かつて…
真の王は命を捧げ星を救った。
真の王は命を捧げ闇から世界を救った。
そして真の王は異世界をも救った。
「ノクティス・ルシス・チェラムさん、ようこそ死後の世界へ。あなたは王の使命を果たし世界を闇から救いました。あなた自身も分かっていると思いますがあなたは使命を果たしたがために亡くなりました」
突然突きつけられる現実。そう…俺は真の王の使命を果たすために死んだ。だけど使命を果たす決意なんて出来ていなかった……もっと生きてあいつらと旅をしていたかった……。ノクトはそんな思いを胸に逝くことを決意した。
「ノクティスさん。あなたには3つの選択肢があります」
「選択肢?」
2つはわかる。一つは天国に逝けってやつだ。2つ目は新しく人生を歩めってことだろう。だが三つ目だけがどうしてもノクトは分からなかった。
「はい。一つ、天国へ逝く。二つ、記憶を消して新しく人生を歩むそして…」
「三つ、某RPGゲームのような世界に記憶と肉体そのままで行って魔王を退治すること」
は?何だって?。命を捧げてまで自分の世界を救った俺に今度はゲームみたいな世界に行って魔王を退治してこいだと?。神って言うのは人使いが本当に荒いな。正直天国に逝くのが正解だとノクトは思った。だけど記憶と肉体をそのままゲームみたいな世界か……
「王の使命のため短い人生を終えたあなたには是非とも異世界へ行って第二の人生を歩んで欲しいのです」
記憶と肉体そのままに第2の人生か……
「……分かった。行ってやるよ。そのゲームみたいな異世界へ!」
「はい、分かりました。それでは特典としてなんでも欲しいものが一つだけ貰えます。たとえそれが伝説級の武器であろうと鎧であろうと」
なんでも欲しいものか…そういえばポケットに入れてたアレないな…。
「それは武器や鎧なんかじゃなくてもいいのか?」
「はい。特殊能力だろとなんだろうなんでもです」
答えは決まった。ノクトが異世界へ持って行くものは…
「写真だ」
「し、写真ですか…?」
「ああ、ここに死ぬ前に貰った大切な写真だ」
ノクトがそういうとどこからかノクトが死ぬ前に大切に持っていた写真を取り出し渡される。
「………分かりました。写真はこちらになります」
ノクトは要望したの写真だ。あいつらと旅をしていた時にとったちゃんと4人写った写真だ。ノクトは死ぬ前に一枚だけ持っていたのだが入れていたはずのポケットには入っていなかった。あれだけはどうしても肌身はなさず持っていたかったから要望したのだ。
「…………おもしれぇ…やってやるよ!魔王退治!」
「それではそこの魔法陣の上に立ってください」
「ああ」
よく見るとそのこはゆったりとした白い羽衣に身を包み、長い白銀の髪と白い肌。どこか儚げな美しさを持った少女だった。恐らくルーナより美人だろう。何故ならその少女の美しさは人外だったからだ。そう思っていると魔法陣が光り出し光りは俺を包んでいく。
「ありがとな。俺に第2の人生をくれて」
「いいえ。あなたは世界を救った英雄です。でも世界を救う為にその命を捧げたのなら第2の人生くらいはあって当然だと私は思っています」
「そっか。じゃあな」
「ノクティス・ルシス・チェラムさん。あなたの第2の人生に幸せと祝福を!」
少女がそういうと光りは完全にノクトを包んだ。包まれるとノクトの意識は薄れていった。
「んあ?ここは………うわすげぇ本当にゲームみたいな世界に来ちまったみたいだな」
目を開けると石造りの街中をチョコボが馬車を引き音を立てながら進んでいたり王都インソムニアや外の世界とは全く違う光景が目に映っていた。ほかにはレンガの家々が立ち並んでいたり、まるで中世のヨーロッパのような街並みがあった。 どうやら異世界でもチョコボは存在するらしい。あいつがいたらはしゃいでそうだな。
「あれ?服が変わってる……つかこの服…」
さっきまで着ていた服じゃない。つかこの服……。ここでポケットに何か入っているのに気づいた。
ガサガサとポケットをあさると一枚の手紙が入っていた。
「手紙?」
