貴方を追いかけて   作:サバの缶ずめ

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取り敢えず一週間以上かかってすいません…!
頑張ります!


12章、作戦執行

「俺、何でこんな事してるんだよ…」

 

着ぐるみの中に男子が一人、暑苦しいし何しろ他人の目線が痛い、着ぐるみの中の人を馬鹿にするのはもう辞めよう、とまで思わせてくれた息も苦しい暑さの中何とか一歩一歩、

これにはれっきとした訳があってだな…

 

 

遡る事数時間前

 

「やっぱり好きなんだろ?高海達のこと!早く告っちゃえよ!」

 

「いやいや…そう言うお前達はどうなんだよ?お前達こそ千歌達の事好きなんだろ?なら俺に言う必要は無いだろ?」

 

「普通に考えて俺たちが告った所で付き合ってくれると思うか?可能性のない俺たちが言った所で「何それ、笑えるんですけど」って言われるだけ、それなら期待が持てて何しろイケメンの久遠悠人が告るべきだろ?」

 

「イケメンって…そんな言葉で騙されないし好きでもない人に告白しても何の意味もないだろ?」

 

一度聞いた事がある、好きでなくても一応彼氏や彼女を作りたい人がいると、理由としては自分を大切にしてくれるなら好きでなくてもいいと言ったものだが、今の俺にはそれは比例しない、話し相手になってくれる丸や梨子とも親密な関係を築きたいとも微塵も思わない、思った心があったとして順調に行くとは限らない、忘れてはいけないのが千歌達だ

今のあいつらには好きが先走り過ぎて回りが見えていない、告白なんてまさに火に油を注いでいるような無謀な事をしている訳だ、俺の考えたように解釈してくれるとありがたいのだが現実はそう甘くない。

 

「なら俺たちが作戦を考えてやるよ!」

 

慣れ事なのか?手招きでもう1人の友達を呼ぶ、よく見たら2人で大きな何かを運んでおり俺の目線が何かに注がれる、多分ぬいぐるみか?ぬいぐるみは記憶の中には特にはない為聞いてみるのが良さそうだ。

 

「凄いだろー?これは熊のぬいぐるみだぜ!頑張って演劇部から借りて来たんだ!これを…」

 

「まさか!俺が着るのか!?」

 

 

「当たり前だろ!?何の為に頭下げて借りて来たと思ってんだ?」

 

予想外すぎる結果に戸惑ったのだが、謳い文句は「付き合うためには必要」を貫き通して説得しようとしたのだろう、「熊や言葉に負ける俺じゃない!」と言い切りたかった。

 

 

 

 

 

 

で現在に至っているのだが、作戦以前に暑い!これは連呼しても怒られないぐらいの暑さのだがぬいぐるみの定義として喋っていけないタブーがあるのがまた地獄を加速させていく。暑い、狭い、喋れないの三本柱でぬいぐるみは成り立っているのが身に染みた。

 

 

 

「わー!ぬいぐるみだー!可愛いー!」

前方から大きな声を出して1人の女の子が駆けてくる。口元にある隙間から確認するとその子はオレンジ色の髪にアホ毛がピョコンと立っている。確信した。これは千歌だ。まあこうなってくれないと計画は上手くいかないし死ぬ思いでぬいぐるみに入った意味もない。

 

 

「こんにちは!熊さん!元気ですか?」

 

「………………………………………………………」

 

ぬいぐるみは喋ってはならないので手に持っている紙とペンにスラスラと文字を書いていく、慣れてないので若干書きにくさがあったが何とか書けた。

 

「きょうのぶんかさいをたのしんでいってね!」

 

何も考えていないので勿論アドリブとなる、だがアドリブの対応力はゼロなので適当に書いたのを一生懸命所々詰まりながら読んでいる。全部平仮名で読みにくいだろうがそこは勘弁してほしい。狭い視界の中漢字で書くのは至難の技、後平仮名ならぬいぐるみらしく可愛いと言う言い訳もある。

 

 

「わー!可愛いー!ギューしようよ!」

 

それと同時にに熊(俺)をホールドする、良いとは一言とも言ってないと言いたいのだが今みたいな肝心な時に喋れないのは不都合過ぎる、後時間が経つごとに強くなっていくのは気のせいだろうか、それにしても初対面にしろ馴れ馴れしく接するのは凄いことだと思う、こういう影響は果南さんから受け継いだのだろう、スキンシップと言いつつもやたらボディタッチが多いと思うのだがそこもスキンシップの一環らしい。

 

 

女の子に物を挟んでにしろハグなんて一部にしたら理想のシチュエーションに決まっている、一部では死んで良いと思っている人もいるほどなのだから、だが俺はもう一部の方の

部類になる。残念ながら毎日一緒にいると恋のような感情は出来るどころか薄れていく一方

 

 

「熊さん!私スクールアイドルやってるんだ!あっ!スクールアイドルって知ってる?」

 

 

知らない訳無いじゃないか、中の人は一番近くで見てきてる人なのですから

 

首を2回縦に振り「しってるよ!」と紙に書いて見せる、それを見て余程嬉しくなったのか更に話しを続ける。その中にはスクールアイドルに対しての辛さや楽しさを経験して、どのように良くしていこうかなどリーダーらしい悩み事などがあった、中の人なら絶対聞けない強みを外して弱みを出してくれたような気がする、誰もいない且ぬいぐるみを見て少し気が楽になったのだろうか?

