【更新休止中】Fate/ぐだ×ぐだOrder 〜要するにぐだこがぐだおを呼ぶ話〜 作:藻介
いやあCCCクエスト、鎖がガッポガッポとれますねえ。これには止まっていた静謐のスキル育成もガンガン……、QPがない、だと。
とまあそんなことはさておきどうぞ。
ー6ー sideぐだこ
「私の名前は藤丸立花。さっきは助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合のようとはよく言ったものだなと思う。今の彼女にさっきまでの鬼気迫る雰囲気は微塵も感じられない。
その彼女が少し横を向いて、そして何かをためらうようにうつむいた。
「私は……その」
「あ、名乗りづらいのだったら別にいいよ」
まあなんてよんだら分かんないけど。
「あ、いえ。別にそういうわけでは……」
ん? ならどうしたのだろう。
「そ、そんなことより、どうしてあんなところに寝転がっていたのですか? 服装を見るにこの時代の人では無さそうですし、もしかして、今が戦争中だということをしらないとは言いませんよね?」
へ、戦争?
「えっと、待って、今西暦何年?」
「1431年です」
あー、だいたい察しがついた。
つまりは気絶したまんまコフィンにぶっこまれて、そのままレイシフトしてきたわけだ。大方ドクター辺りの仕業だろうけど、後で一発かましておこ。
でマシュや他のみんなの姿が見えないことから見るに、はぐれたか。きっとこれもドクターの仕業にちがいない。もう一発追加で。
「あの……、大丈夫ですか?」
どうやら少し考えこんでしまっていたらしい。彼女のこちらを伺う顔がすぐそばにある。
「ああ、なんとか。それと、一つ聞いてもいい?」
「ええ、構いませんが」
では遠慮なく。
「あなたはサーヴァント、で間違いない?」
整った顔が凍りついた。
「あなたはいったい……」
「私は人理継続保証機関カルデアのマスター、この特異点で起きてる事変を解決にきたの」
「マスター……特異点…………」
それだけ呟いて何やら納得がいったようで、改めてこちらを向いた彼女の顔はとても真剣な面差しだった。
「分かりました。では私も名を明かしましょう。真名ジャンヌ・ダルク、ルーラーのクラスとしてこの時代に召喚されました」
ー7ー
彼女ーージャンヌの話によると彼女は数時間前に不完全な形で召喚されたらしい。
もし完全な形で召喚されていたのなら、ルーラーのクラススキルで他のサーヴァント反応を探してマシュ達と合流できたのらしいのだが、栓のないことを言っても仕方がない。
実際、こっちもカルデアと連絡がとれないでいるので、どっこいどっこいだったりする。
それを聞いた彼女の顔は少し綻んでいた。何でもどっこいどっこいという語感が気に入ったらしい。
そんなことを話しながら森を進む。
途中見飽きるほどに沸いてくるドラゴンやら
それでも入ることはせず、そばの切り株に互いに腰を落とす。
「じゃあ、とりあえず互いに状況を確認しようか」
「そうですね」
ジャンヌが頷いたのを皮切りにこちらから話した。
特異点Fの顛末。
私以外のマスターが危篤状態に陥り、所長他多くの職員が死んでしまったこと。
人類の未来が焼却されてしまったこと。
それを防ぐために特異点となったこの時代に聖杯の回収にやって来たこと。
それらを聞いたジャンヌの顔は何とも言えないといった感じだった。例え不完全な召喚であろうとも、彼女は
「なるほど、ではあなたの目的は聖杯の回収、と言うことですね」
「そうなる。でも今は、他のみんなとの合流が先決かな、……あ、別にジャンヌが頼りないってわけじゃないよ」
「ふふ、大丈夫です。まあ、気にしていないと言えば嘘になりますが」
「? まあいいや。じゃあ、そっちの事情をお願い。特にアレの存在とか」
そう本来15世紀のフランスどころか、きっとこの世界には存在し得ないようなアレ。
それを私はここに来るまでに何度も見た。
ドラゴンーーいやあれはワイバーンだったかな。
