この星を救った悲しき王に幸せと祝福を!   作:剣崎 誠

3 / 5
この悲しき王の真実を!

「仲間…か……」

 

ノクトは呟くと写真を見つめる。

 

「あいつら楽しくやってかな…」

 

呟きながらノクトは静かに泣いた。そして彼ら、共に旅をした写真に写る大切な3人の仲間達の名前を呟いた。

 

「イグニス…プロンプト…グラディオ…会いてぇな…」

 

ポタポタと何粒もの涙が写真に落ちそして床へと滑り落ちて行く。

 

「イグニス…グラディオ…プロンプト……」

 

再び仲間達の名前を呟く。すると扉が開きこの宿の家主の娘が料理を運んできた。

 

「入るよノクト」

 

「ん?あ、ああルーナか」

 

「また……泣いてたの?」

 

彼女はポポリ・アン・ルナティーネと言う名前で家主の娘。いつもノクトにご飯を運んできてくれるこの宿の看板娘だ。通称ルーナ。彼女の姿は身長160くらいで髪は銀髪の長髪でサイドテール。年齢は16才とノクトより2つ年下。彼女はノクトの居た世界のルーナと性格が似ていた。違うところは誰に対してもタメ口でまるでイリスみたいな性格だというところだけだ。ノクトと彼女はカズマと同じ友達という関係だ。ちなみに父親、家主の名前はポポリ・アン・ダリオという。

 

「見てたのか?」

 

「うん。父さん心配してたよ?」

 

「まじかよ……あとで心配させたこと謝るか…」

 

「いやいいよ。私が言っておくから」

 

「そっか…サンキュな…」

 

ノクトは彼女が持ってきたご飯を食べ空腹を満腹にする。ご飯を食べ終えたあと話すことも何もないためしばらくの沈黙が流れ気まずい空気になる。そしてその沈黙をルーナが破る。

 

「ねぇノクト」

 

突然名前を呼ばれたノクトは少し同様しながらもなんだよと答える。

 

「その……写真の友達に…会いたい?」

 

「ああ…会いたい」

 

ノクトは問いに答えると懐に写真をしまう。そして彼女に仲間達との旅の話、そして仲間達のこと話をした。

 

「楽しくもあり、辛くもあった旅だったけどさ……やっぱなによりあいつらと旅出来た事自体が楽しかったんだよ……でも結果的には俺は死んで…あいつらと会えなくなって…」

 

「死ん……だ?」

 

「あ!い、いや何でもねぇよあん時の事思い出して気が滅入って間違えただけだよ」

 

瞬間彼女の顔、眼差しがとても真剣な物へと変わる。

 

「嘘だ……私ノクトと会ってまだ二週間と日浅いけど今のは嘘だって分かるよ。無理にとは言わないけどさ…話してくれないかな?本当のこと」

 

ノクトはルーナの問いに対してしばらく沈黙する。がノクトは決心したのか彼女に全てを話し始める。

 

「………ああ、分かった。全部お前に話す。多分信じてもらえねぇかもしんねぇけど…」

 

ノクトは彼女に全てを打ち明けた。たった二週間と出会って日が浅い彼女との付き合いだがノクトは彼女だけになら話せると強い信頼を抱いていたため全てを話し、打ち明けた。

 

「俺さ、あいつらに会いてぇんだ。あいつらだけじゃない。シドニーやイリス、タルコット……そして一番会わなきゃいけない人…ルーナにも…」

 

「ノクト……この街、アクセルに来てからノクトはずっと辛かったんだね…自分の世界を救うために決心も固まらないまま自分の命を捧げて……死んで……本当は仲間達と旅をしていたかったしルナフレーナって人ともちゃんとあって話ししたかったのに……でもそれすら叶わず目まえで殺されて…神様たちから命を捧げろって強要されて死んじゃって……本当に今まで目を逸向けないで良く耐えたと私は思うよ」

 

ノクトは彼女に言われた事に対して何も答えずただ沈黙し黙って聞いた。

 

「だって私ならそんなの耐えられないもん。あまりに残酷過ぎるよ……ノクトはもう知ってると思うけど……私ねお母さんが居ないの」

 

