1話から4話まで編集しようかなーって思ってるので希望がありましたら前向きに考えます
14章、終わりの始まり
14章、
と言われるがままに外に出て来た。目的地は決まっていた。彼女にとって重要な事との雰囲気を感じ体育館の裏の更に裏の落ち葉が散乱していて掃除が行き届いていないそんな場所で。理由は忘れてしまったが何故か一度来た事がある。来た事があるからこそここには誰も来ないと断言できる。よってここなら2人きりで話が出来る
その子は塚瀬涼美と言うらしい。高校一年生の生徒会の役員で勿論ダイヤさんも知っていた。その生徒会の塚瀬さんが何故用があるのかを教えて貰う為に質問をいくつかする。
「で用とは何ですか?」
「はい!この前の事のお礼を言いに来ました!」
「お礼?もしかしてあれですか?」
「はい!あれです!」
遡る事一週間前、ダイヤさんからの呼び出しで生徒会室に行った時に起こった。指名の理由は掃除の雑用。生徒会室の掃除をするから要らない段ボールを処分する時に力を貸して欲しいとの事。普段からお世話になっているし行かない理由もない。
問題はそこから、ダイヤさんと塚瀬さんと掃除をしていたのだがやたら段ボールが多くて埃も被り放題。塚瀬さんが何段にも重なった段ボールを上から取ろうとした際に見事引っ掛けてしまい押し潰された状態になってしまったのだ。幸い怪我がなく一安心。プラスその時差し伸ばした手がとても嬉しかったようだ。その時は赤面な顔で飛び出して行った為にお礼の言葉は貰ってない。だが親切な事をされてどうしてもお礼がしたいとここへやってきたらしい。
「えへへ、あの時は本当に有り難かったです。こんな私にも手を差し出してくれるなんて」
頭をかく仕草をしながら照れている。生徒会の人故にどうしてもダイヤさんの様な硬派な人かと想像してしまうがを全然違ったみたい。中々アグレッシブで千歌の様な一面を見せつつもちゃんと謙虚で礼儀正しくとても律儀な人で梨子のような一面も浮かばせた。
難もなく話していると時には相槌を打ち、返し言葉も出来ている。話し相手にするのはこの上ないぐらいの理想形の様な人物。ダイヤさんにも生徒会にとってもこういった人はとてもプラスになる。
「それでですね!あの!」
急に切り口を変え強い口調で話してくる。人物が入れ替わったかの様に辿々しい様子でさっきまでの面影はない。言葉がたんびたんびに詰まっていて何事かとは思ったのだが先程までの彼女を見ていてそんなに心配する事では無いだろうと思っていた。この言葉を聞くまでは。
〜※〜
「チョーップ!」
「痛っ!ちょっとずら丸!何すんのよ!」
「善子ちゃんが悪いずらー!ダイヤさんが話している最中に俯くからだもん!」
「こら!貴方達!ちゃんと人の話は聞きなさい!」
「ごめんなさい…」
こちらは文化祭終了後の部室。大成功の余韻に浸りながらも浸ったままではいけないとすぐにメンバーを集めて作戦会議。成功でも悪い所も必ずあって逆に良い所もある。お互いを整理し次に生かしていく。いつ何時も常に次の事を考えている。
そして作戦会議が終わった。緊張した空気が一気に緩和され会話もチラホラと増え始める。陽気な空気の中勿論ライブの事で会話は持ちきり。
それはそうだろう。あの体育館を満員で埋めたのだからそれは彼女達の自信になる。それと共に成長にも繋がっている。一歩踏み出したらこんなにも世界が違って見えるのは彼女達が1番実感している。やらなければ何も変わらないをまた一層実感できた今回のライブであった。
「梨子さん、少しお話良いですか?」
「ええ、大丈夫です。」
部室にメンバーを残し退室する2人。メンバー達には「少し話をする」と言い外へと出て来た。
ダイヤさんは顔から想像できないぐらい目が笑っておらず只ならぬ雰囲気を感じていた。その予感が的中しなければ良いのだが…
部室を出て少し行った所で少し落ち込んだような顔になり話を始める。
「あれから私なりに考えて見たんです。悠人さんを少しの間休ませようかなと…確かに悠人さんがいた方がAqoursにとってプラスになるとは思いますが現状は1人で溜め込んでしまいがちです。もし予想外の事が起きた場合は私達では対処しきれません…」
「そうですか…それはみんなにも話したんですか…?」
「いえ、まだ話してませんわ。だから梨子さんに先に話したかったのです。」
予感が的中してしまった。梨子は悠人のお陰で正常の自分を取り戻せたのもある。「悠人ならここでどんな事を言うのだろう」の言葉で一杯になっていた。自分には悠人の気持ちが分からない。手助けしたいのだが方法が分からない。
「私だけでは決められません、他のメンバーにも聞いた方がいいと思います」
