貴方を追いかけて   作:サバの缶ずめ

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皆さんいかがお過ごしですか?
3.31〜4.1のfinalLiveから1年、一年って早いですね、
この小説も一年後はどうなっているのでしょうか?



10章、苦しみの解放

「手錠の1つ2つ難なく解除するなんて流石悠人だわ、だけどそれぐらい私だって想定して行動しているのよ?」

 

傾いていた流れが一気に戻り絶頂から絶望へと落とされる、決して悪い手じゃないしミスもしていない、完璧にも近かったと思うがこの様な結果になってしまった以上今回は分が梨子にあったと解釈するしかない

 

「まあいい、俺は同じ手では捕まらない、この勝負は俺の勝ちだ!」

 

「フフッやっぱり強気ね、それこそ私の好きな悠人よ」

 

薄々と感じていた、消極的な作戦に出る丸と違って即座に計算し正しい答えが出る天才人間に前から攻撃しても敵わない、普段から千歌や曜といった「考えるよりも動け」タイプではなく理論的に考え行動するは事前に予習済み、河童の川流れの様にちょっとの隙につけ込むといった方法しか整理が追いついていない俺の頭には一般的なこの方法しか思い浮かばない

 

 

「おーい!悠!!」

 

外から大きな声で誰かが叫ぶ、多分助けに来てくれたのではないか、だが普通はありえない、火の中に分かってて飛ぶ奴と同じ様な事をしている、例え叫び主が知り合いだったとしても若干引いてしまう、要は無謀な事はしないでという事

 

「楓花さんが来てくれたわよ?やっぱり悠人は愛されているわね」

 

「だけど例え楓花さんでも悠人は渡さない」

 

そう言うと、窓に向けて一歩一歩歩き

窓を力強く開けると落ちそうなぐらい身を乗り出し楓花に目線を合わせる、楓花も目線をキャッチしお互い目と目で睨み合い火花を散らす、

 

「ああっ!梨子ちゃん!そこに悠人はいる?」

女子とは思えない馬鹿でかい声で梨子に問いかける

 

 

「楓花さんごめんなさい、悠人は私の物なの、これは姉の楓花さんにも譲れない」

 

 

「じゃあ良いよ!・・・って!悠人は梨子ちゃんの物じゃなくてみんなの物だよ!」

 

「何だか俺がみんなのおもちゃみたいじゃないか…」とツッコミを入れたくなったが、現在おもちゃとなりつつあるのが現状だ、結局取り合って自分の物にするために他人を蹴落とす、やっている事は幼稚園児のおもちゃの取り合いと同じ様な事、

 

「フフッ、じゃあ悠人が私の物って事を見せてあげるわ」

 

 

 

馬鹿な俺にも状況はある程度読める、

姉の楓花もいるし、喜子もいるから最悪何かあれば止めてくれる、これが梨子と2人きりなら逃げてもおかしくないが今は大人しく梨子の状況に従った方が吉と見た

 

「姉ちゃん、俺はここにいるよ」

梨子に命令されて俺は窓から顔を乗り出し楓花と話を始める、

 

「あっ!悠!何で梨子ちゃんの家にいるの?早く帰るよ!」

 

帰りたいのはやまやま、姉ちゃんと話が長引くにつれ、後ろから鋭い目線が痛いほど飛んでくる、これは嫉妬だろう、梨子の顔は見事ハイライトが消えている、なるべく話を早く切り上げた方が良さそうだ…

 

「梨子の作曲の手伝いで梨子の家にいるんだ」

 

本当の事を言ってしまうと後々面倒臭い予感しかしない、だから何とか嘘でも良いから誤魔化しておきたい所はあった、

 

「ふーん、じゃあ私達帰っていい?」

 

 

「別にいいよ」

平気な顔を装っているのもまた頭をパニックにさせる、これはずるい、益々心象がわからなくなっていく、試行錯誤しないと攻略はは中々難しそうだ

 

 

「ふーん、まあ暇だからもう少し話をしようよ?」

 

 

「悠知ってる?人間が集中している時ってゾーンって言う現象に陥るんだって、事故が起こった時にスローモーションになるじゃん?それと同じ現象なんだって!」

 

 

「へー、よく知ってるね」

 

 

「これは、とっておきの情報!人間って同時に2つの事を処理できないんだって!だから2つの事は考えられずに気付いたら1つの事に集中してしまうんだって!」

 

 

「確かにいい情報だけどそれ今に関係あるの?」

ましてはこの状況をどうにか打開しようとしている上では必要のない事、それが姉だとしても必要ない事を今考えている余裕などない

 

 

「悠人?話は終わった?それじゃあ作曲のつry」バサッ

 

 

何者かが梨子が押し倒す、一瞬だ、一瞬の事過ぎて脳がパニック状態を起こして今にも恐怖で倒れそうだ、「落ち着け」と一言自分に問い掛け、奮い立つ、足はガクガクと震え立っているのがやっとだが今は自分の心配などしている必要は無い、梨子の安否を確認しようとしたその途端、倒した本人が話しかけてくる

 

 

「悠、落ち着きなさい、リリーは気絶しているだけ、後もう少しすれば目を覚めすわ」

 

 

「善子、どうしてこんな事を?」

 

 

「Aqoursのピンチは悠人だけじゃ無いわ、お互いが支い合わないと一流のスクールアイドルにはなれない」

 

 

「って悠が言ってたのを自分なりに行動して見ただけよ?」

 

 

そう一言言い残し、善子は梨子の部屋を去っていく、

 

 

「全く世話がやける奴だな、俺はそんな事一言も言ってないんだけどまあ善子らしいな、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふうっ、疲れたー…!」

 

「お疲れー!善子ちゃん!ちゃんと上手くいった?」

 

「それなりには良かったと思うんだけど…少し心配ね」

心配要素が1つ、梨子が起きた後善子の計算している方程式が成り立つかどうかに掛かっている、それには梨子の力も悠人の力も必要になる、自分が行動すれば成功する確率は高かった悠人達に任せたのはこの状況は彼にしか鎮められないと選択した、善子も悠人の知らない間に成長しているのだ、

 

 

 

「善子ちゃんも賢くなったねー!やっぱり善子の善は良い子の良いなんだね!

