キングダム別伝   7人目の新六大将軍   作:魯竹波

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第一話 蕞に産まれた少年

紀元前221年(始皇26年)

 

斉を滅ぼした信さんや蒙恬さん、王賁の軍勢が咸陽に還ってきた。

 

信さんに「お前は行かなくていいからな。

楚王まで捕らえたお前にこれ以上手柄立てられたら六大将軍の先輩としての面子が丸つぶれだし

俺らに任せとけ」

とか言われたし、あの方も

「お前を派遣したら秦は斉を助ける気は無いと勘違いされて、かえって斉は抵抗するだろう」とか言われて行けなくて残念だったけど。

 

…………まぁ、とにかく、中華の統一は成った。

 

あの方の悲願である、戦争のない平和な国=中国大陸に樹立される法治超大国・秦はここに新たなはじまりを迎えた。

 

 

 

 

 

嬴政「皆、よくやってくれた。

この15年に及ぶ大戦を、よく乗り切り、そして、中華の統一国家を築く戦いに終止符を打ってくれた!」

 

背後から兵士達の歓声が上がる。

 

嬴政「丞相の李斯や尉僚ら文官の活躍も、多くの血を流した兵士達の活躍も忘れてはならない!

これまで散っていった敵の将軍達、道を違えてしまった者たちのことも、当然、忘れてはならない!

 

しかし、何よりも俺はこの6人の将軍に感謝したい!

 

王翦 王賁 李信 蒙武 蒙恬 そして章覇!

 

新六大将軍にだ!  

彼らは六大将軍にさえ為し得なかった中華統一を為し得た蓋世の英雄達である!

 

この者達なくば、今日という日を迎えることは出来なかっただろう!」

 

我々が大王の方から兵士達の方を振り返ったその時、歓声は最高潮に達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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秦国新六大将軍は7人いる。

 

秦国の武将を奮起させる意味合いで、秦王嬴政は「新六大将軍は戦果次第では解任もあり得る」と明言した。

(後にある人物の為に撤回される。)

 

これは解任された将軍が他国に投降するリスクを孕む一方で、秦国の武将達を奮起させるというメリットを孕んでいた。

 

結果、

 

王翦

 

王賁

 

蒙武

 

蒙恬

 

桓騎

 

李信

 

そして、章覇。

 

秦国の15年に及ぶ長き中華統一戦争の中で以上7人の新六大将軍が生まれた。

 

(騰・楊端和らの他の有力者が六大将軍にならなかった理由はいずれ説明するものとする)

 

この章覇こそ、新六大将軍の欠員にあてがわれた将軍であり、当作の主人公である。

 

 

 

 

 

 

 

咸陽を南に進み、渭水を超えてすぐの場所に蕞という都市がある。

 

章覇はそこの出身である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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首都・咸陽に帰還する兵士達

 

中には敗戦により帰途につく兵士達もいるが、その大半は勝ち戦からの帰還だ。

 

 

 

 

 

 

秦には六大将軍という強い6人の将軍がいた。

 

剛勇無双の猛将・王齕

 

苛烈な攻めの達人・摎

 

軍略の鬼才の胡傷

 

秦の怪鳥・王騎

 

4人の秦王に仕えた老練な司馬錯

 

そして六大将軍の筆頭・常勝不敗の白起

 

彼ら6人の将軍こそ、かつて西の辺境国であった秦を西の大国にのし上げた天下の大将軍である。

 

そして彼らが崇めた大王:戦神・昭王こそ今日の秦国を創った偉大な英雄である。

 

 

 

 

 

 

僕は父さんからそう教わっていた。

また、蕞の城壁から、咸陽に凱旋する兵士・咸陽から戦場に向かう兵士を見るのが好きだった。

 

そして、その光景を見て育った。

 

巨大な盆地に横たわる渭水川の向こうにそびえ立つ煌びやかな巨大な首都・咸陽。

 

そこに蛇のように出入りしていく兵士達の列

 

蕞の人間からしたら当たり前の光景なのにも関わらずだ。

 

兵士達にもそれぞれの生活がある

 

それに思いを馳せることもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

思えば不思議だ。

 

死ににいく戦場にいくというのに、戦場に向かう兵士達には悲壮感は全く感じられないのである。

 

かといって楽観視している訳でもない。

 

咸陽から出入りする軍隊は何ともいえない独特の雰囲気を漂わせている。

 

「秦国の将軍は強い。  

彼らは必ず勝つと信じているんだ。

自分達の大将を信じているんだよ

 

だから、彼らは死ににいくんじゃない。

己の家族を、国を、守りに征くんだ。」 

 

「けど、父さん。秦は他国を攻めているじゃないか

守りたいなら動かない方がいいんじゃないか」

 

「覇。それは違う。

攻めは最大の防御というだろう。 

そして、攻めて領土を広げることは、それだけ家族を前線から遠ざけることにも繋がる。」 

 

父さんは不思議そうな顔の僕にそう言った。

 

 

 

だが、僕にはやはり不思議だった。

 

国を、家族を守りに行くとしても、やはり、1番大事な物は己の命だろう

 

そして、命を落とすかもしれない恐怖を伴う『戦』が僕は好きにはなれなかった。

 

 

「お前にもいずれ分かる時が来るさ。」

 

僕がまだ幼い頃、父さんはよくそう言って僕の頭を撫でるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、運命というものは残酷である

 

僕の周りにも容赦なく戦の陰が漂って来た。

 

 

 

 

紀元前241年(始皇6年) 

 

李牧が呼びかけた合従軍が秦国を攻めたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公(オリ主)

章覇 

紀元前255年秦国・蕞生まれ

秦国の名将。
7人目の新六大将軍となる。

最終将位は大将軍。
最終爵位は関内侯(東郡侯)

父は章界 母は甘怜。 
子に章邯と章平(両名は実在) 従弟に甘秋



現時点では13才未婚。

親の言いつけで矛を習わされているが、やる気はなし………。

稽古をよくサボり、従弟の甘秋や仲間の希や弘とつるんで遊んでいる。

最終能力値設定(※この値は原作に準拠しないものとする。)

武力96
知力92
政治力80
魅力93
采配98















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