ゴブリン成長記   作:補う庶民

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16話

目がさめると日が高くなっていた。

丸一日が経過したっぽい。

体の色は渋い緑色になった。

身長は少ししか上がってない。

140から150cmの間くらいだろう。

ガタイは大幅にゴツくなった。

腕は少し太いが全体的に細マッチョなゴブリンになった。

 

『名前:高橋浩太郎

種族:ビルドゴブリン Lv1/40

HP :200/200 LP:2

MP :150/150

誓約:偽自

 

スキル

HP上昇(中) Lv2/5 毒耐性(中) Lv2/5

咆哮 置換 言語習得不可 』

 

スキル:咆哮 が追加されてた。

咆哮だから叫ぶのか?

息を吸って喉も張り裂けんばかりに叫んだ。

 

「グギャァァアアアアアアアア!!!!!」

 

思ってたより威圧感があって自分の声なのにビビる。

すると遠くなら何かがこっちに向かって走ってくる音が聞こえてくる。

しかもあっちこっちから。

 

「グギャ!」

 

鉈と袋を持って急いで逃げる。

走りながら振り返るとさっきまで俺がいたところに大量の魔物が集まっていた。

雑魚から勝てない奴まで乱戦が起きてる。

 

俺知ーらないっと。

 

俺はそのまま走って逃げた。

途中でレベル上げのために魔物を倒していく。

しばらくして体が言うことを聞かなくなった。

方向を考えると街に向かって走ってるようだ。

斎藤さんに呼ばれたのだろう。

まぁ少しレベル上がったし万が一があっても大丈夫だろう。

結構遠くにいるから着くのに時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

 

街の門の前に着く。

そこには装備を着て盛り上がってるクラスメイト、そんな彼らを見守る兵士や魔術士たちである。

俺はまっすぐ斎藤さんのところに向かう。

斎藤さんは杉元と話していた。

斎藤さんは杖。杉元は背中に槍、そして帯剣していて膝には複数の短剣。

杉元、武器多くね?

 

「お、来たか」

「マッチョになってる……。しかもなんか担いでるし。鉈持ってるし」

 

斎藤さんの前に袋を置く。

中からいくつか魔石がこぼれ落ちた。

これを見て斎藤さんと杉元は驚いたようだ。

周りにいる人たちもこっちを見てる。

 

「???????????!!!」

 

兵士や魔術士たちが盛り上がる。

兵士の1人が袋を持ち上げようとするが持ち上げられない。

それを見て感慨深くなる。

頑張ったなぁ……俺。

 

「これ、くれるの?」

 

斎藤さんが首を傾げて聞いてくる。

首を前に振って肯定する。

 

「あ、ありがと」

 

ちょっと引いてるようだ。集めすぎたか。

 

「??????????」

 

兵士が何か言うとみんなも返事をしてグループに分かれ始める。

斎藤さん、畑中さん、杉元、岡本と兵士と魔術士。そして俺。

6人1組のグループだ。

兵士と魔術士は保護者みたいなものだろう。

最初に不良グループが森に入っていく。

少しして別のグループがいく。

これはとうとうみんなもレベル上げに行くのだろうか。

俺のグループも森に入った。

杉元と岡本は結構元気そうだが女子は少し怯えていた。

斎藤さんの肩を叩き、安心させようとサムズアップする。

そんな俺を見て少し笑ってくれた。

それを見て安心する。

どこかから金属の音が聞こえてくる。

どこかのグループが戦い始めたのだろう。

その音を聞いて4人ともビクッとする。

兵士と魔術士はそんな4人を見て微笑ましそうだ。

 

「グギャイ」

 

俺ではない。

目の前にゴブリンが2匹出て来た。

 

「じゃぁ、俺からいくか」

 

杉元が剣を抜いて前に出る。

 

「気を付けてね」

「頑張れよ!」

 

みんなが応援する。

 

「おらぁ!」

 

スキルを発動させ、一瞬で相手に詰め寄り切り裂く。

前に剣士ゴブリン、そして冒険者が使ったのと同じだ。

剣士ゴブリンよりは遅いが冒険者より全然速い。

ゴブリンは普通に切られる。

だがまだ生きてるようだ。

他のゴブリンが慌てて構えるがもう遅い。

杉元が剣を腰に構え、これもスキルなのか剣が光り、勢いよく横に払う。

最初に切られたゴブリンは絶命した。

だがもう1匹のゴブリンはそこまでダメージを受けていない。

最初の奴はレベルが低かったのだろう。

ゴブリンが杉元を殴り飛ばす。

右腕でガードしたが折れてしまったようだ。

それを見て女子が悲鳴をあげる。

それを聞いた敵のゴブリンはニヤリと笑う。

杉元は腕を抑えて蹲っている。

そりゃ痛いだろう。

ゴブリンはこっちに向かってゆっくり歩いてくる。

斎藤さんが手を組み、一言呟く。

杉元の折れた腕が光り、治っていく。

だが治りきる前にゴブリンに攻撃される方が早いだろう。

俺が前に出る。ゴブリンは俺を見ると立ち止まって怯えて逃げるように後ずさる。

それを俺は逃さずに殴って殺した。

戻る頃には杉元の腕は治っていた。

 

「あ、ありがとな」

 

杉元が俺に言う。

肩をポンと叩いた。

 

「次は俺か……」

 

岡本が怯えたように言う。

彼は大きめの盾を右腕に1つ、左腕に1つ装着している。

 

「グギャァ!!」

 

わざわざ移動するのも面倒だ、と思った俺はその場で小さく叫んだ。

 

「え!?」

「どうしたの!?」

 

みんなが驚いたように俺を見ている。

『スキル:咆哮』のおかげで魔物が近付いてくる。

声を抑えたおかげか一体しかこない。

来たのはツノのある猪だ。

一直線に俺に向かって走ってくる。

慌てて岡本が俺を庇って盾で受け止める。

吹き飛ばされはしなかったがそのままジリジリと下がっていく。

 

「おおおおおお!!」

 

威勢はいいが押し返すことができない。

 

「???????」

 

隣にいる兵士が何か言う。

 

「今からどうにかするのは難しいと思います。タイミングを合わせるって相当難しいと思います」

「????????」

 

畑中さんと兵士の会話から考えると最初にぶつかった瞬間にどうにかしないといけなかったっぽい。

それは悪いことをした。

 

「すまん!誰かお願い!」

 

とうとう耐えきれなくなったようだ。

 

「じゃぁ、私が」

 

と、畑中さん。

 

「頼む!」

「『ホール』!」

 

猪の真下に魔法陣が出てその後落とし穴が出来、猪が落ちていく。

 

「次は私か」

 

斎藤さんが穴に近付き、唱えた。

 

「ダーム」

 

魔法陣が出て火の玉が現れて穴に入っていく。

 

「ダーム」

 

また火の玉を出して穴に入れる。

 

「ダーム」

 

また火の玉を出して穴に入れる。

 

「ダーム」

 

やり過ぎじゃない?

 

「も、もういいだろ」

 

杉元が止める。

 

「でもまだ生きてるかも……」

「いや、もう死んでるから。大丈夫だから」

 

穴を覗くと猪が焦げていた。

焦げを取らなきゃ食べれそうにない。

 

「?????????」

「いえ、もう少しやらせて下さい」

 

魔術士が帰るかどうか聞いたのだろう。

だが杉元はもう少しやりたいらしい。

他の人もまだやる気があるっぽい。

 

「ゴブリン、叫ばないでね」

 

斎藤さんに止められた。

仕方がない。

兵士を先頭に魔物を探して歩き出す。


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