手紙の中には特典として選んだ写真と一枚の紙が入っていた。そして内容は……
『写真この手紙の中に入れておきました。それと肉体をあなたが王の力、ファントムソードを集めていた時のに戻しました。もちろん服もです。言語は心配しなくても安心です。ここの言語や情報はあなたのインプットされているので問題ないです。あと必要なお金をいくらか入れておきました。それでは魔王退治頑張って下さい。女神エリスより』
とのことだった。金は正直ありがたい。旅を始めた時みたいになるんじゃないかと思ってたからな。ちなみにここの金はノクトの世界とは当然名前違いエリスと言う。由来はここの世界に住んでいる人々が女神エリスを崇めているからだそうだ。入っていた金額は4000エリスだった。
「確かに旅してた時の服だしヒゲも生えてねぇし。さらに何故かここの情報がある程度分かる。まじでインプットされてんのな。女神エリスさまさまだわ」
女神エリスさまにまじ感謝だ。ノクトは女神さまに感謝しながら冒険者ギルドと言われる場所に向かった。
「へぇここがそのギルドか」
扉をあけると赤髪短髪のお姉さんが愛想良くいらっしゃいませと挨拶する。店内を見回すと鎧や剣など武装したごついおっさんや女性達がいた。見たところ柄の悪そうなやつは居ない。意外だな。こういう所の定番だろうと思っていたがやはり居ない。俺はまあいいかと思いインプットされた情報通り冒険者になるため受け付けの列にならびまつ。やはり異世界ということだから服が珍しいのか妙に視線が俺に集まる。 まぁ不快に感じてる訳じゃないから気にしない。と順番がノクトに回ってきた。
「あの冒険者になりたいんですけど」
「それでは登録手数料として1000エリスいただきますがよろしいですか?」
「あ、はい」
ノクトは受付嬢に1000エリスを手渡す。手渡すと冒険者になるための説明が始まる。これもインプットされてるから正直いらない。というか冒険者と言う職業は俺のいた世界のハンターと言う職業とほぼ同じだった。違う所をしいて上げるとすれば魔王を退治することを目的があると言うこととレベルという概念があると言うことそしてスキルやステータスと言ったゲームまんまの設定があることだ。あとファントムソードや旅で鍛えられた影響でかステータスが異常だとの事。ちなみに俺は最弱職と言われている最もシンプルな職、冒険者にした。理由はシンプルでいいしなんか全ての職のスキルを習得出来るからだ。
「武器召喚やファントムソードつかえるか試す為になんかクエスト行くか」
ノクトはクエストが張ってある掲示板へ行きクエストを見てみる。
「まぁ最初だしジャイアントトードの討伐クエストに行ったほうが良さげだな」
ジャイアントトード
全長一メートルくらいある巨大カエル。食われるとカエルの粘液まみれにされ全身生臭くなり最悪の場合飲み込まれて消化されてしまうらしい。ちなみにこのジャイアントトードの肉は食材としてよく使われるらしく少し固いがうまいらしい。俺の世界にもギガントトードつうデカいカエルがいたが一メートルもデカくはなかった。
「さてととりあえずジャイアントトードの居るところまできたし武器出せるか試してみっか」
ノクトは武器召喚できるか試すため手を前にだす。すると今は亡き親父に誕生日に貰った剣、エンジンブレードが現れる。
「お、使えんな。あとは……そりゃ!」
ノクトはエンジンブレードを手にとりジャイアントトードにぶん投げる。そして王の血筋が持つ能力、シフトを使いぶん投げたエンジンブレードの場所まで瞬間移動しエンジンブレードを手にとりジャイアントトードの腹に突き刺す。
シフト
武器を移動したい場所に投げる。そしたら魔力を消費してそこまで瞬間移動できついでにそのまま攻撃まで出来ると言う優れた技だ。
「オラア!」
ノクトはそのままジャイアントトードの腹を横へ切り裂き倒す。
「うっし!まず1体、のこるは4体」
こうしてノクトは若返り異世界へ転生し新たな人生、第二の人生を王や王子などの立場や使命を気にせず歩みはじめたのであった……
続く