今度こそ中折れしないように頑張りたいと思います。
その少年は有るとき、その人に言われた。
「お前は何を守れるようになりたいんだ?」
「僕は・・・僕はみんなを守れる力を身に着けたい・・・!」
「では、やることはただひとつ!それは防御を固めること。もちろん、それだけではいけない・・・精神力も高めなければ強大な敵に立ち向かうことなどできはしない!」
「そのためにはどうすればいいんですか!?」
「私と共に修行をするのよ・・・!」
「はい!わかりました、ししょー!」
「ししょー・・・いい響きね。今から私はあなたのししょーよ!」
「よろしくお願いします!」
「さぁ、わたしに続けて復唱しなさい! 防御は最大の攻撃なり!」
「こ、防御は最大の攻撃なり!」
「私たち聖騎士の役目は!」
「私たち聖騎士のやくめは!」
「強きを挫き、弱きを守り!」
「つ、強きをくじき、弱きを守り!」
「守ってあげた子からプロポーズされること!」
「守ってあげた子からプロポーズされ・・・ること・・・?」
待て、最後に何を言った・・・?
「細かいことは気にしちゃだめよ♪ 禿るわよ」
貴様が禿てしまえ!この若作りが・・・!
ししょーは虚空に向けてシールドスマイトを放った!
「ししょー?どうしたの?」
「タケル、あなたには関係ないことよ」
その日から彼とししょーの過酷な修行の日々が始まった。
時には彼女の友人であるという人々からいろいろな教えを受けた。
ある時は極寒の中で滝に打たれて、あるときは灼熱の火山の中で全力疾走を繰り返し、あるときは彼女の友人が呼び寄せた金色に煌く魔獣の群れを相手にし、あるときは何百何千もの自分に襲いくる矢を手を覆うだけの小さな盾で弾き続けた・・・何時間も。
またあるときは自らを錬金術師と自称する老人や(本人に言うと烈火のごとく怒るが)背の小さい青年から様様な事を教わった。
物理法則、野草知識、導力現象、貴族制度、世界情勢、言語etc・・・
修行の後半には実際に存在する迷宮に連れて行かれ実戦経験を積んだ。
そこは樹海だった。中央には巨大な樹が存在し、そこにすむ生物は他の地域とは違う魔獣が住んでいた。
驚異的な体力と攻撃力を持ち、集団で襲いくる牡鹿、巨大な鎌を持ちその装甲は硬くやすやすとはこちらの攻撃を通させない大蟷螂、雷を纏ってこちらに突撃してくる金色に輝く鷲、一息つけると思った花畑から飛び出してくる毒蝶など・・・
そして、修行の最後の試練として俺は大陸では絶滅したとされる竜種と戦うことになった。
激闘の果て、結局勝つことはできなかったが師匠からすると十分だとのこと。
俺の目の前でそういいながら、師匠は手に持った盾で三つ首の巨竜を殴り飛ばしていたが、あの人は本当に規格外である。
そんなこんなで、俺は今師匠とその友人からそれぞれ一つずつ餞別を貰い、あるところの前に立っている。
「ここがトールズ士官学校・・・」
ツクヨミと名乗る占星術師によると、「もうすぐここで歴史の転換が起こるらしい」が・・・
俺は、盾と銃砲を背負って校門をくぐった。
ちなみに錬金術師のジジィによると書類については偽造したとのこと。
『なぁに、バレなきゃ問題はないのさ』