その日真の王は夢を見た。
仲間との力を手に入れる旅。命を懸けた数々の戦い。父親、執事、婚約者の死。受契。真の王の使命。死。
前世で体験した全ての出来事を再び。
しかし。
それは単なる夢。
いくら物語を変えようとそれはただの夢。
気が付くとノクトは真っ暗な空間をただひたすらに出口をさがし走った。
「ッ!はぁはぁ………どーなってんだよ!!ここはどこなんだよ!!誰かいないのか!!」
ノクトは叫ぶが当然誰もいないし誰も返事をしない。
「何なんだよ此処は!!なんであいつらとの旅を、出来事を全部あたまんなかで再生されなきゃいけないんだよ!!誰かいるんだったらなんか言えよ!!おい!!」
ノクトは走るのを止め力一杯喉がはちきれんばかりに叫んだ。
「クソッ!!」
悪態を付きながら再び出口を目指し足を走らせる。
「はぁ………はぁ……はぁ…」
疲れたノクトは疲労した状態で無理に走ろうとした為前に思いっ切りころび倒れ込んだ。
「ッ痛!……………………………本当何なんだよ……」
ノクトは倒れ込みながら拳を握りしめ膝を付き立ち上がった。そしてふと前を見ると光と共にかつて共に旅をし戦った3人の友、仲間の姿が見えていた。しかし追おうとするが3人はどんどん光の中へと進んでいく。
「イグニス!プロンプト!グラディオ!待ってくれ!!俺を……置いてかないでくれ!!」
そしてノクトは3人に叫んびながら光の中へと足を踏み入れた。
バサ!
ノクトは目覚め飛び起きた。
「夢…か……ここは……ん?」
目覚めるとそこは記憶にはない場所でさらにノクトは布団で寝ている状態となっていた。ノクトが乗っていた掛け布団を引っ剥がすと視線を感じた。視線を感じた方を見ると朝パーティーに入りたいと言っていたダクネスという女騎士が今朝の鎧姿とはちがう黒いタンクトップのような格好でノクトを見ていた。
「う、うわぁあああぁあああ!!!!」
当然ノクトは驚き布団から転げ落ちる。
「そ、そんなに驚くことないだろ!」
「驚かねー方が無理あんだろ!」
ダクネスは少し怒ったようにノクトにそういった。そしてノクトも尻をさすりながら立ち上がり言葉を返した。
「たしかあんたはダクネスだっけ?ここどこだ?」
「ここは私の屋敷だ。倒れていたお前を私が運んで連れてきた」
「へー屋敷ねぇ。だとするとお前はどっかのお偉いさんのお嬢さんつーことか………」
「ああ。それのことで頼みが……」
「ちょっと待て今お前が俺を運んだつったか?」
「え?あ、ああ。私が運んだがそれがどうかしたか?」
ノクトは思った。「このダクネスとか言うお嬢様クルセイダーはクルセイダーじゃなくて武道家だろ」と。しかし思っただけで口にはださなかった。
「そ、そっか。サンキューな」
ノクトがサンキューとお礼を言うとしばらく沈黙の時間が流れた。そしてダクネスがその沈黙を破った。
「名はなんという?」
突然ダクネスに名前を聞かれたノクトは戸惑いながら答えた。
「あ?ああ……ノクトだ」
「そうか。あれはノクトがやったのか?」
ダクネスに突然あれをやったのかと聞かれノクトの頭には?マークが数個浮かぶ。
「あれ?何のことだ?」
「巨鳥ズー。あの化け物をノクトが倒したのか?」
「ああ。俺が倒した」
「なるほど。本当にノクトが倒したようだな」
「は?なんで
再びノクトの頭に?マークが浮かぶ。
「何故ってそのポケットからはみ出ている冒険者カードにそう書いてあるからだ」
「あ、本当だ」
ノクトのジャケットのにはポケットから冒険者カードはみ出ており確かにズーと書かれている。
「さてと。じゃあ俺もう行くわ」
「ギルドへか?」
「ああ………うを!?」
ノクトが部屋から出ようとした時急にノクトの体がグラッと揺れ倒れそうになる。
「大丈夫か?」
「ああ。もう平気。流石に魔力つかい過ぎたな」
「よし。じゃあ一緒に行くとするか」
「だな」
「さぶいから早く入ろーぜ」ガタガタ
「ああ」
ダクネスの屋敷から出たノクトはダクネスと共に冒険者ギルドへと足を運んだ。そして扉を開けた。すると…
「「「ノクト!!」」」
「うお!?なんだ!?」
扉を開けた瞬間アクア、カズマ、めぐみんが泣きながらノクトに抱きついてきた。何故かダクネスもそれに便乗するように腕組みをしながら首を上下に振ってうんうんとうなずいている。いやダクネスだけじゃなくギルドにいた冒険者達全員が涙を浮かべうんうんとうなずいている。
「ちょ、お前ら止め、離れろ!服に鼻水つくから止めろ!」
数分後
「はぁ…一着しかねー大事な服が鼻水だらけになっちまったじゃねーかよ」
「ご、ごめん……」