「そうですね、それには今のフランスの状況をお話ししなければなりません」
ジャンヌが両手を前に組む。
「本来の歴史、その上でのフランスをご存知ですか?」
高校時代の記憶を必死でこね繰り回す。まさかこんな形で世界史の授業を役立てる日が来るなんて、あの頃は微塵も思わなかっただろう。
「えっと、確かジャンヌがシャルル皇子に協力を依頼してイングランドを撃退、百年戦争は終結、その後は……」
「私が火刑に処されました」
こちらのためらいを見通していたのか、ジャンヌはさっぱりと言い切った。
「…………、ごめん」
「いえ大丈夫です。私は気にしていませんから」
「本当に?」
「ええ」
迷いのない眼、一点の陰りもない相貌で自身の死を気にしていないと言い切るジャンヌ。
「いずれは、そうなる運命だったんです。むしろこんな小娘を一時でも信用してくれた皇子には感謝しかありません。それに多くの人たちと共に一つの信念を共有できたあの時間、あの時間で、それだけで私は充分なんです」
「………………」
私と彼女の間に風が吹いた。それに伴って木々のざわめきも聞こえる。
以前、ドクターに聞いたことがある。ルーラーとはどういったクラスなのかと。
するとドクターは迷いなく答えてくれた。
本来の聖杯戦争においてその戦争を管理する役割を担う、いわば戦争そのものが使役するサーヴァント。それゆえにルーラーのクラスに選ばれる英雄は聖杯にかける願いを持たない。
確信した。目の前の彼女は紛れもなくそれだ。
悔いなく生きて、悔いなく死んだ。だからこうも平然と自分の死を直視できる。
なら、彼はどうだったのか。
どこか遠くを見つめる蒼い瞳。
彼にも、聖杯にかける望みはないのだろうか。
彼も悔いなく生きて、悔いなく死んだのだろうか。
さらにもう一迅風が吹き、辺りの草花を軽く撫でていった。
ー8ー sideルーラー(ぐだお)
「くしゅんっ」
ん、なんだか今、誰かがオレのうわさをした気がする。
「おう、案外可愛い音のくしゃみを出すもんだな」
「ニャハハ、わかっているではないか光の御子。こう見えて、ご主人はかなり乙女だゾ」
「うるさい」
一喝。夕食の仕度をしているキャットは別にして、何もしていないクー・フーリンに言われるのは何か腹立つ。
そんなこちらを伺ってかマシュが
「宜しければ、お風呂に入りますか?」
と聞いてきた。
「ん? 風呂なんてどこに有るんだ?」
「子ギルさんが用意してくれました。驚きです、あんな宝具もあるのですね」
「いや、たぶんやつは何でも持っていると思うぞ」
それこそ昔何かで見た〇次元ポケットみたいに。
まあ、それはさておき。
「必要ない、サーヴァントは基本そういうのは……」
「いいじゃねえか」
おい。
「そうだナ、入って来るといいぞご主人。きっと上がる頃にはこの毒抜き済みワイバーンの尻尾シチューも煮えているだろうしナ」
キャットまで。
「…………」
「ん? どうしたキリエライト」
「……、あ、いえ、その」
両手を胴の前に組んでもじもじとするマシュ。おい、まさか。
「私も、その、うわさに聞く露天風呂、という物に、少し、入ってみたい、と」
まじか。
三人の視線が一気にこちらに向く。
「……………………っはあ、分かった」
目に見えて明るくなるマシュの表情。
まったく、これはずるい。
「じゃあ、男女交代で。先にオレとクー・フーリンが入ってくる。キャット、後で火の番を代わる」
「まかされた」
視線を外した瞬間、視界の隅ににやけるキャットが見えた。
あ、マシュに露天風呂を話した主犯はコイツか。ずいぶん、ご主人使いも手慣れたもので。
キャット「ムッフフー♪ さすがは盾娘、デンジャラスでビーストな体つきをしているナ。ホレホレ」
マシュ「ひゃっ、やめて下さい。それにしてもキャットさん、始めにみたときよりもその……縮んでませんか?」
キャット「? ああコレカ。コレなら変化スキルでそうしてるのだ。ご主人がそういう趣味デナ」
マシュ「え」
以上サービスシーン終了