見つけた。
かなり大きい。以前4人組から横取りしたのよりも断然でかい。俺の身長を超えている。
俺が1m30cmなら高さ1m70cmはありそうだ。
今までで1番大きい魔物である。
ツノも見た中で1番長く、太く、重量感もある。
ゴブリンの死体を雑草やキノコ一緒に食べてる。
意外とグルメ。
俺の食生活よりも全然マシである。
とりあえず観察する。
しばらくして食事が終わったのかゴブリンを食べるのをやめて、そのまま歩き出した。
後ろをこっそりついて行く。
少し開けた場所に行って欲しい。
木が多すぎると俺にとって不利である。
なぜなら自由に動きずらいからだ。
だがどれだけ進んでも進んでも開けた場所に着かない。
というかよりいっそう茂ってくる。
間違いない。森の奥に向かってる。
いつもは俺の活動範囲である森の湖の場所から行動しているからあまり奥にはいかなかった。
湖の場所も街から1時間と、森の手前だ。
だからたまに4人組みたいな人達が来る。
だがここは薄暗く街から遠すぎるから来れないだろう。
あと猪が結構速い!小走りしてやっとだ。
チラチラと見たことがない魔物も見えてくる。
顔が前後ろあるゴブリン(剣を持ってる!)や、でかい亀、でかいカマキリ、ノロノロと動いている木とか勝てる気がしない魔物ばかりだ。
強者の風格みたいのが漂っている。
進化して少し調子に乗ってしまった。
俺はまだここにくるには早過ぎた。
今すぐ戻ったほうがいいだろう。
俺は猪を追うのをやめた。
しばらくして猪はいなくなった。
バレなかったのは幸運なんだろうか。
いや、俺が弱いから見逃してもらってるだけかもしれない。
そう考えながら戻ろうと後ろを向き、気を避けて進もうと——木?
さっきまでそこには木はなかったはずだ。
見間違いか?
「ギャギィ」
思わず漏れてしまった。
俺はさっきまで何をみた?
顔が前後ろあるゴブリン、でかい亀、でかいカマキリ、そして動いている木。
動いている木。
急いで木のそばから離れる。
だがギリギリ間に合わず枝が片足に巻きつき、俺を持ち上げる。
他の枝が伸びて俺を縛っていく。
無理やり足掻こうと枝に思いっきり噛み付く。
だが植物だから痛みがないのか効いた様子はまったくない。
「グ、グギッ」
どんどんキツく締め付けてくる。
細い枝が伸びて俺の背中を突き刺す。
とんでもなく痛いが口が塞がれてるせいで叫ぶことが出来ない。
背中に刺さった枝の先から何か流し込まれているのがわかる。
ステータスを部分的に表示する。
『HP:27/30
MP:8/8
状態異常:毒(中)』
流し込まれてるのは毒だった。
しかも俺が持ってる耐性よりも大きい。
『HP:25/30
MP:8/8
状態異常:毒(中)』
『HP:23/30
MP:8/8
状態異常:毒(中)』
『HP:21/30
MP:8/8
状態異常:毒(中)』
『HP:19/30
MP:8/8
状態異常:毒(中)』
無理やり暴れて逃げようとするが、しっかり縛られてるせいでピクリとも動けない。
こうしてる間にもHPはどんどん減っている。
死の恐怖が、俺の体を駆け巡る。
無理やり逃げようと暴れる。
もしかしたら怒って俺を投げるかもしれない。
そしたら逃げられるかもしれない。
そんなことを考えてとにかく体を動かす。
その結果は体を締め付けている枝が増えるだけだった。
縛られてるからなのか毒のせいなのか身体中が麻痺して感覚がなくなっていく。
ずっと持っていた石が落ちた。
新しい枝が俺を覆っていく。
苦しい。死にたくない。
だんだん視界が暗くなっていく。
そしてそのまま——