 

「熊さん!スクールアイドルの公演がお昼からあるんだ!絶対見に来てね!」

 

手をグーにし、熊の手にコツッと一回当てる

千歌から見たら約束の合図だろうか?それともさよならの合図なのか?悩み以前にどっちにしろ昼から会うんだしこのグータッチはさよならの合図と解釈する。

 

 

「おーい!やったな!」

そう言い物陰から戦犯が出てくる。

 

 

ようやくホッと息をつく、そして頭の部分を外してようやく解放されたと思ったのが運の尽き直ぐに問い攻めに入って来た。

 

「昼から絶対見に行けよー!高海から直接お誘いが来たんだぞー!」

 

「そんなこと言ったって中の人はスクールアイドルのマネージャーだぞ?どっちみち行くのだが熊で行って作業が出来るわけないだろ?」

 

納得してくれたのか急に声のトーンが変わる

 

 

「それもそうだな…じゃあ俺が熊の中に入ろっかな?」

 

「辞めた方が良いぞ、ぬいぐるみの中は地獄だ」

 

ぬいぐるみは可愛いイメージがあるがそれはあくまで外の話、中を見ればただの熱い着ぐるみだからバイトの時給が高いのにも納得が出来る。

 

 

「まあ良いよ!今回の作戦は成功という事で終了!時間も無いし早く色んな所に回ろう!」

 

時間を無くしたのはお前だろ?と言葉が出かかったが何とか止められた。それとは別に手を引っ張り次に向かわされる。

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

何とか説得しあいつらと別れた。理由は昼からので急用が入ったからと言って逃げて来た

流石に全体の予定だと否定する事は出来ないのですんなり行かせてくれた。実際は予定などありもしないのだがそこは大目に見て欲しい

 

 

その後特に予定もないので適当にぶらぶらと歩き4階へと上がってきた、「おばけ屋敷どうですかー!」「劇しまーす!」宣伝の声が

辺り一面を激しく駆け回る、その時1人の声が耳に入る

 

 

「見える!アナータには!恋の成就が!」

 

「本当ですか!?私頑張って見ます!」

 

 

教室に入るドアの手前でおかしな格好をした人が一人の女子を占っている。(これは絶対関わらない方が良いやつだよな…)心の中で思ったのだがこれは俺だけではなく見たら全員そう言うだろう、もう少しバレないように物陰から観察してみると金髪にイエローの瞳外国スタイルの口調、(これは…絶対)特定完了してしまったのでここはバレないように去るのが筋、抜き足差し足と音を立てずに一歩一歩踏み出して行くのだが…

 

「オニイサーン!チョット良いかしらー!」

 

案の定バレてしまった、最初からロックオンしていたのだろう、もうバレたからには縮こまる必要はない

 

 

「鞠莉さん、何の格好ですか?それ」

 

「良いでしょ〜?魔法使いの格好なのよ!特別に作ってもらったのよ!勿論ダイヤ達のもあるのよ!それなのにダイヤ達ったら着てくれないのよ!」

 

「そうなんですね…大変ですね…」

 

触らぬ神に祟りなし、2人も鞠莉さんの自由過ぎる性格を知ってこそだと思うのだが頑固に一緒に着たいと言ったらしい。

 

「そう言えば果南さんとダイヤさんは?何処にいるんですか?」

 

「ダイヤ達はね〜今は体育館にいるんじゃないかしら?」

 

チラホラと目が泳いでいた。だがそこは文化祭と言う事もあり手が回ってない可能性もあるし自分で探せば良いだけである為情報を教えてくれただけでも物凄くありがたい。

 

「分かりました!体育館に行って見ます!」

 

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「へー!凄いんだねー!悠人は」

 

「そうなんですよ、悠人は自分の手間を省いて私達の為に色々と頑張ってくれるんですよ」

 

「今日も悠人さんに頑張ってもらいますわ!」

 

 

何やら果南さんとダイヤさんが話をしている、よく見ればもう1人いるのだが遠くからでよく分からない、振り向いた時に顔を伺うしか確認方法がない、仲良く笑いながら話している3人を監視するのだが中々振り向かない

諦めて向かおうとしたその時

 

 

「悠!!」

 

振り向いてようやく顔を確認できたのだがその顔は何処となく誰かに似ていて…

 

「姉ちゃんだったのかよ…驚かすなよ」

 

「驚かしてないよ!悠が勝手に驚いただけじゃん!」

 

正論を言われたので反撃できない、勝手に解釈した自分も悪いし姉もちゃんと来ると行ったのでここは引きさがろう

 

「そんな事より!悠って凄いんだね!Aqoursのマネージャーしてるんだね!」

 

「それはまあ仕事と言えば仕事だし、てか前も言ったよね?何で忘れたの?しっかり覚えててよ」

 

 

「うーん…そんな事言ってないよ…」

 

昔が姉がトンチンカンなのは知っていたがこれは流石に…女子だらけのメンバーの中に男子1人が意味も無くいるはずがない、いたとして殆どストーカーだ、意味も無くいればここには今いないだろう

 

 

「てか姉ちゃんステージまだだけどどうしてきたんだ?」

 

「みんなの様子と見ようかなーって思ったんだ、緊張してるかなーって思ったから」

 

姉ちゃんの脳天気な所はみんなを笑顔に出来る様な物がある訳で緊張をほぐしてくれるというのはとてもありがたい、だが俺では無くステージに登るメンバーたちにやって欲しいのが現状だ

 

「悠人?そう言えばさっき花丸達が呼んでたよ?」

 

果南さんが口を開く、1年生組に目立った用は無いが見えていない予定もあるのだろう、尚時間もあるので行かない理由もない

 

「分かりました!」

 

特に予定もない俺に次の予定が出来た、と同時に必要だった予定を思い出した

 

「ダイヤさん後で少し良いですか?」

 

「ええ、大丈夫ですわ」

 

「ありがとうございます!それではちょっと行ってきます!」

 

そう言い、体育館を飛び出して行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
次から頑張ります!

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