これが今の自分が出せる答え。いや今の自分にはこれしか出ない。どうする事にも出来ない未熟さが悔しい。
「そうですわよね、梨子さんの言う通りですわ。では明日でもみんなで話して見ましょう
今日はいいムードに水を差すのは良くないので」
「はい…」
もう一度部室に戻って行くダイヤさん。後ろからだがその背中は弱々しくやはり責任を感じているのだろうか。そんな事を考えつつも自分も部室に戻らなければ…俯き溜息をつきながら部室のある体育館へと戻って行くその時、1人の声が聞こえた様な気がした。
「梨子…!梨子」
誰がかは分からないが自分を呼んでいるのは分かった。小さな声で気付かれてはいけない様な声でこちらを呼んでいる。均一されてない声で不平等のトーンで必死に。
誰もいないのも確認し辺りをキョロキョロと見渡す。すると物陰に1人の人影が見えた。
呼んだ相手は多分あの人だろう。持てる力を最大限に発揮しその人の元へ駆け寄った。
「梨子、今日はミーティングに参加できないかも知らないからこのまま進めておいてくれ」
「わかった・・・って待って!」
そう言い何かに追われているように全速力で駆けて行った。数秒走っている彼の背中を見ていたがふと我に帰り部室へと帰らないといけない事を思い出し急いで制服のリボンを揺らしながら早歩きで部室へ戻ろうと歩き出した。
部室に戻ると先程まで気持ちとは大違いな程に盛り上がっていた。場の盛り上がり方からしてダイヤさんも一言も話した様にも見えないし既に集会も終わりかけていた。話にない以上わざわざ割いて言う必要もない為話が出れば出ただけで対応をすればいいだけの事。
「これで終わります。文化祭もこれにて終了しますので速やかに教室に戻りましょう」
体育館の片付けは明日すると生徒会にも了承されているので今日は教室に戻ってそのまま解散の形となる。悠人が教室に現れるかは分からない上に話も一つも出ない為不信感を抱きつつもこのまま進めていた。
〜※※〜
「姉ちゃん、ここどこだ?」
「ふふっ、何処だろうね?」
「教えてくれよ、学校に戻らないといけないんだよ。」
「それなら大丈夫!これを見て」
姉ちゃんは車を運転しつつもう片方の手で一つの紙を差し出す。その内容は早退届。この学校の仕組みとして早退届を本人以外の人が受け取って良い為姉ちゃんが俺のを受け取るのも可能になる。となると俺は早退した事になってしまった。
なぜ早退届を持ってきたのかは分からなかったが車の中で場所を聞こうも上手い事話を逸らしてくる。口を開く事は無いだろう。
それに現時点の場所は俺の知っている距離の場所では無い。俺は何故か記憶力だけは異常にあり一度見た物は完全に近いほど記憶できる。この事から長距離に来たと思われる。
「早退届って…まあ取り敢えず明日までには家に帰してくれよ」
「うーん、それは悠人次第かなー?」
理不尽な物の言い様に疑問を覚えた。可能性が無かった選択肢も頭の中に過ってしまっている。言う事が正しければ命令を大人しく聞いておけと言う事になる。
「まあ、待っててよ。目的地にそろそろ着くからさ」
〜※〜
「はあ……」
「どうしたずら?」
善子が机にうなだれて溜息をついている。見た目から不安になっており関わらないほうがいい空気になっていたがそこを花丸は関係なく関わっていく。それが花丸の良さでもあるのだろう。
「さっき悠が体育館から出ていく所を見たの、それで後を追いかけて行ったのよ」
「ああ!あの時の!」
「そう、それで悠が1人の女の子と一緒に歩いていたの、急いでいたから要件は分からないけど」
「あっ!善子ちゃん嫉妬ずらか!?」
「そんなんじゃないけど…」
善子はテンションを下げ暗いトーンで話している。内容は深くは聞いてないが話し方から
分かるほど落ち込んでいた。
何とかして元気にしようと色んな話をしたものの返ってくるのは簡単な返事だけ、諦めかけたその時、善子が思いっきり立ち上がる
「そうだわ!悠の所にいきましょ!もう当たって砕けろよ!」
「そうずら!そうずら!」
よく分からないが意思を固めた様だ。次の目的は悠人がいる教室。教室から出ようとしたその時に梨子が手を上げているのが見えた。
「梨子さん、どうしたずら?」
「悠人が早退みたい、私が教室に帰った時には既にいなくて帰ったみたいなの」
「ええっ!じゃあどうするずら?」
「決まってるじゃない!家に行くのよ!早く!リリー!ずら丸!」
善子は自信満々に話し先程とはまるで大違いで教室を飛び出して行った。
どうでしたでしょうか?
悠人くんに話した塚瀬さんの意味とは?そして姉ちゃんの陰謀とは?
是非次回ご覧ください!