ゴブリン成長記   作:補う庶民

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10話 @

 

王様が言うには邪神の封印が解かれようとしているらしい。

だからその邪神を封印し直すか殺すために王様が信仰している神の力を借りて異世界人である私達を召喚したと言う。

杉元君達がテンプレだー!とテンションがさらに高くなる。

もし戦ってくれるなら色々サポートするし、今なら地球に戻してくれると言う。

戦わないにしても、何か仕事をしてくれるなら城で暮らしてもいいと言っている。

だが帰ると決めたなら明日しか帰れないそうだ。

私達を召喚した儀式よる魔力がどうたらこうたらと説明していたが全くわからない。

分かるのは明日帰らなかったら次は邪神をどうにかした後しかチャンスはないと言うことだ。

選択権はこちらにある。

だが大体の生徒は戦う気満々である。

ゲーム感覚なのだろう。

私は地球に帰りたい。

戦うってことは死ぬかもしれないことだ。

私以外にも迷っている人もそれなりにはいる。

杉元君は戦うそうだ。まぁ、彼らしい。

 

「斎藤はどうするんだ?」

「帰ろうかなって思ってる。死ぬかもしれないからね。」

「ふーん。そっか……。なぁ、後で2人で話せないか?」

「別にいいけど。どうしたの」

「後で話すよ」

 

とだけ言って彼は何かを考えてるのか黙ってしまった。

さっきまでのテンションが嘘みたいだ。

 

ざわめきが収まってくると1番豪華な鎧を着た兵士——騎士団長のデリスさんがステータスを見せて欲しい、と言ってきた。

ステータスと念じると自分で見れるらしい。

表示してみる。

 

『名前:斎藤知恵

職業:魔物使い Lv:1/30

使役:0/1

HP :30

MP :35

 

スキル

強化魔法 Lv1/5 火魔法 1/5 風魔法 1/5

鑑定 Lv1/10 使役 祈り 』

 

強い……のかな?

基準がわからない。

 

「なぁ、斎藤のも見せてくれないか?俺のも見せるからさ」

「これって自分にしか見えないの?」

「普通はそうだけど、許可を出せば他の人に見せれるらしい」

「へぇ、そうなんだ。いいよ」

 

周りを見れば他の人も見せあってるっぽい。

これが杉元君のステータスだ。

 

『名前:杉元達也

職業:ウェポンマスター Lv:1/50

HP:60

MP:28

 

スキル

剣術 Lv1/5 斧術 Lv1/5 槍術 Lv1/5

棒術 Lv1/5 槌術 Lv1/5 暗器術 Lv1/5

弓術 Lv1/5 武術強化 Lv1/5 盾装備不

可 』

 

「レベル上限が違うね」

「俺は上位職とかなのかね」

「そうですね」

 

近くにいた兵士が親切に教えてくれた。

 

「レベル上限が大きいほうがより上位の職業で間違いないでしょう。失礼ですが上限を教えていただけませんか?」

「俺は50ですね」

「私は30です」

「でしたら2次職と3次職です。最大で5次職まであると言われておりまして、それだと100です」

「言われてる?」

「5次職まで行く人は滅多にいませんからね。我々は1次職からレベルを上げるので大抵は3次職、いけて4次職までしかいけないのです。5次職になった人は今まで数人しかいません」

「その人たちは教えてくれなかったんですか?」

「記録にはございません。今だと3人いらっしゃいますがどなたも教えてくれませんでした」

「3人もいるんだ……。ああ、ありがとうございました」

「いえ。また何かございましたら気軽にお聞きください」

「ありがとうございました」

 

兵士は戻っていった。

 

 

 

 

 

「では皆さんそろそろお部屋に案内いたそう」

 

王様はそういうと大勢の侍女が部屋に入ってくる。猫耳とかいたりして異世界なんだと改めて思う。

 

「あの〜、すんません。俺たち一緒でいいっか?一緒の方が楽っつうかー」

「大丈夫だ。ではそのようにいたそう。他には?」

 

不良グループやオタクグループ、クラス内で付き合っている人達が手をあげる。

意外なカップルがいたりして面白い。

先にグループ組が案内され、次にカップル、最後に個人が案内される。

 

部屋に入る。

まるで豪華なホテルのようだ。

 

「何かございましたら机の上にあるベルを鳴らして下さい」

 

侍女は部屋から出ていった。

ベットに飛び込む。すごいはずんだ。

思い切り伸びをする。

意外と私は疲れていたようだ。

 

ノックの音がなる。

 

「斎藤、今ちょっといいか?」

 

杉元君だった。

 

「いいよ」

 

さっき言ってた話したいことだろうか。

杉元君は椅子に座る。

 

「それで話ってなに?」

「ああ、うん」

 

彼は何か悩んでいる様子で言う。

 

「斎藤はどうするつもりだ?」

「何が?」

「残るか帰るか」

「帰ろうかなって思ってる。杉元君は?」

「残ろうと思ってる」

「そうなんだ」

「このことにもつながる話だけどさ」

「うん」

「もしかしたら、もしかしたらの話なんだけどさ、あいつもこっちに来てたりしないかな」

「あいつ?」

「浩太郎」

「高橋君も?それはないんじゃない。行方不明だけどさ、そんな偶然はないでしょ」

「もしかしての話だよ。電車から目撃証言はなかったからここに飛ばされたんじゃないかと思ってさ。異世界転移もネット小説でよくあるし」

「ネット小説で言われてもね」

「今の状況はまるでそうだろ」

「そうだけどさ」

「まぁ、頭の片隅にでもおいといてくれよ」

「わかった」

「言いたかったことはそれだけだ。明日王様に探して欲しいって言うつもりだ」

「いないとは思うけどね」

 

ドアをノックする音が聞こえる。

 

「夕食の時間になりました。案内致します」

 

杉元君は立ち上がる。

 

「じゃぁ行こうか」

「そうだね」

 

廊下を歩きながら私は帰るかどうかもう一回考えてみることにした。


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