貴方を追いかけて   作:サバの缶ずめ

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最近忙しスギィ!
ですがゴールデンウィーク休みがある!
よーし!いっぱい書くぞー!

※5/2脱字編集しました


13章、ステージライブ

「綿あめ一つくださいずら!」

 

「はいよー!!一つね!」

 

 

丸が綿あめに興味を示している。綿あめは文化祭の定番となっておりそれなりに数も出るので出す店もなかなか多いようだ。味を競っているのか各地で自分のが一番と宣伝の声も鳴り響いている。お腹の中に入ればどれも一緒と言う丸の様な人だと残念ながら目に入った所から行ってしまうので残念ながら通用はしない

 

 

「花丸ちゃん、少し食べすぎじゃないかな…?」

 

「そんな事ないずらよ、まだ綿あめとお好み焼きとフライドポテトと鯛焼きしか食べてないずら!」

 

「ずら丸の胃の中は一体どうなってんのよ…本当ブラックホールかしら」

 

 

食べ過ぎると午後に響くのでいけないとダイヤさんから出てたにも関わらず次から次へと回っていくのは食べ物には目がない丸らしいのだがここ辺りで抑えないと本当に洒落にならないのを善子もルビィも分かっていただけに食べるのを抑えていた。

 

 

「あっ!お化け屋敷ずらー!行くずらー!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!ずら丸!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜※〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこにいるんだ…?」

 

丸を探しに来たのだが全く見つからない。丸どころが1年生すら見つからない。薄々団体行動しているんだと思っていたがどうやら現実化しそうだ。取り敢えずもう一回探してみよう、張本人がいないと話にもならない。

 

 

「あれ?悠人?」

不思議そうに声を掛けて来たのは梨子。

 

 

「梨子か、丸達知らないか?どうやら呼んでたらしいんだが」

 

「うーん、知らないわね」

 

「そうか…それにしても梨子は1人で行動してるのか?」

 

「一緒に行動しようと思ったんだけど千歌ちゃんと曜ちゃんがいなくなってて結局1人で行動してるの」

 

千歌と曜は時々外れて制御が出来ない事がある事を俺も梨子も知ってたのがある為に大イベントの時に関わらず団体行動の時は常に監視しておかないと何をするかわからない。故に梨子が先頭になって状況を制御していた。裏で梨子に頼っていた自分もいたのだが…

 

 

「そうか、取り敢えず引き継ぎ丸を探すから梨子も一緒に探すか?」

 

「そうね、2人の方が効率もいいし、そうするわ」

 

 

1人が2人になった所でまた歩みを進める。時間もそこまで無い中なかなか見つからないのは都合が悪い。午後はライブに集中したいので出来るだけ早く見つけ要件を聞いておきたい

 

 

「そう言えば梨子、今日どっか回ったか?」

 

 

「いや回ってないよ、クラスで呼び出しがあったからね、悠人も出れば良かったのに」

 

 

「今日はそれどころじゃなかったんだよ…」

 

朝に着ぐるみに入っていたなんて誰も思いもしないだろう。ついでに千歌もいた事も。これは誰に話さず胸の奥の方にしまっておくのが良いだろう。

 

 

 

梨子を横目に千歌達を探している。ふとした所で照れたり、笑ったり、感情が豊かで愛嬌があり微笑ましい。途轍もない不安から解放された様なその顔は清々しく凛々しく前を向いている。この姿にメンバーが惚れるのが分かったような気がする。不意に「梨子いつもありがとな」と囁くと顔を赤面にし照れ「からかわないでよ!」と顔を真っ赤にしたまま肩を一回バシッと叩かれた。何気ないこの日常が幸せなんだなって思えた。ここ数日当たり前が当たり前ではない事は既に自覚しているが偶には現実から離れて楽しくするのも良いものだ。

 

 

「みなさん午後になりました。午後の部と午前の部は入れ替わってください」

 

 

校内の生徒会のアナウンスが鳴る。刻は12時と少し過ぎたぐらい。意味も無く屋台巡りをしており完全に時間を忘れていた故に急いで集合場所へと帰らなければ…駆け足で戻っていこうと思ったのだが梨子の事を忘れてはならない。振り返ると後ろでゆっくりと息を切らしながら駆け足か歩いているか分からないほどのスピードでついて来ている。置いていくのは午前の恩義があるので出来るはずがない、よってこうするしか無かった。

