「旧校舎の探索?」
「ああ、学院長から鍵を渡されて・・・」
「で、3人じゃ心もとないから暇そうだった俺に目を付けたと?」
「ほかの皆はクラブ活動で忙しいみたいだしさ・・・」
「しゃーない、わかったよ」
◇
結局、寮の食堂で自炊することになった。
冷蔵庫から出してきた鹿肉とかみつき草を取り出して、鹿肉を自家製ソースに絡めながら焼き、かみつき草のバンズに鹿肉と溶かしたチーズ、肉汁とソースを絡めた野菜を挟めば出来上がりだ。
で、俺が飯食ってくつろいでいたらリィンがやってきた。
なんでも、会長の手伝いしていたらサラ教官に学院長室に行くように促されて
行ったら、「サラ教官から頼まれごとをやってくれないかね?」と言われて鍵束を押し付けられたそうだ
「リィンってパシリの素質あるよな」
「言わないでくれ・・・」
「で、前衛が二人と後衛が一人か・・・リィンはどっちがいい?」
「どっちって?」
「前衛一人するか後衛一人追加するかってことだよ。前者はエリオットを守りやすくなるが、回復がエリオット一人だと追いつかなくなる可能性がある。後者はサポートも回復もできるようになって安定性が取れるけど、突破力とか火力が低くなるから前衛二人の負担が重くなる。で、どっちがいい?」
「うーん・・・じゃあ、後衛追加のほうで。安全第一だし、もし危なくなったら戻ればいいし」
「そうか・・・じゃあ、準備してくるからちょっと待ってな」
◇
「しかし、後衛か・・・ウォーロックは駄目だな。ネクロマンサーも使えないし・・・ハウンドかなぁ?」
後衛職とは言っても、あっちとは文化が違うからうかつに技術を漏らすわけにもいかんからなぁ・・・そこが面倒なところか。
重砲に関しては、導力革命時代に作られた痕跡があったから、その時のものを回収して現代風のアレンジを施した・・・みたいな感じで誤魔化せたけど
印術とか古代魔法漏らして、戦争の引き金引いちゃったら不味いし
ハウンドだったら、鷹とか犬とか呼ぶぐらいだし問題はないはず。
(あーでも、さっきまでいなかった犬とか鷹とか魔方陣で召喚するから駄目だな・・・何気に獣笛ってアーティファクトみたいなもんだしなぁ)
ハーバリストは薬効があるとはいえ、帝国で使用されていない薬物を使うわけにもいかんし・・・
候補としては
・レンジャー
・バード
・バリスタ
・スナイパー
・ダンサー
・・・・・・・見事に後衛職ばかりだな。
「いざというときに何もできないやつしかないじゃん」
俺は溜息を吐く。
あのカマキリが出てきたときに何もできずにやられるのは勘弁だ。
「ほかに何かあったかなぁ・・・お?」
俺が倉庫から掘り出したものは・・・・鞭だった。
「そういや、プリンスの技術も教えてもらったな・・・たしか、言霊によって強化を行ってサポートしつつ、狂化した肉体で相手を打ちのめす・・・だったけ?」
◇
「お、出てきたな・・・・タケルそれは?」
「ああ、これは自分の国で作られていた狩猟鞭ってやつでな。たまたま、見つけたんで持ってきたんだ」
「で、使えるのか?」
リィンが怪訝な顔で聞いてくる
「失礼な。これでも自分の師匠たちに主な武器の扱い方とかはさんざん叩き込まれたんだ。苦労はさせないぜ?」
「そうか。ところで、タケルの師匠って誰なんだ?」
「あー・・・・なんて説明すればいいかな?喩えるとすれば・・・
【最強の冒険者】かな?」