キングダム別伝   7人目の新六大将軍   作:魯竹波

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断言しておきます  この回はチート要素があります。


第七話 蕞防衛戦二日目 前編 はじめての強敵・傅抵 

開戦時刻となった。

 

「おう。 お前はよく寝れたようだな。

チビスケ。」

 

田有さんが話しかけてきた。

 

「おはようございます田有さん。

疲れまでは取れませんでした………。」

 

「そんなもんだ。 戦場での眠りなんざ。

それより、娘軍師からお前に改めて礼を言ってくれって頼まれたが、なんかしたのか?」

 

「いえ、夜襲に関して気付いたことを報告しただけで。」

 

「そうか。」

 

 

 

 

そして、蕞防衛戦二日目が火蓋を切った。

 

 

今のところ、僕をはじめとする民兵の動きも手慣れた感じがあって安定を保っている。

 

 

順調だ。

 

そして、眠れなかった者が多いにも限らず、この奮戦。

 

大王様が高めた士気は相当であると思い知る。

 

 

 

 

そして、その時はやってきた。

 

僕等が右からくる敵の新手を潰していると

 

「ごぷっ」

 

右手で異変があった。

 

「「竜川百将ーー!?」」

 

「「竜川さんっ!」」

 

南壁左手の要・竜川百将が倒れたようだ。

 

「竜川?!」

 

田有さんからしても未曽有の事態だったようだ。

 

 

すると、その竜川百将を葬ったと覚しき敵はこちらにきた。

 

攻撃速度がやたらと速い。

 

多分、田有さんには相性が悪いと思うけれど、僕なんかよりも実戦経験豊富な田有さんなら…………。

 

「遅いってば」

 

バギャ と鈍い音が響く。

 

田有さんの鎧が砕ける音だ。

 

「田有さーん!?」

 

「田有百将?!」

 

飛信隊の隊士・蕞の民兵から悲鳴が上がる。

 

拙い。

 

この敵は強敵だ。

 

 

 

てか、この敵、こっち来た。

 

飛信隊・信が目標だろう。 そして蕞の民兵を狙って最短経路を確保する気だ。

 

 

「させっかっ!」

 

僕は考えるより先に躰が動いていた。

 

その敵はギリギリで避けた。

 

「…………まあまあ速いな。

って民兵?!  しかもガキじゃん。

邪魔すんなよっ」

 

その、口を覆った敵は右手の剣を僕の矛に向けてきた。

 

僕は難なく受け止める。

 

この強い敵に対して、何か体が騒いでいる。

 

そして、強敵に出会ったという興奮が僕を支配していた。

 

そこに居たのはいつもの僕ではなかった。

 

「やあっ!」

 

僕は矛の、刃とは反対の先でその敵に反撃を加える。

 

「ほ」

 

そいつは避ける。

 

「やっ」

 

僕もそいつの刃を避ける。

 

僕も道場では威力系ではなく速さで戦っていたが、コイツも同じ系統らしい。

 

「チッ同類かよ。 てか、何者だよお前。」

 

その敵はそう吐き捨てた。

 

「しがない蕞の民ですが。」

 

同類ということは、誘いの手をいくつも駆使しているってことだ。

 

そして、互いの攻撃をやり過ごす展開がしばらく続いた。

 

 

 

 

だが、だんだん僕のが不利になってきた。

 

武器が長い分、攻撃速度がいくぶん劣るからだ。

 

「いたっ。」

 

腕に鋭い傷が走るようになった。

 

体力面の問題で敵の攻撃を避けきれなくなってきていたのだ。 

 

 

しかし、まだ起死回生の手は残されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は大きく下がる。

 

その敵は向かってきた。

 

 

僕はその敵の、双刀の交差点に向かって矛を思いっきり突き立てた。

 

「ぐっ」

 

ついで刃の反対側の柄で双刀の交差点を下から跳ね上げ、余勢を駆って刃を上から下に大きく振り下ろした。

 

「な!」

 

その男の兜が砕ける。

 

「バ、バカな…………!?

三大天の最後の一席を手にするはずのこの傅抵様が………」

 

「いや、そこまで強くないよお前。」

 

相性が悪い敵のが戦場に多いだけで、強いには強いが恐らく三大天には遠く及ばないだろう。

 

現にたかだか初陣の1民兵にやられるようじゃ多寡がしれてる。

 

「っざけんな!」

 

傅抵が立ち上がろうとするその顎に下から蹴りを入れた。

 

「ばいばいっ」

 

蹴りで奴は吹っ飛んだ。

 

 

奴は蕞の城壁に頭をぶつけ、気を失った。

 

「……………。」

 

「……………。」

 

皆、呆然としていた。

 

飛信隊の百将が倒せなかった敵を倒したからだろう。

 

「やるじゃねえ…………か。 チビスケ。」

 

田有さんはそう呟くと気を失った。

 

「田有さん!?  だ、誰か運んでくださいっ!」

 

僕は蕞の民兵達に田有さんを城壁の下に運ばせた。

 

 

 

と、丁度一足遅く、飛信隊・信が来た。

 

「こっちかっ!?  やべえのがいるってのは?

ったく、この新手が強えから、遅くなっちまった。」

 

「いえ…………奴は先程田有百将を負傷させましたが、そのガキにやられました。」

 

「なっ…………やるじゃねえかお前っ」

 

飛信隊・信が僕の肩を叩いてきた。

 

「いやぁ…………たまたまですよたまたま」

 

「そのたまたまってやつも、実力のうちだと思うぜ。

じゃ、俺は戻るからな。  

 

………ってもここの指揮官いなくなっちまったな。

章覇っ。

お前、俺いたとこいけ。

田有に殺れなかった奴を殺ったお前なら大丈夫だ。

 

あっちには俺の副官の楚水がいっから、そいつに従え。」

 

「わ、分かりましたっ!」

 

僕は飛信隊・信が来た方へと移動していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうでしたか。  信殿がそのように。」

 

飛信隊副官の楚水さん。

幸が薄そうな顔をしていた。

 

「はい。 田有さんのとこに指揮官がいなくなったため、代わりに指揮を採るそうです。」

 

「分かりました。 では、竜川のいなくなった左に向かってください。

あちらが一番戦力足りてませんから。」

 

「はいっ」

 

と、僕の目の前に映った光景は。

 

「拙いっ!」

 

女兵士にまさに捕まろうとしていた河了貂さんの姿だった。

 

竜川百将が倒れた代わりに指揮を採りに降りたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




傅抵 最終能力値 設定

武力87
知力58
政治力37
魅力70
采配75

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