 

「善子じゃなくて!ヨハネ!それより楓花!ヨハネとか善子とかはっきりさせなさいよ!」

 

「じゃあ善子ちゃんだね!ヨハネより善子の方が可愛いんだもーん!」

 

「何なのよ!もう本当に訳わからないわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「善子ちゃん!着いたよー!またいつでも電話して来てねー!」

 

「楓花今日はありがとね、またこれからも仲良くしてくれる?///」

 

「あったり前じゃない!また何かあったら一緒に話そうね!」

 

「ありがとう、楓花!これからもよろしくね、」

 

また1つの心が晴れた気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガバッ

 

「ここは!?どこかしら!?」

 

「梨子大丈夫か?頭とか打ってないか?体調悪くないか?」

 

まるで小さい子供の母親の様に優しく問い掛ける、この時既に梨子の目に邪心は無くとても無邪気な子供の様な目をしていた、

 

「悠人!!ごめんなさい…!!」

 

途端にスイッチが入った様に泣き噦る

産まれたての子供であるかの様に周りを1つも気にせずに泣き声を上げ、顔をくしゃくしゃにして泣いている、普段からは絶対に考えられないぐらいにプレミア感のある瞬間かもしれない、

辛い胸の内を少しでも明かしてくれたと思うとこちらも貰い泣きしてしまいそうだ、

 

「泣いたら折角の美人が台無しだぞ…?」

 

「フフッ、相変わらず悠人らしいね」

 

「俺は変わらない、梨子も変わらなくて良い、だけど俺はやっぱり誰か1人を差別的に見る事は出来ない、梨子も大好きだしみんなも大好きでしかマネージャーは、考えてはいけないと思う」

 

強い信念が起こした結果がこの様な状況を招いてしまった、好きが故の行動だった為にとても軽率な行動を取ってしまったのは仕方ない、何かに夢中になって何かを見失ってしまうのが人間

と誰かが言ってたのだから梨子が全て悪いとは違う、やった事はまだ取り返せる、野球だって10点取られようが11点取れば勝てるのと同じ事、軽率な行動以上に慎重に行動を行なえばいい、

 

 

この信念の様に梨子にも曲げられない信念があるはず、ピアノの事やスクールアイドルのこだわりがあるからこそ溜め込みがちになってしまう、そんな時こそ弱い所を見せて、みんなを頼るべき

 

「でも、私がやった事は許されることでは無い…謝って済む問題じゃないのは分かってる…」

 

「なーに言ってんだよ!みんないつもの梨子の帰りを待ってるんだよ、終わった話で良いじゃないか、次は梨子が正しい答えに導ける人になれば良いだけだろ?」

 

「そうね…今度は私が…!」

 

目に決意の炎が燃えている、梨子が戻ってきた嬉しさが勝っており何しろ親身になり相談できる相手になってくれそうだ、後で善子にお礼を言おう、争いを鎮めてくれた影のヒーローだから

 

 

 

「良いの?本当に帰って?」

 

「うん、迷惑掛けれないしどっちにしろ疲れている梨子に負担を掛けらす訳にはいかないしな」

 

「ちょっと待ってて!」

そう言い梨子は自分の部屋へと急ぎながら走り出す、数分後梨子は手に何かを持っておりそれを俺に向けて差し出した

 

「これは!?お守り!?」

 

「どうかな…?頑張って作ったんだけど…」

 

良く見たら手に絆創膏がチラホラと見える、誰よりもメンバーを大切にしていたかがよく分かる、

 

「ありがとう」この一言で梨子の呪縛が解けたのだろうか、優しく微笑む

 

梨子の満面の笑みに俺がどれだけ助けられているか梨子は知ってるだろうか

 

 

そう、助けられている、何1つ恩返しが出来ていないだけに明日の文化祭は気合いが入るのも無理はない、良くしたいと言うのはお互い譲れない気持ちがある、意思が強ければ強いほど願った場所に行けると俺は知っている

 

 

 

 

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「もしもし?姉ちゃん?」

 

「はいよー!悠どうしたの?」

 

「今日のお礼と感謝の気持ちを伝えようかなーって思って」

 

「お礼なんてされるような事してないしそんな暇あるなら明日の文化祭に備えなよ!悠がみんなの足引っ張ったら私が代表して叱りに行くからね!」

 

「全く、姉ちゃんらしいな、じゃあお礼の気持ちは今度直接言う事にするよ」

 

姉の威厳で強がっているか本当に思ってないかどっちかなのだが謙虚な姉が少し尊敬できた瞬間でもある

 

「また今度は私が様子を見に行くから宜しくとまた何か会ったらよろしくねー!」

 

姉を姉だとこんなに思った事は初めてかもしれない、今回の件については感謝の一言しか考えられない、あの話だって無駄と判断したが無駄なんかじゃなく的確にヒントを出している、怖いぐらいに平然とやってのけるのがまた姉に対する不信感を高めていく、姉がいなければこの件は最悪な状態だって考えられた以上助けられたとしか言えない、次は逆の立場になった時姉以上の行動が出来ますようにと手を握り、目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか!?
この回でヤンデレ梨子ちゃん終了です…寂しい気持ちもありますが、個人的には考えている中で1番想像が難しい分閃いた時は非常に描きやすかったです、
次からはガラッと変えて日常編の予定です、

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