「あぁ…知ってる。おっちゃんが言ってたよ。ルーナが物心つき始めた時に仕事中モンスターに襲われて死んだって」

 

「そう物心つき始めた時に死んじゃってさ…。でもまぁ父さんが居たから寂しくはなかったんだ。でね…私ある日父さんに聞いたんだ。お母さんはなんでかえってこないのって言ったらお母さんは遠い国に行ってていないんだって優しい嘘ついてさぁ。もちろん聞いたのは5才あたりだったから簡単に信じちゃったんだけどね。で気づいたのが最近なの。でも信じたくなくって本当は初めから心のどこかで気づいてたんだ……お母さんはもう帰ってこないんだって…。馬鹿だよね…私…ノクトは辛い現実受け止めて一度死んでここに転生して今を生きてるのに私はお母さんが死んだって言う真実から目を背けて……本当馬鹿だよね私」

 

「いや違げぇよ。ルーナは馬鹿なんかじゃねぇよ。旅の初めに親父が死んだって聞かされて……俺を帝国から守る為に笑って送り出してくれたそんな恩人である親父に対して逆ギレしてた俺の方がよっぽど馬鹿だ。現実から目を逸らすより馬鹿だし愚かだ」

 

ノクトはそう言って歯を食いしばり拳を強く握りしめる。そして彼女はそんなノクトの…

 

「ノクト」

 

名前を呼ぶと優しく抱きしめた。そして同時にノクトは泣きルーナも静かにに涙をながし共に泣く。

 

「今はいいんだよノクト……思いっきりないて。一人で辛さを抱え込んで泣くより誰かに背負ってる辛いことや悲しいを打ち明けて一緒に泣くほうがきっと楽になれるからさ」

 

「ッ!ルーナ!……」

 

その日ノクトは彼女の胸を借りて泣いた。その悲しい泣き声そして涙は彼女の胸に響きそして伝わり彼女もまた泣いた。痛みを分かち合える二人だからこそ共に泣いた。

 

「ねぇノクト」

 

泣き止むとノクトは彼女からはなれる。するとルーナはノクトにある頼み事をした。

 

「あ?」

 

「今夜だけでいいからさ………一緒に寝てもいいかな?」

 

「別に構わねーよ。お前のおかげで気持ちがかなり楽になったしさ。本当ありがとな…ルーナ」

 

「ううん。私の方こそノクトのおかげで気持ち楽になったしお母さんが死んだ現実としっかり向き合えたしさ。だから私の方こそありがとね…ノクト。」

 

「ルーナ…」

 

「じゃあ私お風呂入ってくるから。また後でね」

 

「ああ、分かった」

 

ノクトは彼女が戻ってくるまで暇だったのかベットに寝転がり大の字になって再び懐から写真をだし眺める。

 

「いいかもな……あいつらのパーティーに入んの……」

 

ノクトは写真を眺めながらカズマに朝言われたパーティー勧誘を思い出してそう呟いた。がどうしてもこの待っている時間が暇だったノクトは外へ気晴らしに散歩することにした。

 

「ルーナ戻ってくるまで暇だし散歩行くか…」

 

ノクトはベットから起き上がって部屋から出て家主に散歩してくると伝え宿を出た。

 

「ふう外寒みぃな」

 

そう言いながらノクトは歩き初める。ちなみにこの世界に時間と言う概念は存在しない。だから時計も存在しないのだ。

 

「差し詰め今は9時当たりって所か…ん?あれは…」

 

と適当にノクトが時間を予想しているとカズマを見かける。

 

「カズマか」

 

カズマを見かけるとノクトは彼の所まで行き肩をぽんとたたく。

 

「っよ!」

 

「うわ!ってなんだノクトか」

 

肩をいきなり叩かれたカズマは体をビクンと跳ねさせ驚く。がノクトを見て冷静になる。

 

「俺で悪かったな」

 

「いやそう言うつもりで言った訳じゃないんだけど」

 

「まなんでもいいや。所でお前はこんな時間に何やってんだ?」

 

「眠れないから暇潰しに散歩。ノクトは?」

 

