貴方を追いかけて   作:サバの缶ずめ

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うーん、そろそろ話す事がない。

取り敢えずどうぞ!


16章、有効活用

「果南、帰らなくて大丈夫なの?」

ダブルベットに贅沢に寝転がりながら鞠莉さんが果南さんに話しかける。

 

「うん、今日は父さん外出してるから大丈夫。なんかあったら連絡も入れるし」

 

 

日もすっかり落ちお月様が顔を出す7時前後。小原家で果南さんと鞠莉さんが集まって話をしている。とは友達以上の話し合いでは無い為にワイワイガヤガヤと2人とは思えない何処かの部活の集まりの様なムードで行われている。

 

 

「鞠莉お嬢様夕飯の用意が出来ましたので一階へとお越しください。」

 

黒服の鞠莉さんの護衛の人だろうか?確認をしに来ている。黒服の人がいるなり流石金持ちと思うが鞠莉さんはこれが当たり前なので普通のワンシーンなのだ。

 

 

「果南、ご飯食べていく?」

 

「いやいいよ。鞠莉や家の人にも悪いし」

 

「いいえ、お友達様の分もご用意してますので是非お食べになってください。」

 

「それなら、お願いします」

 

 

鞠莉さんは大丈夫だとしても家の人に言われては断りようがない。それに合わせて用意出来ていると言われた以上食べて帰らなかった時の罪悪感は計り知れない為に食べて帰る事にしたのだ。その時に鞠莉さんの子猫のような目を見たのは内緒にしておこう。

 

 

階段を下り一回の夕食が並んでいるテーブルへと向かう最中に果南さんが急に一言「あっ!」と声を上げる。不意打ちだった故に勿論周りは驚いた顔をしている。

 

 

「どうしたの?果南?」

 

「ちょっと忘れ物しちゃって、先行っててよ後から行くからさ」

 

 

と言い現在とは逆方向へと振り向きと一歩二歩と踏み出して行く。今日の持ち物自体もそこまで多くは無かったが完全に把握していたのでは無い故に止める理由も無かった。

 

 

「それでは参りましょうか」

黒服の一言で再び歩みを進める2人。先に着くのは鞠莉さん達になりそうだ。

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

 

「いただきます!」

 

その場全員の声が響き渡った。テーブルに並べられている色とりどりの料理の数々。見た目からしてお金持ちの夕食と言う感じで一般人にはどうも手がつけがたい。そんな気持ちなど微塵も感じ取らないかの様に鞠莉さんは高級食材を次から次へと口に入れており贅沢なんて微塵にも感じられない「これだから金持ちは」そう思うのも無理はない。

 

 

どんな食材が出ても食べると決めたのだがどうも手がつけにくい一生に一度しか見ない様な物も紛れている可能性も十分あり得る所も難しい所なのだ。そんな状態を薄々感じられていたのか不意をつき自分のフォークで適当に取り果南さんの口の中に持ってくる。

 

 

「ちょ、ちょっと鞠莉!」

 

これに限っては仕方ない事だ。何しろ急に口の中に運ばれては対応しきれないし横を見ると鞠莉さんがやり切ったニヤニヤした目で此方を見ている。

 

 

「果南、ちゃんと食べなきゃダメだよー?」

 

「分かってるよ!これから食べようとしてた所なの!」

 

「ほらほらまだあるよー、かな〜ん」

 

 

自分を赤子のように扱ってくる鞠莉さんにキレかかっていたのだが何とか怒りを抑えられた。その理由としてはこれが一回や二回目ではなく数えられない程のチョッカイをされたので慣れてるのだ。

 

 

「全く、果南ちゃんと鞠莉は仲がいいのねえ」

 

鞠莉さんの横に座っていたお母さんが嬉しそうに話しかける。否定するどころか一方に相互をし意気投合もしている。これはまずいと中和を入れようと試みたが時すでに遅し。

 

 

「ねー!果南!」

 

「分かりましたよ。鞠莉さんそうですね。」

 

 

サバサバとした回答だが鞠莉さんは精神攻撃が一番応えるのをを知っていた果南さんだからこそ出来た事。これも友達の一種として認識されているのだろうか。

 

 

こうしたやり取りがこの後も続き時間を忘れていた。ふと時間を見ると8時を回っており慌ててもう一度きっちりと見ると時計の針は8時半を差そうとしていた。

 

「やばっ!そろそろ帰るね。鞠莉」

 

「果南、送ろうか?」

 

「いいよ。明日も学校だし鞠莉にも悪いから。また明日ね」

 

 

鞠莉さんの家を後にし夜が支配する道を1人歩いていた。街頭も消えかかっている夜道を女の子1人で歩くのは危険もつきまとうのだが暗闇の中で果南さんは笑っていた。

 

