「いや~、やっぱり最後は友情とチームワークの勝利よね。うんうん。お姉さん感動しちゃったわ。これにて入学式の特別オリエンテーリングは全て終了なんだけど・・・」
彼女は一旦そこで言葉を切って、リィンたちを見渡してから続ける。
「・・・なによ君たち。もっと喜んでもいいんじゃない?」
「よ、喜べるわけないでしょう!」
「正直、疑問と不信感しか湧いてこないんですが・・・」
各々文句は結構あるみたいだ。
カマキリの魔獣に襲われて、出れると思ったらガーゴイル+αに襲われて
「単刀直入に問おう。この特科クラスは一体何を目的としているんだ?」
ユーシスの問いは、この場にいる誰もが聞きたいことだろう。サラ教官もそれを理解した上で話し始める。
「あーそれ、話さないといけないわね・・・ちょっと長くなるけど大丈夫かしら?」
サラ教官はそう言って周りを見渡す。
全員がうなずく。
「うん、じゃあ始めるわね・・・配られたARCUSは新型の第五世代型戦術オーブメントよ。個人用の戦術オーブメントはここ数年頻繁に規格が更新され続けているのは知ってるわよね?
これが開発される前にエニグマっていう戦術オーブメントが出たんだけど・・・それに合わせてARCUSも発売される予定だったの」
「でも、エニグマは誰でも扱いやすいように調整されている分便利な機能はついてないんだけど、ARCUSは個人の才能が扱えるか否かを左右するのよ」
「そのせいか、テストプレイヤーが思いのほか絞られちゃって発売が延期されちゃってるのよ。だから・・・」
「俺たちが実験台みたいなモンってとこか?」
サラ教官を遮り赤毛の男が言い切る。
「まぁ、そんなもんよ」
「それと、ARCUSの真価は《戦術リンク》、先程あなたたちが体験した現象にあるのよ
。 仲間と仲間をつないで無意識下での連携を可能とする-----
ま、不完全だからとりあえず適性検査を行った結果あなたたち10人が検査を通ったからこのクラスが特別に作られたのよ」
「さて約束どおり、文句の方を受け付けてあげる。トールズ士官学院はこのARCUSの適合者として君たち10名を見出した。やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど予算的な余裕があるわけじゃないわ。それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。それを覚悟してもらった上で《Ⅶ組》に参加するかどうか改めて聞かせてもらいましょうか?」
一通りサラ教官は説明を終えると、俺達に自分の意思で参加を決めるように促した。
皆戸惑っているようで、エリオットは周りをキョロキョロ見ている。
そんな中、黒髪の青年―リィン―が先陣を切った。
「リィン・シュバルツァー。参加させてもらいます」
「え・・・」
「リ、リィン・・・!?」
驚くアリサとエリオット。
「一番乗りは君か・・・何か事情があるみたいね?」
「いえ・・・我侭を言わせて行かせてもらった学院です。自分を高められるのであればどんなクラスでも構いません」
それに続いて私も僕もと次々に参加を表明していく。
マキアスとユーシスも互いにいがみ合いながらユーシスが先に参加を決定し、マキアスが張り合うかのように参加を決める。
そして最後には赤髪の青年が残る。
「俺は・・・「あんたは強制参加よ」おい」