その首筋にトスッとナイフが刺さった。
その柔肌に鋭利な先端が突き刺さり抵抗することなく食い込んでいき、血があふれ出す。
その小さな体躯は二度三度身を震わせ、動こうとして
追撃の刃で首をすっぱりと斬り飛ばされた。
斬り飛ばされた首はくるくると回りながら地面に落下し、後を追うように体も落ちて―――
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
黒髪の青年の頬に手が向かう。
鋭いスナップを聞かせたその手のひらは黒髪の青年の頬を反応させずに叩いた。
俺が穴から降りると、黒髪の青年が金髪の少女から平手打ちを喰らっていた。
◇
アリサの平手打ちをくらったリィンは衝撃にふら付きエリオットに心配されていた。
「リィン。大丈夫?」
「あぁ…。厄日だ…」
◇
(厄日って・・・お前が悪いんじゃねえのか?)
俺は近くにいた銀髪の少女に状況を聞くことにした。
「えーと、あいつ何で平手打ち喰らってたんだ?」
「金髪の子を助けようとして、胸に突っ込んだみたい」
「ギルティ」
「うん、変態は死すべし慈悲はない」
俺はこの瞬間思った。こいつ気が合うなと
そうやってふざけて話していると、腰につけていた機器が鳴った。
この学校に来る前に制服と一緒に届いたものである。
ししょーやじじいが使っていたものと比べると一回りデカかったのを覚えている。
『それは、特注の戦術オーブメントよ。』
「―――この機械からか?」
「つ、通信機能を搭載しているのか?」
異国風の青年とマキアスがつぶやくと金髪の少女が何かに気づいたかのように声を挙げる。
「もしかして、これって…」
『ええ。これはエプスタイン財団とラインフォルト社が共同して開発した次世代の戦術オーブメントのうちの一つ――――』
ラインフォルトと聞こえた瞬間に少女の肩が一瞬震えた。
彼女はおそらくラインフォルト社の関係者といったところだろうか?
『第五世代型戦術オーブメント。
≪ARCUS≫よ。』
「ARCUS…」
「導力魔法オーバルアーツが使えるという特別なオーブメントのことですね?」
眼鏡の少女が思い返すように発言する。
『そう。回路に七耀石からできたクオーツを嵌めこむことで導力魔法が使えるようになるわ。』
『―――というわけで、受け取りなさい。』
サラ教官の言葉とともに薄暗かった広間に光がともり、ここがさっきまで自分たちがいた場所と同じぐらいの広さの大部屋であることが分かった。
『君たちから預かっていた武具と特別なクオーツを用意したわ。
それぞれ確認したうえでクオーツをARCUSにセットしなさい。』
それで、サラ教官からの通信は途切れた。
「まぁ、とにかくやってみるか。」
という青い髪の少女の声と共に彼らは自分の武具があるところへ向かっていく。
自分の武具が置いてある場所はすぐに分かった。
1つはししょーからの譲りものである鈍色の大盾≪黒鋼≫もうひとつは円を描くように配置された小型の銃身とその真ん中に大砲が接着したガトリング砲≪白銀≫。
俺は持ってきたいたポーチから銃帯を取り出し腰に括り付ける。
そして、戦術オーブメントを白銀のくぼみに着けて起動。
青白い光が白銀の表面を伝っていき白銀の砲身に光が戻った。
それを確認すると俺はポーチから煙草を取り出し、火をつけ一息吸った。