ゴブリン成長記   作:補う庶民

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この世界について主人公はよくわかっていません。
斎藤さんたちやこの世界の人々と認識が色々違います。

なので色々混乱するかもしれません


15話

1週間、俺は1度も呼ばれることはなかった。

斎藤さんや杉元は元気だろうか。

これが今の俺のステータスだ。

 

『名前:高橋浩太郎

種族:ボブゴブリン Lv12/15

HP :320/320 LP:45

MP :150/150

誓約:偽自

 

スキル

HP上昇(中) Lv2/5 毒耐性(中) Lv2/5

置換 言語習得不可 』

 

ゴブリンを倒しまくって作った袋の中に魔石を入れる。

初日に集めたのは冒険者たちに奪われてしまった。

それで味を占めたのか湖によく冒険者が集まるようになってしまい、度々奪われてしまった。

だから俺は生活圏を湖から離れることにしたのだ。

森を難易度で考えると湖がある手前のところが、【小】。

トレントに襲われたところが、【中】。

さらに奥の奥に進むが、【大】。

難易度:【大】の場所はもうジャングルである。

日の光も中々入ってこない。

そこに住んでる魔物ももう化け物である。

かすっただけで多分死ぬ。

レベルが10を超えたときに記念に行ってみたら何も起きなかったのに死にかけたのだ。

一瞬でHP一桁になるとかヤバすぎる。

普段は【小】と【中】の間で活動して、調子がいいときは中で暴れる。

『偽自』のお陰で1つレベルが上がるだけで普通よりも強化されてるから、【中】でも普通に戦えるようになったのだ。

俺よりも進化を繰り返したであろう、顔が2つあるマッチョなゴブリンにもなんとか勝てるようになったのだ。

そのゴブリンが持っていた鉈は今は俺が使っている。

使いやすくて仕方ない。

ごめんよ、石。今の時代は鉈だわ。

あの憎っくきトレントも鉈があれば普通に勝てる。

両手で鉈を持ち、トレントに向かってなんども振り下ろす。

毒も『毒耐性』でもう怖くない!

はっはっは!好きなだけ刺して注入するといい!その間に鉈で何度も斬る!

刃物は偉大だ!最高だ!

 

ハイなテンションでそこらじゅうの魔物を殺してレベルを上げる。

 

『レベルが上がりました』

 

綺麗な女性の声が聞こえる。

お、やった。レベルが上がった。

ステータスは色々と便利だということに気づいた。

わざわざステータスを表示しなくても色々と知らせてくれるのだ。

MPがなくなったら知らせてくれる。

レベルが上がっても教えてくれる。

わざわざいちいち表示しなくてもよくなった。

 

『MP残量は30です』

 

わかりました。いつもお世話になっております。

あと2つレベルを上げれば進化できる。

前みたいにLPが足りないということがないようにしたい。

トレントから魔石を取り出し、袋の中に入れる。

初めて作ったにしては頑丈だ。

結構重宝している。

 

適当に歩いているとでかい蛇を見つけた。

体長何メートルもある。【中】と【大】の地浮かんで生息するような魔物だ。

そんな蛇がオークに巻きついて締めていた。

まだどっちにもバレてないので袋を置いてこっそり近付く。

漁夫の利を狙うのだ。

鉈にトレントの毒を塗っておく。

そしてオークを切る!刃は抜かずに石で思いっきり叩く!

それでオークは体から力が抜けたように倒れる。

そして蛇はオークを丸ごと呑み込んだ。

バキバキ、とオークが中で潰れる音がする。

蛇はオークを飲み込んだにもかかわらずスルスルと木に登っていく。

そして俺がいることがバレてしまった。

木の上から俺を餌を見るかようにみてくる。

まだ食べ足りないのだろうか。あんだけでかいオーク食べたばっかのくせに。

 

睨み合っていると蛇が巻きついていた木が折れてしまった。

蛇は耐えれても木がダメだった。

慌てて避ける。

蛇は急いで木から離れる。

多分蛇は木から俺をどうにかして食べようとしたのだろう。

なぜか俺にキレた蛇が突っ込んでくる。

ギリギリ避けれる速さだ。

避けながら鉈で切り傷をつけていく。

慣れたものだ、と戦いながら思う。

最初は石で叩くという馬鹿の一つ覚えでやってきたが、今では武器を持ってそれなりに戦えてる。

避けながら切り、避けながら切るを繰り返す。

この蛇は魔法も使えるようで時々蛇の口のところに少し大きい魔法陣が出てくるがそれは石を投げてぶつけることでキャンセルする。

これは杖を持ったゴブリンが魔法を使ってきたときに気付いた。

魔法を使うと必ず魔法陣が出てくる。

出てきたあと効果が現れるのだ。

だから出てくる前に魔法陣をどうにかすると不発で終わってしまう。

それは石をぶつけるだけでもいい。

蛇が口を開けるとすぐに魔法陣が出てくる。

今度は間に合わず、避ける。

この蛇は氷の塊を飛ばす魔法を使ってくる。

細かい塊を複数飛ばしたり、大きな塊を飛ばしたりしてくる。

しかも食べたオークを消化してきているのだろう。

少しずつ速度も上がってきている。

また突っ込んできた。

今度は避けずにぶつかる寸前にその鼻面に鉈を叩き込む。

かなりの勢いでぶつかり吹っ飛ばれる。

 

『MP残量が0になりました』

 

ギリギリMPが足りた。

鉈は鼻に刺さったままだ。

蛇は痛そうに暴れまわっている。

そしてしばらくして動かなくなった。

蛇に近づいて、刺さった鉈をとる。

 

鉈に塗っていたトレントの毒が役に立った。

やっぱり備えって大事だね。

 

『レベルが上がりました。レベルマックスになりました。進化先を設定してください。』

 

2つも上がった。

この蛇のレベルは相当高かったのか。

LPと進化先を表示する。

 

『LP:62

進化先:ビルトゴブリン

ゴブリンハンター

ゴブリンアサシン

フォーゴブリン

種族進化: ランダム 』

 

最初にボブゴブリンに進化したのは間違いだったっぽい。

武術系のスキルが1つも手に入らない。

ビルトゴブリンはボブゴブリンより力がとても強くなる。

ゴブリンハンターはより足が速くなる。

ゴブリンアサシンは影が薄くなり、相手に見つかりずらくなる。

フォーゴブリンは手足が2つ増える。

 

フォーゴブリンは無しだ。

つまり強さはボブのままで手足が増えるだけだ。

できることは色々増えるだろうが瞬間的な強化は何もない。

それを考えるとビルドかハンターどっちか。

個人的には攻撃力が欲しいからビルドにするか。

袋を持って木に登る。

そして太い枝に袋を結んで、進化先を選択する。

LP消費は60。大丈夫だ。

 

そして前と同じように俺は意識を——

 

『誓約:偽自によりランダムでスキルを取得します』

 

——失う瞬間、そんな声が聞こえた。


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