「ふふっ、鞠莉はやっぱり鞠莉だね、なーんにも変わりはしないや」

 

完全に消えた街灯の下を笑いながら走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっと、なぜ私はここに?」

 

全く状況が理解できない。気がつくとベッドの上に寝ていたのだから。時間が経つにつれ何とか収集がつき此処が何処かぐらいは分かったのだが肝心な詳しい事は一つすら分からない。

 

 

「リリー!何言ってるのよ!ここはずら丸の家よ!そして此処はずら丸のベッドよ!」

 

善子の話で何となくは分かったもののどうしても頭からハテナがまだ消えない。

 

 

「で私は倒れていたの?」

 

「そうずら。善子ちゃんの電話に梨子さんが倒れてるってメールが送られてきたずら。最初はどうせ誰かのいたずらなんじゃないかと思ったんだけど不思議に場所もはっきり書いてあったので一応行ってみようってなってその場所に行ってみたら梨子さんが本当に倒れていたずら」

 

「その時は善子ちゃんと2人でいたの?」

 

「うん、善子ちゃんと帰る途中だったずら」

 

 

ここでまた一つ疑問が生まれた。善子の携帯にメールを送った人物の事。話を聞く上で善子と花丸は一緒に居た為にメールは出来ない事は無いのだが機械音痴の花丸がとなったら可能性は低い。となると他の人物となる。だが状況を何一つ知らない梨子は捜査の打ちようがない。手当たり次第と行きたいが私を気絶させた張本人が登場する場合も否定できない。どちらにしても危険が伴うのだ。

 

 

それでも梨子が取った行動はやはりメールの解析。リスクを避けていては辿り着けない。それ以前にメールを送った相手を特定出来れば有利に持っていけると考え、そこまで無い電子の知識をフル回転させている。

 

 

「でも思ったけど私を気絶させたと言う事は単に私を制御したかった人物なんじゃ無いかな?」

 

「確かにそうずら。自分に不利な人は毒殺とかで消してしまう事が良くあるって本にも書いてあったずら!」

 

「さらっと怖いこと言うわね…ずら丸」

 

「善子ちゃんは消さないずらよ…!」

 

「いやいや!怖い!ずら丸!」

 

 

「そこでもう1つ、私を気絶させて普通なら監禁したりするのよね。何故そのままにしたのかな?」

 

「例えばそこまでの記憶を消す…?とか?」

 

「ああ、ありそうずら。」

 

 

花丸には強い意見があった。それは梨子の倒れていた姿勢だ。花丸達が駆けつけた際、梨子は仰向けの状態で倒れていた。仰向けなら正面から何者かに押されたような状態になっている。此処までは3人でも分かる話であったが此処からが花丸の強い意見。それは状態での傷の無さだ。本来なら強く押されたとしたら肩を始めとした部類に怪我が出来る。脳も含めて。脳を強く揺さぶられて記憶が消える事はある。だが梨子には怪我どころか傷1つも入っていない。即ち充分別の方法で記憶を消された可能性はあるのだ。

 

 

「ずら丸!なんでこんなこと知ってんのよ!」

 

「これも小説で見たことあるずら〜!」

 

「あんたどんだけ小説読んでんのよ!」

 

 

花丸の話の中では記憶喪失では無く記憶を消されたという事になる。それがもし本当だとすれば重要な証拠になり話も広がってくる。

追求してみるのも良いがまだまだ理由が足りない為にまだ何か欲しい所だ。

 

 

と言ってもこれ以上の話の言い合いも意味ないしどうする事にも出来ない。よって話も段々逸れてき終いには明日のご飯のことまで出て来た。ここでもう終わりと解散の合図をかけようとしたその時。

 

「リリー電話。」

 

善子が言ったようにポケットが振動で震えている。話の途中で全く聞こえてなかったので言われてなければ気付かなった。

 

電話が切れてはいけまいと急いでポケットから携帯を取り相手の名前を見る。

 

 

ー久遠悠人ー

 

 

相手は悠人。聞きたい事は一杯あるが取り敢えず基本的な話を聞かないといけない。

 

「悠人!?今どこ?」

 

少し声が荒ぶってしまった。なのだが返事が全く来ない。

 

ようやく声が聞こえたのだが、様子がおかしい。かすれ声で訴えかけるようにしか聞こえない。

 

 

「り…こ、助け…て」

 

「ちょっと!悠人!悠人!!」

 

 

一つの電話(希望)が何処かで消えかかっている。

 




如何でしたでしょうか?
この回はかなまりで締めようと思ったのですがかなまりはもう少し泥沼感を出したい所なのでもう少し!

次回をお楽しみに!

※今日はもう一つ更新があるかも…?

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