「同じく散歩だ」

 

二人はそういうと近くにあったベンチに座り上を向き夜空を眺める。

 

「なぁカズマ」

 

「お?なんだ?」

 

「パーティー入ってやってもいいぜ」

 

カズマはノクトにそんな事を言われ鳩が豆鉄砲くらったような変な顔をする。

 

「……今…なんて言った?」

 

「だからパーティーに入ってやってもいいぜって言ったんだよ」

 

「まじか!!」

 

カズマは二回目を聞いた途端まるで神でも見てるような目、顔をし何度もまじかと言ってくる。

 

「だ、マジだってマジ!」

 

「よっしゃアアアアアアア!!こ、これで馬小屋貧乏生活とはおさらばだアアアアアアア!!」

 

カズマは本音と共にノクトのパーティー加入を叫び喜んだ。

 

「バッカ声でけぇよ!」

 

「お、すまんすまんつい…」

 

時間も時間だったためカズマはノクトに怒られるがすまんすまんとあやまる。

 

「なぁ本当にいいのか?うちの仲間ってほら馬鹿と爆裂娘と駄目な奴しか……」

 

本当にいいのかともう一度確認を取ろうとするカズマの言葉を途中ノクトの言葉が遮る。

 

「カズマ……俺さお前とアクアを見てると前の世界での友達や仲間達と旅してた時の事を思い出しちまってさ……で考えたんだ一人でやってくよりも最初に知り合えた、友達になったお前のパーティーに入ってこの世界を冒険すんのも悪くねぇかなって…」

 

「ノクト……」

 

「まぁつうわけだから明日からよろしくなカズマ」

 

「…おう!よろしくなノクト!」

 

二人は固い絆で結ばれたように少し強く握手をする。そしてじゃあなと言って二人帰路についた。

 

「さぁて明日からカズマの冒険だっと」

 

軽いく伸びをしながらそう言ったノクトは宿の扉を開けダリオに軽くただいまと一言いって自分の部屋へと戻った。すると部屋にはパジャマ姿のルーナがベットて座ってノクトを待っていた。

 

「ただいまルーナ。ちょっと散歩してたわ」

 

「あ、おかえりノクト。何してたの?」

 

「今は散歩って言ったろ」

 

「具体的に」

 

ルーナの要求にノクトは面倒くせえなと呟きながら頭をかきカズマと会って話したことを言った。

 

「へーじゃあ明日あらノクトってカズマって人のパーティーに入るんだ」

 

「ああ。一人でやってくよりかはいいかってな」

 

「ふーん。そうなんだね。ちょっと意外」

 

ルーナの突然の意外な言葉に対しノクトは変な声では?と返す。

 

「だってノクトって常に一人で友達いないって思ってたから」

 

「ルーナお前は俺が今までぼっちだと思ってたのかよ」

 

「うん。思ってた」

 

流石にこのルーナの発言で少し顔をゆがめるノクトだったがため息をつき呆れ顔になる。

 

「…はぁ…まいいから明日早ぇしさっさと寝るぞ」

 

「ハーイ」

 

ノクトは彼女の態度に若干呆れながらったくと呟きベットへ入る。当然それに続くようにルーナもベットへ入りノクトに抱きつく。

 

「ちょお前止めろ抱きつくな」

 

ノクトは若干テンパりながらも抱きついて来るルーナを剥がそうとするが彼女が後ろから抱きついていたためうまく剥がせない。

 

「良いじゃん」

 

「よくねぇよばれたらおっちゃんに殴られる」

 

「私は関係ないもん」

 

ノクトはお前なぁと言いながら諦め眠りに入った。こうしてノクトはこの世界に来て自分の世界のことや抱え込んでいた辛さや悲しみを全て打ち明けぶちまけた。 それと同時にカズマやアクア、めぐみんと言った仲間を手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く…




はい。というわけでオリキャラのルーナちゃん登場させました。ルナフレーナ様かと思った人……残念、オリキャラでした。彼女の外見は艦これの空母棲姫です。分からない人は画像検索でググって見てね。あでも目は赤じゃなくて蒼だよ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。