キングダム別伝   7人目の新六大将軍   作:魯竹波

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台本形式から始まります。


第三十一話 解放

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章覇達が捕まる6日前。

 

??「ヌハハハハ 楚王め。 儂が勝てぬかもしれぬと言ったらたちまち不機嫌になってからに。

 

で、媧燐が別働隊の派兵に失敗したら、  こうよ。」

 

???「全くでありますなァ 殿」

 

??「で、放逐されるならまだしも

こうして項燕のご機嫌とりに行かされねばならんとは、つくづくこの身が情けなくなってくるわ。

のォ。姜燕」

 

姜燕「まさしく」

 

??「全く。 楚王は誇りばっかり1人前な癖して、その実、春申君に政治を任せっきりにしたり、戦力を出し惜しみしたり。

つくづくやりにくいったらありゃあせんわ!

端っから春申君の要請通りに項燕を差し向けとりゃあ万事解決しておったのに。

ヌハハハハハ。」

 

???「趙の頃が懐かしいであります。」

 

??「介子坊の言うとおりじゃ。

かつて趙国三大天と呼ばれた儂も、もはや戦に出ることすらままならぬ。

加えてたかだか小娘一匹如きを探すのに駆り出され。

 

随分と落ちぶれたものよ。」

 

老将=廉頗はそう呟いた。

 

介子坊「心中、お察し致しますぞ 殿。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二週間後。

 

廉頗「さぁて、ここがいよいよ最後の拠点となった。

総仕上げをやるかいのォ」

 

介子坊「長江の大掃除も、もはや大詰め。

ここの水賊めに捕まっておらねば、無事に戻ってくるまでのことですから、随分退屈な仕事でしたなァ。

 

それにしても、この砦はまた………。」

 

廉頗「フン。 だが話は早いわ。

介子坊は左の山を歩兵を率いて登り、そのまま敵の本山を狙え。

姜燕は騎馬隊を率いて正面から行け。

儂は右からやはり歩兵を率いて征く。」

 

後ろには長江が広がっているが、既に港は攻め込まれないように閉鎖されていた。

 

念のため、長江に戦艦を浮かべ、戦艦の上に弓隊を多分に配置しておいてあった。

 

逃げ場はないのだ

 

廉頗「それじゃあ、始めるとするかい。」

 

介子坊「ハ!」

 

姜燕「はっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

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捕らわれてから15回の食事が出された

 

1日に恐らく2回な気がするので、恐らく一週間以上経ったのだろう。

 

 

 

 

この日は妙に外が騒がしかった。

 

「何があったんだろうか」

 

だが、まあそれよりも…………。

 

いつまで捕らえておく気なのか。

 

 

「騒がしくなってきたね」

 

例の男装した女の子が話しかけてくる

 

「そうだね。」

 

頷き返す。

 

 

 

そして、その騒がしさは一旦、静まったかと思えばまた騒がしくなってきた。

 

「さては…………。」

 

略奪に行って、帰ってきたのか?

 

いや……………。

 

「助けがきたみたいね!」

 

女の子が叫ぶ

 

その騒がしさは近づいてきたからだ。

 

 

 

 

 

どんどんその騒ぎは近づいてきて。

 

「放せやっ!」

 

「ぐほっ!」

 

「大人しく吐かんかァ! 」

 

やたら声の高い男が水賊を圧倒している。

 

やがて

 

「フッ。 こっちじゃ。」

 

威厳と張りを持ち合わせた老人のそれと思われる大きな声がこちらへ向かってくる。

 

 

 

 

 

 

そして、牢の扉が

 

バッ

 

と蹴飛ばされ、入り口には。

 

 

山のように大きな体躯、そして感じたこともないような重厚な威圧感を身体に纏う大男が中に入ってきて

 

「ここにおったか。  手間をかけさせおって。

小娘が。」

 

と言うや、ニィッと口を歪めたのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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