ゴブリン成長記   作:補う庶民

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5話

街を発見してから3日経過した。

 

『名前:高橋浩太郎 種族:ゴブリン Lv10/10

HP :35/35 LP:32

MP :12

 

スキル

HP上昇(小) Lv3/5 毒耐性(小)Lv2/5

言語習得不可 』

 

とうとうレベルがマックスになった。

進化先が表示される。

 

『進化先:ボブゴブリン 拳闘ゴブリン

魔術ゴブリン 剣士ゴブリン

槍士ゴブリン 槌士ゴブリン

斧士ゴブリン 盗賊ゴブリン

弓士ゴブリン

種族変化:オークベビー フォーバード』

 

種族も変化できるのか。

ボブゴブリンの説明欄を表示させる。

 

『ボブゴブリン 消費LP35

普通よりも強化されたゴブリン。』

 

LPが足りない。LPは進化に使うのか。

 

『拳闘ゴブリン 消費LP30

スキル:拳闘術を得たゴブリン。

スキル:拳闘術を取得する。』

 

他のゴブリンもスキルを取得しただけのゴブリンだった。

種族変化を見る。

オークベビーはいいとしてフォーバードってなんだ?

 

『フォーバード 消費LP30

4枚の翼を持つ鳥。 』

 

あいつか。

個人的にはボブゴブリン一択だ。1番LP消費が大きいし。

だがボブゴブリンになるためにはLPが足りない。

ここでちょっとLPの取得条件を考えて見る。

レベルアップでLPが取得できるのはレベルアップしたときに気付いていた。

レベル1の時はLP10。今のレベルで32。

10引く1で9。レベルアップでLP2を手に入れていた。

2かける9で18。合計28ポイント。

差の4ポイントはなんだ?

このポイントは最初の鳥を倒したときに得たときに取得したポイントだと思う。

そのとき以外では2ポイントずつしか増えてなかったからだ。

なんでこのときだけポイントが多く手に入ったんだ?

……もしかしてステータスは俺だけが持ってるわけじゃないのか?

相手の方がレベルが高いと手に入るのかもしれない。

なんでステータスは俺しか表示できないと思い込んでいたのだろうか。

他のゴブリンが表示している所を見たことがないからだ。

ステータスは自分にしか見えないのか?

そんなことはないだろう。

自分だけが特別とかどこの厨二患者だよ。

経験値(レベルアップに必要なものだと杉元が言ってた)は勿体無いがLPを貯めるために進化しないでおこうか。

4も増えるなら1匹だけ自分より強そうなのを狩ればいい。

もっと前に気づいて入ればもっと簡単だったのになぁ。

ステータスを閉じて自分よりも強そうな魔物を探しに行くことにした。

 

見つけた。ボロボロの剣を持ったゴブリン。

初日に追いかけられたゴブリンとそっくりだ。多分同じ個体だろう。

最初は訳が分からず逃げてしまったが、今回はそうはいかない。

こっちには石という味方がついてるんだ。

本当に石にはお世話になった。

投げてよし、殴ってよし、破片だと肉を捌いてよしと完璧である。

まだ相手はこっちに気づいていない。

まずは観察をする。

ボロボロだが剣を持ってるからあれが剣士ゴブリンというやつなのだろうか。

俺と違って少し大きく、筋肉もうっすらと見える。色は濃い深緑。

隙も今までの普通のゴブリンと比べたら少ない。

俺の進化個体か。LPは手に入りそうだ。

俺の位置は剣士ゴブリンの後ろ。

まさに死角。俺がはずさない限り当たる位置だ。

剣士ゴブリンは動かない。

自分のステータスでも見てるのだろうか。

大きく振りかぶって、頭に向かって思いっきり投げつける!

気分はまるでプロの野球選手。

いないはずのお客さんの歓声まで聞こえるようだ。

これは当たった!と確信したとき、剣士ゴブリンは急に振り向いた。

俺がピッチャーならあいつはバッター。

持っていた剣で石を弾き飛ばす。

剣は今の衝撃で折れてしまったがそれでも剣士ゴブリンは突っ込んでくる。

あの武器奪って使おうと思っていたのに。

まだ距離がある。慌てて別の石を拾い、すぐさま投げる。

今度は全然別の方向に飛んでいった。

相手はもう目の前。前よりも速くなってる。

慌てて後退する。剣が折れてるおかげで普通に避けれた。

俺は石を握ってる方の手で相手の顔面を殴る。

次は石を持ってない方の手で思いっきりビンタ!

剣士ゴブリンは剣を持ってない方の手を顔に持っていき、数歩下がる。

すごい痛かったのだろう。

俺が近づけないように剣をあちこちにぶん回す。

今のうちにもう1つ野球ボールくらいの石を拾う。

これで両手に石を握っていることになる。

この状態で殴ったらもっと痛いだろう。

痛みが引いたのか手を顔から離し、こちらを睨みつけてくる。

そして剣士ゴブリンは折れた剣を後ろにして構えた。

俺も石を握ったまま両手を前に持っていき、ボクシング選手のように構える。

俺と剣士ゴブリンの距離は約2メートルくらい。

先に近づいてきた方が不利になるだろう。

俺はそう思っていた。

そんなことを考えていた俺はまだ異世界のことをよくわかってなかったのだろう。

 

剣士ゴブリンはいつの間にか俺の前まで迫ってきていた。

そして青白く輝いている折れた剣を振るう。

胸を結構深く切られた。

剣士ゴブリンの動きが一瞬止まる。

その隙を見て俺も相手を殴りとばす。

相手が起き上がってる隙にステータスを表示する。

 

『名前:高橋浩太郎 種族:ゴブリン Lv10/10

HP :24/35 LP:32

MP :12

 

スキル

HP上昇(小) Lv3/5 毒耐性(小)Lv2/5

言語習得不可 』

 

HPが11も減ってる。

今のはスキル:剣術によるものだろう。

舐めてた。この世界は思ったよりもゲームみたいだ。

剣が折れてなかったら死んでたかもしれない。

切れた胸の傷がとんでもなく痛い。

少し体を動かすだけでも激痛が走る。

ゴブリンはまた剣を構えた。

また剣をが青白く輝き、ものすごいスピードで俺に迫ってくる。

とんでもなく速いが動きは直線的だ。

なんとか横に避けることができた。

振り返って後頭部を殴る。

胸の傷のせいであまり力は入らないがそれを遠心力で補う。

その勢いで相手は前に倒れ込んでしまう。

急いで剣士ゴブリンの上に跨り、頭を殴る。

殴る。殴る。殴る!殴る!殴る!!

剣士ゴブリンは悲鳴をあげ、折れた剣で無理やり足を刺してくるが手を緩めない。

俺も痛みで思いっきり叫びながらなんども手を上げて剣士ゴブリンを殴る。

だが剣が輝くとともに俺は吹っ飛ばされた。

頭が木にぶつかった。

剣士ゴブリンは剣を支えにしてゆっくり起き上がり、俺を見る。

剣士ゴブリンはじっと俺を見る。

俺も見つめ返した。

しばらくしてゴブリンは背を向けて去って行った。

俺は目の前が真っ暗になり、意識から手を離した。


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