前回あとがきで「まずはあやつをださねば」的なことをいったと思うんですけど、
いやね、嘘じゃないです。ちゃんといます。
二言分だけ。
今回復活要素入れられなかったな・・・。
あと糞短い。過去最短の可能性あり。
物語の“開幕のベル”とでも呼べるだろう出来事は
「よし、お前らには特別にこの上位魔人ゲルミュッド様が名前を付けてやろう!」
「いらないからとりあえず帰れ」
「なんだと!?」
驚くほどあっという間に過ぎていった。
まるで何事もなかったかのように。
◇ ◇ ◇
最近、ようやく若サマが師匠に勝てるようになった。
弟も結構いい線いってるし、あとひと越えってところかな。
紫髪ちゃんはもう少しかかりそうだけど、元々センスのある子だし、なにより後のシオンだし特に心配はしてない。
姫様も妖術の精度がどんどんあがっている。
私も遂にスキル抜きで師匠に勝った。
頑張って覚えた
師匠の強さは相変わらず、勝てるようになったとはいえ毎回毎回苦戦させられている。
黒好きおじさんが造ってくれた刀は今日も絶好調。
いい調子、いい雰囲気である。
今日もいつもと同じように修行をおえて、弟と二人帰り道を歩いていた。
修行を始めたばっかのころは終わってすぐには立ち上がれずに地面と同化してたのが、今では疲れはしても倒れることはない。
成長。そう、私達はちゃんと成長している。
だから、だから多分きっと大丈夫、大丈夫だよね。
いくら私というイレギュラーがいたって、
「・・・姉さん?」
「!?っ、何?」
「・・・別に、なにもない」
「あ、そう」
「けど」
「?」
「・・・なにか、悩んでるだろ」
・・・あっちゃあ。やってしまった。
顔には出さないようにしてたつもりだったんだけどな。
いや、実際若サマや師匠には何も言われなかった。
てことは、弟にバレたのは一重に姉弟だからってことなのかな。
「別に大したことじゃないんだけどね」
「・・・なんかさ、嫌な予感がするんだ」
ごめんね、全部は言えない。
『もうすぐ
原作知識でいつか起こるってことは知ってたし、その日が来ても対応出来るように、今まで修行もサボらずやってきた。
そして私達は強くなった。
原作では若サマ逹6人はちゃんと生き残っているし、私だって自信はあるし、だからその日がいつ来ても大丈夫だと今でも思ってる。
ただ、その日の存在を目の前に突きつけられてビビってるだけで。
だってよく考えて見て欲しい。
私は今まで命のやりとりは一度もしたことがないのだ。
冒険者に狙われたことはあった、けどあの時は相手が格下だったから特になんともなかった。
けど今回ははじめから負けるのがわかっているのだ。
『
原作では
そして今の私は当然ながら
本当に生き残れるだろうか。
弟は、若サマや皆は死んだりしないだろうか。
例え大丈夫だと思っていても、ただただそれが怖いのだ。
「私達は確かに強くなった、けどもし強くなった私達でも勝てない相手がでてきたらその時はどうしようもないでしょ。・・・なんかねー、うん、よくわかんないけど」
「その“もしも”がすっごく怖くなっちゃってさ」
一先ず今言えることだけを口にする。
弟は真剣な表情で私を見ていた。
多分10人が聞いたら10人が『気にしすぎ』とか『んなことになるわけない』って言われるだろう内容なのに、バカにしたりせず、静かに聞いてくれている。
・・・そういえば、二年前くらいにも同じようなことがあったな。
今と立場は逆だったけど。
なんだか懐かしい気持ちになって、少しだけ気持ちが楽になった。
「・・・俺はまだ、姉さんより弱い」
「?うん、まぁ確かにそうだね」
「俺の目標は姉さんを追い越すことでだ。だから、今すぐは無理でも、」
「その時が来たら、俺が姉さんを守るから」
だから“もしも”の心配など必要ない、と弟ははっきりと言った。
・・・なにか勘違いされてる感じが半端ないぞ?
もしかして自分が死ぬのが怖くて、みたいな感じに思ってないか?
いや確かに死ぬのは怖いけどね?でも私一度既に死んでるので。
そうじゃなくて、貴方逹が死ぬのが怖いんだけどなぁ。
・・・ふふ、でもそっか、『俺が姉さんを守る』か。
ヤバイ、私の弟マジかっこいい。
「ん、ありがと。・・・じゃあ、私も約束するね」
「?」
「もしあんたが絶体絶命のピンチに陥ってどうしようもなくなったときは、私が絶対に助けに行くから」
そうだ、弟も、若サマも、姫様も、紫髪ちゃんも、師匠も、皆みんな。
私が死なせない。
生きて、また皆で笑おう。
「わざわざ私に助けられたりしないように、頑張ってね」
そして平穏は終わりを告げる。
物語の開演はもう目の前だ。
次、どう頑張っても戦闘シーン書かなあかんやつだよな・・・。
なるべくはやく投降できるようにします。
はやく原作突入したい。
せっかくアニメ化も決まったことだしね!