 

 

「ギュッ」

 

 

強く手を握り梨子を引っ張るようにもう一度走り出す。周りの蔑んだような目など目にもくれず無我夢中で体育館を目指し走り出した。時に後ろを確認すると若干照れていたと思うのだがそれは俺にも当てはまるので内緒にしておく。

 

 

(舌打ちが耳に入ったんだが気のせいだよな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

悠人と梨子が一所懸命に体育館を目指している反対では勿論この話題になっていた

 

 

「遅いずら!梨子さんは一体何をしているずら?集合時間そろそろずら!」

 

「そうだよね…不安になって来たかも…ちょっと探してこようか?」

 

「いいえ!大丈夫ですわ!梨子さんは必ず来ますわ、待ってて下さい!」

 

 

信頼が高いが為に、この様な対応が出来る。例えばこの場合が千歌だったとしたらダイヤさんは大騒ぎだろう。ここは信用に任せて大人しく待っておくのが筋と判断した

 

 

と言ってもまだ30分ある。理由は察する通り誰とは言わないが思わぬトラブルが出た際、時間に余裕を持つ事で臨機応変に対応が出来る為にわざと時間に余裕を取った。一部から批判も出たが結局正論となって今に至っており今梨子と悠人を今か今かと待っている。

 

 

 

「お待たせしました!待たしてすいません!」

 

 

悠人が満を持して登場した。当たり前だが梨子もいる。遅れたという事もあり場の空気は最悪だろうと覚悟していた。いつも遅れるなと鬼にして言ってる人間が遅れてしまっては示しがつかない。叱られるのは承知の上

 

 

「悠人さん梨子さん遅刻は良くありません、ですが理由が有るのなら耳を傾けはします」

 

 

「自分方向音痴なので遅れました」と言っても笑われるだけ。それは自己管理が出来てない証拠。道のりを確認し時間に余裕を持ち行動すれば良かっただけ単に不注意が招いた悲惨。同情の余地もない。

 

言うか言わないかの瀬戸際に立っていたその時梨子が口を開く。

 

 

「私が悠人を色んな場所に連れて行ってた為に遅くなったんです!悠人は何も悪くないんです!」

 

 

悠人は悪くないと一生懸命庇ってくれているみたいだ。まるで自分が悪人の様に訴えている。その言葉が出るのは凄と思うし勿論感謝もしないといけない。だが梨子のような清純な人間が自らを苦しめてまで庇う必要これっぽっちもない、助けてもらった人が言う台詞ではないのだが…

 

 

「まあまあ…落ち着いてください、梨子さん

状況は分かりました。今後等はこういう事は無くして頂ければと思います」

 

 

どうやらダイヤさんも梨子の魂の訴えに共感してくれたみたいだ。梨子も少し熱くなっていたのか赤くなった顔のままこちらに笑みをこぼす。

 

 

これで9人揃いミーティングを始める事が出来る。今日のミーティングは時間が無い中で行う為気合い入れの円陣だけで終わった。ここから持ち場へと入っていく、確認がてらに見たメンバーの顔には様々な描写が写る。緊張してお互いを助け合っている丸とルビィ、上級生らしくその場を和ませる鞠莉さんと果南さんそして何よりもリーダーとして気が引き締まっているだろう千歌がそこにはいた。全員緊張していたのは一瞬で俺には分かった。

 

 

「皆さん!リラックスですよ!練習で出来た事をするだけです!落ち着いて行きましょう!」

 

 

俺はらしからぬ言葉を残しその場を離れる。

俺の持ち場は基本的には舞台裏、幕を上げたり、照明の合図を出したりする。照明は昔から千歌達Aqoursのサポートを快く引き受けてくれているむつさんといつきさん。音響はよしみさん。日々Aqoursのサポートや俺の指導で疲れているであろうはずなのに分かりやすく指導してくれている。俺にとって神のような存在、頭が上がらない。

 

 

開始15分前、続々ととお客さんが入ってくる。ファーストライブの頃のガラガラの体育館をこの目で見ているので満席の体育館を見るとAqoursがいかに頑張ってきたかが実感できる。小さな窓の隙間から見えるメンバーの姿はとても誇らしい。幕は閉じられている為観客席側からは見えない。よってここは大事なオフの様子を見られるのだ。

 

 

「ねえねえ、悠人くん?」

1人の人が声をかけてきた。音響のよしみさんだ、不安な所の打ち合わせだろうか?