アクアとめぐみんは服を鼻水だらけにした事を謝る気はなかった。それほどノクトの事が心配だったのだ。
「心配したのにそれは無いでしょう!?」
「そうですよ!」
と謝る気が全くないアクアとめぐみんが何か言っているとカズマが衝撃の一言をノクト言い放った。
「にしもアクア達の言うとおり本当に心配したんだぞ?なんせお前二週間とちょっとくらい眠ってたんだからな?正直植物人間にでもなったのかと思ったぞ」
「へー…………………二週間!?」
その後自分があの後どうなったのかをカズマから聞いた。
「なるほどな~。つまりこういう事だな?俺が眠っている間にダクネスがこのパーティーに加入、その後空飛ぶキャベツを収穫、そしてめぐみんがズーの事を反省せず今度は魔王幹部の一人が住んでる古城に爆裂魔法ぶっ放して幹部怒らせダクネスが死の呪いを受けてそれを解除するためには二週間以内に幹部倒さなきゃ解除されないのにアクアがそれを解除して今は俺が倒したズーの報酬4億エリスで食っちゃ寝して今日がちょうどその呪いの日だとそう言う事だな?」
ほんのちょっとノクトは怒りと皮肉を込めていった。ノクトは別に勝手に金を使われた事を怒っているのではなくその時にそんな面白そうな時にいなかった自分に腹を立てているのだ。
「はい。すいません……」
「別に金勝手に使ったことなんざ怒ってーし。でそれはいいとしてアクア」
「何よ」
ノクトが謝るカズマの隣に座っているアクアに話し掛ける。
「何でもいいからなんか良さげなクエスト持ってこい」
「は?なに言ってんの?」
「は?」
アクアの発言にノクトはは?と言って唖然する。
「いやだってもう4億エリスもあるのよ?なんで今更クエストなんて行かなきゃならないのよ」
「お前こそなに言ってんだよ。そもそもカズマの話しだと4億は俺とめぐみんのだぞ?お前のじゃねーから。つかダクネスの奴の方が金も」
「ほらノクトカエルの唐揚げだ食え!!」
「うブッ!?」
ノクトがダクネスが金持ちお嬢様だと言おうとした瞬間ダクネスがカエルの唐揚げをノクトの口に突っ込んだ。
「ウブ!ぶふ!ゴクン」
なんとか突っ込まれたカズマの唐揚げを飲み込みハァハァと息を切らすノクト。
「し、死ぬかと思っ………た!?」
ダクネスは息を切らしているノクトの腕をつかみ取り無理やり外へ連れ出した。
「痛てぇよ!分かったから離せよ!」
ノクトが言いながらダクネスの手を振り払うとダクネスは真剣な顔に変わった。
「ノクト」
「なんだよ」
「ノクト。私がお嬢様と言うことはカズマ達に黙っててくれないか?」
ダクネスは真剣な声でノクトにそういった。
「あー屋敷でる前に頼みってそれか」
「ああ」
「なるほどな。カズマ達にお嬢様だってバレたら今の関係が変わるって思ってんだろお前」
ノクトの予想は的中したかのようにダクネスはコクとうなずいていた。
「言っとくけどあいつらはそんな事でいちいち態度変えたりなんかしねーぜ?」
「…………」
「ま知られたくねーことなんて誰にでもあんだろ。つうことで戻るぞ」
そういってノクトがギルドの中に戻ろうとした時だった。
「ノクトお前にも隠している事があるんじゃないのか?例えばズーを倒した力とかな」
「別に隠してた訳じゃねーよ。近い内に話す」
「……そうか」
ダクネスはそうかといってノクトと共にギルドの中へと入りカズマ達の場所へ戻る。
「何してたんだ?」
「ちょっとな」
「とりあえず私はクエストなんて行かないからね」
アクアが意地を張りぷいっとそっぽむく。
「じゃーお前にはこれから1エリスもくれてやんねーから」
「ほらなにしてんのよあんた達早くクエスト行くわよ!」
「んじゃあ俺いつもの宿に帰るわ。ほ、報酬は全部やるから。じ、じゃあな」
「あ、ああ」
ノクト達はあれからブルーアリゲータというワニのモンスターが出る湖の浄化と言うクエストをやった。アクアは触れるだけで 浄化出来ると言うのでギルドから檻を借りて檻の中にアクアを入れそのまま湖にぶちこんだ。そしたらブルーアリゲーターが浄化中のアクアを檻の外から攻撃しまくって大惨事になった。そして今はようやく浄化を終えアクセルに戻ってきたところだ。
「………………………」ガタガタブルブル
アクアはそこでトラウマ以上の恐怖を植え付けられたのかどっかのタンスでガタガタ震えてるおいもう帰ろうぜキャラ状態だ。そしてノクトがその場を立ち去ろうとした時だった。
「アクア……様?」
茶髪のイケメン騎士が現れた。
「面倒くさい展開になりそうだ…」
ノクトは突然現れたイケメン騎士を見てそう呟いたのだった。
続く