どうやら腐女子がテイルズオブヴェスペリアの世界にまよいこんでしまったようです。 作:rimuku
キャラ設定
森園 よだか
性別 生物学上女
年齢 17歳
身長 156cm
体重 48kg
容姿 胸までのストレートな黒髪に焦げ茶色の瞳。顔は可もなく不可もなくでモブっぽい。
所属 弓道部
メイン武器 よだかの身長と同じくらいの大きさの和弓
サブ武器 絵筆
筋金入りの腐女子。
穏やかで思いやりのある性格だが、極度のコミュ障。
優れた観察眼を持つ。
オタク気質で、テイルズオブヴェスペリアのゲームはもう十二周以上周回済み。
おかげでストーリーどころかキャラのセリフすらほとんど暗記している。
戦闘では和弓を使い、闇属性の術を中心に攻撃する。
トリップしたことによって時を操る特殊な能力を使えるようになった。
----------------
体育の授業。
わたしはこの時間が大嫌いだ。
「森園さん!!ボール!!」
「うわっ…へっ?」
突然大声をかけられ、ずいぶんと情けない声が出てしまった。
当然のようにボールはわたしの横を通りすぎてコートの外に出ていく。
チーム全体が、ため息まじりのがっかりした空気に変わったことがよくわかる。
わたし、なんて間抜けなんだろうか。
運動できないんだよなあ。
「ダッサ」
「うちらのチーム勝てないよねこれ…」
何か聞こえてくる。わたしのことだろうか。
ふいに体に冷水をかけられたような感覚におそわれた。
聞こえないふり、聞こえないふり…
…
「…っは」
わたしは身を起こした。どうやら勉強しながらうたた寝してしまっていたようで、
手元には教科書やノート、筆記用具が散乱している。
スマホスマホ…あった。まだ8時か。
ねぼけまなこを擦りながらスマホの電源をつけ、ホームに写し出された数字に目をやる。
窓の外には、もう暗闇にのまれた空に月が登っていた。
わたしの住む都会では、夜は地上の方が明るい。
星たちの明かりは地上に届かず、夜の空はなんとも殺風景だ。
寝ているときって、1日の記憶を整理してるんだってどこかで聞いたことがある。
嫌だなあ、こういうの、寝る度に思い出さなきゃいけないのか。
なんでわたしってこうも不器用なんだろう。
自分の情けない姿を思い出して、言葉では言い表せないような悔しい気持ちになる。
わたしはしばらく黙ったまま手元のシャーペンを見ていた。
わたし、今のままでいいんだろうか。
なんとなく意味もなく生きて、趣味と言えばお絵かきとホモを見て喜ぶこと。
あとポクモンの厳選くらいだ。
なんともやりがいのない人生。
ふと、わたしはノートの端に書いたユーリの落書きに気がついた。
そうだ!!こんな時はやっぱりゲームだよね!!嫌なことも全部わすれられる!!!
うんうん。今日もフレユリが美味しい。
今日はユーリにねこみみが生えてフレンを誘惑するシュチュエーションを妄想しよう!!!!
わたしは考えるや否や、 ps3のコントローラーに手を伸ばした。
わたしはこういうとき、あえてピクスブなどの絵投稿サイトをみない。
他人の想像を探すのではなく、自らの妄想により理想的なシュチュエーションを見つけ出すのだ。
動作ひとつで、言葉の交わし方ひとつで、シュチュエーションは幾倍も素晴らしいものになる。
わたしは、そのcpが最も輝けるシュチュエーションを完成させ、萌え萌えキュンキュンBLスーパーワールドをつくりだしわたしだけの薔薇園を…
「…おーい」
「んはぃ!!!?」
唐突に声をかけられ、また情けない声がでた。
いけない。またわたし禁断症状がでてたようだ…。
声の主が呆れたような声をあげるのがわかる。
それにしても変わった声だ。なんだか合成音声というか、人の声とは言い難いような声。
そもそもこの声の主は誰なんだろう。
わたしは、声の主を探して辺りを見回した。
…というか、声?
わたしの部屋に入ってくる人なんておかあさんくらい…
…??
_____わたしが探した声の主は見当たらなかった。
だが代わりに、驚きの光景を目にすることになった。
「なにこれ…」
…わたし、浮いている。
そして目の前には、もう数百回と見たであろうテイルズオブヴェスペリアのロゴとスタート画面。
ユーリがラピードと共に、丘から帝都ザーフィアスを臨むあの画面だ。
どうやら腐女子がテイルズオブヴェスペリアの世界にまよいこんでしまったようです。
ピクスブ…よだかの世界でかなりの普及率を誇るWeb画像投稿サイト。
二次創作などの作品も大量に投稿されており、オタクのユートピアである。
ポクモン…略さないでいうとポクットモンスター。本来は子供向けゲームだが、非常に作り込まれたゲームシステムからよだかのような大きなお友達にも大人気。