?


No.2 少女は弟共と修行に励む。

 

 

 キン、キン、カキーン。

 

 

 模擬刀の打ち合う音が響く。

 只今、毎日の修行の合間に行っている弟弟子との手合わせの最中である。

 片方は私、そしてもう片方は3つほど年下の紅髪のガキ。

 今のところ私はこのガキ相手に全戦全勝中だったりする。

 まぁ、まだ年齢が二桁もいってないようなガキに、爺さんに才能有りと認めてもらった私がそう簡単に負けるわけにはいかないのだが。

 

 「はああぁぁぁぁっ!!」

 

 ガキが勢いよく私に向かって刀を振りかざす。

 迫ってくる攻撃を難なく避けて、狙うは勿論カウンターだ。

 

( 時雨蒼燕流、攻式五の型――五月雨、モドキ!)

 

 一度中斬りを放ちながら刀を持ち替え、放つは変幻自在の斬撃・・・!

 時雨蒼燕流。

 復活に登場する、「最強」を謳う「滅びの剣」。

 決まった。我ながらなかなかの再現度である。

 

「・・・勝負有り、だね。若サマ?」

「・・・っ!」

 

 相手に向かってニヤリと笑ってやると、ガキは悔しそうに顔を歪めた。

 私の持つ刀はガキの首筋でピタリと止まり、当たった部分からはツゥゥと血が滴り落ちた。

 

「ふむ、さすがじゃな。若も動きは良くなってきておられるのですがなぁ」

「勝てなきゃ意味ねーよ。あぁくっそまた負けたー!」

「やはり姉さんは強い。俺達はまだまだだな」

 

 ガキの傷の手当てをしながら話す、私の剣の師匠でもある白髪の爺さん。

 紅髪のガキは大人しく手当てを受けながらも何時もの如く悔しそうに叫ぶ。

 私を姉さんと呼んだのは、紅髪のガキと同い年の蒼髪のガキで、現世において正真正銘の私の弟である。

 

 

 

 

 

 ・・・おわかりいただけただろうか。

 この三人の正体が・・・。

 

 

 

 

 

 紅髪のガキ→後の紅丸(ベニマル)

 

 白髪の爺さん→後の白老(ハクロウ)

 

 

 

 

 蒼髪の弟→後の蒼影(ソウエイ)

 

 

 

 

 あぁ、今日も空が青いなぁ・・・。

 

 

 

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

「おい、さっきの型、俺にも教えてくれよ」

「さっきのって?」

「ほら、俺を負かした時の。刀持ち替えてたやつ」

「俺も知りたい。あれも、前に姉さんが言ってた時雨蒼燕流というやつなのか?」

 

 爺さんとの稽古の休憩中、ガキ二人が私に教えを請いに来た。

 この二人、作品中でも言っていた通り、仲の良い幼馴染みであり、実力の拮抗したライバル同士である。

 オーガらしく普通の人間の子供と比べて明らかに大きい身体だが、作品時の彼らと比べたらまだまだ小さい。

 実力もまだ無い。少なくとも私に勝てない間はまだまだだろう。

 

「あぁ、あれね。別にいいけど、今の二人に出来るかなー?」

「この俺様に出来ないことがある訳ないだろ?」

「どうだかね。まあいいや、やるならさっさとやろ」

 

 休憩もそこそこに立ち上がり、私専用の模擬刀を持つ。

 黒好きのおじさん――ええと、後の黒兵衛(クロベエ)のお父さん――に打ってもらったものである。

 まぁ試し打ちしたのを譲ってもらったやつなので決して出来は良くないのだが、今までで一番使いなれた刀である。

 二人も私に習って刀を構える。

 私の持つ技術を盗もうと集中しているのがわかる。

 ・・・こうして二人を見る度に、あぁベニマルとソウエイなんだなぁってしみじみ思うよ。

 表情がね、凄く格好いいんだ。

 それでいて雰囲気が凄く大物っぽい。

 今はまだ、私にすら勝てないただのガキなんだけどね。

 私はガキはそんなに好きじゃない。

 どうしても前世の孤児院での記憶を思い出しちゃうから。

 でも、二人のその強くななりたいってなりふり構わず努力する姿は嫌いじゃないよ。

 

「じゃあ始めるよ。まずこの型は――」

 

 わかりやすいように意識しながら説明していく。

 二人とも頭がいいので、そんなに丁寧にしなくてもすぐに理解してくれるから教えるのはとても楽である。

 刀を振るう彼らに、私がちょくちょくダメ出しとアドバイスを挟む。

 その様子を、爺さんが微笑みながら見守っている。

 ・・・悪くないな、この生活も。

 ガキ共はいつも騒がしいし、稽古はとにかく厳しいけど。

 少なくとも前世と比べたら、今の私はずっと幸せだ。

 

 

 

 

 

   ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 夕暮れになり、今日の稽古が終了した。

 何時も通りの厳しい修行に、終わりの合図と共に少年二人――後のソウエイとベニマル――は地面に倒れこんだ。

 息が上がり、身体が上手く動かせない。

「ふぁーっ疲れた」

 そういいながら汗を拭くのは彼らの姉弟子である。

 やはり経験値の差は大きいのだろう、疲れているのは本当だろうが、彼らのように倒れこむ気配はない。

 手早く刀をしまい、身支度を整える。

 ――やっぱり姉さんは凄いな。

 弟である蒼髪にとって、姉である彼女は憧れであり目標だった。

 

「じゃあ私先に帰ってるから。あんたも少ししたら帰ってくるんだよ?」

 

 そう言う姉に、蒼髪は疲れた身体を必死に動かして了承の意を伝える。

 それを見た彼女は師匠に一言だけ挨拶をしてさっさと帰っていった。

 

「・・・なあ」

「・・・なんだ?」

「あいつ、なんであんなに平気そうなんだ?俺達と同じように稽古してたよな?」

「さぁ、な。姉さんと俺達の間にはそれだけの差があるということだろう」

「あー・・・悔しいなぁ、今日こそは絶対勝つって思ってたんだが」

「そのセリフ毎回言ってないか?」

「言ってる気がする・・・でも本当に悔しいんだって」

「気持ちはわからなくもないがな」

 

 かくいう蒼髪も、姉に一度も勝てたことがない。

 それどころか本気を出させたことすらないのだ。

 姉が師匠と手合わせしているのを見ると、その実力の差を嫌でも思い知らされる。

 彼女は天才だ。それも、師匠が認めるほどの。

 今日教えてもらった型だって、彼女が自分で編み出したものなのだから。

 オーガの一族に代々伝わる朧流の技とは違う技。

 それを一から作り出し実践で使えるだけのレベルに仕上げるだけの自力が、彼女には既にある。

 

「・・・早く、追いつきてぇな」

「・・・ああ、そうだな」

 

 二人が目指す目標は同じだ。

 姉弟子を、越えること。

 今の自分達と彼女との差なんて、痛いほどわかってる。

 ならば、それを覆せるくらい努力すればいいだけだ。

 

「・・・強く、なりたい」

 

 どちらともなく、ポツリとそう呟いた。

 




という訳でベニマルとソウエイ、ついでにハクロウでした!
ベニマルにソウエイ、あとディアブロが私の転スラ好きキャラトップ3だったりします。
次はシオンを出したいなぁ。

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