 

 

「よしみさん?どうしました?」

 

 

「緊張してるかなーって!どんな感じ?」

どうやらお世辞を飛ばせるぐらい気持ちの整理が出来ているようだ。そして少しでも周りの役に立ちたいとこうして来てくれている。

 

 

「やっぱり緊張はしますけど、自分が緊張してしまったらライブが台無しになってしまうんで頑張ろうと思います!」

 

 

「頼もしいねー!じゃあ私は持ち場に戻るからよろしくね!悠人くん!」

 

俺に闘魂注入してくれて再び持ち場へと戻っていく。持ち場から頑張ろうと手を振ってくれている。不安な気持ちも少しあった故もう一度気合いを入れ直せた。

 

 

遂に開始まで1分に。照明に合図を送り、ステージが真っ暗になる。周囲が今か今かとザワザワし始め期待の声で一掃している。

 

 

(3、2、1、0!スタート!)

 

心の中でカウントダウンを行いスタートする。幕がゆっくりと上がってそれと同時に照明が彼女達に当たる。

 

幕が完全に開いた所で一歩前に出てリーダーの千歌が口を開く。

 

 

「今日は私達Aqoursの為にお集まり頂きありがとうございます!私達一生懸命頑張りますので今日はよろしくお願いします!!」

 

リーダーの一声でガラッとその場の空気が変わる。すかさず音響が音楽を入れ軽快なイントロと共にダンスを踊り歌を歌う。会場からは溢れんばかりの歓声がステージ裏でも分かるぐらいハッキリと聞こえる。これもメンバー一人一人の個性が輝いているからこそのライブなんだなと感じた。始めはできなかった事が出来るようになった時の達成感は彼女達を見れば一目瞭然。それぐらい練習を大切に過ごしているのだ。

 

 

勿論お客さんが喜んでいるのもとても嬉しい事だろう。ガラガラの体育館を見ている2年生、途中で挫折してしまった3年生、輝きたいと心に強い意志を持って入部してくれた1年生、誰もが悲しみを分かち合い喜びは皆んなで分け合って進んで来た。今日の日は思い出の1ページに刻まれるだろう。

 

「今日は本当にありがとうございました!」

 

30分の短くも長いライブが終わった。絶賛の声が鳴り響く体育館でメンバーも勿論自分達の演奏に絶賛していた。中には1番を争うぐらいいい出来だったと思っている人もいるだろう。まさしくそうだ。

 

 

「メンバーを褒めに行かなきゃな」

 

ここまで頑張ったメンバーに礼を言うのと終わりのミーティングに参加しなければならない。窓を開けメンバーの所に向かおうとしたその時、

 

 

「あの!久遠悠人さんですよね?」

 

1人の女の子がたどたどしい声で話しかけて来た。まあ女の子以外が話しかけてくる事はあまり無いのでとても珍しい。見た目は一年生だろうか?少し小ぶりで何とも高校一年生には見えない

 

「どうしました?メンバーに用がありましたら案内しましょうか?」

 

1年生なら善子、丸、ルビィの友達という事も十分あり得る訳でここで聞いておく方がいいだろう。

 

「いや!久遠先輩に用がありまして…」

 

「分かりました。ですがここではなく外でも良いですか?」

 

「は、はい!」

 

「それでは行きますか、ついて来てもらえますか?」

 

そう言いこの女の子と一緒に行動する。用件は分からないが多分メンバーに共通した事だろう。

 

一方その頃、ステージ上では外に出ていく悠人をハッキリと見ていた人物がいた。

 

「ちょっと私トイレに行ってくる」

 

「ええ、なるべく早くしてくださいね」

 

そう言い悠人の後を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
文化祭で切り替えて次は3話目に突入します!
3話目は一体どのメンバーが…?
そしてこの、少女の目的は…?
是非ご覧ください!
ではまた!

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