キングダム別伝   7人目の新六大将軍   作:魯竹波

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新学期で忙しうて……………。



第一章 続章  対合従軍戦最終決戦
第十九話  戦はまだ終わらない


蕞の城は完全に戦の勝利に沸き立っていた。

 

そして、それは函谷関防衛戦をはじめとする一連の合従軍との戦いに秦が勝利したことを意味していた。

 

 

 

 

 

 

僕はそんな中で東壁に帰還した。

 

「よく戻ってきたなっ!!」

 

父さんは戻ってきた僕を真っ先に抱きしめてきた。

 

はっきりいってキツい……………。

 

けど、温かさに満ちていた。

 

「うん。 戻ったよ」

 

「ああ!  やったなっ!

お前が  お前が蕞を  この国を救ったんだ!」

 

近所のおっちゃんがちらほら、僕をよいしょしにかかる。

 

酒臭い……………。

 

異常な興奮が僕の周りを支配していた。

 

 

 

 

 

と、そこへ

 

「おい、章覇、 章覇はいないか?

大王様がお呼びだぞ」

 

壁三千人将の側近の………名前は忘れた………が僕を呼んでいる。

 

「はーい。」

 

「っと、お前まだ大王様に報告してなかったんだな。」

 

「そいつはいけねぇな」

 

おっちゃん達は輪を解いてくれた。

 

「よし。 行くぞ」

 

僕はその側近の人に連れられて、大王様の元に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく無事に戻ってきてくれた。

そなたがいなかったら、この城は今頃、落ちていたかもしれぬ。」

 

大王様は僕を見るなり、そう呟いた。

 

そして、僕の手を握りしめた。

 

「……………大王様…………。」

 

その手は温かみに満ちており、僕が想像していた高揚感は得られなかったが、妙な安心感…………父さん母さんのそれに似たものを感じさせた。

 

「へへっ。  よく戻ってきたな!」

 

飛信隊・信が僕に向かってそう言う。

 

「信さん…………。」

 

「しっかしよぉ。  よくあの場面でびびらなかったな!

つくづく思ってたんだけどよ、お前、戦にむいてんじゃねえのか?」

 

「……………え?」

 

我ながらそうかもしれないと思う…………けど、これは幸運かもしれないと思う気持ちのが強かった。

 

初陣で上手くいきすぎて、次の戦で死んだ人がいるという話を聞いたことがある。

 

それに戦はもうこりごりだ。

 

蕞の民は半分に減ったとか聞くし…………。

 

「どうだ?  よかったら飛信隊に…………いってえなテン!

何すんだてめぇ」

 

「今はそれどころじゃないだろ信。  政、話を始めて。」

 

「ああ。  

確かに俺達は李牧を退けた。

 

しかし李牧は必ず戻ってくる。」

 

「なっ!   どういうことだよ政っ!」

 

李牧は確かに退却した……………だが、その戦力にはまだ余裕があるということか…………。

 

だとしたら、僕のしたことの意味は一体…………いや、時間稼ぎにはなったかな?

 

「李牧軍が兵糧問題を解決してしまったら再びこの蕞に攻め寄せてくる可能性が高いということだ。」

 

「60万規模の合従軍の勝敗が、李牧の率いる3万弱の兵隊にかかってるんだ。

3万弱もあれば李牧なら咸陽を落とすことが出来る。

兵糧面を考えたなら諦める手はない。」

 

「でも、一体、どうすんだよ。  李牧軍はどっから兵糧を回収するつもりだ?」

 

信さんは疑問をぶつける。

 

「ああ。  南道の諸城から回収すればよい。」

 

大王様は重い口調でそう呟いた。

 

「で、でも、多寡が知れているよなそれじゃ」

 

「……………そうだ。」

 

大王様の口調はやはり重い。

 

 

 

 

 

 

「……………そろそろ来るであろう。」

 

そこへ介億さんが入ってきた。

 

 

 

 

「我が主 昌平君が。」

 

 

 

 

 

 

その時、北門がざわつき、銀色の鎧を着た男を中心とする騎馬隊がこちらを目指して入ってくるのが見えた。

 

 

 

その銀色の鎧を着た美男子  彼こそが秦国のもう1人の丞相、昌平君その人だ。

 


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